働き方改革という言葉がクローズアップされ、待遇や労働時間の見直しが迫られていますよね。それぞれの会社、それぞれの働き手によって思惑はそれぞれですが、特にやりだまにあげられるのは残業時間でしょう。会社にとっても働く人にとっても少しでも働く時間を短くしたい、という人は多いはず。
会社側にとっても残業手当はなるべく少なくしたいところですし、働く側にとっても賃金の上乗せにつながらないサービス残業はなくしたいでしょう。とはいえ、生産性や業務の質を減らすわけにはいきません。そこで求められるのは、やはり業務効率化です。
実は最近では業務のムダを省くというだけでなく、AI(人工知能)を搭載したツールを使って業務効率化を進めることもできます。そこで今回は、業務効率化のポイントやちょっとしたアイデア、また業務効率化に便利なツールや、実際の事例などをご紹介しましょう。
業務効率化を行う上で大事なポイント
業務効率化を行うなら、まず何をすべきなのかまとめておく必要がありますよね。業務効率化を行う上で大事なポイントを、おおまかにまとめてみました。
- 業務効率化を行うべき項目を明確にする
- 業務における無駄を洗い出す
- 意思統一をする
- 人によっては、逆に非効率になる可能性も考える
まずは、どこを重点的に効率化させたいのか明確にしておきましょう。一度にあれもこれもやろうとしても、ひとつひとつの項目が中途半端になって逆に効率が悪くなってしまいます。まずは1項目にしぼって効率化を行い、達成したら次の項目へ……というやり方がおすすめでしょう。
次に、業務における無駄を徹底的に洗い出します。使う時間のわりに中身の薄い会議、移動時間がやたらと多い業務配置、ひとりでも十分できそうな業務を何人もの人間がやっているなど、いろいろありそうですよね。業務を自動で進めてくれるツールも、業務効率化の心強い味方です。
また業務効率化は、担当者のアイデアだけでできるわけではありません。担当者が提案したことを、すべての社員が実行できなければ意味がないですよね。やり方がわからないという人のためにマニュアルを用意し、ダラダラと仕事を遅延させているような人には注意を促しましょう。
業務効率化を実現するアイデア
業務効率化に大事なポイントをあげてきましたが、具体的にはどのようなことをすればよいのでしょうか。以下に、業務効率化のアイデアをご紹介します。
- 業務のフローチャートとマニュアルを準備する
- 適材適所な人員を配置する
- ツールを使って作業を自動化する
- ひとりひとりの意識を変える
やり方がわからない時にパッと見られるマニュアルは、業務効率化において大きな武器になります。しかし、そのマニュアルも情報量が多いだけでわかりづらいものでは見る気もしませんよね。また、業務の全体的な流れを把握できるよう、フローチャートを作成しておきましょう。自分が担当している業務が、全体の流れのどこにあるのかを把握することで、マニュアルの理解を助けてくれます。
また人にはそれぞれ、得意分野も苦手分野もあります。仕事である以上、苦手だからできないという言い分は通りませんが、得意分野である方が効率的なのは間違いありません。社員それぞれの得意・不得意を把握し、その社員に合った業務を割り当てることも業務効率化につながりますです。
また、自動で業務を行ってくれる便利なツールがあれば、それを利用するのもおすすめ。山ほどあるメールの返事を一括して返してくれるもの、データ入力や計算をすべて行ってくれるもの、全員が一堂に会さなくても離れた場所からビデオ会議ができるものなど、いろいろあります。最近はクラウド化することで利用料金を抑えたツールもありますから、いろいろと探してみましょう。
業務をするひとりひとりの作業がスピードアップすれば、当然ながら業務効率化につながります。しかしミスが多ければ修正にかかる手間が増えてしまいますし、逆に完璧を求めすぎて時間がかかりすぎるのも非効率です。ひとりひとりがミスなく迅速に業務をこなすという意識を持ってもらうことも大事でしょう。
今日から使える業務効率化のためのお役立ちツール
作業を自動でこなしてくれるなど、ツールを使うことで業務効率化に役立つものもあります。中にはAI(人工知能)を搭載して、高度な作業まで肩代わりしてくれるツールも。そこで、これらのツールの中から厳選して、以下のものをご紹介しましょう。
- 名刺管理システム「Eight」
- 請求書作成サービス「Misoca」
- PC操作自動化ツール「SiluliX」
取引先などで名刺を受け取ったら、氏名や会社名、住所などを顧客情報として登録する必要がありますよね。名刺は枚数がたまりやすく、名刺情報を入力するのはかなり手間のかかる作業ですが、名刺管理システム「Eight」を使うと、文字認識技術で紙の名刺の文字情報を読み取り、一瞬でデータ化することができます。名刺をスキャンするだけですから、圧倒的に時間短縮ができるでしょう。
請求書の作成も、手間のかかる業務のひとつ。取引先が多いほど、請求する品目が多いほど、作成にかかる時間が倍増しますよね。「Misoca」は必要項目を入力するだけで、請求書を自動で作成してくれるクラウドサービスです。請求内容の変更がなければ、毎月自動で請求書を作ってくれるという機能もあり、大幅な時間短縮が見込めるでしょう。
メールをチェックする、エクセルのデータ入力など、毎回同じ定型業務にもかかわらず量が膨大なために時間がかかってしまうものもありますよね。「SiluliX」はこのような単純なPC操作を自動化するツール。簡単な定型業務であれば、このツールを使うことで手動入力の手間をなくすことができます。
他にも便利なツールはたくさんあります。無料ないし安価で利用できるものもありますから、積極的に活用して業務効率化に役立ててみましょう。
業務効率化の事例3つ
働き方改革の影響で、日本各地の企業が業務効率化に取り組んでいます。そこで、実際に行われている、以下のような業務効率化の取り組みをご紹介しましょう。
- 無駄な業務を徹底し、残業時間を1割削減
- 独自システムを活用して、顧客対応にかかる時間を大幅短縮
- 昼休憩をなくして、1日の勤務時間を縮小
新規事業を推し進めながらも、残業時間を1割削減したのは、スマホのCMでもおなじみ「UQコミュニケーションズ」。一定の成果基準に達していない業務を廃止して新規事業の準備にあてる、朝方業務を残業とするかわりに20時以降の残業を廃止、会議を30分以内に終わらせるなどの取り組みを段階的に行い、事業拡大に成功しながらも残業時間を抑えることもできました。
「かんぽ生命」は、IBMのWatsonを使った独自システムを構築することで、顧客対応にかかる時間を4分の1まで短縮することに成功しました。AI(人工知能)を搭載したWatsonに保険金支払い業務を学習させ、法律や医療といった高度な知識が必要な業務をWatsonがサポートすることで、知識や経験の浅い職員も顧客対応ができるようになったのです。
また、ZOZO TOWNを運営している「ZOZO」では、昼休憩をなくすことで午前9時から午後3時を勤務時間とすることを目指しています。ZOZOでは、他にもペットなどにも適用される家族時短など、変わった福利厚生が多いのが特徴です。
さて、業務効率化のポイントやアイデア、また業務効率化に便利なツールや、実際の事例などをご紹介してきました。それでは、ここまでお伝えしてきた内容をおさらいしてみましょう。
- 業務効率化で大事なポイントは、「業務効率化を行うべき項目を明確にする」「業務における無駄を洗い出す」「意思統一をする」「人によっては、逆に非効率になる可能性も考える」
- 業務効率化のアイデアとして、「業務のフローチャートとマニュアルを準備する」「適材適所な人員を配置する」「ツールを使って作業を自動化する」「ひとりひとりの意識を変える」
- 業務効率化に役立つツールとして、名刺管理システム「Eight」、請求書作成サービス「Misoca」、PC操作自動化ツール「SiluliX」などがある
- 実際の事例として、UQコミュニケーションズの「無駄な業務を徹底し、残業時間を1割削減」、かんぽ生命の「独自システムを活用して、顧客対応にかかる時間を大幅短縮」、ZOZOの「昼休憩をなくして、1日の勤務時間を縮小」で業務効率化に成功した
働き方改革法案の施行により、業務効率化は多くの会社にとって早急に取り組むべき課題となっています。しかし、会社にとっては残業代の削減になりますし、働く側にとっても労働時間の短縮など、メリットが大きいですよね。
業務における無駄をなくすと同時に、ツールを使って業務を自動化すること、またそれぞれの人の努力によっても業務効率化をすることができます。ぜひ今回紹介した時短術を参考にして、仕事を早く終わらせましょう。