我が国、日本では少子高齢化という大きな問題を抱え、農業においては人材不足という形で大きな影響を受けていますよね。農業における人材不足は少子高齢化の他に後継者がいない、仕事がきついと言った理由も深刻です。
そんな農業において近年注目を浴びているのがAI(人工知能)やロボット技術を活用し省力化・精密化、高品質生産を実現させるスマート農業です。そんなスマート農業の中でも特にドローンの導入は農業界に変革をもたらす新しい農業スタイルでしょう。
そこで今回は、農業界で話題のスマート農家になるためにドローンを活用する方法とそのメリットを解説します。
ドローンなどを使ったスマート農業とは
スマート農業とは農業という仕事の中で最も負担のかかる肉体労働、そして品質面をAI(人工知能)やロボット技術を活用し省力化・精密化、高品質生産を実現させるものです。
そんな技術の発展の中、ドローンを活用したスマート農業に注目が集まり、ドローンを活用することで農薬の散布や画像認識を活用、収穫時期の検査など省略可できます。つまり、今まで人で対応してきた農業の作業が、ロボットやAI(人工知能)でも対応できるようになりました。
そんなスマート農業は日本の農業の課題である高齢化や労働力不足を解決する糸口として農林水産省も力も入れています。スマート農業は今後の日本の農業の後押しとなる新しい農業スタイルだと期待できるでしょう。
ドローンが農業でできること
それでは新しい農業のスタイルを現実にするスマート農業で注目されているドローンで一体何ができるのか、その内容について迫ってみましょう。
農薬散布
農業にとって欠かせない作業の一つである農薬散布は従来、人間がタンクを担いで撒く地上散布と、小型ヘリコプターで空中より撒く空中散布の2つの方法が主流でした。
一方、ドローンは手作業の約40~60倍の速さ(1ヘクタール約10分)で農薬散布ができ、且つ本体費用も100~200万円程度で抑えられます。ドローンを採用することは農薬散布のスピードを手作業よりも早くでき、また大きな初期費用も発生しないので非常に魅力的ですよね。
精密農業
広い農場を見渡すと、一見どこも均一に見えますが、実は収穫できる農作物には実はバラつきがあります。
そこで情報通信技術(ICT)を導入して、土壌の状態、水分量など数値化し、いままで農家の経験や勘に頼っていた部分をデータ化することに成功しました。それを「精密農業」と言います。
そのデータをもってドローンで農場を上空から撮影し、そのデータをAI(人工知能)で分析することで農作物の生育状況を確認することが現実となりました。ドローンがあることで空中から全体を見渡せるので、農場全体の管理が容易となりますよね。
害獣対策
従来より農場では野生害獣による農作物の被害が後を絶ちません。2017年に農林水産省が発表した被害総額は年間約164億円にものぼるのだとか。(内訳はシカが約55億円、イノシシが約48億円)
これまでの害獣対策として音や光を放つ追い払い機やカプサイシンなどが主流でしたが、どれも害獣は慣れてしまうため長期的に見て効果的なものがありませんでした。
そこで害獣対策に名乗りを挙げたのがドローンです。ドローンの害獣対策における役割は2つあります。
1つ目はドローンの存在、飛行音によって動物をその場から追い払う役目。2つ目はドローンに搭載したカメラを使って害獣の監視、生態調査を行い、より効果的な対策を講じることです。
ドローンの導入により害獣からの被害に泣き寝入りする・・・なんてことが少なくなるかもしれません。
ドローンを農業に取り入れるメリットとは
では、ドローンを農業に取り入れることで具体的にどのようなメリットがあるのかを解説しましょう。ドローンができることとして農薬散布、精密農業、害獣対策という3つの仕事を担うことができ、農家の3つの課題を解決することがメリットとして挙げられます。
長時間労働の解消
ドローンによる農薬散布は1ヘクタールあたり約10分で終わらすことができ、人の40~60倍の速さで散布します。またドローンで農場全体を監視できるため、農場の育成状態の管理から害獣対策も手軽にできます。
今まで何時間もかけていた肉体労働が大きく省力できるだけでなく人件費削減にもつながります。将来的な人材不足対策にもなりますよね。
生産量の安定化
ドローンの特徴である精密農業は今まで農家の経験や勘に頼っていた農作物の育成管理をデータによる根拠のある管理に変える画期的な方法です。
ドローンで農場全体を画像検知しAI(人工知能)によるデータ解析を行えば、蓄積された根拠のあるデータで最適な農場管理を導きます。これなら経験の浅い農家でも生産量をしっかり保てるので、安心でしょう。
ドローンのデメリットも知ろう
ドローンのできること、そしてそのメリットは非常に魅力的ですがデメリットについても解説します。
それは高いイニシャルコストが発生することです。農薬散布に役立つ小型ヘリコプターが約1,000万円するのに対し、ドローンは100~200万円程度の費用が発生するとのこと。小型ヘリコプターよりは安いですが、それでもばかにならない費用でしょう。
さらに、ドローンはまだまだ日本の農業に浸透していない技術でもあるので費用対効果の見通しが立てられないのも大きなデメリットの要因と言えます。
ドローンを使うには資格は必要?
ドローンを使用する際に資格などがいるのか気になりますよね。まずドローンにおける免許は存在せず、また資格についても民間による認定資格はあるが、資格をもっていないからと言ってドローンを運転できないわけではないので資格も必要ありません。
しかしながら農薬を散布することができるドローンという観点では気を付けなければならない点があります。農林水産航空協会が推奨する農薬を散布できる性能を持っているドローンを運転するための資格を管理し、この資格がなければ農林水産航空協会が推奨するドローンを使用できませんので注意しましょう。
ドローンが当たり前になる?農業がIT化する未来とは
日本の農業に関わる農作業者や農家は減る一方だと言われています。それは農業がきつい、お金にならないと言った厳しい面や印象がその結果につながっているから。
その反面こんな事実があります。それは「日本の農家一人当たりの生産量は増えている」ということです。
つまり農家は増えていなくても技術の発展により、農作物の生産量が増加しているということがわかります。日本の農業は技術の発展とともに成長するのと同時に、AI(人工知能)や情報技術、ドローンの導入などがさらなる生産量増加に寄与することは間違いありません。
近い将来、人の代わりにドローンが農場を飛びまわっているかもしれません。
さて、今回は農業界で話題のスマート農家になるためにドローンを活用する方法とそのメリットを解説しました
内容を振り返ってみましょう。
- スマート農業とは農業という仕事の中で最も負担のかかる肉体労働、そして品質面をAI(人工知能)やロボット技術を活用し省力化・精密化、高品質生産を実現させるもの
- スマート農業の中でドローンを活用した農業が注目を浴びている
- ドローンが農業でできること「農薬散布」「精密農業」「害獣対策」がある
- ドローンを農業に取り入れるメリット「長時間労働の解消」「生産量の安定化」がある
- ドローンのデメリットとして「100~200万円程度の費用が発生する」「費用対効果の見通しが立てられない」がある
- ドローンを使用するには資格は必要ないが、農林水産航空協会が進める農薬散布用のドローンを使うには資格が必要
- 近い将来、農業界ではドローンが当たり前になる
日本の農業界における高齢化や人材不足は日本の課題と同じく深刻化するでしょう。しかしそんな中、今回紹介したドローンを導入するなどのスマート農業はその問題は打開するための改善策になるに違いありません。
ご紹介したドローンのメリット部分は非常に効果的で人材不足の手助けとなることが大いに期待できます。近い将来、無人の農場でロボットやドローンが作業をしている世の中が来るかもしれませんよね。