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私たちにも必須の「働き方改革」、そのポイントについて5分で解説

私たちにも必須の「働き方改革」、そのポイントについて5分で解説

毎日フルタイムで働いている私たちは、朝出勤して夜まで仕事する・・・というパターンが多いですよね。そうすると、仕事が忙しい時は気がついたら夜遅くになっていた経験もあるでしょう。このような働き方を続けていると、体に負担がかかります。それを防ぐのが「働き方改革」。

働き方改革、と聞くと「残業時間を短くする」「ちゃんと有給を取る」などイメージが強いかもしれません。もちろん、この2つのことも含まれるのですが、他にも働き方改革で生まれたものがあります。

そして、それと同時に私たちが知っておくべきなのは「なぜ今、働き方改革が必要なのか」です。この記事では、そんな働き方改革について知っておきたいことをまとめています。国が制度を整えている背景を知りつつ、企業が働き方改革に成功した事例を知れば、あなたの働き方も一気に変わるに違いありません。

そんなわけで今回は、私たちにとっても重要な「働き方改革」について解説しましょう。

働き方改革とは

働くイメージ

まず、そもそも「働き方改革」とはなんぞや、についてお伝えします。

働き方改革とは、企業が多様な働き方を認め、私たちが働きやすい環境を作るための改革です。例えば、家庭の事情で時短で働いている人も、あるいは最近増えている在宅勤務などもあり、様々な勤務形態があります。また夜ならなるべく早く帰りたい、逆に朝早くは苦手だから昼から出勤したいという人に向けてフレックス制度を導入する企業さんもありますよね。実はこの多様な勤務形態は、「働き方改革」から生まれました。

このほかにも、働き方改革には以下のようなテーマがあります。

  • 同じ労働では同じ賃金にする、などで非正規で雇用されている人の待遇を改善する
  • 賃金を上げて、生産性を高める
  • 長時間労働を減らす
  • 転職や再就職をサポートする
  • テレワークや副業など、柔軟な働きかたを認める
  • 女性・若者が活躍しながら、働き方に左右されない社会保障制度や税制を作る
  • 高齢者でも就業できるようにする
  • 病気の治療、また子育てや介護と仕事を両立できるような環境を作る
  • 外国人の受け入れもスムーズにできるようにする

もちろん、「こんなにたくさんできないよ」と感じるかもしれません。また企業によっては、上記のようなテーマをクリアするのが難しい場合もあります。そこで政府は今、労働に関する法律を改正して、このテーマを受け入れられるように環境を整えています。

働き方改革が求められる理由

生産性があがるイメージ

それでは、なぜ今働き方改革が必要になっているのかについて解説しましょう。

人手を確保するため

働き方改革の最大の目的は、「人手を確保すること」です。現在の日本は少子高齢化が進んでいて、労働にかかわる15~65歳の人口がどんどん減っています。ここに、外国人の労働者が流入して、日本の労働人口を補っている部分があります。

また、同じように介護による離職が増えたり、家庭の事情によってフルタイムで働くことが厳しくなったりする人も出てきましたよね。そうなるとこのような状況にある人でも、働きやすい環境を整える必要があります。その一つとして、在宅勤務・テレワークの推進が行われています。

さらに、女性の社会進出によって管理職の女性やフルタイム勤務の女性がグッと増えました。総務省の労働力調査(基本集計)によると、2014年の女性の労働者数は2329万人で、そのうちパート・アルバイト・派遣社員などの非正規雇用は11218万人になっているのだとか。

まえだまえだ
まえだまえだ

実際に私と同世代の人たちは、今や子供がいても働いているのが基本になっているような気がする・・・。私の母はずっと専業主婦だったから、時代の流れなのでしょうか。

そして女性が働くようになると、必要なのは子育てとの両立。そのため正社員の場合は、産休・育休の取得ができる企業が当たり前になっています。一方で、非正規社員で働いている人でも、正社員と賃金の差がなくなるようになりつつあります。これも一つの働き方改革とも言えるでしょう。

生産性をあげて、国際的な基準に追いつくため

働き方改革が必要な理由の2つ目は、「生産性をあげるため」です。

日本の生産性は、外国よりも低い結果となっています。その原因となっているのが、「長時間の残業」です。

※詳しくはこちらの記事でも解説しています

長時間働くことは睡眠不足や疲労感などの健康問題だけでなく、企業側も人件費がかかってしまいます。そのため残業して成果を出しても、利益が少なくなってしまいます。

もちろん、「基本給が少ないから残業しないと稼げない」という方もいますよね。しかし、歳をとって体力が落ちる以上、5年後、10年後も同じ状況で残業し続けて、お金を稼げる保証はないでしょう。また、一説によると残業は睡眠時間の不足による事故の可能性をあげたり、肩こり・腰痛などの健康問題を抱えたり・・・などのリスクを高めるのだとか。

つまり、残業があるといくら仕事で良い成果を出しても企業が儲からず、働く私たちの給料にも還元されません。結果的には、生産性を下げてしまう可能性があります。そのような点から、残業はやはり減らす必要があります。

私たちに関わる、働き方改革とは具体的にどんな項目のことか〜残業・有給など〜

休みのイメージ

働き方改革に関する法律改正は、2019年から2023年まで順番に施行されています。そこで、主にどんな改正があるのかについて解説しましょう。

2019年4月から施行

  • 大企業の時間外労働の上限規制ができる
  • 5日間の有給休暇の付与が義務になる
  • フレックスタイム制の清算期間の上限が3ヶ月になる
  • 高度プロフェッショナル制度の創設される
  • 勤務間インターバル制度が義務になる

2020年4月から施行

  • 中小企業の時間外労働の上限規制ができる
  • 大企業で通常の労働者と短時間の労働者での不合理な待遇差、差別的な扱いを禁止する
  • 派遣労働者に対する均等な待遇を法制化する
  • 派遣元事業主から労働者への説明義務の強化される

2021年4月から施行予定

  • 中小企業で通常の労働者と短時間の労働者での不合理な待遇差、差別的な扱いを禁止する

2023年4月から施行予定

  • 中小企業で割増賃金率の適用猶予が廃止される

つまりこれらの項目をまとめると、「残業時間を規制する」「有給の取得を義務化する」「短時間の労働者(パートタイム・アルバイトなど)と通常の労働者の差別を禁止する」などがポイントになっています。先ほどの「短時間の労働者(パートタイム・アルバイト・派遣社員など)と通常の労働者の差別を禁止する」については少し触れましたので、それ以外の項目についてお伝えしましょう。

残業時間は、月に45時間、年間360時間未満を基本として制限を設けています。また、特別な事情がある場合でも複数月の平均80時間、月単位100時間、年間720時間未満という制限を設けています。もちろん、違反した場合は懲役6ヶ月以下、30万円以下の罰金などの罰則もつきました。2020年には、大企業だけでなく中小企業にもこの規制が適用されています。

有給休暇については、現在年間5日の有給休暇の取得が義務付けられています。目的としてはストレス解消やリフレッシュだけでなく、休暇をしている間の引き継ぎを他の人に行うことにより、業務でどのようなことをやっているのかを把握する点もあるとのこと。また、2019年からは有給を取得する時期を、雇っている管理者側からも指定して取得されることも義務化しました。

これはどういうことかというと、今まで有給を使う場合は私たちが「有給とります」と言えば休みが取れました。もちろん、これはこれでOKですが「有給使わずに仕事したい」「休んでもやることないから有給使わない」などの人もいますよね。そうなると、年間5日の有給取得の達成ができない可能性があります。

そこで、休暇を取るのが難しい場合は管理職側が「有給とるのいつが良い?」と希望を聞き、その希望を踏まえて「この時期に有給をとりなさい」と与えることができます。つまり、目的は有給を取得したがらない人でも、有給の取得を推進することです。

ちなみに「割増賃金率の適用猶予」とはざっくりいうと「残業代の割増の制限をなくすよ」という内容です。時間外労働による賃金は、これまで、大企業では1ヶ月で60時間以内の場合は基本給の25%、60時間以上は50%で支払うことが義務づけられていました。しかし、中小企業では経営状態が大企業よりも安定していない点から、月60時間以上の場合に50%の割増比率で払う義務が適用されていませんでした。

これが2023年4月1日からは、中小企業も同じように月60時間を超える残業は50%以上で支払う義務が生じます。これにより、月60時間以上の残業の賃金がフォローされるようになる、ということです。

大企業だけでなく中小企業でもできる、独自で働き方改革を行うための方法

人事のイメージ

働き方改革って大企業の話だけでしょ、と考える方もいますよね。しかし先ほど見てきたように、今や働き方改革による法律改正は中小企業でも行われるようになりました。

ちなみにここでいう中小企業とは、以下のような定義が設けられています。(労働基準法附則第138条より)

  • 小売業の場合:資本金または出資額が5000万円以下、または常時働いている労働者が50人以下
  • サービス業の場合:資本金または出資額が5000万円以下、または常時働いている労働者が100人以下
  • 卸売業の場合:資本金または出資額が1億円以下、または常時働いている労働者が100人以下
  • その他の場合:資本金または出資額が3億円以下、または常時働いている労働者が300人以下

そんな中小企業だと、企業の規模が違う点も含めて独自で働き方改革を行う必要性があります。というのも、中小企業は常に人手不足だったり、残業がなくなることで仕事そのものがなくなる可能性もあるためです。そこで、中小企業でもできる独自の働き方改革についてみてきましょう。

人材を適する配置にする

中小企業の場合だと特に、一人でいくつもの業務を行っていることが多いですよね。例えばWeb業界の場合だと、お客さんの対応をする営業、チームの内部で指揮を取ったり、進捗管理をしたりするディレクター、デザイナー、コーダー、マーケターなど様々な役割があります。この時、営業とディレクターは兼任していることが多く、なかにはデザイナーなどの役割を全て一人でやっている、ということも。

まえだまえだ
まえだまえだ

これだと一人に仕事が集中してしまい、業務が進まなくなってしまう可能性がありますよね。

また、人数の都合で「営業に配属されているけど、本当は総務がやりたい」という場合もあるかもしれません。そこでまずは業務の状況を把握し、人材の配置が本当に今の状態がベストなのかを調べましょう。必要なのは業務管理によって業務内容・かかっている時間を分析したり、今の人事の評価を見直したりします。

※業務の把握については、こちらの記事に方法を載せています

これによって、集中している業務を分散させたり、今まで活躍できていない人が別の部署に行った瞬間に活躍できるようになったりするかもしれません。

従業員に合わせた制度を作る

女性の労働者には、産休・育休だけでなく生理休暇の制度があったり、男性と女性で賃金の差をつけてはいけない制限があったりしますよね。企業によっては、従業員に合わせて働き方改革につなげる独自の制度があります。

例えば週に1回を「ノー残業デー」を設ける、テレワークを導入する、フレックス制度を導入するなどです。これらの制度を取り入れるには、従業員の働き方をしっかりチェックしてから導入するのが良いでしょう。

またこのような制度を作ることにより、しっかり制度が根づけば社員の定着率が上がるに違いありません。

ITツールを導入して、業務効率化を図る

例えばパソコンが古くて業務がはかどらない、入力の手間がかかって業務が進まない場合もありますよね。そんな状態がいつまでも続いていると、仕事が終わりません。

その場合は、ITツールを導入しましょう。業務効率化につながるITツールは、以下のような種類があります。

  • Excelやフォームなどのデータを自動入力するRPA
  • 顧客管理や営業のデータを分析し、今後のマーケティングの方針を決めるMA(マーケティング・オートメーション)ツール
  • 顧客管理システムとして、営業の手助けをするCRM
  • 会計ソフト、給与管理ソフトなどのクラウドソフト

もちろん、導入するにはまずパソコンに新しいOSを導入する必要があることもあります。また導入に当たって、自社ではどんな点が時間がかかるのか、必要な機能は何かをしっかり検討する必要もあります。

そのため、まずはパソコンのシステムを新しくして、上記のようなITツールを導入の検討をしましょう。

働き方改革の成功事例

企業のイメージ

働き方改革による法律改正によって、様々な法律への対応が急がれますよね。そんな中、独自の働き方改革によって業務効率化に成功した事例があります。ここでは、そんな先進的な事例について解説しましょう。

残業すると「ペナルティ」!?株式会社ピコナ

アニメーションの業界では、編集がかなり膨大になるので残業時間が長くなる傾向にあります。そんな業界で、残業時間を減らす独自の改革を行っているのが株式会社ピコナです。

この企業では、「残業チケット」という制度を取り入れています。この残業チケットとは、残業をするときにチケットを使う制度。月の頭にチケットが10枚配られ、チケットでの残業は19時までが基本で、最大23時まで残ることができます。しかしこの申請は社長の決裁が必要で、なかには申請が却下されることも。これなら、不必要な残業は申請しないようになりますよね。

さらに、ピコナでは出社ごとに1ポイントがたまる「ピコナポイント」があります。このピコナポイントはポイントによって遊園地のチケットやチョコレートなどの景品と交換できますが、1ヶ月で残業チケットが6枚以上使った場合はポイントから減らされてしまいます。豪華な景品が欲しいなら、出社してチケットをなるべく使わないようにしたいでしょう。

このような取り組みを行うことで、残業時間をなんと80%も減らすことができました。
まえだまえだ
まえだまえだ

残業の残りや出社をゲーム感覚で取り組めるのは、楽しそうですよね。

週休2日+クラウドシステムの導入で効率化+売り上げアップ!陣屋

 

ホテルやレストランなどのサービス業は、なかなか決まった休みをとるのが難しいイメージがありますよね。その一方で維持費がかさんだり、人手不足があったりする課題を抱えています。

そんな中、神奈川県の旅館「元湯 陣屋」では週3日休館日を設けています。この目的としては、従業員の満足度を上げること。考えとしては、従業員が定着しなければ、スキルが身に付かずサービスの品質が上がらない、その結果として顧客満足度も高まらないということでした。また休館日に従業員を休ませるのと同じく、建物のメンテナンスを行いやすくする目的もあります。

また、パートと正社員のスキルの差を埋めるため従業員の正社員化を進め、スキルアップを進めました。同時に一人の従業員が食事、フロント、清掃など幅広くお客様の対応ができるように分担を変えました。

このほかにも、自社で「陣屋コネクト」を導入し、顧客情報を共有できるようにしました。それによって、お客様の食事のアレルギーややって欲しいことが簡単に見られるので、サービスの質を高めることに成功しました。

その結果、会社の売り上げが倍にのびただけでなく、顧客満足度、従業員満足度も全て上げることができました。実際に従業員の平均給与も、2009年には288万円から2016年には398万円に上がったのだとか。

まえだまえだ
まえだまえだ

このような働き方改革によって、お客様の満足度が上がり、私たちの給与に反映されたり働きやすくなたりしたら、とてもハッピーですよね。

働き方改革を成功させるためのポイント

アイディアのイメージ

ここまでは、働き方改革の事例や内容について解説しました。しかし、働き方を変えるのはやはり企業、ないし個人の努力次第。ここで、企業や個人でできる心がけについてお伝えします。

「本質的な問題は何か」を見つける

単純に法律で残業を減らせと言われているから残業禁止という、流行りに乗ってITツールを導入するなどの行動はとりがちですよね。しかし大切なのは、「なぜ残業がこんなにあるのか」「そのITツールを導入するメリットは何か」を見つけることです。

なぜかというと、その原因がわからないままで働き方改革を進めようとしても、結果的に失敗になる可能性が高いからです。残業が多いのは業務量が多いから、その業務量をほかに分散できないか、本当にその業務は必要かなどをしっかり検討して、初めて働き方改革への一歩を踏み出せます。

そのため、まずは今抱えている課題の分析から始め、それに対してどんな解決策があるのかをしっかり見極めましょう。

それでもわからない場合は、外部の力に頼る

とはいえ、特に中小企業の場合だと「忙しくてそもそもそんなに分析ができない」「分析しても原因がわからない」という場合もありがちです。そんな時は思い切って、外部の力を使いましょう

例えば業務が多すぎる、となった場合は「業務コンサルタント」が業務の棚卸し・ITでのサポートを行います。また、自社が抱えている課題でどのITツールを使えば良いのかわからない場合は「ITコンサルタント」に相談すると、システムの導入なども検討に入れられるでしょう。

ちなみに、当メディア(AIZINE)の運営会社お多福ラボでもこのようなDX(デジタル・トランスフォーメーション)やデジタル化の支援を行っています。もし働き方改革を自社でも進めたい!とお考えの場合は、まずお気軽にご相談ください。

AI(人工知能)/DX(デジタルトランスフォーメーション)開発のお多福ラボ

さて、今回は私たちにとっても重要な「働き方改革」について解説しました。それでは、今回の内容について振り返りましょう。

  • 働き方改革とは、企業が多様な働き方を認め、私たちが働きやすい環境を作るための改革
  • 働き方改革をする目的とは、「人材の定着率をあげる」「生産性を高め、国際的に戦えるようにする」の2つがある
  • 働き方改革によって変わる法律の内容は、「5日間の有給休暇の義務化」「残業時間の制限」「非正規社員と正社員の待遇の差の撤廃」。これらの内容は順次適用している
  • 企業が働き方改革を行う方法としては、「人材を適する配置にする」「従業員に合わせた制度を作る」「ITツールを導入する」などがある
  • 働き方改革の成功事例として、残業をチケット制にする、休みを作る、クラウドシステムを導入するなどの手法を行っている
  • 働き方改革のポイントとして、「本質的な問題を見つける」「わからない場合は、外部に頼る」などがある

働き方改革はこれからの世界で必要になるだけでなく、働く私たちの環境改善として行うべきものです。ぜひ、自ら働き方改革につながる提案をはじめてみましょう。

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