スマートフォンやスマートスピーカーの普及により、AI(人工知能)ってわたしたちの生活にも目に見えるところで関わるようになってきましたよね。「AI(人工知能)ってなんだっけ?」と聞かれて、「あぁ、スマートスピーカーに使われているやつね」と思いつく人も多いはずです。
でも、多くの人は日々の生活に使っているだけで、AI(人工知能)の仕組みなんてあまり考えません。実際に「AI(人工知能)はどんな仕組みなの?」って聞かれても、なかなかうまく答えられる人は少ないものです。
このようにAI(人工知能)という分野は、言葉だけで説明しようとするとすこしとっつきにくいところがありますが、そんなとき動画で解説してくれるものがあるとわかりやすいでしょう。いろいろな解説動画が公開されていますが、中でもオススメは、マイクロソフトが公開しているThe animated guide to artificial intelligence (Explanimators: Episode 1)」です。
この動画は「AI(人工知能)の仕組み」や「人々の生活にどのような影響を与えるのか」について、たった3分でアニメーションを用いてわかりやすく解説してくれています。
そこで今回はこの動画を使って、みなさんの疑問である「AI(人工知能)の仕組み」について誰でも簡単にわかるようにご紹介しましょう。
AI(人工知能)ができることは人間のサポート
この動画の序盤、登場人物の男性の「毎日やらないといけないことが多いなか、一体どうしたらわたしは輝けるかな?」という問いに対し、マイクロソフトの音声アシスタントAI(人工知能)であるコルタナが「人工知能がお手伝いできますよ。重要な事に集中できるようにアラームや通知を管理したりね」と答えています。
コルタナはAI(人工知能)は人間のサポートのため、もしくは人間にはできないことを可能にするためにうまれました。でも、サポートって実際どんなことを指しているの?という方にいくつか例をあげましょう。
- 人間が話した内容をコンピュータが理解して対応する
- 大量のデータの中から役立つと思われる情報を選び出す
- 画像に写っているものが何なのかを理解して類似のものを表示する
- 何パターンも試行錯誤をして、とるべき最善の行動を決定する
- 異常なものと正常なものを判断し、異常なものだけを取り除く
以上はすべて、今まで人間が多くの時間をさいてきた仕事です。それらの仕事を人間の代わりにAI(人工知能)が、瞬時に行ってくれるんです!
あらゆるもののデータ化と、コンピュータの進化によってAI(人工知能)が誕生
ところでなぜ今、AI(人工知能)がこのように使われるようになったのか?という疑問も皆さんはお持ちですよね。その答えのひとつとして、コルタナは「写真や健康に関するあらゆる情報がデジタル化され、データが飛躍的に増えたこと」をあげています。
かつて写真は撮りたいものをフィルムに写し、それを現像して作られていました。今ではデジタルデータとしてメモリーカードや、ネットワーク上に保存されています。そして、病院に行ったときに作られるカルテも同じです。かつては紙に、症状やおこなった治療、処方した薬などの情報が記載されていました。今ではそれもコンピュータのネットワーク上にデジタルデータとして保存されています。
このように、人間に関わるたくさんの情報がデジタル化されデータとして大量に保存され、それをAI(人工知能)が利用できるようになったのです。
また、もうひとつの答えとして、コルタナは「進化した機械学習アルゴリズムでその膨大なデータの処理が可能になったこと」をあげています。
機械学習アルゴリズムといっても難しくて何なのかわかりませんよね。簡単にいうと、人間の学習能力をコンピュータがまねる方法です。その方法が数々の研究者の研究によって進化してきました。その進化によって、膨大なデータの処理が可能となったのです。
機械学習はAI(人工知能)の仕組みに欠かせないキーワード
さて、その機械学習(人間の学習能力をコンピュータがまねること)が、AI(人工知能)の仕組みを説明する上で欠かせないキーワードです。どうやって機械学習が行われているのか、動画の「AI(人工知能)の猫の認識の仕方」の例を用いてもうすこし詳しく説明していきます。
その一方、機械学習はルールは必要ありません。まずは、いくつもの「猫」のタグがついた画像をコンピュータに見せます。するとコンピュータは、猫ってこういう形をしていて、こういう色をしていて、このくらいの大きさで…、というようなパターンを理解して記憶していくのです。そうすることで、タグのない画像も猫と判断できるようになるんです!
かつてのルールベースだと、あらかじめ入力されたルールにないものが出てきたときに、コンピュータは対処することができません。しかし、機械学習では人間と同じように過去の傾向から考えて「これって猫かもしれない」と予測をすることができました。この学習モデルは、医療記録や画像、文章、音声、農作物のデータまで、何にでも応用ができる、と動画の中でも語られています。
さらに、AI(人工知能)は機械学習の中でもより高度な、ディープラーニング、ニューラルネットワークというものの力で、見聞きしたものを認識して推理することができます。
AI(人工知能)が進化したのは「ディープラーニング」と「ニューラルネットワーク」のおかげ
さらに、AI(人工知能)の仕組みに欠かせない、動画にも出てきた2つのキーワード「ディープラーニング」と「ニューラルネットワーク」について説明していきましょう。
人間の脳の中にある神経細胞「ニューロン」がどんどん隣のニューロンに電気信号を送っていく、このような形で脳は機能しています。
動画では「ニューラルネットワークとは、ニューロンとよばれる相互接続された大量のデータ処理単位が特定の問を解決するために平行で作業する」と解説されています。つまり、人間の脳の構造をまねして作られたのが「ニューラルネットワーク」というものです。
さらに、この構造がより深く、複雑になったものを「ディープニューラルネットワーク」といいます。また、その構造を利用して機械学習をすることを「ディープラーニング」といいます。この「ディープラーニング」こそが、AI(人工知能)の仕組みのひとつです。
つまり、AI(人工知能)の機能である、“コンピュータが与えられたデータから自分で特徴を見つけだし、その特徴からそれが何かを判断できるようになり、複雑な例外に対処できるようになった”のは「ディープラーニング」のおかげなのです。
今後もAI(人工知能)は、農業や医療分野などいろんな分野で活躍が期待!
最後に、AI(人工知能)がこれからどうなっていくのか紹介します。今後期待されるAI(人工知能)の役割について、動画では3つの例が出されていました。
ひとつめは、農業におけるAI(人工知能)の活躍です。AI(人工知能)は天候、土壌、その他の条件を確認し、過去のデータから推理して、収穫がいつどのように行われるとベストであるかを導きだします。このことによって、過去の例ではすでに農作物の収量が従来より30%増えたという結果が出ています。
ふたつめは、車の運転に関わるAI(人工知能)の発展です。車の運転中に車内に取り付けられたカメラによって、AI(人工知能)が表情と感情を認識し、不注意運転にリアルタイムで注意喚起を促すことによって事故のリスクを下げることができる技術が開発されています。この技術の発展により事故が減り、社会の安全性が高められていくはずです。
みっつめは、医療分野でのAI(人工知能)の活躍です。今は完治ができないとされているHIVや、人の死因ナンバーワンの病気である癌などから、病気の弱点を見つけて解決するアルゴリズムを開発することが期待されています。
動画でコルタナも「AI(人工知能)は人間の潜在能力と創造性を引き出します」と語っているように、これ以外にもいろんな分野での活躍が期待されます。
さて、今回はマイクロソフトの公開した3分の動画を使って、みなさんの疑問である「AI(人工知能)の仕組み」についてご紹介しました。難しい単語も出てきましたが、AI(人工知能)の仕組みについて要点を振り返ってみましょう。
- 人間の学習能力をコンピュータがまねすることによって、例外にも対応できるようになった。
- 人間の脳をまねして作られたニューラルネットワークという構造を、さらに深く複雑に利用してディープラーニングとよばれる仕組みができた。
- ディープラーニングのおかげで、コンピュータが与えられたデータから自分で特徴を見つけだし、その特徴からそれが何かを判断できるようになり、複雑な例外に対処できるようになった。
この動画によって、人工知能(AI)のおおよその内容がよくわかりましたよね。
しかし、今回紹介した「AI(人工知能)の仕組み」はほんの一部分です。実際には、AI(人工知能)はもっと複雑な仕組みが絡み合い、何十年もの時間をかけてできた技術です。そして、この技術はより進化を遂げる要素を持っています。
私たちの生活の中に溶け込み始めたAI(人工知能)ですが、仕組みを理解した上で使うと、「すごい技術なんだな」ということが実感できるはずです。そして、これからも進化していくAI(人工知能)の技術を上手に取り入れることで、私たちの生活がもっと便利になればいいですよね!
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