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実は身近でも使われているバッチ処理、その概要について解説

実は身近でも使われているバッチ処理、その概要について解説

最近ではインターネットの利用が当たり前になり、その利用で毎日さまざまなデータが増えて溜まっていますよね。例えば、商品の取引で発生する受注・発注のデータは、取引数が多くなれば、それだけ処理が必要なデータも増えます。

それを一つ一つ手作業で処理するのは、企業にとって非効率です。そこで膨大な量のデータ処理に使用しているのがバッチ処理。普段、私たちが使用しているパソコンの機能にもバッチ処理が使われています。

そんなバッチ処理は自動でコンピュータが実行しますが、滞りなく行うためには、その特徴や仕組み、注意すべきことを知っておきましょう。そこで今回は、さまざまなところでデータの処理に使用しているバッチ処理についてお伝えします。

バッチ処理とは

調査のイメージ

バッチ(Bacth)とは日本語で「束ねる」を意味する英単語になります。そして、バッチ処理とは、一定量のデータがたまると自動でまとめて処理する方法です。

歴史をさかのぼるとバッチ処理は、19世紀に初めて登場します。それはアメリカの発明家ハーマン・ホレリスによって作られた、世界初のタビュレーティングマシンに使用されました。

当時のアメリカでは、国勢調査を早く集計するための方法が模索されていました。そこで開発されたのがタビュレーティングマシン。タビュレーティングマシンとは、パンチカードという紙のカードに穴を開けて、データを記録してまとめて処理する機械でした。この機械の登場で大量のデータをまとめて処理できるようになったのが、バッチ処理のはじまりです。

現在のバッチ処理は、大量のデータをまとめて自動処理できるコンピュータシステムになって使われています。大量のデータを管理しなければならない企業などでバッチ処理は、受注や発注のデータ集計などに欠かせない存在です。これは、いうまでもなくその都度データを手作業で処理していくよりも、ある程度までデータを蓄積してまとめて自動処理すると効率が良いからです。

そして現代のデータの処理にはバッチ処理のほかに、対照的なストリーム処理、リアルタイム処理があります。その違いについて、次で解説しましょう。

バッチ処理とストリーム処理、リアルタイム処理の違いとは

ダウンロードのイメージ

大量のデータをまとめて自動処理できるのがバッチ処理。それと対照的なのが次のストリーム処理、リアルタイム処理です。

ストリーム処理

ストリームとは、日本語で「物の流れ」の意味です。そしてストリーム処理とは、ストリームデータの処理を指します。

ストリームデータとは、継続的に増え続けるデータのこと。例えば、SNSなどで絶えず増えていくデータや、ビッグデータを指します。これらのデータはすべて必要な内容ではなく、また増え続けるので保存することが不可能です。

そこでデータを保存せずにリアルタイムで処理するのが、ストリーム処理。ストリーム処理は、インターネット経由でダウンロードされるストリームデータを処理して、保存せずに破棄します。最近だと、Webサービスで音楽や動画をスマートフォンなどの端末で再生するときに使用しているのが、ストリーム処理になります。

リアルタイム処理

リアルタイム処理とは、データの処理が必要になるとすぐに処理を行う方法です。リアルタイムで処理するので、ストリーム処理と同じものとしてとらえられています。

しかし、リアルタイム処理はストリームデータではなく、コンピュータを使用した際に入力されたデータや発生したデータが対象。例えば銀行のATMやネットバンキング、カード決済などの金融業務や列車の座席予約などに用いられています。

ストリーム処理はストリームデータ(増え続けるデータ)、リアルタイム処理はコンピュータの操作で入力したデータ・発生したデータを対象に処理する違いがあります。しかし、どちらもリアルタイムでデータを処理する点では同じです。

そして、2つの相対関係にあるのがバッチ処理になります。では次にバッチ処理の特徴を紹介しましょう。

バッチ処理の特徴

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ここまでにお伝えした内容でバッチ処理の一番の特徴は、大量のデータをまとめて自動で一括処理できること。そして、そのほかのバッチ処理の主な特徴は、次の通りです。

期間・データ量を設定して、定期的に自動処理できる

プログラムの設定で期間を指定して、定期的にデータを自動一括処理できます。例えば、「週に1回」「月に1回」のように、都合の良い期間の設定が可能です。またデータ量の指定もできます。

人為的ミスの心配がない

大量のデータを自動的にプログラムで処理するので、手作業による処理を省けます。そのため、人為的ミスがなくなり業務効率を上げられます。

コンピュータリソースの活用

サーバーなど、ほとんどのコンピュータは持っているコンピュータリソース(性能)を十分に発揮できていません。しかし、バッチ処理では仕事の時間外になる夜間や休日に実行させて、コンピュータリソースを十分にデータ処理に活用できます。

バッチ処理の歴史は古いですが、特徴からはデジタル化でデータ量が増えている現代でも欠かせないデータ処理方法であり、さまざまなデータ処理に使用される理由があります。

では、次にそんなバッチ処理の仕組みについて紹介しましょう。

バッチ処理の仕組み

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バッチ処理は、次の流れに沿って実行する仕組みになっています。

  1. バッチ処理の起動:バッチ処理の起動は、次の2つのいずれかを設定して起動します。</li
    ・トリガー起動・・・一定のデータ量を超えるなどの設定で起動
    ・定時起動・・・設定した日時で起動
  2. 入力:入力は自動でファイルやデータベースから、処理するデータを取得します。取得するデータは、CSVファイル・画像ファイル・ログファイル・Webサービスなど。
  3. 加工:加工では、取得したデータの抽出・削除・加工・集計・マージ(統合)をします。
  4. 出力:最後は処理が完了したデータを出力して、ファイルやデータベースに保存します。

バッチ処理は大量のデータをまとめて自動処理するので、その仕組みに複雑なイメージがあります。しかし、ほとんどは定型の処理順序であり、内容もシンプルです。では、そんなバッチ処理がどこで使われているのか、その例を紹介します。

バッチ処理が行われている例

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バッチ処理はさまざまなデータの処理に使用されています。次の3つは、その中でも主な例になります。

パソコンの起動

パソコンの起動時、アプリケーションの自動実行などにバッチ処理が使用されています。毎回、パソコンを起動した際に、特定のアプリケーション・ファイルが立ち上がっていますよね。それはバッチ処理が実行されているからです。

このバッチ処理は、パソコンで起動させたいアプリケーション・ファイルを指定して設定できます。パソコンを立ち上げてから一つ一つ手動で、アプリケーション・ファイルを起動させる手間が省けるので大変便利です。

在庫管理

在庫管理は、商品などの入出庫数を管理する業務。物流センターや、コンビニなど数多くの商品を扱う場所では、バッチ処理で在庫管理を効率よく行えます。

例えば、棚卸しで商品の仕入数と出荷数の照合を一つ一つ手作業で行うのは大変ですよね。また、人による作業ではカウントを間違えるなどの人為的ミスも発生します。そこで、自動で一括処理するバッチ処理が用いられています。

銀行の夜間バッチ

バッチ処理は、コンピュータのメモリのほとんどを使用するので、日中に行うとほかの業務に支障が出ることがあります。そのため、銀行で行われているのが、バッチ処理を夜間に行う「夜間バッチ」です。例えば、データ量が膨大な給与の振り込みや企業間取引などは夜間バッチで処理されています。

在庫管理や銀行業務などの企業業務だけでなく、例に出したパソコンの起動やコマンド操作のように、意外と身近なところでも使われているのがバッチ処理です。

次はそんな、いろいろなところで使用されているバッチ処理を使うときに、注意が必要な重要ポイントについて紹介します。

バッチ処理を使う時のポイント

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バッチ処理を使用するときに注意しなければならない重要ポイントがあります。それは「バッチ処理の突き抜け」です。バッチ処理の突き抜けとは、予定している時間内でバッチ処理が完了しなかったことをいいます。

一般的にバッチ処理は、銀行のように夜間に行われます。これはバッチ処理がシステムにとって、大きな負担になるからです。

そして、めったにありませんが、夜間バッチが予定時間内に完了しないことがあります。そうなるとバッチ処理が翌日にずれ込み、その日の業務にシステムを利用できない事態になります。そこで、バッチ処理の突き抜けに有効な対策が、次の3つです。

  • 並列処理・・・異なるデータの処理を複数同時に実行する
  • コンピュータの強化・・・コンピュータの処理能力を向上させるため、ハードウェア面で強化、増強する
  • 処理の分割・・・同じデータを分割して処理する

バッチ処理の担当者は3つの対策を必要に応じて施し、常にバッチ処理の突き抜けが起きないように注意を払いましょう。

まとめ

さて今回は、大量のデータを自動でまとめて処理するバッチ処理についてお伝えしました。19世紀に初めて登場したバッチ処理は、現在も大量のデータをまとめて自動処理できるコンピュータシステムになって使われています。

そして、データ処理にはバッチ処理のほかに、対照的なストリーム処理、リアルタイム処理があります。

  • ストリーム処理・・・ストリームデータ(増え続けるデータ)を対象に処理
  • リアルタイム処理・・・コンピュータで入力したデータ・発生したデータを対象に処理

どちらもリアルタイムでデータを処理する点では同じであり、データをまとめて処理するバッチ処理とは対照的です。そんなバッチ処理には、大量のデータをまとめて自動で一括処理できる以外に、次の特徴があります。

  • 期間・データ量を設定して、定期的に自動処理できる
  • 人為的ミスの心配がない
  • コンピュータリソース(コンピュータの性能)を十分に活用できる

そして、バッチ処理はバッチ処理の起動、入力、加工、出力の流れに沿って実行する仕組みになっています。

意外とバッチ処理の仕組みはシンプルな流れですよね。そんなバッチ処理は、パソコンの起動時、在庫管理、銀行の夜間バッチなどさまざまなデータ処理に活用されています。

そして、バッチ処理の使用には、予定している時間内で完了しない「バッチ処理の突き抜け」に注意が必要です。その対策として、次の3つの方法があるので適切に施して「バッチ処理の突き抜け」を防ぎましょう。

  • 異なるデータの処理を複数同時に実行する並列処理
  • ハードウェア面でのコンピュータの強化・増強
  • 同じデータを分割して処理する

デジタル化が進む現代では、さまざまなデータが増え続けています。そのため、これからもバッチ処理は重要なデータの処理方法として、使用され続けるのは間違いありません。そこで紹介した特徴を活かし、安定したデータ処理をするためにも「バッチ処理の突き抜け」に気を配ってバッチ処理を実行しましょう。

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