AI(人工知能)ニュース

AIが宅配自動化やバス自動運転により私たちの暮らしを更に便利に

AIが宅配自動化やバス自動運転により私たちの暮らしを更に便利に

毎日の生活の中で、私たちは当たり前のように宅配便で物を受け取ったり、バスや電車に乗ったりしていますよね。

このように暮らしに欠かせない物流と公共交通機関の業界において、現在、自動運転が注目されているのです。その大きな理由の一つとして、深刻なドライバー不足という問題が挙げられます

もともと、物流と公共交通は、人間の労働力による業務の割合が大きい産業(労働集約型産業)のため、少子高齢化による人手不足の影響を最も受けやすい産業なんです。

これらの問題に対する最も有効な解決手段として、AI(人工知能)が注目されたのです。実は、物流では宅配自動化、公共交通の場合はバス自動運転において、既にAI(人工知能)の適用が進められているんです。(現在はいずれも実証実験のレベルです)

今回は、宅配自動化とバス自動運転におけるAI(人工知能)適用状況についてご紹介します。

まず最初に、宅配最大手のヤマト運輸による宅配自動化への取り組みである「ロボネコヤマト」について見てみましょう。

ロボネコヤマトとは

ロボネコヤマトのロゴのイメージ

ロボネコヤマトとは、ヤマト運輸と、AI(人工知能)事業を進めるディー・エヌ・エーが進める宅配自動化プロジェクトです。さまざまな実証実験結果をもとに、2020年代中頃の宅配自動化サービス提供を目指しています。

ロボネコヤマトはAI(人工知能)を活用した自動運転技術により、以下の2つのサービス提供を予定しています。

  • ロボネコデリバリー:自動運転による宅配便サービス
  • ロボネコストア:自動運転による買い物代行サービス

ロボネコヤマト誕生の背景には、ネット通販の急速な浸透により発生した再配達増加(宅配便の約2割が不在により再配達の対象に)の問題もありました。

それではまず最初に、宅配便サービスであるロボネコデリバリーについて見てみましょう。

ロボネコデリバリー:自動運転による宅配便サービス

ロボネコデリバリーのイメージ

ロボネコデリバリーにより、あなたはスマホで指定した時間と場所で荷物を受取ることができます。受け取る時間は、なんと10分単位で指定することができます。

ただし、現在の宅配サービスと一つだけ大きく異なる点があります。それは、ロボネコデリバリーは自宅の玄関までは荷物を運んでくれない、という点です。

例えば、ロボネコデリバリーを利用してあなたが自宅で荷物を受け取る場合、玄関を出て道路に停車している配達車まで荷物を受け取りに行く必要があります。

なお、荷物の受け取り場所は路上であれば自由に指定可能なため、帰宅途中の路上あるいは外出先の任意の路上で荷物を受取ることも出来ます。これは便利ですね!ロボネコデリバリーの利用手順は以下のとおりです。

  1. 事前にスマホで受け取り場所と時間を指定します。受け取り時間は10分単位で指定することができます。
  2. 荷物到着予定の3分前になるとスマホへ通知が届きます。なお、自動運転で到着した配達車は、指定した受け取り場所に指定時刻から10分間までは待機してくれます。
  3. 利用者が配達車(扉は自動で開く)内部の荷物ボックスに対し、スマホで認証操作を行うと荷物ボックスの扉が開いて荷物を受取ることができます。

現在の宅配サービスの配達時間指定は2~3時間単位と幅があるため、いつ届くのか気になってしまう点がありましたが、ロボネコヤマトでは10分単位で受け取り時間を指定できる点が大きなセールスポイントとなっています。

このきめ細かな運行スケジュール実現のために、ヤマト運輸独自の配送ルール(例:信号がある地点以外では、右折ではなく左折を極力選択など)と、AI(人工知能)がリアルタイムで走行ルート計算を行う機能とを組み合わせた独自の配送管理システムを構築しました。

配達車は、事前に登録された詳細な地図情報と車載カメラを活用することにより、障害物の有無などを検知しながら、AI(人工知能)が道路の混雑状況含めて総合的に状況を判断しながら自動運転します。

それでは次に、自動運転による買い物代行サービスである、ロボネコストアについて見てみましょう。

ロボネコストア:自動運転による買い物代行サービス

スーパーマーケット店内のイメージ

ロボネコストアとは、利用者が専用サイトで近隣のスーパー、飲食店、ドラッグストアなどで注文した商品をロボネコヤマトの配達車が各店舗でピックアップし、利用者指定の場所にまとめて届けてくれるという、まさに動くコンビニのようなサービスですね。

  • ちなみにロボネコストアは、ロボネコデリバリーの宅配サービスが午前の早い時間帯と午後の遅い時間帯に注文が集中してしまうことから、なんとか空いた時間帯を有効活用したいという考えから生まれたサービスなんです。
  • なお、本サービスは出前販売サービスを実施したくても、今まで予算面で手が出せなかった多くのスーパーや飲食店などからも大きな期待が寄せられています。

宅配サービスのロボネコデリバリーと、買い物代行サービスのロボネコストアは同じ配達車で実施します。

宅配サービス中に買い物代行の注文が入った場合でも、どういったルートで対応すれば最も効率的に配送できるか、AI(人工知能)がリアルタイムに計算し運行ルートを組み立てながら対応してくれるんです。

なお、ロボネコストアの場合も受け取り場所として指定できるのは、ロボネコデリバリーと同じく路上のみとなります。

以上、宅配自動化を実現を目指すロボネコヤマトをご紹介しました。ロボネコヤマトが宅配サービスをさらに便利なものに進化させることに加えて、ドライバー不足の問題も解決できるという、非常に魅力的なサービスだといえるでしょう。

それでは次に、バスの自動運転の実現を目指す取り組みについて見てみましょう。

バスの自動運転が求められている背景

バスを運転しているイメージ

地方では高齢化と過疎化による人手不足や財政難のため、バスや鉄道の公共交通の運営が困難な状況になっています。

  • 特に地方におけるバスのドライバー不足は極めて深刻な問題で、バスの減便や路線廃止が避けられないことから高齢の方や交通弱者の方々が買い物や病院に行けなくなる事態が発生しています。
  • このまま高齢化によるドライバー不足が全国で進むと、日本全体の公共交通に大きな影響を及ぼす可能性もあります。

このような課題に対し、政府主導によるプロジェクトの一環として、バスの自動運転の実証実験が2017年より全国各地で行われています。

自動運転バスの実現によりドライバー不足を補うことが可能となるため、バス会社の採算改善による運行本数の増便、不採算路線廃止の回避などの効果が見込まれています。地方の高齢の方や交通弱者の方々にとって、自動運転バスはまさに希望の交通手段となっているんです。

バスがまた、通るようになったから

次に自動運転バスの仕組みについて確認しましょう。

自動運転バスの仕組み

BSドライブ社の自動運転バスのイメージ

ここでは2017年より実証実験を行っているSBドライブ株式会社(ソフトバンクと先進モビリティ株式会社の合弁会社)による自動運転バスの仕組みをご紹介します。

大まかに、高精度のルートトレース性能、ディープラーニング画像認識による安全確認および遠隔運行管理システムによる監視機能という3点に分けて見ていきましょう。

  • 高精度のルートトレース性能
    バスが定められたルートを走ることができるように、道路に埋め込まれた磁気マーカーを車載センサーで認識することにより横方向のズレを検出し、高精度のルートトレース性能を実現します。
  • ディープラーニング画像認識による安全確認
    車載カメラで撮影した社内乗客の姿勢をディープラーニングで解析、また、運行ルート上の様々な場所に設置された車外カメラで撮影した歩行者の映像をディープラーニングで解析することにより利用者の安全確認を行います。
  • 遠隔運行管理システムによる監視
    車載カメラおよび運行ルート上のカメラの映像、自動運転バスの位置情報、また、バスに設定された各種センサーによる計測情報を遠隔運行管理システム「Dispatcher」が随時収集します。

運行管理事務所において、大型二種免許を持つスタッフがDispatcherを常に監視することにより自動運転バスを見守ります。

また、無人の自動運転バスに安心して乗ってもらうための工夫として、車内のディスプレイにバーチャルガイドを表示して乗客へのアナウンスを行うサービスの試行も行われています

このバーチャルガイドはアニメーションですが、顔の表情やまばたきの動きなどに、遠隔運行管理システムで自動運転バスを監視しているスタッフの動きをリアルタイムに反映することで人間らしい表情を実現しており、乗客に安心感と親しみを持ってもらうことを狙っています。

バス車内のイメージ

以上、今回は、宅配自動化とバス自動運転におけるAI(人工知能)適用の現状についてご紹介しました。

宅配自動化
あなたはスマホで指定した時間と場所で荷物を受取ることができます。受け取る時間は10分単位で指定することができます。また、買い物代行サービスにより、近隣のスーパー、飲食店、ドラッグストアなどから注文した商品を届けてもらうこともできます。
バス自動運転
地方におけるバスのドライバー不足は極めて深刻な問題で、バスの減便や路線廃止が避けられないことから高齢の方や交通弱者の方々が買い物や病院に行けなくなる事態が発生しています。バス自動運転はこういった方々にとって、まさに希望の交通手段となります。

宅配自動化およびバス自動運転のいずれの事例からも、AI(人工知能)が人手不足の解消に極めて有効な技術であることが分かるはずです。

なお、現在のロボネコヤマトでは指定された路上までの配達のため、利用者が配達車まで荷物を取りに行く必要がありますが、いずれは配達車から玄関まで運ぶ作業も自動化される可能性があります。

近い将来、配達車から出動した宅配ロボットや宅配ドローンが、あなたの荷物や商品を玄関まで運んでくれる社会がきっと実現します。わくわくして待つことにしましょう。

 

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