DX(デジタルトランスフォーメーション)

人×ロボットでDXにつなげる!協働ロボットが活躍した事例まとめ

人×ロボットでDXにつなげる!協働ロボットが活躍した事例まとめ

近年、日本では人の負担を軽くするため、あらゆる産業の現場でロボットは引っ張りだこですよね。でも一般的にロボットと聞くと、自動車工場の製造ラインなどで働く、大きな産業ロボットを思い浮かべる方も多いでしょう。

そんな中、今注目されているのは人と一緒に働く協働ロボットです。協働ロボットとは、人に取って代わるのではなく、あくまで人が足りないところをサポートする小型ロボットのこと。

それに、協働ロボットは人と同じような繊細な作業もできるので、今までになかった新たな分野での活躍も期待されています。そんな、様々な動きに対応できる協働ロボットは、小型・軽量・低価格という特徴から導入する企業も増えています。ですから、この記事で協働ロボットの活用方法を知れば、企業の業務改善に役立つに違いありません。

そういうわけで今回は、協働ロボットはどんな場面で活躍しているのか、実際の事例を紹介しながら詳しく解説します。

協働ロボットとは

人の作業のイメージ

協働ロボットとは、産業ロボットの一種ですが、人と同じスペースを共有しながら、人と一緒に働くロボットのことです。

たとえば、お弁当の製造ラインなどで、人と並んで唐揚げやプチトマトなどのおかずを優しくつかんで、お弁当箱に詰め込むような作業を得意とします。

また、従来の産業ロボットは大型で、事故を防ぐために安全柵の設置やプログラミングなど、稼働までに多くの時間とコストがかかっていました。一方、協働ロボットは小型で軽量、低価格。さらに、丸みを帯びたフォルムで、手や指を挟まないようにすき間を持たせた安全な構造になっており、人とぶつかってもとちゃんと自動で停止します。

このような、安全機能や法規制の緩和により、協働ロボットは安全柵を設置しなくても、人と一緒に働けるようになりました。そして、狭いスペースでも稼働できる協働ロボットは、特に中小企業で多く導入されています。

では、なぜ今、協働ロボットが必要とされるのでしょうか。

その大きな理由は、少子高齢化による人手不足です。特に、日本の製造業ではその傾向が顕著です。しかし、協働ロボットを導入すれば、人と同じ生産ライン・製造ラインに並んで、人と同じ作業を同じペースでこなしてくれます。それに、深夜や休日も休むことなく稼働できるので、生産量が上がっても人を増やす必要がありません。

また、協働ロボットは小型化されているので、作業内容や作業場所を変更するのも簡単です。なので、作業が遅れている部分に移動させれば効率が上がり、ムダな残業を減らせます。これで、「働き方改革」も実現しますよね。

このように、柔軟に対応できる協働ロボットは、企業にとって大きな労働力となります。

では、協働ロボットに向いているのはどんな作業なのか、次で詳しく解説します。

協働ロボットが活躍できる場面

人の作業のイメージ

まず、協働ロボットの特徴を以下となっています。

  • 人と一緒に仕事をする
  • 柵が不要で狭い場所でも設置できる
  • 小型で軽量、低価格
  • 繊細で柔軟な作業ができる

こうしたことから協働ロボットは、大きな生産ラインで働く産業ロボットでは手が届かなかった、狭いスペースでの細かな部分で力を発揮します。また、同じ動作の繰り返しで人が行うと集中力が途切れたり、体力的にキツイ作業も任せられるでしょう。

例を挙げると、食品盛付・箱詰め・整列・ラベル貼り・包装・陳列・品質検査・部品のチェック・部品の組み立て・ピッキング・製品の仕分け・積み込みなど。このような広い分野で協働ロボットはすでに活躍しています。

ではここからは、実際に、協働ロボットが活用されている現場を見ていきましょう。

協働ロボットが活躍した事例:画像処理で最適な重量を計算して焼鳥を完成させる整列ロボット

焼き鳥のイメージ

焼鳥や唐揚げなど惣菜の半製品を取り扱う株式会社コスモジャパンでは、人手で加工する製品が多く手間がかかるため、生産性の向上が課題でした。

特に焼鳥の加工は、製品規格に合わせるために、作業員は規定重量(30~60g)になる肉とネギの組合せを目視で選別して、手作業で串刺し機に並べていました。これは大変な熟練が必要で、作業員の負担も相当なものになるとのこと。

そこで、3次元計測による画像処理と協働ロボットを導入しました。まず、カメラによる画像処理で、コンベアを流れてくる肉片の中から、焼鳥串の規格に合うものを選び、規定重量になるようネギとの組合せを計算します。そして、2台の協働ロボットが、選別された肉とネギをそれぞれ掴んで、順番通りに串刺しトレーに整列させるというもの。細かい作業ですが、焼鳥1本あたり3秒で完成させます。

これにより、作業員は3人から1人に削減され、労働生産性も2.5倍になりました。さらに、協働ロボット導入により、熟練者がいなくても生産量や品質のバラツキがなくなり、安定した生産供給につながっています。

協働ロボットが活躍した事例:種類やパターンの多さを克服して自動化を実現した箱詰め・パレット積入れロボット

食肉のイメージ

食肉加工の製造・販売を行う株式会社ナカガワフーズでは、肉の解体・成型・冷凍・計量・パック詰め・箱詰め・出荷(パレット積み)の全工程を作業員が手作業で行っていました。しかも1ライン30名もの人員を配置していたため、常に人手不足の不安がありました。

なので、特に過酷な労働を自動化するため、製品の段ボール箱詰めと、パレット(荷物を載せる台)への積入れ作業に協働ロボットを導入。ただ、取扱い品種約34種類、箱詰め16パターンという多さにロボットが対応できるかが課題でした。

そこでまず、画像の取得や、ロボットハンドの形状、使用素材の工夫などで箱詰めの課題をクリアし、パレット積みでは、パレタイズロボット(荷積み・荷下ろしロボット)と、ターンテーブル型のパレットチェンジャ(パレット入れ替え)システムを導入することで、狭いスペースでも効率良く作業ができるようになりました。

これにより、当工程で働いていた従業員を8人から2人に削減でき、労働生産性も4.4倍に上がりました。さらに、削減された人員は他の工程に配置転換され、さらなる生産性の向上に貢献しています。また、協働ロボット導入で過酷な作業が軽減すれば、従業員の体力的負担が少なくなり、離職率の減少にもつながりますよね。

協働ロボットが活躍した事例:手作業の繊細な動きを模倣する化粧品製造ロボット

化粧品のイメージ

化粧品を生産するコスメディ製薬では、皮膚の中に、直接ヒアルロン酸等の有効成分を投入する製品を開発しました。これが大ヒットして販売数が劇的に増えましたが、何しろ微細でデリケートな作業。熟練者の養成も厳しく、人の手で生産することが困難になりました。さらに、流れ作業なので、作業員の熟練度が揃わないと、生産が計画通りに進まないことも。

そこで、製造工程のロボット化を検討しましたが、微細な針や粘着製品など、協働ロボットが取扱うには難しい課題がたくさんありました。しかし、ロボットの先端に、繊細なモノでもしっかり掴める装置を取り付けたり(チャック装置)、人が手作業でする動きを模倣させることで、化粧品製造の自動化が実現しました。

そして、協働ロボットの導入で必要な人員も8人から2人に減り、労働生産性も4倍にアップ。それに、根気のいる細かい作業も、協働ロボットなら熟練作業者と同じようにこなすので、品質も安定し生産計画が立てやすくなりました。また、化粧品製造で気になる衛生面でも、製造プロセスに人が関与しないことで無菌化につながっています。

ここまで3つの事例をお伝えしましたが、協働ロボットは、今まで自動化が難しかった少量多品種生産の現場や、繊細で細かな作業にも対応し、生産効率を上げています。

次に、そんな協働ロボットの将来について考えましょう。

協働ロボットの今後

マッサージのイメージ

協働ロボットは、今後もますます需要が伸びると予想されます。ちなみに、2030年の協働ロボット世界出荷台数は、2019年の3.5倍になるのだとか(矢野経済研究所)。

どうして需要が増えるのかと言うと、近年の消費者ニーズの変化に合わせた“変化に強いものづくり”が求められているからです。

確かに、同じ作業を高速でくり返すだけの作業なら、従来の産業ロボットが適しています。でも、需要に合わせて短期間で生産ラインを作り替えたり、少量多品種でレイアウトを頻繁に変更するような場合は、協働ロボットの方が向いています。

そんな中、ロボットの介入が難しいと言われる分野でも、協働ロボットの導入は進みつつあります。

たとえば、“気持ちいい”もみ方をAI(人工知能)に学習させて、人と同じようなマッサージができる協働ロボットも開発中(株式会社リッコー・豊橋技術科学大学等)。ロボットが、もむ強さを加減するなんて驚きですよね。将来は、高齢者・スポーツ施設などでの活躍が見込まれています。さらに世界では、ケーブル保守や靴工房など、人でしかできないような繊細な仕事でも協働ロボットはこなしつつあります。

将来はさらに、飲食店や美容院、病院など、多種多様な分野で協働ロボットは人と一緒に働き、人手不足の解消に一役買うに違いありません。

まとめ
さて今回は、協働ロボットが活躍している実際の事例をご紹介しました。もう一度、内容を振り返ってみましょう。

協働ロボットとは、産業ロボットの一種で、人と同じ空間で、人と一緒に働くロボットのことです。特に、少子高齢化による人手不足解消のために、中小企業などで多く導入されています。

また協働ロボットには、「人と一緒に仕事をする」「柵が不要で狭い場所でも設置できる」「小型で軽量、低価格」「繊細で柔軟な作業ができる」という特徴があるので、大型の産業ロボットでは手が届かなかった、狭いスペースでの細かな部分で特に力を発揮します。

そして、協働ロボットが活躍した事例として以下の3つをご紹介しました。

  • 画像処理で最適な重量を計算して焼鳥を完成させる整列ロボット
  • 種類やパターンの多さを克服して自動化を実現した箱詰め・パレット積入れロボット
  • 手作業の繊細な動きを模倣する化粧品製造ロボット

いずれの事例でも、協働ロボットは人と同じような細かい作業をこなし、新たな労働力となって生産性の向上に役立っています。

需要に合わせて柔軟な対応ができる協働ロボットは、産業ロボットでは使いにくい部分で、今後も活躍すると予想されます。また近い将来には、「めんどうな作業は協働ロボットに代わってもらう」のが当たり前になるかもしれません。いずれにせよ、協働ロボットがどこまで進化するのか、ますます目が離せません。

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