今介護福祉が重労働で大変だとか、保育園が足りなかったりと、働きづらい話をよく聞きますよね。子持ちの友人が共働きの為に保育園の段取りをしたりと、これらはとても身近な問題です。しかし、AI(人工知能)やICT、IOTが発展していくことで、今後AI(人工知能)が仕事をしていくとも言われています。
「え?仕事が奪われてしまって無職になるの?」と想像してしまう方もいるかもしれません。これらから社会人になる大学生や高校生にも将来に不安を感じている方もいるでしょう。
でも大丈夫。AI(人工知能)に仕事の全てが奪われてしまうわけではなく、例えば、介護ではお年寄りを持ち上げたり、転倒防止だったり、また保育でも子どもを見守って安全を確保するところにAI(人工知能)を利用することで、人の負担になっている部分を軽減させてコミュニケーションの部分を大事にしていく流れが生まれています。
このように、これからどんどんAI(人工知能)などは当たり前になっていくことでしょう。
そんなこと日々考えているのですが、ある日大阪大学の学祭で「ロボットに人の行動を覚えさせて高齢者の見守ったり、スポーツの審判ができる」というAI(人工知能)が展示していたという話を聞きました。
もしかしてこれがあれば未来は働くことがラクになるのでは?!
というわけで今回は、大阪大学がおこなっているAI(人工知能)の取り組みについてお伝えします。
大阪大学のAI(人工知能)は人を分析する
そもそもの大阪大学学祭(いちょう祭)での展示ですが、弊社浜道社長から聞いたため実際どんなAI(人工知能)なのか知りません。
(本当にそんなAI(人工知能)存在するんだろうか。マイクロチップ入れるような社長だしなあ…)
と内心疑いながら、今回お話しをしてくださる大阪大学高野渉先生が優しく迎えてくれました。(今回は何故か以前に松島編集長と教育について熱弁していた森田さんも交えてお話を伺います。)
こんにちは。今日はよろしくお願いします!
こちらこそ、わざわざお越し下さりありがとうございます。
ですから研究室にはロボットがいたり大きな3Dプリンターなどあらゆる機器が置いてありました。
3Dプリンターやレーザーカッターまで置いてますが、ここでロボットも作っているんですか?
ロボットの部品だったり、精度がいらないものなら3Dプリンターで簡単に作れるので。ただ、ロボットの重要なパーツとかは設計図を書いて発注していますね。
今あるのは失敗したものです。
失敗ですか。何だろうなあとは思ってました。(乾麺みたいや)
それではさっそく本題をお聞きしたいのですが、大阪大学で研究されているAI(人工知能)について教えてください。
はい。実はもともと機械系出身で、ロボットのを作る延長でAI(人工知能)を始めたのですが。
ロボットって関節がたくさんありますよね。
ありますね。
しかしそれを一つ一つ動くようにプログラムをするのが大変でした。そこで、AI(人工知能)を使って、人間の動きをロボットに学習させることで、人の動きを理解できたり人らしい動きを作ったりできるようにしました。そういう事をやっています。
確かに、ロボットの動きを一つ一つ細かくプログラムするのは難しいですよね。
それでは、この大学の研究室では具体的にどういう作業をされているんですか?
この研究室では例えば、センサーがついたスーツを着てもらって、人の普段の動きのデータを取っています。
また、体に目印をつけて、この目印の位置をカメラで撮って人の動きを計測するということもありますね。そっちの方が精度はいいんですよね。
モーションキャプチャーとかそういう?
まさにそれです。モーションキャプチャーです。
このようにいろんな動きを取ってデータベースを作っています。
AI(人工知能)が人の動きを予測して考えて動き出す
大阪大学の研究室ではAI(人工知能)をデータ化していることはわかりました。AI(人工知能)は膨大なデータが必要で、人の動きを理解するためには大量の人の動きが必要で、高野先生いわく「めちゃくちゃデータがあることが大事」とのこと。ですから毎日先生と学生数人で学習データを作っているそうです。
それでは、そのデータをAI(人工知能)に学習させることで具体的にどうなるんですか?
そうですね。人の動きをAI(人工知能)に学習させることで、その動きの中に人がどのような動きをしていくのか、というルールみたいなのが見えてきます。
ん~~?
例えば、朝起きたら洗面所に行って顔を洗ってリビングに行きますよね。
そうですね。
このように、毎日人がやってるのをAI(人工知能)に学習させてみると、今度は人が朝起きたのを検知できます。そして「次にきっとこの人は洗面所に行くだろうなあとか、顔を洗うだろうなあ、というのが確率的に予測できるようになります。
なるほど。
そこで、その人の動きを予測するAI(人工知能)をラジオ体操をしている人に使ったらどうなるかという実験やってみました。
まあ、これが実験結果なんですけれども
これ(一番右)が実際の人の動きです。
はい。
その左隣の人は右の人がこの動きをするだろうと予測している結果を出しています。
へ~~。
例えば(一番左端の人が)脚を広げて手をぐるぐるまわしていますが、数秒後(一番右端の人)この人はきっとそれをするだろうと予測していて…ほら、数秒後この人は同じ動きをし始めましたよね。
このように、動きを記録して動きの規則を抽出できると、今人が何をしたかを認識した上で、次どんな動きをするかを予測できるようになります。
なるほど。
そして、こういうAI(人工知能)が搭載されたロボット同士だと、互いに動きを読み合いながら動くのでぶつからないように歩みを進めることもできるようになります。
すごい!ぶつからずに避けていきますね!
このように、AI(人工知能)が人の動きを予測することで、「次この人はどうするのだろう」「それなら避けよう」と予測して動く事ができるようになります。
大阪大学ではこのようなAI(人工知能)を研究しているそうです。
人間の動きを理解すると人に言葉で動きを伝えられる
他にはどんなことを研究されていますか?
僕は言葉の知能が人間の中で大事だと思っているんですよ。だから言葉と動きをうまいこと繋いで高度な知能を作ろうということをやってます。
それは具体的にどういうことでしょうか。
これは僕が大学で講義をしている時の動きなんですけども。
(棒人間がちょこちょこ動いてるけどこれは先生の動きかな?)
屈んで、教えてます、立って、抗議して歩いて立って・・・・
左上に英語の文が出てますね。
これ、AI(人工知能)が人の動きを文章として理解して文を作っているんですよ。
具体的に説明をすると、このAI(人工知能)は動きと文章を記憶しているのではなく、動きを解析してそれに関係する単語の連想構造を作ります。
そしてさらに、そこから文章を作るのですが、文章って単語の並びですから、この単語の並びの知識も同時に学習させることで、こう連想される単語をどう繋ぎ合わせたら文章らしいものが作れるのかを考えて動きから文章を作るということをやっています。
へ〜〜〜〜〜
まあ講義しているだけじゃなくて、普段の家にセンサーを持ち帰って自分の普段の動きも撮ってるんですけども
座ってますとか、あまり大したことをしないので座ってるばっかりかもしれないですけども
(笑い)
動画で撮ってるものをもとにその動きを言語化して、作成された文章もちゃんと意味があるもので、文法的にも正しいもので処理をするってことをやられているってことですよね。
そうです。
まあ、動きだけじゃわからないことが多々あるので、何持ってるかとかといった、例えば、「箱を持ち上げる」とか「帽子をかぶっている」「貯金箱にコインを入れる」といった今ある物体を認識して、もう少しリッチな情報を使ってより詳細に正確に文章を出そうということをやっています。
へーー。
AI(人工知能)が動きを文章化できると活用の幅が広がる
ここまでで、大阪大学で研究されているAI(人工知能)がどういうものなのかわかりました。でも、このAI(人工知能)がどうやって利用されていくのか今ひとつピンときません。それに学祭で見たという「ロボットに人の行動を覚えさせて高齢者の見守ったり、スポーツの審判ができる」というAI(人工知能)とどう結びつくのかも想像できませんよね。
以前、浜道社長からこの前の学祭で介護で利用する話を伺いました。今回教えていただいたAI(人工知能)はそれらにどうやって利用するのか詳しく教えてもらえませんか。
それでは介護施設での実験についてお話ししますね。
今までは、カメラを何台も置いたりスーツを着て人の動きを計測していたのですが、高齢者の方にスーツを着てもらうわけにはいかないですよね。そこで今度はオープンポーズというカメラ一台で高齢者の動きを認識し、言葉にする仕組みを作りました。
へーー
介護施設では1台のカメラだけ置いて高齢者さんの行動を撮り、それを画像として残すのではなくて文章で残るようにしました。
それによって、高齢者の行動を文章にすることで自動で介護日誌が作れます。
介護士さんが、24時間撮った映像を見て全部確認してくださいというのは難しいですよね。
それは大変ですよ。
でも、これなら文章としてコンパクトに書かれているので読めば1日の行動がわかります。
いつも通りの行動というのと、いつも通りじゃない行動というのを、文章化されているだけで確認しやすいですし、報告がシンプルになものになりますよね。
そうなんです。だから危険な文章が出てきたらその時は介護士さんにすぐに通報してもらうようなものも可能ですし。
それ便利ですね!
もし、監視カメラで撮った映像で「いつもと動きが違うと」検知できたとしても、それを伝える方法が映像だと確認するのも時間がかかります。しかし、通知内容が文章や、音声で伝えてくれたら至急対応しやすいですよね。
ここまでは介護のお話しをしましたが、スポーツでもAI(人工知能)を使おうと、体操のあん馬の自動採点のシステムを作りました。
もともと体操は、DスコアとEスコアっていうもので判定されているのですが
AI(人工知能)が技として認識できたらそれに紐付いてる点数が出てくるようにし、その点数を最後合算すれば今の演技の得点がだせるという仕組みで、Dスコアの自動採点を作りました。
それも面白いですね。これなら東京オリンピックで使えそうです。
東京オリンピックで使えるレベルぐらいにはなってますね。
このように、AI(人工知能)が人間の動きを認識して、それから文章を作ることができると活用の幅が広がりますよね。それこそ、介護や保育の現場での見守りや、オリンピックの競技でもAI(人工知能)が人を助けてくれたらもっと快適に働くことができそうです。
これから、大阪大学で研究を進んでいくと、今後、それこそ2、3年と近い将来AI(人工知能)が搭載された「人に優しいロボット」が登場して一緒に働く未来が来るかもしれません。AI(人工知能)のロボットが社会に溶け込む将来が来るの見据えて、人はそのロボットができないことを伸ばしていきましょう。
…と、ここまでは大学が研究しているAI(人工知能)について伺いました。しかし、気になることはまだまだあります。次回は、このAI(人工知能)を利用するために大学として、また教育はどうしたらいいのか伺います。
(後半に続く!)
演技得点について – SCORE
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