もし運転席が無人の状態の車が走っていたら、今ならびっくりしてしまいますよね。「運転席に人がいないって危なくないの?」などぎょっとするかもしれません。私なら「あれ、今すれ違った車、運転席に人がいない?大丈夫なの?」「勝手に変な方向に走り出したらいしないのかな?」って心配してしまいます。ほら、「ザ・カー」という無人の車が暴走するホラー映画もありますし・・・というのは冗談として。
とはいうものの、現在ウーバー社やGoogleなど、こぞって自動運転車を開発して実用化させようとしているのです。しかも実用化されるのは2030年頃だとも言われています。そうなると、近い未来に無人の車が道を走るようになってもおかしくありません。
そして自動運転が普及したら、運転免許も必要なくなるのでは?という声も出ています。そういえば私も先日ついに運転免許を取りましたが、もし無人の車が走るようになったら免許はいらないのではないかと心配しています。もしかして無意味だった、の、か・・・?これも皆さん気になるところではないでしょうか。
実は自動運転にも段階があって、「免許がいるレベル」と「免許がいらないレベル」があるのです。そして運転免許がいるかどうかの他にも、無人で運転できる車が生活に普及するといろんな生活に変化が起きるようになります。
ということで、今回は「もし無人の車が公道を走るようになったら、どんな生活を送るようになるのか」を見ていきましょう。ここからは「私」が主人公となって、無人の車が走った未来を小説風に説明を入れていきます。
運転免許の教習に「自動運転の操作」が加わる!
まず、自動運転のレベル分けは以下の記事が詳しく書いてあるので参照にしてみましょう。ここでは簡単に、表でご紹介します。
レベル | 名称 | 内容 | 運転者 | 走行場所 |
0 | 通常運転 | 運転する人が全て操作すること | 人間 | 限定なし |
1 | 運転支援 | システムが運転支援(ex.車線から外れていたら修正する、車間距離を自動で調整してくれる) | 限定あり | |
2 | 部分的な自動運転 | システムが部分的に自動運転する | ||
3 | 条件付きの自動運転 | 高速道路など、特定の場所で運転を自動化している。ただし緊急時には人間が対応 | システム(緊急時は人間) | |
4 | 高度な自動運転 | 限られた場所で緊急時もすべてシステムが運転する | システム | |
5 | 完全な自動運転 | 場所に関係なく完全にシステムが運転する | 限定なし |
※もっと詳しく知りたい方はこちら
これからお話するにそれぞれの場面については、以下のレベルの段階で想定しています。
「自動運転タクシーに乗る」:レベル4
「通勤の光景」:レベル4
「遠くのおばあちゃん家に遊びに行く」:レベル4
「宅配便を受け取る」:レベル4
ではまず最初に、実際に運転の教習ではどんなことが起こるのか見てみましょう。
もしも運転教習で自動運転を習ったら
「私」は未だに免許を持っていない。実家が駅から徒歩圏内だったことと、家に「車を置く場所がない」という理由で車とは無縁の生活を送ってきたからだ。
もしかしたら無人の状態でも車を運転するようになるかもしれないんだから、今さら免許なんていらないんじゃない?と思うかもしれない。とはいえ、今はまだ、車の免許は必要だしとりあえず教習所に通うことになった。
そんなわけで今日の技能教習は「高速教習・自動運転の扱い方」。なんだか緊張するな・・・。今まで通り、最初は自分でエンジンかけて、出発して、目視で確認して合図出してスピード出してブレーキゆるめて・・・って、改めてドライバーの動きを振り返ると、運転するときの動きっていろいろやっているんだな。これを自動化するってなかなかすごいな・・・。
ここで高速道路の入り口に入ったときに、教官から


「じゃあ、ここから【自動運転モード】に切り替えてな」
と指示があったので、私は「自動運転」のスイッチを押した。すると・・・


ハンドルが勝手に動いている・・・!?
そう、安全のためハンドルはずっと握りっぱなしなんだけど、勝手に左右とハンドルが少しずつ動いていた。そしてアクセルのペダルも自動で動いている。確かに安心ではあるのだけど、ハンドル握っている自分じゃなくてAI(人工知能)が動かしているのは変な感じがするなぁ。
そういえば路上教習をやっているときでも、「ちゃんと前見て!」「ちょっとスピード出しすぎ!」ってよく怒られていたなぁ。AI(人工知能)なら信号無視や速度超えなどの交通ルール違反も少ないから、とても快適。もっとも事故を起こしたときが、心配なのだけど。
そんなことを考えていたら、あっという間に高速道路の出口に近づいてきた。


ほな、ボタン押してスイッチ切ってな
と言われたので、私はスイッチを切って再び運転を始めるのだった。
自分で運転しているとカーナビを見ながら運転をしていると、「次の信号曲がらなきゃ」「ずっと真っ直ぐで気が抜けそうになるな」とかあれこれ気を使わないといけないのだけど、自動運転ならカーナビのように案内しながら運転してくれるので、そんな心配しなくて大丈夫になるだろう。特に高速道路だと周りの車も早いうえに自分もスピードを出さないといけないから怖いなぁ、と思っていたけど自動運転があれば少しは怖くなくなるかもしれない。
教習が終わったあと、教官が


どうやった、今日の教習は?


なんだか自分と運転する感じと違うので、緊張しました!


まぁ、まえだまえださんはたまに前見てないし、うっかりスピード出しすぎるからAI(人工知能)の運転を見習ってね〜。はっはっは。笑
・・・ごもっとも。いつかAI(人工知能)が運転教習を指導する日がくるのかもしれない。いや、その頃には免許が必要なくなっているんだろうな。
自動運転が使えるのはまだ一部だけ
ということで、見てきたように「レベル3」の場合の運転の教習として
- 新たに「自動運転の操作方法」が加わる
- 使えるのは「高速道路」など、限定された場所のみ(それ以外の場面はドライバーが運転する)
- 交通事故のリスクが減るので、交通事故が少なくなる
となる未来が予想されています。つまり、この状態のときはまだ運転免許が必要です。
交通事故のリスクが減るというのは、自動運転のシステムが
- 人間の視野より広い(人間の視野:90~120度・自動運転システムの視野:360度)
- より早くブレーキをかけることができる
というメリットがあるためです。このため飛び出しがあっても、人間よりも早くブレーキをかけることができたり、スピードの出しすぎも防いで交通ルールをしっかり守って運転してくれるので、今よりも交通事故が減るのではないかと期待されています。
もともと自動運転の大まかなきっかけは、「パーキングアシスト」という、車庫入れや縦列駐車を自動で行う技術です。これは2003年にトヨタが発表した「プリウス(2代目)」に備えて初めて実用化されました。
さらに2016年にテスラ社が開発した車は、ハンドルだけでなくアクセル・ブレーキなどもすべて車がおこなう機能があります。これらの車は「レベル2」の運転支援のレベルまできているので、いずれ無人の状態で運転できる車が開発されるのもそう遠くないと感じるかもしれません。(ちなみに現在アウディ社が開発している車「A8」では、スイッチによって自動運転モードに切り替えることができます)
とはいえ、2030年にはこのような「レベル3」の自動運転車が1050万台も生まれると予測されており、それが公道に走る未来も目に見えますよね。そうなると、それに合わせて法律の整備も進んでいく可能性があるかもしれません。
では次に、無人のタクシー車に乗るときの様子を見てみましょう。
今までよりも気軽にタクシーを使うことができる!
前回は無事に運転免許が取れた「私」ですが、今日はタクシーを使うことになりました。ここから自動運転のタクシーに乗ったときのことを想像してみましょう。
もし私が自動運転タクシーに乗り込んだら
今日はクライアントとの飲み会ですっかり遅くなってしまった!ここからだといつも電車に乗って帰っているけれども、さすがにおそくなると電車が30分待たなければいけない。うう、この時間がもったいない・・・一刻も早く家に帰って寝たい・・・。
そんなわけで、ちょうど駅前に止まっていた自動運転のタクシーに乗り込むのだった。


片岡町までお願いします。


かしこまりました
と言ってから出発するのだった。当然、このタクシーは完全に無人である。緊急のときでもAI(人工知能)が対応してくれるので、酔いが回ってウトウトして眠くなっている私でも心配しなくて大丈夫。
前までタクシーの運転手さんに「おう、飲み会帰りかい?」とか話しかけられることはあったけど、AI(人工知能)は特に必要がなければ向こうから話しかけることはない。特に女性の一人暮らしをしている場合だとあまりそのへんのことを話したくない、という人もいるから、ある意味安心なのかもしれない。
しかもAI(人工知能)は最もスイスイ進むルートをすぐに割り出してくれる。人によって道に迷ったり無駄に遠回りして料金高くとろうとする人もいるんだけど、無人のタクシーならそんな心配もない。さっさと家に帰りたい私にとってはとてもありがたい。
ああ、明日は休みだけどそろそろ引っ越しの準備しなくちゃ。そう言えば新しい家が完成したって連絡があったな・・・そんなことを考えていたら家についた。


到着しました。1000円になります
無人タクシー車が広まったおかげなのか、タクシー代が少し安く感じるのだ。おかげで前よりもタクシーに乗る回数が前より増えた気がする。私はタクシーに備えついているお金入れにお札1枚を入れて、タクシーを降りた。
ところが家に帰った瞬間、どうやらさっきのお店に忘れ物をしたことを思い出した。


あっ、待ってタクシー!
そうしてまたタクシーでお店に戻った。せっかくタクシー使ったのになんてこったい・・・。
自動運転タクシーは、今までよりも気軽に使えるようになる!
という感じで、自動運転タクシーが広まったときのメリットとして、
- 今までよりもタクシー代が安くなる(かもしれない)
- どのタクシーでも同じように効率のよいルートを通ってくれる
などがありました。
完全に無人状態で運転できるタクシー車が広まると、今まで多くのコストがかかっていたタクシーの運転手さんの人件費がかからなくなるでしょう。そのため、タクシーの運賃が今までよりも下がると予想されています。
このため、今までちょっと歩くのが面倒でタクシー使いたい、となったときに「でも700円かかるんだよな・・・」と遠慮していた人でも、もっと気軽に使うことができるようになるかもしれません。
※自動運転タクシーの実証実験に触れている記事はこちら
そしてタクシーだけでなく、自動運転によって「カーシェアリング」も広がっていくと予想されているんです。それでは、次に実際に通勤で「カーシェアリング」を使った場合をご紹介します。
田舎に暮らすけれども通勤がラクラクになっている
前回の話から1ヶ月後、「私」は新しい家に引っ越しました。そこから通勤に車を使おうと考えていますが、ここでは通勤で無人で運転する車を使うようになった未来を想像してみましょう。
もし通勤で自動運転の車を使ったら
私が住んでいるのは、山の中。電車も30分に1本しか走っていないうえ、自分の家は駅から1時間ぐらい離れているから、基本車で移動している。マイカーを持つ人はたくさんいるけれども、私は「カーシェアリング」を使っている。スマホで車を呼び出せば、自宅の前まで車が自動運転でやってくるのだ。
今日もスマホで「車1台、8:00に自宅前」とお願いしたら、時間どおりに無人の車が止まっている。私は「運転するときはちゃんと人が乗っていないと危ないわよ!」って教えられてきたのに、未だに


・・・いや、でも無人なんだけど車が勝手に動いているっていうのがすごいよなぁ・・・。
って不思議な感じの印象を抱いている自分がいる。
唯一ちょっと寂しいな、って思うのは運転する楽しみがなくなったってところかな。きれいな景色を眺めながら自由気ままにドライブするのも、結構好きだったんだけどな。
そんなわけで今日も仕事に出発。自動運転ならAI(人工知能)が渋滞を避けたルートを選んでくれる。今まで「渋滞でちっとも進まない・・・」ってイライラしていたけど、今ではそんなこともなくなったなぁ。本当に快適だし、今日も予定通り着くことができそうだ。


めっちゃ優秀!
と褒めつつ、私は運転を完全に任せてスマホを開いて電話をしようとした。
ところがそんな平和な時間もつかの間、突然ガタガタガタ・・・と揺れ始めた。窓の外をみたら


えっ、大丈夫?どこ通ってるの?


山を突っ切っています


めっちゃ山道とおってるやないかい!自動運転だっていうのに、そんなむちゃして大丈夫なのかなぁ・・・。
どうやら渋滞を避けて効率のよいルートを通るにはこれが一番いいらしい。果たして大丈夫なのか・・・?
山道を入って30分後、無事にクライアントの会社に到着するのだった。さすがAI(人工知能)、時間より10分も早く着いた。私は準備万端で打ち合わせへ向かった。


ありがとうございました。また帰りのお時間も予約しますか?


そうね、今日はこのあとずっと取材だから、18時に予約したい・・・んだけど、また同じルートなの?


いえ、その道は夜通ると危ないため、今度は天ヶ瀬ダムを突っ切って行くルートでいきます。
ええええぇ!いくらなんでも無理があるって!
通勤において渋滞でイライラしなくなる!
・・・というように、無人の車が走るようになると
- スマホひとつで車を借りることができるようになる
- しかも呼び出した車は、無人の状態で家の前まで来てくれる
- 乗っている間は運転しなくていいので、仕事や食事など好きに過ごすことができる
- 最も効率のいいルートを提案して通ってくれるので、渋滞を避けることができる
などのメリットがあります。特にこの「カーシェアリング」に関しては自動運転に限らず現在日本でも広まりつつあるサービスなのです。カーシェアリングが増えている理由としては、「電車・バスだけだと行くところが限られて不便」「車の維持費が高い」などです。三井住友銀行「自動車シェアリングの動向」によると、2015年現在では世界で1000万人程度の利用ですが、2021年には3500万人ほどに増えると予想されています。


そういえば私の近所にも「タイムズ24」の駐車場でカーシェアリングできる車がおいてあったなぁ・・・。ああいう車がどんどん増えていくってことなんだろうな。
となると、「カーシェアリング」が広まった場合、マイカーを持つ必要がなくなるので今まで私たちが負担していた自動車税やガソリン代などの負担が少なくなるでしょう。同時に、車そのものの数が減り、渋滞が少なくなると考えられているのです。なので、今までは車の渋滞が心配な人も、これからは渋滞知らずでどこでもスイスイ行けるようになるに違いありません。
となると、ごちゃごちゃした都心よりも田舎で暮らす!という人が増えるのも納得できますよね。ちなみに自動運転によって田舎に住む話はこちらでも取り上げているので、興味が湧いた方はぜひこちらも見てみましょう。
そして今度は、運転が自動化して、バス・タクシーも完全に普及した未来の様子を見てみましょう。
遠くのおばあちゃんの暮らしも便利になる
先程ご紹介した一場面は通勤に無人の車を使った場合です。では、今度はどこかにおでかけする場合に例えて想像してみましょう。
もし無人運転の高速バス・路線バスに乗ってみたら
私のおばあちゃんは山の中に住んでいるのだけれども、もう80歳を超えてしまうとなかなか外に出る機会も少なくなっていく。だから私が自動運転する高速バスに乗り込んで、たまに会いに行っているのだ。
しかしまあ、高速バスは無人運転のバスの隣に人がいるバスがいる状態でずっと走っているのだ。料金は一緒だけど、いつも自動運転のバスに乗ってしまっている。それにしても前までは高速バスで自動運転なんて全然なかったのに技術が進歩したんだなぁ。
おばあちゃんの家は本当に見渡すかぎり山、山、山しかない。実はおばあちゃんは前まで車を持っていたのだけど、自動化された車ではないから免許を返した。また、「自動化した車は好きじゃない、やっぱり自分で運転するから楽しい」という考えの持ち主だったから、今ではバスをよく使っている。
そういえば、


前までは村に住んでいる人はみんなおじいちゃん・おばあちゃんばっかりだったけど、最近では若い人たちや家族が引っ越してくることが多くなったねえ。
と、おばあちゃんは話していたっけ。
としていたら、おばあちゃんが近くの映画館に出かけるとのことだったので私もついていくことにした。バス停で待っていたら、運転席のないバスがすーっとやってきた。
おばあちゃんは、


よく病院まで行くのにバスを使うんだけど、最近ではバスの運転手さんがいつの間にいなくなっちゃったのよ。もうびっくり!
と驚いていた。確かに今まで運転席に人がいたはずだったのにいつの間にかいなくなっているんだもん、そりゃそうだよなぁ・・・・。


でもなんだか、人と人と話すことがなくなっちゃったのはなんだか寂しいわねぇ。
確かにその気持ちもわかるなぁ。私が子供の頃におばあちゃんの家に行ったときに、バスの運転手が「気をつけて言ってらっしゃい」って声かけてくれたの、なんだか懐かしい。
そんなこともあって、懐かしの話をあれこれしていたら、


あれ、そういえば映画館の最寄りのバス停ってどこだっけ?


ひばりヶ丘だわ。


・・・通り過ぎてなかった?


あらまぁ。
どうやら私たちは話に夢中で、バス停を降りそこねていたのだった。残念ながら他にも乗っている人がいるので、それはAI(人工知能)はどうにもできないんだなぁ。自分たちもAI(人工知能)まかせじゃなくて気をつけなきゃ・・・。
自動運転バスによって、人が少ない田舎でもバスを走らせることができる!
こんな感じで自動運転バスが走ることで予想できる生活というのは、以下のような感じでした。
- 無人の高速バスが走るようになる(単独で)
- 人が少ないところでも、バスを走らせることができる
- 急ブレーキなど危険な運転が少ないので、安心して乗ることができる
もともと自動運転が発達した理由の一つとして、「田舎の交通網の維持」があげられます。現在地方のバス会社では、バスの運転手さんの高齢化が課題となっていて、それにより運転手さんがの人手がどんどん減っています。また、ドライバーが長い時間働いたり不規則な時間に働く傾向があるので、疲労が溜まって事故のリスクが高くなることも課題となっていました。
その一方では、バスを必要とすうような高齢の方の数も増えていっています。かつ、ご高齢の方は運転免許を返納する人もいるのでこのままでは、電車やバスがない田舎に住んでいる高齢の方は移動すら難しくなってしまいますよね。その解決策として、自動運転のバスを走らせようとする試みが進んでいます。
さらに、無人運転ができるバスが走れるようになった場合は、人が少ない田舎でもバスを走らせることができるようになります。もともと地方のバス路線において、コストの6〜7割が「人件費」となっており、バスの乗客が少ない路線はどんどん本数を減らされたり、廃止となっていました。とはいえ、バスは大事な足としている方も多いので、できればそれは避けたいところ。つまり無人運転のバスが広まった場合、そのコストを削減することができるので過疎地にもバスを走らせることができるようになります。
※自動運転バスの実証実験の様子を知りたい方はこちらの記事を参考にしてみましょう
さらに、高速バスの例としてはバス会社のウィラーエクスプレス株式会社と東京大学が高速バスの自動運転として「隊列走行」の研究を進めています。これは人がいる「有人のバス」の車両とと自動運転の「無人のバス」の車両を隣合わせて走らせることです。先ほどの「高速バスに乗っているときには、無人運転のバスの隣に人がいるバスがいた」という状態がまさにこの状態です。
これはあくまで「レベル4」想定なのですが、これが「レベル5」になれば完全に自動で運転することができるようになるはず。とはいえ、「運転教習」の場面でも紹介したとおり、やはり事故のときの責任や自動車保険の仕組みなどに課題を抱えています。もしこれらの課題が解決したら、「完全無人の高速バス」が登場する可能性がありますよね!
さて、次は皆さんがよく使っている「宅配便」がさらに進化した姿をお伝えしていきます。
好きな時間帯に宅配便を受け取ることができる!
最近は「宅配ボックス」を使って、家にいないときでも宅配便を受け取ることができるようになっていますよね。とはいえ、サービスによっては宅配ボックスがなかったりしてなかなか宅配便を受け取ることができない、という方も多いはず。実は無人の車が走ることによって、それが解消されるかもしれないのです。そんな一場面を見てみましょう。
もし宅配便が無人で配達してくれたら
仕事柄、どうしても外出することが多い私はしょっちゅう宅配便を受け取れないことがある。もちろん時間指定ができるものは土日の家にいる時間帯に指定はしているし、急ぎじゃないものは宅配ボックスを使っていることもしばしば。
ところが、今日は帰ったら「不在票」が入っていた。


ああ、また受け取りそこねた・・・申し訳ないなぁ・・・
なぜなら私は通販サイトで、結婚式でつかうバッグを注文していたからだ。通販サイトで注文すると、商品の到着時間を選べない場合があるからこういう事態があるのは仕方ないことなのだ。とはいえ、その結婚式がなんともう明日に迫っているのだ!今日受け取っておかないと困る。
そこで不在票に書かれていたQRコードを読み取り、スマホで「今すぐ届けてほしい」と注文した。
そして20分後、スマホに「もうすぐ荷物が到着します」というお知らせがあった。何やら車の音がすると思って玄関先に出たら、無人の宅配車が家の前に現れた。私は車の扉を開けて、無事にバッグを受け取ることができた。


あぁ〜、助かった!ありがとう!
あと、忙しい時は全然買い物に行くことができないこともあるんだけど、同じサービスを使ってスーパーで買物を頼むこともできる。そのため、「今日はトマトときゅうりとなすとトイレットペーパーを○○で買ってきて」という注文もできる。
今更だけど、便利な世の中になったんだなぁ・・・って感心してしまった。ところが家帰ってふと鏡見て、


最近なんでも家で済むようになったり、車移動が多くなったから運動してない気がする・・・まさか・・・太った・・・?
恐る恐る体重計に乗ってみたら、引っ越す前より5kg太っていた。そういえば引っ越してから自動運転の車移動になったし、買い物もすべて宅配サービスで済ますようにしているな。つまり家でなんでもできるようになった反面、きっと運動不足だ。


明日から買い物は近くのスーパーまで歩いて行こう・・・。
宅配が無人化すると、再配達も買い物も楽になる!
どういうことなのかというと、無人の車が公道を走ることができるようになると、
- 宅配便で気軽に再配達が頼めるようになる
- しかも到着時間までお知らせしてくれる
- さらに買い物まで代行してくれるので、遠くまで買い物に行かなくても済む
ができるようになるかもしれません。実際にヤマト運輸が宅配自動化を進めている中で、自動運転による宅配便サービス「ロボネコデリバリー」と、同じく自動運転による買い物代行サービス「ロボネコストア」の実用化を進めています。
※このサービスを詳しく紹介している記事がこちら
現在はまだ実証実験中ですが、「ロボネコデリバリー」では、スマホで時間・受け取り場所を指定できます。しかも荷物が届く前にスマホで通知も送ってくれるのは便利ですよね。また、スーパーまで遠くて買い物ができない、という人でも「ロボネコストア」があれば買い物も家で済ませることができます。
とはいえ、車の技術が進歩するにつれて私たちがだらだらしてしまう・・・なんてこともありうるかもしれません。便利な世の中になっても、あまりだらだらしすぎないようにしましょう。でないと私みたいに知らない間に太ってしまう・・・なんてことがあるかもしれません。
というわけで、「もし無人の車が公道を走るようになったら、どんな生活をおくるようになるのか」を見てみました。ざっくりその変化をまとめるとこんな感じです。
- 私たちが自動運転の操作方法を学ぶようになり、高速道路の運転が楽になる
- 無人の車が渋滞知らずのルートを通ってくれる
- 運転にとられていた時間を、睡眠や仕事に当てることができる
- 遠くに買い物へ行かなくてすむようになる
- 好きな時間に宅配便を受け取ることができるようになる
確かに慣れていないうちは、一番最初に私が感じたような「あの車、無人で運転しているけど大丈夫かな」という不安を感じるかもしれません。また、自動運転の車が普及しても、「AI(人工知能)の運転が完全とは限らない」という考え方からしばらく運転免許を持つ私たちが緊急のときの対応をする必要があります。
とはいえ、自動運転が実用化された場合は宅配便・バス・タクシーなど、さまざまな場面で利用できるようになります。また、自分の車で自動運転が使えるようになった場合は今まで渋滞や運転によって取られていた時間が自由になるでしょう。公共交通機関もより便利になってくに違いありません。
完全な自動運転化するようになった場合は、運転免許証がいらなくなる日が来るかもしれません。そして、いずれ無人の状態でも運転される車が普及すると、今回お伝えした未来像が実現している可能性がありますよね。
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