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AIで仕事を見直して業務効率化を実現!毎日定時に帰ろう!

AIで仕事を見直して業務効率化を実現!毎日定時に帰ろう!

長時間労働にも関わらず全く増えない給料、さらにはじわじわ進む少子高齢化のことを考えてしまうと、明るい未来はなかなか想像しづらい状況にありますよね。

このような状況で私たちの未来を変えるためには、私たち一人ひとり仕事のやり方を見直して業務効率化を進める必要があります

ところで、現在の私たちは日々どれくらい効率良く仕事ができているのか、ちょっと気になりますよね。仕事の効率を示す指標として「生産性」がありますが、実は日本の生産性は先進7カ国において最下位という、とても残念な状況です。

このままだと私たちは将来、極めて深刻な危機を迎えてしまいます。

はたして、私たちには今後どういった取り組みが必要なのでしょうか。その最有力候補として現在注目されているのが業務効率化へのAI(人工知能)適用です。

近年、「自ら学習し、人間よりも速く正確に処理可能で、しかも疲れ知らず」という特長を持つAI(人工知能)を、お客さんからの問い合わせ対応やお客さん情報管理などに活用することにより、作業ミスや作業時間を大幅に削減できることが分かっています。

ということで、今回は業務効率化へのAI(人工知能)適用事例やその有効性について一緒に考えましょう。

まずは適用事例の紹介に入る前に、現在の日本の生産性は世界でどの程度に位置づけられているのか、確認しましょう。

GDP世界第3位である日本の生産性は?

日本経済のイメージ

生産性とは、モノやサービスの「価値」を生み出すために投入された「労力」が、どれだけ効率良く使われたかを示す指標で、以下のように表すことができます。

生産性 =(アウトプット[価値])÷(インプット[労力])

つまり、生産性を高めるためには、より少ないインプット[労力]でより大きなアウトプット[価値]を生み出す必要があります。

さて、ここで日本の生産性を確認しましょう。

実は日本の生産性は21位で(冒頭でも申したとおり)先進7カ国において最下位、といった状況が1970年以来続いています。(公益財団法人 日本生産性本部「労働生産性の国際比較2019」就業者一人あたりのGDPによる評価。OECD加盟36カ国中21位)

毎日残業して、こんなに一生懸命がんばっているのに、先進7カ国最下位の21位なんて悲しすぎますよね。国の豊かさを示す経済指標であるGDP(国内総生産)が世界第3位である日本としては、なんとも納得できないと考える人がいるかもしれません。

(参考)日本のGDPが世界第3位の理由は、実は人口の多さが原因
先進7カ国の中で人口が1億を超えているのはアメリカと日本だけなんです(アメリカ[3.3億人]、日本[1.3億人]、ドイツ[0.8億人]、イギリス[0.7億人]、フランス[0.6億人]、イタリア[0.6億人]、カナダ[0.4億人])。
ちなみにGDP世界第2位の中国の人口は13.5億人です。

ここで、人口が日本(1.3億人)の半分しかないイタリア(0.6億人)と比較しましょう。

イタリアの生産性は11位と日本(21位)を大きく上回っています。それだけでも驚きですが、さらに驚くのは1日の給与労働時間です。日本の452分/日に対してイタリアはなんと221分/日と約半分なんです。

もちろん、働くことに生きがいを感じる日本人特性もあるので、必ずしも「長時間労働」=「悪」と考える必要はありませんが、それにしても、かなり考えさせられる数値ですよね。

テツヤ
テツヤ

イタリアの皆さんには大変申し訳ないけど、なんか信じられない気持ちです。何かおかしい…

一方で、私たちに希望を与えてくれる数値もあります。国ごとの競争力を測るランキングでは日本は6位と高く評価され、(世界経済フォーラム「世界競争力報告 2019年版」)日本人の潜在能力が高く評価される結果になりました。これなら納得できる数字ですよね。皆さん、自信を持ちましょう!

とはいえ私たちの潜在能力は高く評価されているのに、低い生産性にとどまってしまっているのは確かに問題ですが、前向きに考えれば、業務効率化による改善の余地は非常に大きいでしょう。

以上のことから、日本の未来の危機を乗り越えるためには業務効率化は必要不可欠です。

それでは次に、高い潜在能力を持つ日本の生産性が、なぜ先進7カ国において最下位の状況が続いているのか、について考えましょう。

日本の生産性はなぜ低いのか?

日本の生産性が低い理由については様々な研究がなされていますが、ここではいくつか考えられる理由についてご紹介します。

過剰なサービス

宅配のイメージ

生産性を他国と比較すると、小売業、飲食業、宿泊業などのサービス業において日本が大きく下回っています。どうやら利用者にとって「手厚く便利で、きめ細かすぎるサービス」が問題とのこと。

例えば宅配便サービスの場合、2割程度発生するとされる再配達を廃止し、荷物を玄関前に置く「置き配」に切り替えることにより、生産性を約1割改善できるといわれています。

もう一つの例としては、アメリカの量販店の場合、お客さんの質問を受けて(お客さんを)目的の商品棚まで誘導するサービスは、店員の職務には含まれていません。

つまり、サービス業の生産性向上のためには、私たち日本人のサービスに対する価値観を切り替える(他国の「大雑把」なサービスレベルに合わせる)必要があるでしょう。

テツヤ
テツヤ

24時間営業のコンビニはとても便利で助かるのですが、生産性という観点では問題ありそうですね。でも、24時間営業でなくなるのは、ちょっとさびしい気がします。

中小企業が多すぎる

大企業のイメージ

研究によると、企業の規模が大きくなればなるほど生産性が上がることが分かっています。

企業規模が大きくなると分業が可能となり、一人ひとりの専門性を高めることができます。逆に人数が少ないと、一人で様々な業務を担当しなければならないため、一人ひとりの社員にかかる負荷が増大し、本来の業務へ割り当てる時間が減ってしまうのです。

ここで大企業で働いている労働人口割合をアメリカと日本とで比較してみましょう。

アメリカ(生産性 世界3位)では労働人口の約半数が大企業で働いているのに対し、日本(同21位)は約13%とかなりの乖離があります。なお、これは日本とアメリカとの間だけに見られる現象でなく、世界共通に確認できる経済原則だとか。

つまり、日本の中小企業の多さが問題であって、生産性向上のためには企業を集約して企業規模の拡大を進めるべきである、という主張です。

(参考)あくまでも中小企業全体についての傾向です
もちろん、日本の中小企業の中にも高い技術力と生産性を実現できている会社も存在しますが、これはどちらかというと特殊なケースであって、ここで紹介した企業規模と生産性の関係は、360万社ある中小企業全体についての傾向である、とご理解ください。

さて、ここまでは日本の生産性の低い原因と、生産性を高めるための対処案について確認してきました。

日本の生産性を低める結果となっているサービス業ですが、今後、世界経済におけるサービス業の割合は確実に増えることが予想されています。そうなると、何が何でも、日本のサービス業の生産性向上を実現させる必要があります。

テツヤ
テツヤ

とはいうもの、サービスの質を他国の大雑把なレベルに合わせる必要がある、にはちょっと賛同できませんよね。

ただし、日本は現在の「手厚く、きめ細かなサービスレベル」を維持したまま、業務効率化を進めることにより生産性を高める必要があるでしょう。

また、企業規模と生産性の間に比例関係があるとしても、中小企業が多い地方において企業統合を進めてしまうと、都市部への吸収も併せて進んでしまい、地方経済の疲弊や縮小といった問題も懸念されます

以上のことから、日本が生産性を高めるためには「業務効率化を進める工夫」が欠かせません。

さて、前置きがかなり長くなってしまいましたが、ここでAI(人工知能)の登場です。

ここからは、業務効率化へのAI(人工知能)適用事例について確認します。業種としては生産性が低く、大きな改善効果が期待されているサービス業の中から宿泊業、飲食業への適用事例について見てみましょう。

宿泊業へのAI(人工知能)適用事例

ここでは「京王プラザホテル」のチャットボットサービス、「ホテルおかだ」のFAQサービスの活用事例について紹介します。

京王プラザホテル:時差を超えたスピーディな対応を4ヶ国語で提供

京王プラザホテルのイメージ

東京・西新宿の京王プラザホテルは、tripla社が提供するチャットボット(AI(人工知能)を活用した自動会話プログラム)サービス活用により、メール問い合わせ業務を6割、電話対応を4割削減することができました

同ホテルでは世界約100ヶ国からの大量の問い合わせや予約への対応作業が、従業員の業務時間を大きく圧迫していました。

そこで、チャットボットサービスを活用することにより、時差を超えたスピーディな対応を、5ヶ国語(英語、簡体[中国など]、繁体[台湾/香港など]・韓国語、日本語)で提供可能な体制を構築しました。

これにより、お客さんは問い合わせや宿泊予約だけでなく、ホテル周辺のレストラン、レンタカー、観光施設もチャットにより手軽に予約できるようになりました。

同ホテルではチャットサービスで集積した顧客ニーズをAI(人工知能)で分析しサービス改善に役立てるとともに、宿泊顧客への対面サービス業務の強化を進めています。

ホテルおかだ:質問を先回りして提案するFAQシステム

ホテルおかだのイメージ

箱根の温泉旅館ホテルおかだは、AI(人工知能)を活用したFAQ(よくある質問)システムの提供により、予約数を約15%以上増やすことができました

同ホテルはWebで問い合わせる際、顧客側で質問が思い浮かばないケースも多いのではないかと判断、また、質問に対する曖昧な回答によるトラブルを防止するためには、簡潔・明確な質問と回答が欠かせないことを考慮し、チャットボットサービスではなくFAQ方式を採用しています。

本サービスではお客さんに対し、

  • 過去の宿泊顧客アンケートより抽出したオススメ情報をプッシュ通知する機能
  • FAQ対応中に顧客が30秒以上同じページに滞在した場合には「こんなことでお困りではございませんか?」というメッセージと共にそのページに関連する質問を先回りして提案する機能
  • チェックイン後・食事前・食事後・寝る前・チェックアウト前などの時間帯別に想定される質問を予想する機能

により、顧客が不安を解消し安心して予約できるように工夫しています。

日本の観光地のイメージ

ここでは2件の事例を確認しましたが、観光業は間違いなく今後の日本における重要な産業になるでしょう。

政府は2030年の訪日外国人旅行者数目標を6000万人に設定してます。日本の人口は1.3億人ですから、これはもう相当な数の観光客来日となるわけで、宿泊業界における人手不足はこれまで以上に厳しくなると想定されています。

観光庁も「宿泊産業を革新し、我が国の基幹産業に」を目標に、宿泊産業を生産性の高い産業へ変革させることを目指しています。その活動の中には新技術の活用も含まれ、今後、AI(人工知能)活用がより一層進むことが期待されています。

それでは次に、飲食業への適用事例について確認しましょう。

飲食業へのAI(人工知能)適用事例

厨房のイメージ

日本の飲食業が、その低料金にもかかわらず、世界的にも極めて高い接客・衛生レベルを提供できている(=生産性が低い)理由は、過剰とも言える低価格競争にあるとのこと。

テツヤ
テツヤ

私たちは飲食業界に対して、低価格を強く求めすぎているのかもしれませんね。

顧客の求める価格は「しょうがない」として(日本人は安すぎる外食が大好き)、それではどういった点を改善・工夫すべきなのか、ここでは飲食業における取り組み事例として「OGINO organic Restaurant」の予約顧客管理システム、「ゑびや大食堂」の来客予測システムについて紹介します。

OGINO organic Restaurant:残業なし、月8日休暇を実現

フランス料理のイメージ

東京都内のフランス料理店OGINO organic Restaurantは、TableChack社の飲食店向け予約顧客管理システム「TableSolution」を活用することにより、1日8時間労働と月8日休暇を実現しました。

このレストランの特長は、店内において電話が「全く鳴らない」ことです。実は電話予約は一切受け付けず、現在は全てオンライン予約で対応しています。

背景には、電話対応だと予約1件あたりどうしても5~10分程度かかってしまい、結果的に顧客に迷惑をかけることになってしまう、という問題意識がありました。

本システム導入により、電話対応で頻発していた「言った・言わない」のトラブル、紙台帳による顧客可視化(顧客の嗜好やアレルギーの把握、リピーターなどの優良顧客やリスク高い顧客の判断)の困難さ、30件/月あった無断キャンセルの課題を、全て解消することができました。

また、新たな取り組みとして、顧客の利用実績をAI(人工知能)が解析し算出した「信用スコア」の飲食店間における共有を進めています。本取り組みの結果、高スコア顧客に対しては優先予約、特別席優待提供や「いちげんさん」でも最初から歓迎される、といったサービスが提供できるのでは、と期待されています。

また、飲食店にとっては無断キャンセルやマナーの悪い顧客による被害を最小化できる点は、極めて大きなメリットになりますよね。

(参考)
経済産業省によると、飲食店における無断キャンセル被害額は年間約2000億円。

ゑびや大食堂:的中率9割の来客予測システムで売上4.8倍を実現

ゑびや大食堂のイメージ

創業100年を超える三重県伊勢市の老舗食堂ゑびや大食堂は、AI(人工知能)やIoTを活用した来客予測システムを活用して業務効率化を進めています。

本システムにより高い精度で来客数を予測できるようになったため、無駄な仕入れの回避、料理準備時間の短縮、さらには食品ロス(食べられるのに捨てられてしまう食品)の7割削減を実現しました。

ゑびや大食堂の来客システムは過去の売上と曜日、気温や降水量、伊勢市内の宿泊者数などの約200種類のデータ分析に加えて、店頭に設置したカメラが撮影した映像をAI(人工知能)がリアルタイムに解析して得られた通行量、通行人の性別と年齢、入店率などのデータを分析し予測を行っています。

本システムの来客予測精度はなんと9割を超えており、導入開始の2012年からの6年間で売上を4.8倍に伸ばすことができました

(参考)ゑびや大食堂 代表取締役 小田島氏のコメント
「データを使って店舗を経営する。その考え方を日本中に広め、実践者が増えることで、飲食の現場で働く人たちが、もっと高い給料をもらえるようにしたい。」
テツヤ
テツヤ

「飲食の現場で働く人たちが、もっと高い給料をもらえるようにしたい」は組織を率いる人間として、とても頼もしい考えですよね。

AI(人工知能)による業務効率化への影響とは

業務効率化のイメージ

さて、ここまで業務効率化へのAI(人工知能)事例について確認してきました。今回ご紹介した事例より、AI(人工知能)は業務効率化実現のための極めて有効なツールだと納得できますよね。

ところで、最後にご紹介した事例のゑびや大食堂)小田島氏のコメント「考え方を日本中に広め、実践者が増える」は非常に重要な指摘をされています。

つまり、日本はAI(人工知能)による業務効率化を全ての産業に広め生産性向上を実現することにより、高齢者増加により増え続ける社会保障費(医療費や年金)などの、少子高齢化による未来の課題を解決できるかもしれません

ただし、実は、今回の事例のようにAI(人工知能)による業務効率化を実践できている企業は、残念ながら極めてレアケースです。

AI(人工知能)の効果的な活用方法を日本中に広く「普及」させるためには、今後、AI(人工知能)技術者や私たち自身のAI(人工知能)スキルを高めてゆく必要がありますが、残念ながら私たちの環境はまだまだ不十分なようです。

(参考)環境その1:大学
AI(人工知能)研究に関する世界の大学ランキング上位20校(2019年調査)の内訳は、アメリカ14校、中国2校、スイス2校、フランスとカナダが1校づつ、と残念ながら日本の大学は含まれていません。
(参考)環境その2:企業における社内教育
日本の社内教育では、残念ながらさらに低い評価となっています。社内教育への投資状況の目安として「人材育成投資額÷GDP」を先進7カ国と比較すると、ドイツの1.8%、フランスとイタリアの1.6%、アメリカの1.4%に対して日本は0.2%と極めて低い状況にあります。

このような背景もあり、政府は2019年にAI(人工知能)人材を育成するための教育改革を含む「AI戦略」を策定、2025年までにデータサイエンス・AI(人工知能)に関する専門知識を持つ人材を年間25万人育成、実践的活用スキルを持つ社会人を年間百万人育成、を目標としています。

とはいうものの、教育環境整備さらには効果が出始めるまでには、しばらく時間がかかります。そんな中で少子高齢化により、社会保障費の負担は今後、確実に私たちに重くのしかかり続けます。この負担を背負い続けながら生活レベルを維持してゆくためには、業務効率化を進めて生産性を向上させ、給料を上げるしかありません

そのためには、私たち一人ひとりがAI(人工知能)に関するスキルを高め、積極的に業務への活用にチャレンジしましょう。

効率良いオフィスのイメージ
以上、今回は業務効率化へのAI(人工知能)適用事例を確認することにより、その有効性について一緒に考えました。

  • 私たちの潜在能力は高く評価(6位)されているのに、低い生産性(21位)にとどまっていることから、業務効率化による改善の余地は非常に大きい可能性がある。
  • 日本の生産性が低い理由として「過剰なサービス」と「中小企業が多すぎる」があります。ただし、日本が生産性を高めるためには過剰なサービスをやめたり、中小企業を減らすよりも、業務効率化を進める工夫が必要です。その解決手段として注目されているのがAI(人工知能)。
  • AI(人工知能)適用事例
    事例より、AI(人工知能)は業務効率化に極めて有効なツールであることが理解できました。
    1)京王プラザホテル:時差を超えたスピーディな対応を4ヶ国語で提供
    2)ホテルおかだ:質問を先回りして提案するFAQシステム
    3)OGINO organic Restaurant:残業なし、月8日休暇を実現
    4)ゑびや大食堂:的中率9割の来客予測システムで売上4.8倍を実現
  • 今後、AI(人工知能)技術者や私たち自身のAI(人工知能)スキルを高めてゆく必要がありますが、残念ながら大学や企業における教育環境は不十分な状況にあります。

日本は全ての産業において、AI(人工知能)による業務効率化を広めることにより、未来の課題を解決できるかもしれません。
そのためには、私たち一人ひとりが自らスキルを高めながら積極的に業務への活用にチャレンジすることにより、生産性UPにより給料が増え、全員が毎日定時に帰れる社会の実現を目指しましょう。

(参照元)
国別労働時間、日本企業の社内教育への投資状況について
安宅和人著「シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成」(NewsPicksパブリッシング)
[ 図2-12 国別男女別 労働時間内訳 ]、[ 図2-16 GDPに占める人材育成投資比率の国際比較 ]
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