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便利?安全?自動運転タクシーのメリットとデメリットを徹底解説!

タクシーに乗ると、運転手さんと会話が弾んで楽しいときもあれば、遠回りされてガッカリ・・・など、人によって当たり外れがありますよね。
ならばいっそ運転手のいない、自動運転のタクシーであれば、当たりはずれを心配しなくてよさそうです。

この自動運転のタクシーですが、実はSFや遠い未来の話ではなく、実証実験なども行われていて、すでに実現してしまっているんです!

いま、街中で走っているタクシーが、そのうちどんどん自動運転のタクシーに変わっていくのだとしたら・・・どんな世界になるのか知りたいですよね。

「面白そう」「乗ってみたい」とわくわくする半面、「目的地にちゃんと連れて行ってくれるか」「事故はないのか」と心配な方もいるでしょう。でも、今までのタクシー運転手よりも早く目的地に行ける、などメリットもあるのです。

そこで、自動運転タクシーは現在どこまで開発が進んでいるか、そして実現するためにはどんな課題があるかを考えながら、そのメリットやデメリットをお伝えします。

自動運転タクシーはすでに走行していた!

まず最初に、自動運転タクシーの開発状況は実際どこまで進んでいるのか、一つの例をあげてみましょう。

車の自動運転技術を開発するベンチャー企業ZMPとタクシー大手の日の丸交通が、千代田区と港区を結ぶ約3.5キロの公道で一般客を乗せて自動運転タクシーを走らせる実証実験を行いました。

タクシー事業者が、自動運転でお金をもらって営業走行するのは「世界初」の試みです。しかも交通量の多い都心で実施されたとあって、ニュースなどでも注目をあびました。ただし、完全に無人で走行したわけではなく、日の丸交通の運転手が安全のため補助ドライバーとして同乗しています。

乗った人の声を聞いてみると「最初は不安だけど、思ったよりスムーズだった」「周りの歩行者やほかの車を認識したり、隣の車線から入ってきた車をよける動作があってすごいと思った」などと高評価も多く見られます。反対に、「安全第一で車間距離をとっているため、走行に時間がかかる」「ブレーキが急な印象があった」という声などもありました。

このZMP×日の丸交通の例のほかにも、国内では日産DeNAが自動運転技術を活用し、タクシーのように使える新しい交通サービス「Easy Ride(イージーライド)」を開発していて、同じように実証実験を行っています。

またアメリカでは、自動車メーカーGMの傘下にある自動運転車開発部門Cruise Automation(クルーズオートメーション)が、EV自動運転タクシー事業を始める計画を発表しています。

このように各社競って自動運転のタクシーの開発・研究を進めているのは、これからの未来に大きなメリットがあると考えられているからですよね。

そこで、自動運転のタクシーが実用化されたときのメリットを詳しく見ていきましょう!

自動運転タクシーのメリット4つ

自動運転タクシーのメリットについては、以下の点が挙げられています

  • 交通事故の減少
  • タクシーサービスの質の安定
  • 最適ルートを知っている!
  • 乗車料金が安くなる!

◎交通事故の減少

まず、自動運転システム全体にいえることですが、自動運転タクシーが普及すれば、交通事故が減ると考えられています。なにしろ、人間の視野は90度~120度しかありませんが、自動運転システムの視野は360度もあるんです!視野が広がれば、例えば飛び出しなどにも気がつくことができるでしょう。

また、人間が危険を察知したときのブレーキの反応速度は平均で0.75秒といわれていますが、自動運転システムは、なんと 0.01秒以下で反応してくれます。これはすごい能力ですよね。事故がゼロになるいうことないですが、その数は大幅に減るという説もあります。

◎タクシーサービスの質の安定

最初にもふれたように、人がドライバーの場合は、運転技術や知識、応対などのサービスにどうしてもムラがでてきますよね。

それが完全無人化のタクシーになれば、AI(人工知能)が判断して運転するので、基本、質に大きな差は出てきません。また、AI(人工知能)の技術によって多言語対応も可能なので、外国人観光客などへのサービス高上も期待することができるんです。

◎最適ルートを知っている!

自動運転タクシーでは、AI(人工知能)が目的地までのルート選定を行います。そうなると、単純に最短距離を選び出すのではなく、クラウドなどからリアルタイムの交通情報などを取得した上で、最適なルートを選び出してくれるのです。今まではタクシー運転手が道に迷って変な方向に行ってしまった・・・なんてことがありましたが、これからは自動運転のタクシーが最短で目的地に連れて行ってくれるので安心ですよね!

◎乗車料金が安くなる!

今のタクシーの運転手って、ご高齢の方が多いですよね。人手不足や高齢化の問題が深刻だといわれているのですが、完全に無人化してAI(人工知能)がタクシーを自動運転するようになれば、その問題は解決されることになります。

そのように無人化すると人件費がかからなくなるため、最終的には自動運転タクシーの利用料金は安くなると考えられています。今まではタクシーって高いな、というイメージがありましたが、料金が安くなったら、もしかしたら今よりも気軽にタクシーが使えるようになるかもしれません。

さらに自動運転でタクシーの料金が下がると、過疎地や高齢者など、移動に困っていた人たちの新たな移動手段になると期待されているんです。

ということで、安全で、快適で、安くなる・・・ものすごくいいですよね!でも、もちろん夢物語のようにメリットばかりではありません。

次に、自動運転タクシーのデメリットを取り上げます。

自動運転タクシーのデメリットはこんなところ

自動運転タクシーのデメリットとして挙げられている点は、以下の点になります。

  • 運転手の職がなくなる
  • 人間らしいコミュニケーションがなくなる
  • 道路渋滞がひどくなる可能性がある

◎運転手の職がなくなる
無人の自動運転タクシーが普及すると、従来型のタクシーで運転手として働いていた人の仕事は減っていくことになります。自動運転タクシー技術の発展によって新たなサービスが生まれ、そこから雇用が生まれる場合もあるかもしれませんが、いわゆる従来型の「タクシードライバー」という仕事は、いつかなくなるかもしれません。

◎人間らしいコミュニケーションがなくなる

タクシーに乗ると、長い移動距離の場合はおしゃべりで気を紛らわしてくれたり、穴場のおいしいお店を教えてもらったり・・・といった「一期一会」の楽しみがありますよね。また高齢の乗客には通常よりゆっくり運転してくれることもあります。自動運転になると、そういったあたたかい心遣いや細かいサービスが失われていくことになります。

◎道路渋滞がひどくなる可能性がある

自動運転タクシーが安くて便利になると、電車やバスなどの大量輸送できる公共交通よりも、ドアツードアの快適な自動運転タクシーに乗りたいという人が増えます。需要が増えた分だけ自動運転タクシーの数が増えると、道路の混雑の悪化につながっていく可能性があります。

さらに、こういったデメリットに加えて考えなければいけないのは、実際に自動運転タクシーが普及するまでの課題でしょう。次は、自動運転タクシーが実現するまでに解決しなければいけない課題をお伝えしましょう。

自動運転タクシーが実現するための課題は、技術と法の壁があった!

さきに自動運転タクシーのメリットをとりあげましたが、大前提として「完全無人化」になってはじめて、メリットが出てくるということがあげられます。いわゆる自動運転のレベルは、以下の表のようにレベル0~5まで6つの段階で定義されていますが、日本での実証実験の多くは、まださきほどの「日の丸×ZEM」の例のように「条件付運転自動化」のレベル3にとどまっています。

レベル 0 (運転自動化なし) ドライバーがすべてを操作
レベル1 (部分運転自動化) 主体は人/システムが速度かハンドルを制御
レベル2 (部分運転自動化) 主体は人/システムが速度とハンドル両方を制御
レベル3 (条件付運転自動化)主体はシステム/ 緊急時は人が操作
レベル4 (高度運転自動化) 限定エリア内でドライバーが不要になる
レベル5 (完全自動運転)  システムがどこででも自動走行を全てを操作

今後、AI(人工知能)の発展によって、技術的には無人化にあたる「高度運転自動化」のレベル4も視野に入ってきているようですが、その実現のためには技術だけでなく法の壁があるといわれています。

日本は道路交通に関する国際条約に加盟していますが、その条約は「常に人が同乗している」ことが前提になっています。

また万が一事故があった場合の責任は車の製造側にあるのか、タクシー運営会社側にあるのかなど、「誰が責任を取るのか」という法律が整備されていません。そのほか、保険の支払い制度のあり方なども、検討が必須になってきそうです。

このように、法律の整備の問題もありますが、国は自動運転の実現化について、いずれ地域を限定してレベル4の無人自動運転移動サービスを実施し、さらに全国展開することを視野にいれています。したがって、自動運転タクシーの事業化も、国の動きに合わせて進む可能性が高いと考えられています。

さて、今回は自動運転タクシーのメリットとデメリットや、実現するための課題をお伝えしました。

その内容を通して、

  1. 自動運転タクシーは、日本の公道で客乗せ営業走行の実証実験も実施されているレベルまで進んでいる
  2. 自動運転タクシーのメリットは、交通事故の減少・サービスの安定・最適ルート・料金の安さである
  3. 自動運転タクシーのデメリットは、運転手の職がなくなる・人間らしいコミュニケーションがなくなる・道路渋滞がひどくなることである
  4. 自動運転タクシーを普及させる課題として、「無人化レベル」の技術が必要ということ、さらには法整備が必須で、それを解決しながら事業化が進めなくてはいけない

ということがわかりました。デメリットや解決すべき課題はあるものの、たくさんのメリットがあるんですね。

自動運転タクシーの普及が実現したら、わずらわしい移動時間も快適に過ごせますし、旅行にいったときの行動範囲もグッと広がりそうです。

AI(人工知能)の技術の発展はこれからもどんどん進んできますので、あとはどのように自動運転タクシーを走る世界を実現していくか、みんなで考えていきたいですね!