AIとは何か

画像認識には必須の「ImageNet」、その使い方について3分で解説

画像認識には必須の「ImageNet」、その使い方について3分で解説

近年、AI(人工知能)開発の需要の高まりに伴い、AI(人工知能)の精度、能力の向上に活用される機械学習やディープラーニングがますます注目を浴びています。次代を担うAI(人工知能)開発の現場において、これらのノウハウはもはや必須であると言えますよね。

多くの場合、機械学習やディープラーニングでは、学習用の大規模なデータ(ビッグデータ)を元に、AI(人工知能)に様々な知識を学習させます。このデータセットのデータ量、幅などが、AI(人工知能)の最終的な能力を決定づけるのです。Web上には無料で利用可能な様々なデータセットも多数存在しています。

そのデータセットの中でも、主に画像認識の場面で利用される「ImageNet」について今回、詳しく解説していきましょう。ImageNetはどのようなデータセットなのか、メリットや活用方法、利用する際の注意点などについてそれぞれ詳しく見ていきます。

ImageNetとは

ImageNetとは

AI(人工知能)に画像認識の学習を行う場合に利用されるデータセット「ImageNet(イメージネット)」。このデータセットの内部には自然を対象とする1400万枚を超える画像が登録されており、かつ何が写っているかを表す「ラベル」が2万種以上登録されています。

ImageNetはスタンフォード大学のフェイフェイ・リ(Fei-Fei Li)氏を中心とした研究グループによって管理されています。そして世界中の研究者や教育・学びといった場面に役立ててもらうため、現在は無償で公開されているのです。

AI(人工知能)開発の歴史においてもImageNetは非常に重要な役割を担っており、2021年に開催されたImageNetの大規模画像認識コンペ「ILSVRC」にて、AlexNetというCNN(畳み込みニューラルネットワーク)モデルが登場したことが、ディープラーニングという概念に注目が集まるきっかけとなりました。

ImageNetを使うことのメリット

・ImageNetを使うことのメリット

画像認識で用いられるデータセットは多々ありますが、ImageNetを利用するメリットは、やはり先程も取りあげた「画像がラベル付けで定義されている」点です。
このため、文字列検索でも比較的容易に目的となる画像クラスを割り当てることができ、データを取得しやすいのが特徴。

また、ImageNetの特徴を語る上で登場するのが「転移学習」というワードです。これは機械学習の学習方法のことを指し、ある分野・領域で学習させたモデルを別の分野・領域に適応させる学習方法のこと。

少し難しい概念ですが、簡単にいうと学習済みモデルを再利用することによって、少ないトレーニングデータでも、性能を発揮できるようになります。データセットの構造自体が学習しやすいような作りとなっているため、データの数に対して非常に高水準の学習結果を出すことが可能です。

このため、ImageNetもこの転移学習が持つ恩恵を受けることができます。

大規模なデータでありながら、事前に学習した重みを用いることで、少量の訓練データでも十分な性能を得ることができ、機械学習・ディープラーニングの場面において、より効率的に学習を行えるというメリットがあるでしょう。

ImageNetの活用方法

・ImageNetの活用方法

この、大量の画像データを保持するImageNetですが、やはり活用方法の場としてはAI(人工知能)開発における機械学習・ディープラーニングへの利用が適しています。そして画像認識のための学習を行う要素として、ImageNetは非常に有用性が高いものです。
また、最近ではこのImageNetを各種モデル間のパフォーマンス比較に利用する場面も見受けられます。これはいわゆるベンチマークと呼ばれる概念で、PCやネットワークの性能のチェックの際に使われる単語と同じですよね。

現在でも機械学習・ディープラーニングにおいて使用されるデータセットは、新たなものが数多く登場しています。それらの性能を試す際、ImageNetが比較対象となるシーンが多いのです。

ImageNetと比べて新たなモデルの手法や精度がどれくらい差分が出るか、という計測の指標としても利用されているということでしょう。

ImageNetで画像をダウンロードする方法

ImageNetで画像をダウンロードする方法

実際にImageNetを活用する際は、ImageNetの公式ページからそのデータセットをダウンロードして活用できます。

ImageNet

ImageNet大量のデータをすべて使うこともできますが、一方で特定のカテゴリ、ジャンルの画像群だけを利用することも可能です。

画像はそれぞれ、beach、breadなどのようにラベル分けされており、公式サイトからどんな画像が登録されているかを確認可能。

公式サイトでダウンロードを選択すると、画像のURL一覧が表示されますが、これは画像の「リンク集」を指します。多くの場合、これを記したURLリストを用意しておき、そこからプログラミングにより画像にアクセス、取得するという手法です。
ダウンロード処理を実施する際の注意点として、やはり大量のデータが日々更新されているため、中にはリンクが参照できないものも混ざっていたりも。このため、エラーの画像などを認識したらざっくりと、プログラム側で画像をはじくなどの考慮を入れておくと安全です。

ImageNetを使うときの注意点

ImageNetを使うときの注意点

機械学習・ディープラーニングの場面では非常に有用性の高いImageNetですが、使用する上での注意点もあります。

それは主に、ImageNetが「画像」というデータを扱うものである、というところに関連します。
まず、ImageNetは画像の種類によって「ラベル」を割り振られているのが特徴ですが、2020年の段階でこのラベルの正当性に一部不適切なものがある、という議論がありました。これは複数の対象が一つの画像に入り込んだ場合、ImageNetの掲げている「1つの画像=1つのラベル」というルールが崩れてしまっている、ということ。

例えば、景色の画像などだとこういったラベルの問題は顕著に出てしまいます。一見すると「港」を撮影した画像でも、細かく見ていくと「船」や「桟橋」、「海」などという様々な要素によって創り上げられています。これもまた、画像というデータならではの問題です。

こういった背景もあり、現在では新たなラベルとしてReaL(Reassessed Labels)という仕組みが提案されていますが、まだまだ実装されてはいません。いまだなお、ImageNetは問題を改善しようと、様々な議論がなされています。
また、画像を扱うものである以上、対象に「人間」が写り込む場合もあるのですが、プライバシー保護の観点から「ぼかし」をいれるよう対策が表明されているものの、まだまだ完全だとは言い難いです。
このため、データを扱う側としても、常にプライバシー保護については慎重に考える必要があります。

 

まとめ

従来のシステムや機械と異なり、自身で何かを判断し高度な命令を実行できることがAI(人工知能)の特徴です。特に文字や記号と違い、複雑かつオリジナリティの高い「画像」を認識する能力は、AI(人工知能)ならではの能力と言えます。

画像認識に関する学習において、ImageNetは非常に高い効果を発揮してくれます。用意された大規模なデータが学習しやすいような構造をもっており、さらに無償で使用することができるというのも、非常に便利な点です。

なにより、機械学習・ディープラーニングが注目を浴びるきっかけとなった存在ですので、AI(人工知能)開発に携わる方は、その内容に触れることで、より深いAI(人工知能)開発の知識を身に着けることができるでしょう。

【お知らせ】

当メディア(AIZINE)を運営しているAI(人工知能)/DX(デジタルトランスフォーメーション)開発会社お多福ラボでは「福をふりまく」をミッションに、スピード、提案内容、価格、全てにおいて期待を上回り、徹底的な顧客志向で小規模から大規模ソリューションまで幅広く対応しています。

御社の悩みを強みに変える仕組みづくりのお手伝いを致しますので、ぜひご相談ください。

お多福ラボコーポレートサイトへのバナー

トップへ戻る
タイトルとURLをコピーしました