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AIが人間の能力を超える2045年問題は、一体何が問題なのか?

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近頃のAI(人工知能)の技術の発展は凄まじいもので、私たち人間のサポートをするだけではなく、人間の能力を超えてしまっている分野もあります。例えば囲碁将棋は人間よりもAI(人工知能)が優っていると言われています。このようなAI(人工知能)の技術の発展は私たちにとって喜ばしいですが、これ以上能力を伸ばし続けることを想像すると、なんだかちょっと怖い気がしますよね。

現時点では、私たち人間とAI(人工知能)を比較すると、AI(人工知能)の方が優れている部分がありますが、先ほど紹介した囲碁や将棋だけではなく、画像データの分析大量の計算など、これらは完全にAI(人工知能)に軍配が上がると言っていいでしょう。ただし、AI(人工知能)が優れているのは単一のタスクであり、トータルで見るとやはり人間の方が優れていると言えます。(と信じたいです。。)

では一体、これからAI(人工知能)は、どこまで能力を発展させていくのでしょうか、そして、私たち人間の能力を超える日が来るのでしょうか?

実は、「2045年にAI(人工知能)が人間の能力を超越する」とアメリカの未来学者が提唱しているのです。これは2045年問題と呼ばれています。

そこで今回は、この2045年問題についてフォーカスし、進化したAI(人工知能)が人間にどのような影響を与えるのかに着いて解説します。

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これまでのAIの歴史

それでは最初に、AI(人工知能)のこれまでの発展の歴史について簡単に解説します。

コンピューターが人間の代わりに問題を解決する

このシンプルな命題こそがAI(人工知能)誕生の理由です。人間の脳の神経細胞(ニューロン)をモデル化することで、コンピューターが人間の脳と同じ働きすることができると考えられました。

過去、何度かのAI(人工知能)ブームというものがありました。まず最初のAI(人工知能)ブームが起こったのが1950年代後半~1960年代です。第一次AI(人工知能)ブームとなったこの時期は、人間にとって簡単な問題を解くことから始められ、コンピューターは迷路を解いたり、数学の定理の証明をすることができるようになりました。結果的にコンピューターによる「推論」や「探索」が可能となり、特定の問題に対して解を提示できるようになったことがこのブームの要因です。しかし、当時の技術では、様々な要因が絡み合っているような現実社会の課題を解くことはできないことが明らかになり、一転して冬の時代を迎えたのです。

続いて、1980年代に入ると第二次AI(人工知能)ブームが始まります。この時期の研究では、問題を解決するために必要な知識をとにかくAI(人工知能)に与えようと考え、多くの知識を取り込んだAI(人工知能)は、その分野の専門家のように振る舞うことができるようになりました。

このように、多くの専門知識をAI(人工知能)に学ばせる仕組みをエキスパートシステムと呼ばれ、この時期は多数のエキスパートシステムが生み出されました。

しかし、当時はAI(人工知能)が必要な情報を自ら収集して蓄積することはできなかったので、必要となる全ての情報は人間がAI(人工知能)にとって理解可能なように知識を与えてあげる必要がありました。

この状況では、世の中のありとあらゆる情報をAI(人工知能)に与えてあげるのは、とても現実的ではありません。当然ながら限界が見え、AI(人工知能)ブームは1995年頃から再び冬の時代を迎えました。

そして、2000年代から始まり、今もなお続いているのが第三次AI(人工知能)ブームです。この時期の特徴は、AI(人工知能)がビッグデータと呼ばれている大量のデータを用いることができる点です。

このビッグデータを実現できた背景には、携帯電話を中心としたネットワーク技術の進歩記憶容量の増大が挙げられます。ネットワーク技術の進歩は、いつでもどの場所からも集取したデータをAI(人工知能)に送信することができるため、情報量がこれまでのブームと比較して格段と増えます。そして半導体技術の進歩により記憶容量が飛躍的に増大し、その大量のデータを保存することができるようになったのです。

このように膨大のデータを使ってAI(人工知能)自身が知識を獲得する機械学習が実用化されました。さらに、知識を定義する上位の要素(メタ要素)を人工知能(AI)が自ら習得することができるディープラーニング(深層学習)が登場したことが、今回のブームの特色です。
これにより、AI(人工知能)は自ら考え、私たち人間に最適な回答を提案してくれることができるのです。

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進化を続けるAI(人工知能)、その行く先は?

これまでご紹介したよう、半世紀にも渡ってAI(人工知能)は発展を続けてきましたが、これから先、未来のAI(人工知能)の発展を予測したのがアメリカの発明家・未来学者のレイ・カーツワイルです。

人工知能の権威と言われるレイ・カーツワイルは、2005年に技術的特異点(シンギュラリティ )に関する著書「The Singularity Is Near」でAI(人工知能)の未来について述べています。2010年代から2100年代に至るまで、AI(人工知能)の発展により、私たちの生活がどのように変化するのかが書かれています。特に、着々と技術の発展を続けるAI(人工知能)はついに「2045年には人間の能力を超える」と述べています。いわゆる2045年問題はこの著書で定義されました。

それでは、「The Singularity Is Near」の一部をご紹介しましょう。

2010年代

  • コンピュータは小さくなり、ますます日常生活に統合される。
  • 高品質なブロードバンドインターネット接続は、ほとんどどこでも利用できるようになる。
  • VRメガネの登場。
  • 家庭用ロボットが家を掃除している可能性がある。
はやさき
はやさき

これらはすべて、現在の社会で実際に起こっていることですね。

2020年代

  • 人間は自分の遺伝子を変化させる手段を持つことになる。
  • 自分の身体の組織や臓器のすべての若返りが実現可能になる。
  • AIが教育を受けた人間と同等の知性になる。
  • サイズが100ナノメートル未満のコンピュータが可能になり血流に入ることができるようになる。
  • 仮想現実は、本当の現実と区別がつかないほど高品質になる。
はやさき
はやさき

人間を自由にデザインすることができてしまう時代がやってきます。

2030年代

  • 精神転送(マインド・アップローディング)により、人間がソフトウェアベースになる。
  • ナノマシンは、脳内に直接挿入することができ、脳細胞と相互作用することができ、外部機器を必要とせずに真のバーチャルリアリティを生成することができる。
  • 他人の感覚を「リモート体験」できるようになる。
  • 人々の脳内のナノマシンは脳の認知、メモリ・感覚機能を拡張することができる。
はやさき
はやさき

もはや現実なのかバーチャルなのかわからない時代が到来します。

2040年代

  • 人々は仮想現実で時間の大半を過ごすようになる。
  • 1000ドルのコンピューターは全ての人間を合わせたより知的である。
  • コンピューター・人工知能の能力が、全人類を合わせた位の知能をもつようになる。
  • 2045年はシンギュラリティが発生する。
はやさき
はやさき

ここでついにAIが人間の能力を超越する時がやってきます。2045年問題です。

2100年

  • 人々は過去の人間が記憶のバックアップを取らず生きていたことにひどく驚くようになる。
はやさき
はやさき

記憶のバックアップですよ。。人間はほぼパソコンと同じようになってしまうのでしょうか?

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今回は2045年問題と称して、未来のAI(人工知能)の技術の発展について解説しました。2045年問題とは一言で言うと技術的特異点(シンギュラリティ )なのですが、どうしてもAI(人工知能)が人間を制圧するというイメージを抱きがちでした。しかし、レイ・カーツワイルの著書によると、AI(人工知能)が高度化し、そして人間と同化して人間の能力を補助するというものです。

これから訪れる技術的特異点によって、人間の能力を超えたAI(人工知能)は私たち人間にとって敵ではなく、共生すべき相手なのではないでしょうか。そしてAI(人工知能)と共生することができれば、決して問題とはならないでしょう。

 

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