人間が運転することを止め、AI(人工知能)システムに運転を任せる「自動運転」の世界。何それ?どうせ未来でしょ?日本に来るのはまだまだ先の話でしょ?もしかしたら自分がいなくなった後の話かもしれないし…などと、他人事気分で考える方ってまだまだ多いですよね。
しかし我々の知らないうちに自動運転の開発がものすごく進んでいるんです!すでにアメリカのアリゾナ州の一部では、条件付きとはいえ世界初の自動運転タクシーが営業を開始しました!アメリカでは一般向けの自動運転車が公道を走る実験も盛んに行われていて、その車が死亡事故まで起こしているんですよ!
知らないうちに自動運転が「いいことばかり」というフレコミで私たちの生活に徐々に入り込んだら…⁉︎漠然と恐いし、もし家族や友達が自動運転の車が起こす交通事故に巻き込まれるようなことがあったら…⁉︎その時に「自動運転を取り巻く世界を知らなかった」では済ませたくないですよね。
そもそもどうして死亡事故を起こしてまでも、自動運転の開発を続ける必要があるんでしょうか?そうまでしていいことあんのか?って話です!一般ピープルとして、ここのところはぜひ深く考察していかねばなりません!
日本も国家プロジェクトとして、自動運転の開発に多大なお金かけてますしね!つまり税金ですよ!私たちの金がぁぁぁ!!!ですよ。知らないことに自分の金をたくさん使われている状況は耐えられないので、ガッツリお伝えしますよー!!!
では、そろそろ始めましょうか!いつものようにキャラ達の力を借りてわかりやすくご説明しますね。
自動運転車が起こした死亡事故!
「人間の運転より安全」という噂の自動運転。はたして本当に安全なのか気になりますよね!?アメリカでは世界に先駆けて公道を走る実験も行われていますが、すでに死亡事故が何件か起こっているんです!では自動運転車が最初に起こした歩行者死亡事故から見ていきましょう。
ウーバー自動運転車が起こした世界初の歩行者死亡事故
2018年3月18日夜、アリゾナ州でウーバー車が自動運転モード中に歩行者に衝突。この事故で自転車を押して道路を横切っていた49歳の女性が死亡した。
この車はボルボ車を元に自動運転対応させたもので、時速約64kmで走行しており減速した痕跡もなし。事故時には44歳のドライバーが安全管理のため乗っていたが、急ブレーキをかける間もなかった。
事故状況と事故を起こした車(出典:米運輸安全委員会)
そしてなんと…事故発生時の車載カメラの動画が地元警察のツイッターで公開されています…さすがアメリカ…警察がここまで見せるか…。衝突直前までの車外と車内の動画ですが、リアルなので見てしまうとキツイです…。
Tempe Police Vehicular Crimes Unit is actively investigating
the details of this incident that occurred on March 18th. We will provide updated information regarding the investigation once it is available. pic.twitter.com/2dVP72TziQ— Tempe Police (@TempePolice) March 21, 2018
この動画を初めて見た時は、うわ…これはヒドい…自動運転恐すぎ!自動運転車のある未来なんてダメ!って不安な気持ちになりました!そりゃ、なりましたとも!しかし事故後の調査で様々な事実が判明してくると、これは単純に自動運転システムの問題だけなのか!?と感じるように…。
事故後の調査でわかったことを簡単にまとめると…
- 安全管理のために乗っていたドライバーが、事故直前まで前方を見ずにスマホでドラマを見ていた(もちろん仕事中はスマホ禁止)
- 動作安定のため、ボルボ車に元から搭載されている衝突回避システムをウーバー社が止めていた
- カメラ等のハードウェアはきちんと動いていたが、それを「異常」と判断するソフトウェアの設定値が低かった
- システムが「異常」を察知した時に、運転手に急ブレーキをかけるように警告する、という仕組みがなかった
- システムが急ブレーキをかける権限もなかった
これって…人災も入ってるね…
そうなんだよねー。ホントは「自動運転大反対!」って言いたかったけど、細かく事情見ていくと自動運転だけに全責任押し付けるわけにいかないって気持ちになったのよー。
そっか…
ウーバー社が衝突回避システム止めてるし、システムがうまくいかなかった時の安全管理用のドライバーもサボってるし…
ドライバーがドラマ見てたって…
自動運転が快適すぎて緊張感なくなったんだろうね…。ただ退屈な道路見てるだけで運転しなかったら眠くもなるし、違うことしたくなりそうだよね。自動運転が普及したらこのタイプの事故は多発しそう…
うん…自動運転が実用化されるまでにきっとまた犠牲が出るよね…
悲しいけど…発展には犠牲がつきものだよね。私たちはせめて発展と犠牲のバランスをきちんと考えていかなきゃならないね…
そうだね…
次に、その他の自動運転車の死亡事故についても見ていきましょう。
テスラ自動運転車の死亡事故(1)
2016年5月7日、フロリダ州でテスラの電気自動車「モデルS」が、部分自動運転モード中にトレーラーに衝突してドライバーが死亡した。
日差しの強さや色などで自動運転のシステムが、白いトレーラーを「物体」と認識できなかったことが事故の一因。しかしこの時の自動運転モードは「レベル2」であり、自動運転はあくまでも人間の補助。
ドライバーがハンドルを握るべきだった時間37分に対し、実際にハンドルを握った時間はわずか25秒。システムはドライバーに対し、ハンドルを握るよう警告を7回出していた。
テスラ自動運転車の死亡事故(2)
2018年3月23日、カリフォルニア州でテスラの電気自動車「モデルX」が、部分自動運転モード中に中央分離帯に衝突してドライバーが死亡した。
テスラ車が自動運転中に死亡事故を起こすのは2度目だが、この時の自動運転モードも「レベル2」であり、自動運転は人間の補助という位置づけ。システムは事故前に数回ドライバーにハンドルを握るように警告を発していたが、ハンドルが握られた形跡はなし。
ドライバーは「部分自動運転モード」を「全自動運転モード」と勘違いしていて、システムに運転を任せていたようだ。
このテスラ車の2つの事故は「部分自動運転モード:レベル2」中の話だから、運転者は人間なんだ。
え…?
ちなみに世界初死亡事故のウーバー車の事故は「自動運転モード:レベル4」中の話だから、運転者はシステムなんだ。
え…!?
テスラ車の事故は2016年、ウーバー車の事故は2018年なんだけど、自動運転のレベルが違うから、運転者がシステムであるウーバー車の事故の方が「自動運転車が起こした世界初の死亡事故」と言われることが多いんだよ。
ちょっと待ったぁぁぁぁ!!!
な、なに?
ぜんっぜん、意味わかんねーっ!!サラッと「部分」とか言うなーっ!間違い探しかよっ⁉︎っつーか「レベル2」「レベル4」って何?レベルEは大好きな漫画だけど、そのこととは関係ないよね⁉︎
(冨樫義博の才能は認めつつスルー)あ、そうか。自動運転のレベル説明がまだだったね。説明するからよく読んでみてね。
自動運転のレベルをサラッと理解
ここで自動運転のレベルについて少し学んでおきましょう。とりあえず次の3つのポイントをおさえつつ、レベルの違いを眺めておけばOKです。
- レベル0〜5まである(全部で6段階:0,1,2,3,4,5)
- レベルによって、主な運転者が変わる(人間か?システムか?)
- レベルによって、自動運転の走行場所が限定されている(レベル0と5だけ限定なし)
レベル | 内容 | 運転者 | 走行場所 |
0 | 自動運転なし(通常運転) | 人間 | 限定なし |
1 | 運転支援 | 限定あり | |
2 | 部分的な自動運転 | ||
3 | 条件付きの自動運転 | システム(緊急時は人間) | |
4 | 高度な自動運転 | システム | |
5 | 完全な自動運転 | 限定なし |
つまり日常私たちが行っている運転は、自動運転なしの「レベル0」で、システム任せの自動運転と言えるようになるのは「レベル3」からってことですね。「レベル4」になると運転の主体は完全にシステム(クルマ)になります。
主な運転者が人間からシステムに変わるポイントは、レベル2と3の間ですけど、レベル3は緊急時などの対応を人間がしなきゃならないから、いざという時にハンドルを握れるような準備をしておかねばです!
日本の道路交通法はどうなるの?
自動運転のレベルがわかったところで、次に日本の法律はどーなるかを見ていきましょう。
警察庁が公表した道路交通法の改正試案に「自動運転」についての項目があるので、さっそく見てみましょう!するとなんと「レベル3」の自動運転の時に、すぐに人間の運転に切り替えることを条件として、「スマホ・携帯電話の操作OK、カーナビ画面をじっと見てもOK」となりそうなことが判明!
そんなの夢すぎて恐いのは私だけでしょうか…!?レベル3の自動運転中ですぐに人間が運転を代われる状態であれば、かなり自由なことができそうです!スマホOKなら読書もイケそうだし、ドラマ見るとかもできそうだし…。飲酒と睡眠はNGですけど、運転中にできそうなことって他にもありそうですよね。
この道路交通法の改正案は、2020年を施行目標としています。レベル4と5については、まだまだ検討が必要なようですが、レベル3の自動運転の法改正はもうすぐそこまで来てるんですね!あーびっくりしたー!
浮かれてばかりもいられないと思うよー。自動運転レベル3でスマホ見るって、ウーバー車の死亡事故の時とほぼ同じ状況だよね…
ゲッ!ホントだ!こりゃヤバイ!
キミなんか普段でも前方不注意だから特にまずいよね…
そうだね!歩いてて電柱激突なんか日常茶飯事だしね…。スマホやカーナビでドラマ見てまったりしてる時に「前方危ないからハンドル握って!」って急にクルマに言われても慌てちゃって冷静に対応できないと思うー。
気持ちの切り替えが難しそうだよね。
自動運転の技術が進化すれば、それだけリラックスしちゃいそうだし…。運転する時の緊張と緩和のバランスがすごく難しそう!お笑い芸人並みのセンス要求されんじゃね?
そ、そうだね…。いやいや、そうかぁ?(やった!憧れのノリツッコミ!)
(キャラ解説を読みたい方はコチラ)
いいこといっぱい!自動運転のメリット
自動運転のことを色々学べたところで、ダダッとメリットを見てみましょう!
- ドライバー不足を解消できる
- 無人バス等の普及で、過疎の町でも暮らしやすくなる
- 高齢者や障がい者が移動しやすくなる
- 車を持たずにカーシェアしながら暮らせる
- 多くのカメラを搭載するため車が盗難されにくい
- 人間を上回る運転技術により、最高制限速度が緩和される
- 人間による無駄な運転が減って渋滞解消
- 省エネルギー運転ができて地球に優しい
- 人間的な不注意がなくなり、事故が減る
- 事故が減って保険料が安くなる
- あおり運転などの危険運転や迷惑運転が減る
- 運転ヘタな人のストレスが減る
- 運転の時間を自由時間にできる
- 無人車なら運転免許が不要になる
ビバ!自動運転!なんだかとても便利そうですよね。これらはメリットの一部ですが、相当色々な問題を解決できそうですね!一つ一つ解説していきたいところですが、今回はとりあえずこんな感じなんだなーと軽く見ておく程度で先へ進めましょう。
他にもいいことありそうだよね?
これは私だけの考えなんだけどさー。誘拐とか殺人とか悪いことができないようにしてもらいたい。
それ、画期的かも!?
車内にも必ずカメラ付けるようにして、明らかに犯罪の匂いがする時は、システムが運転しないって判断してくれたら自動運転マジ歓迎!
特に誘拐なんかはわかりやすいと思うんだよねー。嫌がってる人を車に連れ込む動作、とか普通じゃないでしょ!?
わかりやすくおかしな行動だったら察知できそうだね。
でさ、もう絶対これ犯罪って確信したら、ドアにロックしてそのまま最寄りの警察署に行って欲しい…!!!
わぉ!SF映画みたいだね!!!
この車は「刑事車」と書いて「デカー」と読む!
世界中の車はいざとなったら、デカーに変身するのだぁぁぁ!!!
おバカなB級映画みたいになってきたよ…海外でもデカーで通すんだ…
これぞ未来って感じしない?プライバシーの問題、人間の尊厳うんぬんの問題は色々ありそうだけど、でも…どうせ進化するなら大きな「悪」をなくす方向にいって欲しいな…!!!
壮大なテーマだけど、一考の価値はありそうだね!
ぜひ、よろしくお願いしまーす!
どっかのエライ人に届くといいね…
恐いけど知ろう!自動運転のデメリット
次に、避けては通れない自動運転のデメリットを見てみましょう!
- カーシェアで自動車の台数が減ると、関連業務で働く人の仕事が減る
- 天気の悪い日など、車載カメラが使えないと運転できない
- 運転好きな人にとっては楽しみがなくなる
- 事故の責任を判断するのが難しい
- 事故を避けられない場合、何を犠牲にするか判断が難しい
- 人間がリラックスしすぎて不注意になる
- システムをハッキングされたら車が犯罪を犯す
メリットと比べると、数は少ないですがかなり深刻な問題が含まれていますよね。たとえば天気がいい時に気分良く遠くまでドライブして、帰りに山の中で「悪天候のため運転不可能です」とか言われたらどうすりゃいいのでしょうか!?
車も高額化して一般ピープルには手の届かない金額になりそうな気もするし…。そして何より最後の「システムをハッキングされたら車が犯罪を犯す」というのが、めちゃくちゃヤバイ予感!!
自分が乗っている車が突然猛スピードで壁に激突したり、他の人に激突して事故を起こしたり…というようなことが現実に起こったら、と考えるととても恐ろしいですね!しかもこの場合は犯人が直接的に見えないので、怒りの矛先が不明なまま天国に召されるかもしれません。
これめちゃくちゃ恐ええ。自分の車が突然テロに利用されるかもしれないってことでしょ⁉︎
うん。恐いよね…
私なんか日頃の言動がアレだから、ガチでテロリストと思われたらどうしよ…
たしかに…
どーやって身の潔白を証明すればいいの?もうこの世にはいないかもしれないのに…
システムに何があったかわからないとあとで困るから、自動運転の条件には記録の義務もあるんだよ。
そっか!じゃあ安心だね!……ってならねーよっ!
これは今後の大きな課題なんだ…
えーっ!なんとかしてよー!エライ人!
ドラえもん扱い…
夢でなくこれ現実!自動運転のリアル動画
自動運転のメリットとデメリットがわかってきたところで、いよいよ運転の様子を見てみましょう!なんと私に何の許可もなく、すでに日本でも自動運転が行われているではないですかぁぁぁ!!ちょっとちょっとぉ!一言言っといてよねー!
テスラ車が日本の高速道路を走っとる!
この動画を見て確実に言えることは、テスラ車の自動運転は私の運転よりはるかに上手いってことです!ここは自信持って断言できます!
一般道でも車線変更なんて恐くてなかなかできないのに、このテスラ車は人間がウインカーを出すだけで、周りのトラックに躊躇することもなくスムーズに車線変更するではないですか!しかも縦列駐車までもスムーズに!
テスラ車が東京の一般道を走っとる!
こちらは東京の夜をステキに走るテスラ車。車多くてビビるなーとか、うわうわ、路駐してる車どーしよー、恐いよー!という動揺が感じられない安定した走り。
ちなみにテスラ車の中でもコンパクトでお安いモデルは約500万円~とのこと。1,700万円くらいのテスラ車もあるから、ずいぶんお値段がんばった感じがしまーす!
ウェイモのタクシーがアリゾナ州を走っとる!
実際の運用状況
無人での自動運転
AIシステムから見た運転の様子
ウェイモ(Waymo)とは、googleの自動運転車の開発部門が独立した会社。つまり「OK!google!自動運転車を開発して!」ってことです!googleに世界の良さげな脳みそ集まってる説実証って感じでしょうか。
実際の運用では緊急時の対応のため人間のドライバーが乗っていますが、スマホでタクシーを呼び目的地に着くまで、スムーズに走行できているように見えますよね。今はまだこの試みに参加している400人ほどに向けた有料の限定サービスですが、将来的にはホテルやレストランと提携して無料で乗れるようになるのではないか、との予想も!
ううっ…生きてるうちにこんな世界を見られるなんて…
無人運転ではないし、まだ課題はたくさんあるけどね…
そうだね…そこは忘れちゃいけないね。でも…現実が未来すぎて感動しちゃったよ…
キミってさー。たまにバカがつくほど単純だよね…。なぜかWaymoの開発スタッフの様子見て泣いてたもんね…。涙腺弱いポイントよくわかんないや。
はっ!?見てたのかー!イミフだと自分でもわかってるけど、涙が勝手にー。たぶん、陰ながらがんばってる人に弱いのかもなぁ…
自動運転は華やかなイメージだけど、その裏には見果てぬ夢に向かって日夜奮闘している人たちがいるってことだね!
そうそれ!それを思うと頭が下がるよ!ほんっとにがんばれよ!どっかのエライ人ー!!
キミそろそろ消されるんじゃ…
まとめ
さて、ここまでの流れをサラ〜っとふり返りましょうか。
- 自動運転車が起こした世界初の死亡事故は、人災の要素が強かった
- 自動運転のレベルによって、事故発生時の責任の所在が変わる
- 日本の道路交通法も、自動運転に対応する改正の動きを見せている
- 自動運転には多くのメリットと、数少ないが複雑なデメリットがある
- 自動運転車はすでに公道を走っている
- 世界初の自動運転タクシーも実用化されている
自動運転で死亡事故があったことも、自動運転にレベルがあることも全く知らなかった私でしたが、血税をムダ使いされたくない一心で調べた結果、今まで見えていなかった夢の世界がかなり見えたような気がします!いや、マジで!
自動運転のメリットは、個々に見ると些細なことかもしれません。しかしこれらが合わさった時、社会に革命をもたらすような大きな波が来そうですね!自動運転の普及によって、過疎化した町が息を吹き返し、運転の時間が自由時間になり、目を覆うような痛ましい事故が減り、高齢者や障がい者が暮らしやすい未来に…。
その波に飲み込まれぬように、沈んだり波乗りしたりしながら、考えるべきことは考えていきたいですね。そして新しい世界では、少しずつでも大きな「悪」を減らしていけたらいいですよね!合言葉はもちろん、これですよ!
「なんとかしてよー!エライ人!」
最後までお付き合いくださり、ありがとうございましたー!!!
この場合のハッキング(正確にはクラッキング)とは、システムを乗っ取るということ。車のシステムをハッキングされたら、外部から車の動きをコントロールされてしまいます。他人が操作するリモコンカーに乗っているというイメージですね。