AI(人工知能)について勉強していると、ときどきTensorFlowという用語を見聞きすることがありますよね。TensorFlowは現在のAI(人工知能)開発において重要な存在です。
TensorFlowはECサイトでおすすめ商品を表示する機能を開発したり、スマートフォンのカメラで顔検出したりするような画像認識機能を開発したり、声で人を識別するような音声認識機能の開発にも使われています。
このように意外と身近なところで活躍しているTensorFlowですが、見聞きしたことがあっても、知らないこともいっぱいありますよね。実際に使うかは別として、エンジニアはもちろんのこと、非エンジニアでも概要程度は知っておいて損はありません。ぜひ、TensorFlowの使い方はどんなものであるのか、なにができるのか、押さえておきましょう。
そこで今回は、TensorFlowの使い方についてAI(人工知能)初心者向けにわかりやすく解説します。まずは、そもそもTensorFlowって何?から始めます。
TensorFlowって何
TensorFlowとは現代のAI(人工知能)技術を支える機械学習やディープラーニングの開発のためのライブラリの一種です。ライブラリとは、プログラミングで開発をするうえで役立つプログラムを集めたものであり、つまりTensorFlowの使い方は機械学習やディープラーニングの開発をしやすくするというもの。数あるライブラリのなかでもTensorFlowは有名で、TensorFlowがなければAI(人工知能)がここまで発展できなかったといっても過言ではありません。
TensorFlowはDistBelifの第二世代という位置づけで、その性能はDistBelifのなんと2倍もあるのだとか。使いやすくさまざまな業務に活用できるように開発され、現在Google社でも使われています。
ここまでTensorFlowの概要について解説しましたが、次に気になるのはTensorFlowの特徴ですよね。続いて、TensorFlow特徴について使い方の側面から解説します。
TensorFlowの特徴とは
TensorFlowの使い方の観点での大きな特徴のひとつに、オープンソースのソフトウェアライブラリであることがあげられます。オープンソースとはソースコードを無償で公開して誰でも無料で自由にカスタマイズしたり、再配布できるようにしたりしたものを指します。つまりオープンソースの仕組みで、TensorFlowはさまざまな使い方が可能になりました。
またTensorFlow自体の特徴ではありませんが、ユーザ数の多さも優れた点です。なぜならユーザの多さは、すなわち情報の多さへとつながり、新しく加えたり、修正したりしたいときに、一から構築せずともWebサイト上に載っているからです。不具合や、なにか解決できない問題に直面したときにも情報収集しやすく、トラブルシューティングにも困りませんよね。
このような特徴を持つTensorFlowをぜひとも使ってみたい人もいるでしょう。そのため、まずはTensorFlowの使い方に移る前に、必要となる知識を確認しましょう。
TensorFlowを使うために必要な知識
ひとつは、AI(人工知能)や機械学習、ディープラーニングの知識です。これはTensorFlowだけではなく、他の機械学習やディープラーニングのライブラリにも当てはまることで、AI(人工知能)や機械学習、ディープラーニングを使ってなにをしたいのか、なにができるのか、知っておかなければAI(人工知能)開発はできません。そして、したいことや、できることをはっきりさせたうえで、それを達成するために、機械学習やディープラーニングの仕組みや数学の知識をつけましょう。
もうひとつは、プログラミングの知識です。プログラミングの知識と一口にいっても、ここで必要となるのは、TensorFlowを扱えるプログラミング言語の知識と、機械学習やディープラーニングに関するプログラミングの知識のことを指します。
TensorFlowを利用する際に使われるプログラミング言語はC言語、C++、Python、Java、Goと多彩です。この中でもとくにおすすめしたいのがPythonで、AI(人工知能)開発で使われる頻度が高く、特別な理由がないのならばPythonを選択した方が良いでしょう。選択した言語に合わせ、機械学習やディープラーニングの勉強をして、TensorFlowを使えるようにします。
TensorFlowの使い方を解説するにあたって、まずはどのような環境で動かすことができるのか確認したいところ。続いてTensorFlowを動かすために必要な環境について解説します。
TensorFlowを使うための環境
TensorFlowのメーカーはGoogle Brainで、使用は無料です。ダウンロードはソフトウェア開発のプラットフォームであるGitHubを通しておこないます。
TensorFlowが対応しているOSはWindowsやMacOS、Ubuntu/Linuxで、いずれも64bitです。また、「TENSORFLOW for Mobile」や「TENSORFLOW Lite」といったものも存在し、AndroidやiOS、Raspberry Piなどのモバイル端末でも利用は可能です。動作が遅いが負荷の少ないCPU版と動作の速いGPU版が存在します。
このような環境が用意できたら、実際にTensorFlowの使い方に移ります。ここで紹介するのはTensorFlowの使い方のうちでも基本的なものです。
TensorFlowの使い方の基本
TensorFlowの使い方ですが、まずはデバイスにプログラミングができる環境を整えます。最低限しておきたいことは2つで、統合開発環境を整えること、TensorFlowをインストールすることです。ここではAI(人工知能)開発の分野でよく使われているPythonでのTensorFlowの使い方を例に流れを簡単に解説しましょう。
まずは統合開発環境の整備です。Pythonに限らず多くのプログラミング言語はそれ単体でも使うことができますが、より便利にかつストレスを少なく開発していくならば、開発支援をしてくれる統合開発環境を整えることは必須でしょう。統合開発環境にはさまざまなものがありますが、PythonでTensorFlowを使う場合、Anacondaがオススメです。
次にTensorFlowのインストールです。先ほども解説したようにGitHub経由でインストールするのが一般的な手順です。ただし、Anacondaではセット内に含まれているAnaconda Navigatorからインストールできるように、統合開発環境によってはTensorFlowをインストールする準備が整っているので確認してください。
実際のTensorFlowの使い方ですが、まずは“Hello World”を表示してみましょう。“Hello World”とは、プログラミングにおいて基本のキ、動作確認です。では、次のコードを入力し、実行してみてください(https://agency-star.co.jp/column/tensorflow/より引用)。
>>> import tensorflow as tf
>>> hello = tf.constant(‘Hello, World”‘)
>>> sess = tf.Session()
>>> print(sess.run(hello))
表示されたら成功で、TensorFlowの基本の使い方はここまでです。ちなみにTensorFlowの記述は少々独特で、TensorFlowの使い方を習得するには慣れが必要となります。
最後に、さらにTensorFlowの使い方を学んでいくための手引きを紹介しましょう。
TensorFlowについてもっと学ぶには
TensorFlowの使い方について学ぶ方法はいくつかありますが、主なものは書籍、Web学習サービス、勉強会・セミナーの3つです。ここではこの3つについて初心者におすすめのものをそれぞれ紹介します。
書籍
TensorFlowについて学べる書籍は以下のものがあります。
現場で使える! TensorFlow開発入門 Kerasによる深層学習モデル構築手法 (翔泳社)
TensorFlowに加えてディープラーニング(深層学習)の開発向けのライブラリであるKerasを用いて、ディープラーニングのモデルを構築するという書籍で、「手軽に試せるTensorFlow本」というのがコンセプトです。応用編ではノイズ除去、超解像、画風変換、自動着色、画像生成という画像処理に関するモデルが紹介されており、幅広くTensorFlowの使い方を学ぶのに適した一冊でしょう。
TensorFlowで学ぶディープラーニング入門 ~畳み込みニューラルネットワーク徹底解説~(マイナビ出版)
TensorFlowの使い方がまだまだ慣れていなかったり、機械学習やデータ分析を専門としていなかったりする人向けのTensorFlow本になっています。TensorFlowを用いて、ニューラルネットワークの中でも頻繁に使われている畳み込みニューラルネットワークをわかりやすく解説しているTensorFlow本です。
Web学習サービス
次にTensorFlowについてまなべるWebサービスについて紹介します。
【4日で体験!】 TensorFlow, Keras, Python 3 で学ぶディープラーニング体験講座(Udemy)
「【4日で体験!】 TensorFlow, Keras, Python 3 で学ぶディープラーニング体験講座」では4日間という短期間でディープラーニングの基礎や画像認識でのTensorFlowの使い方を学ぶことができる初心者向けのサービスです。Udemyでは他にもTensorFlowのコースが豊富に用意され、目的や知識・技術レベルに合わせて好きなコースを選択して受講できます。
Deep Learning:Taking machine learning to the next level(Google、UDACITY)
「Deep Learning:Taking machine learning to the next level」は前述のUdemyのコースほどではありませんが、約3か月でディープラーニングなどを通してTensorFlowの使い方を無料で学ぶことができます。英語のサービスとなりますが、プログラミングの世界では英語のスキルを必要とする場面がたびたびあるので、これを機会に英語を学ぶのもありでしょう。
勉強会・セミナー
さらにTensorFlowについてまなびたいときには勉強会がおすすめです。ここではおすすめのものについて紹介しましょう。
TECH PLAY
「TECH PLAY」はITの勉強会・セミナーを紹介しているWebサイトです。検索欄の「キーワード」や「タグ」に「TensorFlow」と入力すれば、TensorFlowの使い方に関するさまざまな勉強会・セミナーがヒットします。自分に合ったものを選び、受講しましょう。
さて、今回はTensorFlowの使い方についてAI(人工知能)初心者でもわかりやすく解説しました。TensorFlowとは、Google社が提供する機械学習やディープラーニングの開発のためのライブラリの一種です。その特徴は主に次の3つです。
- オープンソースのソフトウェアである
- データフローグラフの採用している
- ユーザ数が多いので、情報が多い
TensorFlowでAI(人工知能)開発をするには、まずなによりもAI(人工知能)を支える技術であるディープラーニングやプログラミングの知識が欠かせません。
TensorFlowを使う上でWindowsやMacOS、Ubuntu/Linux(いずれも64bit)、AndroidやiOS、Raspberry PiなどOSを準備し、可能であれば使うなら高い性能のGPUを用意しましょう。
Pythonを使う場合、Anacondaで統合開発環境を整え、“Hello World”を出すことがTensorFlowの第一歩です。その後は
- 「現場で使える! TensorFlow開発入門 Kerasによる深層学習モデル構築手法」「TensorFlowで学ぶディープラーニング入門 ~畳み込みニューラルネットワーク徹底解説~」などの書籍
- 「【4日で体験!】 TensorFlow, Keras, Python 3 で学ぶディープラーニング体験講座(Udemy)」「Deep Learning:Taking machine learning to the next level(Google、UDACITY)」などのWeb
- TECH PLAY:さまざまなITの勉強会・セミナーを紹介しているWebサイト
などの教材で学ぶのがおすすめです。
TensorFlowは今後も間違いなく必要とされ、その使い方を学ぶことでAI(人工知能)業界で強いスキルとなります。習うより慣れろ、まずはTensorFlowに触れてみましょう!
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