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AIが病気予測をしてくれる時代で深まる高齢化社会の闇

AIが病気予測をしてくれる時代で深まる高齢化社会の闇

皆さんはAI(人工知能)の技術が進歩することによって、実生活にどのような変化が起こるかご存知でしょうか。AI(人工知能)という未知の技術が生活を便利にする、病気予測が可能になるなど、様々なところで活用されようとしている事がニュースでは頻繁に報道されます。しかし、身近に実感できることは少ないですよね。

そもそも、AI(人工知能)というのは一体どのような技術なのでしょうか。AI(人工知能)が人間にとって代わり、人間の仕事が奪われるという記事も存在しますが、AI(人工知能)には何ができて、何ができないのでしょう。AI(人工知能)によって、今まで人間がやっていた仕事の全てが取って代わられ、必要のない人間たちは生きていけなくなる。そんな現象が本当に起こるのでしょうか。また一方では、人間と同じように、AI(人工知能)と会話ができる、病気予測ができて皆が健康に生きていくことができる、そんな世界になっていくのでしょうか。

そこで今回は、AI(人工知能)というものがどういった技術なのか、またAI(人工知能)による病気予測など、医療分野にもたらす様々な影響とは何か、さっそくその中身を見ていきながらお伝えしていきます。

AI(人工知能)は「学習」と「推論」という作業を行うのが得意

AI(人工知能)は「学習」と「推論」という作業を行うのが得意

AI(人工知能)とは、大きく言えば「学習」と「推論」という2つの面に分かれています。

学習とは、たくさんの情報を集めて、それを整理することによって、規則性やデータの癖など、将来使えそうな知識を見つけてためていくことを言います。例えば、ある一人の芸術家の絵の情報をたくさん集めてきて、AI(人工知能)に学習させることによって、芸術家の絵からどのような特徴を持っているかを抽出するということが学習に当たるでしょう。他にも、病院で得た病気の診断データを蓄積して、病気ごとに特徴を抽出するという例も学習になります。この学習により、たくさんのデータから特徴を抽出するための情報を得ることができ、これから利用できるような準備を整えた状態になります。

推論とは、得られた知識をもとに、特定の問題に対して新しい結果を予測することを言います。例えば、先ほど集めてきた芸術家の特徴的な情報を使って、今度はそのデータから一つ新しい作品を生み出すことなどが推論に当たるでしょう。芸術家独特の画風で絵を生み出すことができたり、あらかじめ撮影してある写真の画風を変更したりする技術などもあるようです。また、データから抽出した病気の特徴をもとに、人工知能(AI)によって病気予測を行うことなども可能になりつつあります。

このように、AIはたくさんのデータから学習し、その知識をもとに結果を推論するということを行って、様々な社会活動の中で自動化を進めていく鍵となっていることがお分かりいただけたでしょうか。

AIと医療の関係性

AIと医療の関係性

では、このAI(人工知能)は医療分野ではどのように活用されているのでしょうか。医療分野との関係性と期待されている病気予測についてもっと詳しく見ていきましょう。

先ほどまで見てきたAI(人工知能)の特徴である学習と推論を用いて扱うことができることとして、AI(人工知能)による病気予測が考えられます。これまでの調査や診断結果をもとに、患者の症状などからどのような病気に該当するかを自動的に算出することが可能になりますね。AI(人工知能)は機械ですから、人間の医師が一人一人診ていくより、多くの患者に対応することができます。現在医師が不足しているといわれる医療業界において、AI(人工知能)の登場による病気予測の実現は大きな転換点となることでしょう。

AI(人工知能)によって、作業の自動化が行えることはわかりましたが、他にも人工知能を搭載したロボットの活用が考えられますね。これまでに、LineのコミュニケーションAIである「りんな」や、iPhoneに搭載されている「Siri」など、コミュニケーションを行うことができるAI(人工知能)が登場して広く浸透しています。また、実際にロボットに搭載することで、人間と実世界でコミュニケーションをとることや、介護の分野で利用することが可能になりつつあるといえます。高齢社会である日本では、介護士不足や施設の不足が大きな問題ともなっています。また、介護によるストレスや税金負担など、現役世代に対しても負担がのしかかっていくことが不安視されていますね。AI(人工知能)を活用することによって、介護での負担削減となることが考えられます。

AI(人工知能)を社会の中で事業化する理由の多くは、作業の効率化を推進することです。AI(人工知能)によって、人員の削減や生産スピードの増加が見込めることが大きなメリットとなる部分といえるでしょう。

これまでは、AI(人工知能)がどんなことができるのか、メリットとなる点についてお話してきました。しかし、本当に作業の効率化が進み、私たちの生活が豊かになっていくだけでしょうか。

高齢化社会の闇

AIと医療の関係性

先ほどご紹介した病気予測ですが、必ずしも皆さんにとって嬉しいといえることばかりではありません。技術の発展に伴って生じてくる問題も考えられます。特に日本は高齢社会であるため、病気予測による社会への影響は非常に大きなものになっていくでしょう。高齢化社会においては、現役世代への負担増加が考えられています。AI(人工知能)技術を使った病気予測という最先端の開発を行うためには、その分野の専門かつ優秀な開発者が必要となります。しかし、現在の日本では教育に対する予算があまり多く割り当てられていないため、こういったIT技術を促進するための人材が育ちにくい環境にあるといえますよね。しかし、だからといって、急激に教育費に重点を置くようになった場合、現役世代である社会人の皆さんに多大な負担がのしかかってきてしまい、健康や幸せとは逆方向に社会が向かってしまうでしょう。

また、AI(人工知能)による病気予測が可能となる時代では、AIの技術が既に社会で浸透しているでしょう。つまり、多くの仕事が自動化されています。そうなった時に、人間である私たちの多くもAI(人工知能)に仕事を取って代わられているという可能性があるのではないでしょうか。日本の高齢社会を支えているのは、現役世代の働いている人たちですよね。その現役世代の方たちが働けなくなった場合に、誰も国を支える人がいないという状態になってしまい、仮にそうなった場合、国として破綻してしまうという最悪のケースになるかもしれません。

また、AI(人工知能)による病気予測が進むことによって、平均寿命が延びるということが考えられますよね。これからさらに長生きする人が増えるということは、それだけ福祉の面に費やす負担の増加も伴っていくでしょう。加えて日本では、年々出生率が低下し続けており、高齢者の割合がさらに大きくなった上に、働く人がいなくなってしまうという現象も起こりえます。こうなってしまった場合、病気予測によるデータ学習は進む一方、活用できる人材の不足や環境不足により、継続的な運用ができなくなり最終的に破綻してしまうかもしれません。

まとめ
このように、AI(人工知能)の病気予測が進むことによって、医療の効率が上がることが期待できる一方、高齢化社会では現役世代への負担がさらに大きくなってしまうという問題もあるということをご理解いただけたでしょう。

AI(人工知能)の技術が進歩することで、簡単に調べ物ができたり、正確に病気予測を行うことができたりと、これまで以上に生活が便利になり、私たちが受ける恩恵はたくさんありそうですよね。しかし、AI(人工知能)によってもたらされるいいことばかりに目を向けていくだけではなく、同時にどのような問題が待ち受けているかを人間である私たちは自分自身で予測し、どういう対処を行うべきかを考えていく必要があります。

AI(人工知能)による病気予測が可能になり、実用化されている時代において、さらにその技術をうまく活かしていき、社会生活を健康に楽しく生きることができるようになる方法を私たち自身が考えていく必要があるのかもしれませんよね。

参照元 AI時代における社会ビジョン ~人々の働き方、生き方、倫理のあり方~
人工知能(AI)は超高齢化社会における「介護」の救世主になる?

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