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データマートって何?データウェアハウスとの違いを交えて説明

データマートって何?データウェアハウスとの違いを交えて説明

近年、企業経営や行政施策においてデータ活用の重要性は増す一方ですよね。デジタル庁も新設されますますデータが大きく物を言う時代にあって、専門職以外でもデータ活用の知識や方法は、決して無視できない重要なテーマといえます。

そしてこのデータ活用の際に不可欠ともいえる存在が、データマートです。データマートとは、ある目的のためにビッグデータの中から必要なデータを抽出して利用しやすい形に格納したデータベースのことですが、専門性の高い一部の職種を除いては、あまり聞き慣れないという人も多いでしょう。

この記事を読めばデータマートの意味、データウェアハウスとの違いや関係性、また、データマートの使い方や注意点がはっきりと理解することができるに違いありません。

そこで今回は、「データマートとは何か?」「データウェアハウスとの違いは?」について詳しく掘り下げ、データマートについて分かりやすくお伝えします。

データマートとは

小売店のイメージ
データマートとは、データベースの一種で、ある特定の目的と合致した部分をデータウェアハウスなどのソースから抽出したものを意味します。マートは大手コンビニの名前の一部にも使われていますが、「小売店(mart)」のことです。つまりデータマートは、具体的には膨大なビッグデータの中からある要素に特化した一部のデータ情報を小口に取り出して、商品開発や集客などの戦略的意思決定に活用します。

データマートは、限られたデータソースから抽出するため、基本的に100GB未満というコンパクトな情報量で、即座の集計や細かな分析に役立ちます。例えば「渋谷駅周辺で行ったアンケートで「タピオカドリンクが好き」と答えた女性の年代別の割合を調べる、といったときに使用でき、新商品を売り込むターゲットを具体的に絞り込むさいの一助となります。

またデータマートは数週間~数カ月という短期間で構築できるのも大きな特長の一つです。データマートの使われるデータは、営業や財務、マーケティングなど、1つの機能領域に対象を絞っているので、その構築や管理は、会社全体ではなく組織内の1部門で行われるので、管理の手間が少ないこともメリットです。

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データマートとは?意味やデータウェアハウスとの違いをわかりやすく解説 | お多福ラボ
近年、データの活用に多くの企業が取り組むようになり、日本では「データマート」と呼ばれる情報の表示や分析を行っている企業がとても多くなりました。しかしそもそも「データマート」って何なのでしょう?そこで今回はデータマートの意味やデータウェアハウスとの違いについてお伝えします。

データウェアハウスとは

倉庫のイメージ
ウェアハウスとは、英語で倉庫を意味します。これが転じて、データウェアハウスとは、生産や販売、在庫といった基幹系システムや外部のパートナーシステムなどの複数のシステムから必要に応じて収集したビッグデータを意味します。

データウェアハウスでは、単にビッグデータが手つかずのまま存在するのではなく、目的別に再構成処理がなされたデータを時系列に格納し、ユーザーがアクセスして意思決定に活用しやすい状態で蓄積されているのが特徴です。情報量が多いため、具体的には100GB以上、多いものは数TBに及ぶことも珍しくありません。限られた部門でなく会社全体で意思決定に活用するインフラといえ、構築するのに数カ月から数年を要すこともあります。

そのため目的も複数に及び、特定のシステムに使われるものではないという点で、データマートとはスケールも存在意義も異なるといえるでしょう。

データマートとデータウェアハウスとは

データのイメージ
データウェアハウスには、多くのデータセットが含まれており、その一つずつのセグメントがデータマートになります。つまり、データウェアハウスは、大きな総合図書館で、データマートはその中の経済書の収められている棚と考えると分かりやすいでしょう。その他の歴史書や文学、美術といったコーナーもそれぞれが独立したデータマートになります。

ただし、別々のものの様に見えて複数のデータマートで情報は重複します。それは、経済書に歴史の内容が書かれていて、歴史書にも経済の内容が記載されていることに似ているかもしれません。

したがって、データマートはデータウェアハウスよりサイズも複雑性も小さく、構築や運用が簡単で、分析や更新が短時間で済むためコストも安く抑えられます。また、クエリのレスポンスもデータマートの方が圧倒的に早いという特長も持ちます。データマートはあくまで部門レベルでの戦術の意思決定に使用されるもので、データウェアハウスは、会社全体の広範囲な戦略の意思決定を助けるために存在しています。

データマートは、こんな場合におすすめ

医療のイメージ
データマートは、特定の目的にそったデータをピンポイントに絞って入手したい時におすすめです。

例えば、医療情報専門サイトを展開するエムスリー(東京都港区赤坂1丁目11-44)は、国内医師の9割(29万人)が登録する「m3.com」により膨大なデータを活用して2020年の約1年で時価総額が3倍に増えた注目のプラットフォーマーです。

m3.comでは、医師がどの様な判断基準で医薬品を選ぶのかを利用履歴からデータ化して製薬会社に提供することで営業支援をしています。一つの薬を創薬するのに約1,000億円のコストがかかるといわれますが、せっかく新薬をリリースできても患者との直接の接点となる医師が使用を決断しなければ売り上げにつながりません。そこで医師が薬を処方する判断基準に焦点を当てて、「副作用」「患者の病歴や体質」「薬価」などのファクターをデータマートにして分離、構築できれば、薬の売り込み方を工夫できるだけでなく、創薬にも活かせる可能性があり、それを実現させるために、データマートを使用したサービスができました。

つまり、データマートを使えば想定の内外を問わず、短時間のうちに様々な事実が浮き彫りとなるため、特定の部門レベルで現状分析をして戦術を練るにはうってつけでしょう。

データマートを使うときの注意点

サーバーのイメージ
データマートを使う際には、容量不足とコスト管理、セキュリティ対策に注意を払う必要があります。データマートは、単独で使う場合の容量は大したことありませんが、複数を運用するとなると情報量が膨大になります。するとキャパシティプランニングが困難になり、容量不足となって利用できなくなるケースがあります。そのため要領を追加できるシステム作りが必要です。

また、そのデータ量によってはコストが膨大になり予算オーバーを起こしかねないため、早めにクラウドを利用する体制に切り替えるのもおすすめです。とくにGoogleやAmazonなどのプラットフォーマーのクラウドならコストが大幅に削減でき、バックアップやハードウェアのメンテナンスなども行われるので、管理が容易になります。

そしてデータマートとして構築されたデータセットは大切な機密情報ですから、セキュリティ対策も不可欠です。ハッキングや情報漏洩されないための社内ルールとシステムの構築にも注力しましょう。

まとめ
さて、今回は「データマートとは何か?」「データウエアハウスとの違いは?」について掘り下げ、データマートについて詳しくお伝えしました。

データマートとは、ある特定の目的と合致した部分をデータウェアハウスなどのソースから抽出したデータベースのことです。情報量が比較的コンパクトで即効性があり、細かな分析に力を発揮します。全社的に使うのではなく、あくまで一つの部門の管理下で戦術を練るために活用するのが最適です。

一方データウェアハウスは、複数のシステムから収集した膨大なビッグデータで、全社的な意思決定を支援する企業のインフラ的な存在です。つまりデータマートを構築するためにデータウェアハウスは不可欠な存在で、クオリティの高いデータウェアハウスがあればそれに応じて優れたデータマートを構築することが可能となります。

データマートがおすすめできるケースは、営業や財務、マーケティングといった特定の部門において新たな戦術を練る局面でスポット的に有効なデータが必要なときです。データマートはクエリへのレスポンスが早くて小回りが利くので、短時間で意思決定をしなければならない時に役立ちます。

ただし、データマートを使う際は、その数が増えてゆくにしたがってキャパシティプランニングが困難となるため、容量の追加方法を先回りして検討しておきましょう。またコスト削減のためにもクラウドの利用がおすすめです。さらにデータマートは機密情報の宝庫でもありますから、ハッキングや情報漏洩対策にもしっかりと注力することが望まれます。

データは活用の仕方によっては宝の山の様な存在です。同じシチュエーションからでも適切な切り口でデータを活かせば思わぬ鉱脈を掘り当てることも可能ですし、会社の売り上げや市場価値、そして自分の社内での評価を格段に押し上げることも夢ではありません。そのためにデータマートへの理解を深め、実際に使いこなせるように今からでも準備を始めましょう。

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