AI(人工知能)関連の記事を読んでいると「ルールベース」という言葉に出会う機会がありますよね。本記事ではルールベースとはどういう意味があるのか、そして今日の人工知能においてルールベースがどのような立ち位置にいるのかについて解説していきます。
まずはルールベースという用語を簡単に以下の3行にまとめます。
- 人間が記述したルールに従って判断を行うものがルールベースのAI
- 反対に与えられたデータからルールを構築して判断をこなうものが機械学習によるAI
- 現在はコンピュータの進化により、扱えるデータの量が増加したため、ルールベースのAIを機械学習のAIが大きく上回った
では以下の章でルールベースについて詳しく学んでいきましょう。
ルールベースとは
ルールベースとはそのプログラム(AI)が、人の手によって記述されたルールに従って動くもののことを指します。以下の図を交えて説明しましょう。
画像中に犬が写っているのかを判断したい場合を考えます。人間が犬を識別するルールを考えようとすると図のように条件を考えることができます。
- 足が4本ある
- 尻尾がある
- サイズが人間よりもやや小さい
- 頭の上に耳がある
こういった人間が記述したルールに従って判断を行うAI(人工知能)を、ルールベースのAIと呼びます。現在の機械学習手法が確立される以前は、人間があらゆるルールを記述することで知能があるような振る舞いをするプログラムを作成していました。
ルールベース手法の限界
先ほどの章で紹介した通り、ルールベースの手法にはいくつかの問題点がありました。
- 人間が想像したルールを必ずしもコンピュータ上で表現できない
- そもそも人間が考えたルールはある問題を識別する上で完全でない
人間が想像したルールを必ずしもコンピュータ上で表現できない
先ほどの犬の画像の例を考えてみましょう。「足が4本ある」という条件をどのようにコンピュータに識別させれば良いでしょうか。縦方向に伸びた線分が4本密集している部分を4本足と見なすことにしましょう。この際木が4本並んで立っている状態と実際の犬の足が4本並んでいる状態をどのように識別させれば良いでしょうか。
このように人間がルールを記述する作業にはあらゆる場合の条件分岐が必要になり、問題が複雑になると人間の手に負える量ではなくなってきます。
そもそも人間が考えたルールはある問題を識別する上で完全でない
先ほどの犬を識別するためのルールを再び示します。
- 足が4本ある
- 尻尾がある
- サイズが人間よりもやや小さい
- 頭の上に耳がある
猫の画像が出てきた場合、このルールだけでは到底識別できません。この例だけに限らず、既存の数理モデルなどもそれらしい表現ができる数式を作っているだけですので、それが常に適切なものであるとはいえないという問題があります。
ルールベースと機械学習
本章ではルールベースの手法と機械学習手法との違いについて解説します。
ルールベースの手法は人間が考えた様々なルールを繋ぎ合わせて、ひとつの知的な振る舞いをする人工知能として作っていきました。機械学習の場合は人間がルールを記述する必要は一般にありません。各機械学習モデルには学習を行うためのアルゴリズムがあり、それに基づいて与えられたデータから知的な振る舞いを行うモデルを自動で構築します。
まとめ
本記事では機械学習における用語の「ルールベース」について解説してきました。ルールベースとはどういうものかを簡単にまとめます。
- 人間が記述したルールに従って判断を行うものがルールベースのAI
- 反対に与えられたデータからルールを構築して判断をこなうものが機械学習によるAI
- 現在はコンピュータの進化により、扱えるデータの量が増加したため、ルールベースのAIを機械学習のAIが大きく上回った