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ディープラーニング関連セミナーの受講前に知っておくべき知識とは

セミナーの様子

最近、様々な分野でディープラーニングの技術が使われており、皆さんもディープラーニングという言葉をよく耳にしますよね。

そんなディープラーニングについて興味があって勉強してみたい時、セミナーに行ってみようと考えますが、知識もないのにディープラーニングのセミナーに参加して、セミナーの内容が理解できるのだろうかと不安になるでしょう。また、自分で勉強しようとしてもディープラーニング関連の情報は多く、セミナー受講前にどのような知識を知っているとよいのかわからないこともあります。例えばディープラーニングの仕組みや歴史などは、セミナーを受ける前に知っておけば理解が早くなるかもしれません。

そこで、今回はディープラーニング関連のセミナーを受講する前に知っておくとよい知識について簡単にまとめたものをお伝えします。

ディープラーニングとは神経細胞のネットワークを真似た技術のこと

知的なイメージまず、ディープラーニングとは、直訳すると深層学習と呼ばれるもので、簡単に言いますと人間が自然に行っているタスクをコンピューターに学習させることです。ディープラーニングは、人工知能(AI)の急速な発展を支える機械学習の一技術でもあり、株価の予想や自動運転など様々な分野への実用化が進んでいます。

※「機械学習」とは、現在のAI(人工知能)の中心をなす技術であり、プログラム自身が学習していく仕組みです。「機械学習」については以下のページで説明しています

ディープラーニングの技術は、人間の脳の神経細胞(ニューロン)の仕組みを模したシステムであるニューラルネットワーク(NNと省略することもあります)がベースとなっています。ニューラルネットワークの中でも広く利用されているのがディープニューラルネットワーク(DNN)で、ニューロンの仕組みを模したニューラルネットワークを多層に重ねたものでして、大量のデータに含まれる特徴を段階的により深く学習することが可能となりました。これにより、画像認識やSiriのような音声認識、機械翻訳などの自然言語処理、機械などの異常検知などが従来よりも高い精度で実現可能となっています。

ディープラーニングが注目されるのは認識精度が高いから

ポジティブなイメージ今、ディープラーニング関連のセミナーを開かれるなどして特に注目されている理由は、ディープラーニングの認識精度が高くなったためです。精度が高くなるということは、私たち人類が描いていた夢が実現する可能性が高くなっているということでしょう。

例えば、SF映画に出てくるような人とほぼ変わらないようなアンドロイドや自動で目的地まで連れて行ってくれる車などの夢が実現するかもしれないということなのです。夢が実現するのは、とても素敵なことですよね。さらに画像認識においては、がんの画像診断に用いられる技術が開発され、人間の経験による認識能力を超える認識精度を持つようにもなりました。

なぜ、ここまでディープラーニングの認識精度が高くなったのかというと、それには2つの理由があります

  • 1つ目は、大規模なデータを入手することが可能となったからです。ディープラーニングには、大量のデータが必要なのですが、今までは大量のデータを入手することが容易ではありませんでした。そのため、少ないデータで学習していたので認識精度が低かったのです。
  • 2つ目は、コンピューターの処理能力が高度化したからです。高性能な画像処理に特化した演算装置ないしはプロセッサであるGPUが開発されたことで、クラウドやクラスターと組み合わせて、これまでは数週間を要したネットワークの学習時間を、数時間以下まで短縮することができました。

わかりやすく煮物の作り方で例えてみると、昔はかまどで火を起こして長い時間かけて炊いていましたが、現在は圧力鍋という便利アイテムで10分煮ると出来上がるようになりましたよね。煮物がネットワークの学習とすると、コンピューターの中に使われている装置が昔のものはかまどで現在のものが圧力鍋というように進化したため、煮物=学習が短時間で済むようになったということです。

学習時間が短縮されるとどうなるかというと、より多く学習することが可能となり、認識精度を高めることができるようになるのです。かまどから圧力鍋のように、様々な技術がともに進歩したために、人類の夢を叶えることができるかもしれないディープラーニングの技術が向上したのは素晴らしいことですよね。

ディープラーニングの歴史

歴史のイメージでは、ディープラーニングの技術はどのようして誕生したのでしょうか。ディープラーニングのセミナーなどで紹介されないこともありますが、知っていて損はないでしょう。まずディープラーニングという言葉が使われだしたのは、2000年代後半ですが、この技術の原型となるニューラルネットワークの発端は実は今から50年以上も昔となります。

1943年、外科医で神経科学者であるマカロックと数学者のピッツが共同して、ニューラルネットワークの原型であるマカロック・ピッツモデルを発表しました。このモデルは、脳が神経細胞のネットワークによって成り立っていることから、これを模倣することで高度な情報処理ができるのではないかと考えて考案されたもので、「形式ニューロン」とも呼ばれています。

この「形式ニューロン」をたくさんつなげて多層にすれば、様々な関係を再現できるのではないかと考えたのが、心理学者のローゼンブラットです。彼はこの考えをパーセプトロンと名付けて1958年に発表しました。

その後も、ニューラルネットワークの研究は続き、2006年にヒントンという人が深い層をもつニューラルネットワークの構造をベースとした技術、ディープラーニングを提唱したのです。マカロックやピッツを始め多くの研究者の方の努力が実を結び、今のディープラーニングの基礎が作り出され、そして私たちの生活を支えてくれていると思うと感謝の気持ちでいっぱいになりますよね。

ディープラーニングの仕組みと3つのニューラルネットワークの得意なこと

3のイメージディープラーニングの仕組みを簡単に説明すると、大規模なラベル付けされたデータをニューラルネットワークの構造を介して、コンピューターが自動的にデータの特徴などの学習を行うというものです。ディープラーニングの「ディープ」という表現は、通常ニューラルネットワークの隠れ層のことを指し、従来のニューラルネットワークの隠れ層は2~3程度でしたが、現在は150もの隠れ層を持つこともあるそうです。

また、ディープラーニングには大まかに3つのアルゴリズムを使用したものがありますので、ここで簡単に説明しましょう。ディープラーニング関連のセミナーで一番難しいところかもしれないですね。

  1. ディープニューラルネットワーク(DNN):ニューラルネットワークというパターンを認識するように設計された、人間や動物の脳神経回路をモデルとしたアルゴリズムを多層構造化したものです。
  2. 畳み込みニューラルネットワーク(CNN):顔認識システムなどによく使われています。多層構造な上に畳み込み層とプーリング層と呼ばれる2つの隠れた層を持ったもので、調べる画像の特徴を畳み込み層にて抽出し、抽出した特徴のデータをプーリング層で扱いやすくするために解像度を下げます、そして最後の層で画像の認識を行うといったものです。
    サスペンスドラマなどで、監視カメラの犯人の画像を取り込んで大量のデータから一致する人がいないかしているのを見たことがありますよね。それをしているのが畳み込みニューラルネットワークなんですよ。
  3. 再起型ニューラルネットワーク(RNN):音声や動画データのような可変長のデータを扱える構造をもたせた双方向に信号が伝播するニューラルネットワークを利用したアルゴリズム。これは、音声認識や動画認識、自然言語処理などに使われています。
    文章やメール作成画面などに使われている言葉の予測機能です。入力した言葉がいつもだとすると、予測でありがとうございますやお世話になりますなどが出るとします。これらは使用者がいつもの後に「ありがとう」か「お世話になります」という言葉をよく使っているとコンピューターが学習するために予測の言葉としてこれらが現れるようになっているんですね。

このようにそれぞれのディープラーニングのアルゴリズムによって得意なことが違うので、ビジネスなどに利用する際は、どれが適切なのかを十分に検討することが大切でしょう。

まとめ

さて、今回はディープラーニング関連のセミナーを受講する前に知っておくとよい知識についてお伝えしました。

  • ディープラーニングとは、人間が自然に行っているタスクを、大規模なデータとニューラルネットワークを用いてコンピューターに学習させて実現しようとする技術のことです。この技術の発展によって私たちの暮らしはさらに豊かとなっていくでしょう。
  • ディープラーニングが現在注目されているのは、その認識精度が高くなったからで、認識精度が高まることで今までは夢のように思われていた人間のようなアンドロイドなどが実現するかもしれません。また、技術の始まりは今から50年以上も昔で、多くの科学者の方の努力が実を結び今のディープラーニングの技術が作り出されました。

ディープラーニングのセミナーなどでも難しいと感じやすいのが、ニューラルネットワークの種類のところですよね。

  • ディープラーニングが用いるニューラルネットワークには3つの種類があり、ディープニューラルネットワークは人間などの脳神経回路を模して作られたもので、畳み込みニューラルネットワークは画像認識を得意としているもの、再起型ニューラルネットワークは動画認識や文章の予測などの自然言語処理を得意としているものとなり、それぞれに得意分野があるため、使用の際にはどれが適するのか考える必要があるでしょう。

ディープラーニングの技術は、私たち人類が思い描いていた夢を叶えるための技術の1つといえます。勉強熱心な皆さんが、今回お伝えした知識を持ってディープラーニングのセミナーに参加することで、セミナー内容をより理解するお手伝いとなったならば幸いです。

<参考>
・第11回 ディープラーニングとニューラルネットワークの歴史
・ディープラーニング これだけは知っておきたい3つのこと

・ディープラーニングとは?【入門編】

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