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Pythonで機械学習を学ぶ前に知っておきたいことをまとめ

Pythonで機械学習を学ぶ前に知っておきたいことをまとめ

AI(人工知能)開発をするならPythonと機械学習の習得は必須項目ですよね。これまで開発された多くのAI(人工知能)にはPythonと機械学習が使用されています。

AI(人工知能)の開発を行うためには、AI(人工知能)の中心技術である機械学習ができることが必須です。その機械学習を最も効率的にできる言語が、Pythonです。そのためAI(人工知能)開発をするならPythonで行う機械学習の習得が必要です。

そしてPythonでの機械学習を勉強する前に「Pythonと機械学習について」と「Pythonと機械学習がAI(人工知能)で多用されているのはどうしてか」を知っておくと、学習内容も理解しやすくなるに違いありません。そこで今回はPythonと機械学習の概要や、2つをAI(人工知能)に用いるメリットなど、知っておくと有利なことについてお伝えします。

機械学習とは何か

機械学習のイメージ
機械学習とは、AI(人工知能)にデータを学習させて人間のような知的能力を実現させるための技術です。機械学習によってAI(人工知能)はデータや環境から学習し分類や予測などができるようになります。

機械学習の起源はアメリカの科学者アーサー・サミュエルが1952年に機械学習について、次のように定義したのがはじまりです。

「明示的にプログラムしなくても学習する能力をコンピュータに与える研究分野」

これは言い換えると、コンピュータが自動的に学習するようになる研究です

アーサー・サミュエルはこの定義をコンピュータゲームのチェッカーで形にしました。このコンピュータの開発に用いたのは、コンピュータ自身に数千回もゲームをさせて勝ちパターンと負けパターンを学習させる方法です。この方法でアーサー・サミュエルはコンピュータに数多くのパターンを学習させることで機械学習を形にしました。

現在、多くのAI(人工知能)に用いている機械学習は、パターンではなく大量のデータをAI(人工知能)に学習させる方法です。機械学習が定義された当時はデータを収集するのが難しい時代でしたが、2000年代に入りインターネット網が整備され、そこから大量のデータを収集できるようになりました。それにともなって機械学習で大量のデータを学習に用いることが可能になりAI(人工知能)が進化します。

そして現在に至るAI(人工知能)を飛躍的に進化させたのが、ディープラーニングです。ディープラーニングとは、人間の脳神経細胞の仕組みを模倣した計算システムのニューラルネットワークを用いた機械学習技術の1つです。

機械学習の場合はAI(人工知能)が行うデータの学習に必要な特徴量(データを認識するための基準)を人間が選んでAI(人工知能)に与え学習させていました。しかしディープラーニングはこの特徴量をAI(人工知能)自身が選んで自動で学習します。そのため従来の機械学習よりも高精度な分類・予測が実現できるようになり、現在ディープラーニングはAI(人工知能)開発の主流技術になってAI(人工知能)を急速に進化させています。

そのため、最先端技術のディープラーニングを行いたいなら、まず基本である機械学習について学ぶことが必要です。

Pythonてどんな⾔語

言語のイメージ
現在あるプログラミング言語は200以上も存在しているといわれています。その中で多くのプログラム開発に使用されているプログラミング言語の1つがPythonです。

Pythonは、他のプログラミング言語よりもルールや記述量も少ないのでプログラミングがしやすい特徴を持っています。これはPythonが「書きやすさ・読みやすさ」を重視して設計されているからです。またWebアプリやゲーム・組み込み系プログラムなど幅広いプログラム開発で使用されており、高い汎用性もあります。

そのためPythonは世界中のエンジニア・プログラマーから支持される大人気のプログラミング言語になっているのです。そのことを証明できる調査結果として、オランダのTIOBE Software社が毎月出している最新のプログラミング言語人気ランキングでPythonは3位でした。(2021年4月の結果)また同ランキングで過去の順位を見てもPythonは常に上位に入っており、これは他の機関が行っている調査結果でも同じです。

そしてPythonの人気が高い理由には先ほどの特徴や高い汎用性などが含まれていますが、近年の一番大きな要因になっているのはAI(人工知能)開発に使用されていることです。

では「なぜPythonがAI(人工知能)で重用されているのか」と考えますよね。実はAI(人工知能)開発においてPythonを使用すると大きなメリットがあるからです。

Pythonで機械学習をするメリット

データ分析のイメージ
他のプログラミング言語でもAI(人工知能)開発はできますが、事実としてPythonがディファクトスタンダード(事実上の標準)のプログラミング言語になっています。その理由は、Pythonが現在のAI(人工知能)開発で主流技術になっている機械学習に適しているからです。

具体的にはこれまでさまざまなプログラム開発で使用された実績からの信頼と先ほど紹介した特徴、そしてPythonで機械学習を行う大きな2つのメリットの存在があります。

Pythonはインタプリタ型のプログラミング言語

Pythonは、インタプリタ型のプログラミング言語です。コンピュータにプログラムを実行させるためには2進数の0と1で構成された機械語にコンパイル(翻訳)する必要があり、その方法でプログラミング言語は大きくコンパイラ型とインタプリタ型に分類されます。コンパイラ型とはプログラムをすべて完成させてからコンパイルして実行する方法で、プログラムを1行ごと翻訳しながら実行していくのがインタプリタ型です。

そしてAI(人工知能)開発は試行錯誤をしながら進めます。そこでインタプリタ型のPythonを使用すればプログラムをその都度確認しながら開発を効率よく進めることができます。

高度な計算が行えるライブラリが数多く備わっている

AI(人工知能)は大量のデータを学習してそれを分析し予測や分類をします。その過程の機械学習ではデータを処理する高度な計算プログラムが必要です。Pythonには機械学習で必要な科学技術計算が行える高度なプログラムを集めたライブラリが数多くあります。

その代表的なライブラリには数値計算ができるNumpyやデータ解析が行えるPandasなどがあり、Pythonを使用すればこれらのライブラリをプログラム上で呼び出すだけで利用できます。

2つのメリットのうち特にライブラリは他のプログラミング言語で用意するのは難しく、多くのAI(人工知能)がPythonで機械学習を行っている大きな理由です。これら紹介したPythonが持つ特徴やメリットは総合的に見て機械学習にとても都合がよく、そのためPythonはAI(人工知能)開発で主流のプログラミング言語になっています。

機械学習の種類とは

学習のイメージ
機械学習はデータの種類や状況で「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3つに分類されます。ではそれぞれの学習について紹介しましょう。

教師あり学習

AI(人工知能)に正解データを学習させる方法が、教師あり学習です。この学習でAI(人工知能)は正解データから正解のルールやパターンを学習して特徴量(データを認識するための基準)を把握します。これによって例えば猫の画像データを学習させると、さまざまな画像の中から猫の画像だけを検出することが可能になるなど、予測や分類ができるようになります。

そして、ディープラーニングはこの教師あり学習から進化した技術です。

教師なし学習

教師なし学習は、教師あり学習のように正解がある教師データを与えません。その代わりに与えたデータを学習してその構造や特徴を見つけ出して、データのグループ分けや情報の要約が行えるようになります。教師なし学習でさまざまな動物画像データを学習させると、犬・猫・鳥など動物を種類ごとにグループ分けできるAI(人工知能)の開発ができます。

強化学習

教師あり学習・教師なし学習は与えられたデータをもとに学習する方法でした。強化学習はそれとは異なりデータから学習するのではなく、AI(人工知能)が与えられた環境で試行錯誤しながら学習を行っていきます。

これはAI(人工知能)がおこなった複数の行動結果から一番適した行動を学習していく方法です。例えば、お掃除ロボットがこれに当たります。

Pythonで機械学習を始めるための環境を整えよう

環境のイメージ
Pythonで機械学習を行うためにはそれに適した開発環境を整えなければなりません。その開発環境を構築する方法は複数ありますが、中でも比較的簡単に開発環境を手に入れられるのがAnacondaをインストールする方法です。

AnacondaとはPythonや機械学習に必要な複数のライブラリやツールがまとめてあるプラットフォーム(動作環境)です。Pythonや機械学習をはじめる場合にAnacondaは他の方法よりも簡単に開発環境を構築できて使いやすいので多くの人が利用しています。また一般に使用されているWindowsやMacOS、LinuxのパソコンのOSで使用できます。

そしてAnacondaのインストールは公式サイトよりダウンロードして行います。その方法についてはPythonのコミュニティサイト「python Japan」に詳しい内容が掲載されているのでご参照ください。

Pythonで機械学習を勉強できるおすすめ参考書3つ

本のイメージ
これからPythonで機械学習を勉強するなら指標になる参考書が必要です。ここではPythonの機械学習が学べる参考書を3冊紹介します。

スッキリわかるPythonによる機械学習入門

機械学習はプログラミングやライブラリ・数学など勉強しなければならない分野が多くあります。そのため初めて勉強する方にとっては「どこから勉強すればいいのだろうか」と迷ってしまいますよね。

「スッキリわかるPythonによる機械学習入門」では機械学習で習得が必要な多くの分野を個別に学ぶのではなく、機械学習の全体像が把握できる構成にしてあります。内容はやさしい題材から初めて段階的にレベルを上げているので初心者でも少しずつ理解できていく参考書です。初めて機械学習を学ぶ人や、他の参考書で挫折した人におすすめする1冊です。

Pythonで動かして学ぶ!あたらしい機械学習の教科書 第2版

先ほどの参考書は初心者向けでした。次はエンジニア向けの参考書「Pythonで動かして学ぶ!あたらしい機械学習の教科書 第2版」を紹介します。

エンジニア向けの機械学習の参考書は他にも複数出版されていますが、その中でもこの参考書はエンジニアの向けとしては丁寧な説明で学びを進められる内容です。前半部分ではPythonと機械学習や必要な数学の基本について解説し後半から本格的に機械学習の勉強に入っていきます。

またディープラーニングについても解説してあり、エンジニアが最初に選ぶPythonによる機械学習の入門書には最適です。これから機械学習に取り組もうと考えている現役エンジニアにおすすめします。

現場で使える! NumPyデータ処理入門

Pythonで行う機械学習でNumpyは多く使用されているライブラリです。またNumpyは、同じく機械学習で使用されるPandasやScipyなど他のライブラリに演算機能を提供しています。そのため、他のライブラリも理解しやすくなるのでNumpyの習得は必須です。

そのNumpyについて「現場で使える! NumPyデータ処理入門」は、Numpyのインストール方法、基礎知識から実践で使用できる方法までを解説しています。最初はNumpyの難しいコードになれない人もいるでしょうが、本書は熟読することで徐々に理解できる内容です。これからNumpyを学習する人が最初に選ぶ参考書としておすすめします。

今回紹介した3冊は初心者向け・エンジニア向けのレベルと、Numpyの学習に合わせた参考書です。それぞれは初学に内容が適しているので参考にしましょう。

Pythonで機械学習を学ぶ場合の注意点

数学のイメージ

Pythonによる機械学習は、勉強が必要な分野が多岐にわたります。そのため、学ぶ場合に注意点が2つあります。

Pythonのプログラミング知識が必要

1つ目は、Pythonのプログラミング知識が最低でも必要だということです。

Pythonで機械学習を行うためには、Pythonでプログラムを組んで必要なライブラリを呼び出せることができなければなりません。またエラーが発生すれば自分で解決できることも必須です。そのために必要なのはPythonのプログラミング知識であり、なければPythonで機械学習をするのは不可能です。

これからPythonで機械学習をしようと考えていても「プログラミングの経験がない」「かじった程度の経験だけ」の人たちもいるでしょう。Pythonは扱いやすく学びやすいプログラミング言語です。そのためプログラミング経験がない人でも習得しやすいので、まずはPythonを勉強してから機械学習に取り組むことをおすすめします。

数学・統計学の知識が必要

2つ目は、機械学習には数学・統計学の知識が必要なことです。機械学習は実行の過程でデータの計算処理と分析を行います。そのため機械学習には、線形代数や微分積分などの数学知識とデータ分析に必要な統計学の知識が必須です。

これらの知識について高校数学まで学んでいる人であれば、ほとんど心配はないでしょう。もし自信がない場合やエンジニア以外の人は、機械学習に必要な数学・統計学の事前学習をおすすめします。

紹介した2つはPythonで機械学習を学ぶために必要な知識です。もし自信がないなら機械学習勉強をはじめる前に「Pythonのプログラミング知識」と「数学・統計学の知識」を学んでおきましょう。

まとめ

さて、今回はPythonで機械学習を行う前に知っていただきたいことについてお伝えしました。

現在までに開発された多くのAI(人工知能)に用いられている技術が機械学習です。機械学習とはAI(人工知能)がデータや環境から学ぶための学習方法です。この学習でAI(人工知能)は特徴やパターン・最適な方法を学び分類や予測などができるようになります。

そんなAI(人工知能)の開発で多用されているプログラミング言語がPythonです。その理由には開発の進めやすさや高い信頼性などがありますが、中でも高度な計算プログラムのライブラリを備えていることが一番に挙げられます。

機械学習では高度な計算プログラムが必要です。他のプログラミング言語だと用意するのは難しいですが、Pythonを使用すると呼び出すだけでそれらのライブラリを使うことができます。これがAI(人工知能)開発でPythonが主流のプログラミング言語になっている大きな理由です。

そして機械学習には「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3種類あります。

実際にこれらの機械学習を行うためには開発環境が必要です。その構築方法はいくつかありますが、中でも紹介したAnacondaは比較的簡単に開発環境を手に入れることが可能です。また開発環境が整ったら紹介した参考書で実践してみましょう。

  • スッキリわかるPythonによる機械学習入門:分かりやすい構成なので、機械学習が初めてでも理解できる初心者向けの内容
  • Pythonで動かして学ぶ!あたらしい機械学習の教科書 第2版:機械学習について、丁寧に解説してあるエンジニア向けの入門書
  • 現場で使える! NumPyデータ処理入門:Numpyの基礎から実践までを学ぶことができる初学者向けの参考書

そしてPythonで機械学習を行うには前提としてPythonのプログラミング知識が必要です。そのため中にはプログラミング経験がない人や、プログラミングが難しいというイメージからあきらめようと考える人もいるかもしれませんが、その必要はありません。初心者でもPythonは学びやすく習得がしやすいプログラミング言語なので、まずはPythonを学んでから機械学習に取り組んでいきましょう。

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