AI(人工知能)の発展で労働者の雇用がAI(人工知能)にとって代わられるって言う話は、ニュースやネットでよく耳にしますよね。
2012年、野村総研NRIは、今後10年~20年間にかけて、日本で担われている職業の49%がAI(人工知能)などのロボットによってとって変わられる可能性があるという発表があったんですが、その失われていく職種は、主に正確性を求められる職種、単純作業の職種が淘汰されていく職種が挙げられていました。
しかし、コレ、もう古い情報なんだそうです。
実際は、AI(人工知能)の脅威的な進化によってコンサルタントや税理士、弁護士など、高度で知的作業を必要と思われていた職業も取って変われる程、AIが進化していってるからだそうです。もはや人間しか出来ないと思われていた職業もAI化による雇用減少の波は避けられそうもなさそうです。
今日は、その中でもAI(人工知能)によって安定と高収入の代表とも言われた税理士がどう影響受けるかをお伝えします。
実の所、AI(人工知能)導入以前から税理士は右肩下がり
皆様、税理士と言う職種のイメージってどういうモノでしょうか?やっぱり上記のように安定と高収入、あとはちょっとお固い仕事という感じですよね。
でも実は税理士さんの仕事はここ五年ほどで、そのイメージは変わってきているようです。
その理由は、2014年にクラウド会計ソフトfreee(フリー)やMFクラウド会計などの台頭で、「クラウド会計元年」と呼ばれだしたことでした。
一般の人たちには大いに恩恵があるクラウド会計ですが、税理士サイドからすると業務のうち、記帳代行の部分をかなり省略できるようになってしまったんです。
その上、最近は税務申告を行える仕組みも整ってきています。さらにさらに2015年「クラウドの次はAI(人工知能)」と呼ばれ、ますます税理士の仕事が自動化されてしまったそうです。
AI(人工知能)と税理士の競合する部分は、やはり数字をあつかうところですよね。強力な演算能力でお金の計算を間違うことのなく、クラウド会計契約者が少し学習する必要はありますが、顧問費用も税理士と比べお安い。。。これはすごいライバルの出現です。
ですが、クラウド会計システムやAI(人工知能)の発展で、どんな風に税理士と言う職業が縮小につながっていくかという具体的な例をみてみましょう。
エストニアという国で税理士が消滅
この記事を書こうと色々調べてたところ、衝撃的な記事を見つけてしまいました。
それは、「エストニアという国で税理士・会計士が消滅した!」でした。
かなりびっくりしましたが、よくよく読んでみると厳密には消滅した訳ではなく、人口の少ないエストニアと言う国で人材を有効に活用するために、クラウド会計システムを推し進め、個人向けの業務がなくなり、法人向けの税理士は少数残ってるそうです。
その税理士消滅?までの流れをザックリ言いますと、
- 国民IDのチップを格納したSIMカード入りのスマートフォンから電子文書への署名も可能にするほど、国策として書類の電子化を進めた。
- 税制が非常に簡素化した
- その結果、個人向けの税務の仕事がなくなり、また税制が簡素化したので、法人向けの税務の仕事も儲かる仕事がなくなった
エストニアは人口が約130万人の国ですので、人口が多い日本がすぐ同じことをできる思えませんが、日本もこれから人口減少の社会になっていきます。
そして人口減少にともなって、税制を簡素化し、人材をより有効に活用しようという意見も少なくありません。それをふまえても、AI(人工知能)の発展ともにデータの処理は税理士ではなくAI(人工知能)に任されていく将来は間違いなくきてしまいそうです。
でも気になるのは、日本と同じ先進国と言われる国でのAI(人工知能)と税理士の関係はどうなんでしょうか。
アメリカの法律事務所では、AI(人工知能)の導入多数
税理士ではないのですが、現在アメリカの法律事務所では、AI(人工知能)の導入が進んでいます。
とあるTV番組で、20年後のアメリカの弁護士社会の未来の予想が紹介されていました。
現在のアメリカの大手法律事務所の弁護士の業務は、
- 【トップ弁護士】 法廷に立つ
- 【中堅弁護士】 トップ弁護士が使用する過去の判例等資料を経験のある中堅弁護士が作成
- 【新人弁護士】 中堅弁護士の作った資料を新人弁護士がチェックする
とピラミッド型のシステムになっているんですが、20年後にAI(人工知能)を導入されるとどうなるかと言うと、中堅弁護士のしていた凡例資料のピックアップをAI(人工知能)が代わりに行い、それを新人弁護士がチェックし、その凡例資料を持ってトップ弁護士が法廷で戦うというのです。つまり中堅弁護士が不要になっちゃいます。
そして1台のAI(人工知能)の凡例資料のピックアップ能力は、中堅弁護士6000人分とのこと!
この話は弁護士ですが、税理士にも当てはまるはずです。なぜかと言うと、弁護士が「民法」や「会社法」等の法律をあつかうのと同じく、税理士も「税法」という法律をあつかうからです。
弁護士業界と同様に、AI(人工知能)が税理士業界に導入されると、税務訴訟の時の判例のピックアップや、経費に計上できるかの税務リスクの可能性のアドバイス等、これまで専門知識や経験が必要であった業務もAI(人工知能)に代わってしまうんです。
そうなると、クラウド会計ソフトによって記帳代行等の帳簿作成の業務が少なくなった上、さらにAI(人工知能)の普及によって税理士の専門知識が必要な業務の方も縮小していってしまうんです。
さて、今日はAI(人工知能)の発展で税理士業界がどういった影響を受けるかをお伝えしました。
- クラウド会計ソフトにより業務も減少
- 実例としてエストニアで税理士が消滅
- 業務のAI化により、将来的に税理士の需要の減少
では、今回のお話ではAI(人工知能)によって税理士と言う職種がなくなっていくのかと言うとそういう訳でありません。
それは税理士の仕事がAI(人工知能)が得意とする数字の仕事だけではないからです。契約企業と税務顧問・経営戦略、M&Aなど人でなくては難しい業務があるからです。
経営の相談をAI税理士にしたとして、その答えが最適だとしても冷たいイメージを感じ、恐らく深くは相談することはないんではないしょうか。結局、こみ入った話をできるのは相手が信頼できる人間だからです。
しかしAI(人工知能)の能力はとてつもなく高く、色々な業務が人間を上回るのは必至です。
AI税理士が確かなデータを検出し、人間の税理士がその人間らしさで、顧客の信頼を得ていく。そんなAI(人工知能)と税理士の幸せな未来がいいですよね!