近ごろニュースでは、車の自動運転の話題を耳にすることが増え、自動運転技術を搭載した車のCMを見ることもあります。
この自動運転は、人間を補ってくれるとても頼もしい技術と期待されているのですが、実際に私たちはどれぐらいこの技術を信頼していいものか、疑問に思いますよね。
同時に、クルマ社会を取り巻く環境としては、労働者不足の影響により、トラックやバスのドライバーが不足しているという状況でもあるのです。
そんな状況の中、自動運転技術を搭載したバスが実現に向けて各地で導入されようとしています。鉄道が通っていない地域の移動手段として、また高齢者の移動手段として、様々なメリットが期待される自動運転バスへの注目度が高まってきています。
そこで今回は、巷で話題になりつつある、自動運転バスにスポットを当てて、「自動運転とは何か?」「自動運転バスの実現」について解説していきます。もしかしたら、あなたの街にも自動運転バスが走るかもしれませんよ。
自動運転と言っても…
さて、自動運転と聞いたらどんなイメージをお持ちでしょうか。「何もしなくても目的地に運んでくれるじゃないの?」と思うのは当然ですよね。
例えば、車で飲み会に参加しても、帰りは自動運転の車が家まで送ってくれる。このように、自分専用の自動運転バスや自動運転タクシーをイメージしている人がほとんどでしょう。
しかし、今の技術レベルではまだその域には達していないのです。では、私たちのイメージしている”自動運転”ができるには何が必要になのでしょうか。「今CMとかで言っている自動運転って、本当の自動運転じゃないの?」などなど色々な疑問が出てきてしまいますよね。
そんなモヤモヤを解決すべく、自動運転の定義は自動運転レベルというキチンとした基準が存在するのです。少し専門的な話になりますが、この自動運転レベルを定義したのはSAE International(SAEインターナショナル)といわれるアメリカの非営利団体です。この団体は、航空機、自動車、商用車業界の関連技術者および専門家10万人以上参加している世界規模の団体で、のりものに関する様々なの基準を策定しており、その中の一つが自動運転レベルなのです。日本でもこの自動運転のレベルを採用しており、国土交通省のホームページでもこの自動運転レベルの内容を見ることができるので、興味のある方はご覧ください。
自動運転レベルは6段階
それでは、自動運転レベルの内容について解説していきましょう。自動運転レベルは0〜5までの6段階に分かれており、私たちのイメージしているような自動運転はレベル3以上になります。それでは、各レベルの内容について確認してみましょう。
- レベル0 【運転自動化なし】
ドライバーがすべての操作を行います。レベル0なので、文字通り自動の部分はゼロですね。
いわゆる普通のクルマですね
- レベル1 【運転支援】
ハンドル操作操作かアクセルのいずれかをサポート
車線をはみ出した時のハンドル補正
前の車との距離を保つためのアクセル修正
誤ってアクセルを踏んだ時のブレーキ
駐車時のサポートなどをしてくれます
- レベル2 【部分運転自動化】
ハンドル操作とアクセルの両方が連携して運転をサポート
レベル1ではハンドルとアクセルはそれぞれ別で制御しますが、レベル2はハンドルとアクセルを連動させて車を制御し、現時点での市販車の最高レベルです。
渋滞時に前の車の車間距離を保ちながら走行レーンを守ってくれます
- レベル3 【条件付き運転自動化】
高速道路など特定の場所でクルマが交通状況を認知して運転。ただし緊急時はドライバーがクルマに変わってクルマを操作します。
緊急時に備えてドライバーは運転席に着席している必要があるんです
- レベル4 【高度運転自動化】
特定の場所に限り、クルマが交通状況を認知して運転に関わるすべての操作を行い、さらに緊急時もクルマが自動で操作をすることができます。
条件付きですが、ドライバーは何もする必要がありません!
- レベル5 【完全運転自動化】
あらゆる場所において、レベル4と同等の操作をするのがこのレベルです。もはや人間は何もする必要がなく、自動的に目的地に運んでくれるゴンドラのようなものです。
まさに夢の移動手段ですね‼︎
ここまで進んでいる自動運転バスの実証実験
さて、このように進化している自動運転ですが、日本では国土交通省が中心となって自動運転バスの実現に向けた取り組みを始めています。経済産業省や民間企業と手を組み、全国各地の公道で自動運転バスの実証実験をしているので、いくつかの例をご紹介することにしましょう。
東京都多摩市の多摩ニュータウンでは、定員8人の小型バスを使った自動運転バスの実証実験を行い、走行距離は1.4キロメートルで地元の方も試乗しました。
バスには運転士が乗車し、信号などで一時停止した後は安全確認をした上で発車ボタンを押したり、緊急時には運転手が操作を行います。自動運転レベルで言うとレベル3に近いと言えます。
一方、沖縄県では2017年から小型バスを使った実証実験を行ってきており、2019年には公道では日本初となる大型バスによる実証実験が行われました。走行距離もグンと伸びて18キロメートル、緊急時に備えて運転手が乗車していますが、基本的な操作は自動で運転し、自動でバス停に停車してくれます。こちらの自動運転レベルもレベル3と言えるでしょう。
最後に、滋賀県大津市では2020年3月の運行開始を向けて自動運転バスの実証実験を行っており、距離は0.7キロメートルと短めですが、時速20キロメートルで運転し、30分間隔で9往復と定期的に運行するところまで達しています。ここまでくると、いよいよ自動運転バス誕生のカウントダウンの始まりです。
今回は、自動運転バスが君の街を駆け抜けると題して、自動運転の定義、また自動運転バスの実証実験の話題について取り上げました。
技術の発展により生活が便利になる事に一目を置いてしまいますが、それだけではなく、昨今問題となっている、労働者不足によるドライバー不足、運転が困難な人の移動手段の問題などを一気に解決してくれそうですよね。
一般的に、公共交通機関でメインとなるのは鉄道ですが、今後自動運転が可能となればバスも活躍する範囲を伸ばすことが期待できます。鉄道を新たに引くには莫大な費用と長い時間が必要になりますが、鉄道に比べバスは導入のハードルが低いと言えますよね。こんな伸びしろの多い自動運転バスは、気がついたらあなたの街で走っているかもしれません。そんな自動運転バスに要チェックです!
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