AIとは何か

3分でわかる!AI(人工知能)とwatsonの違いを徹底解説

AIとワトソンのイメージ

「AIで顔認証してロック解除」とか「watson(ワトソン)が難病を発見」とか、AI(人工知能)やwatsonってよく聞くけれど、実際なにがどう違うの?と思っている方も多いのではないでしょうか。私も、今回調べるまで全く気にもしていませんでした・・・!

結論から言うと「AIとwatsonは技術面では変わりないが、目指しているポジションが違うコンピューター」なのです。とはいえ、これだけでは記事が3分どころか10秒で終わってしまいます!

そこで、AIとは何なのか、watsonとは何なのか、どんなことができるのか、など、その仕組みや現在の技術について、掘り下げてお伝えしていきます。ここで理解を深めておくと、今後のニュースの見方がちょっと変わってくるかもしれませんよ!

AI(人工知能)はまだ存在していない

AIはまだ存在しない

AIとwatson(ワトソン)の違いについてお伝えする前に、「そもそも、AIとは何なのか」を確認していきましょう。

AIとは、Artifical Intelligenceの頭文字で、直訳すると「人工知能」ですが、分解すると「artifical」は「人工的な」、「Intelligence」は「知能、司会力、思考力、知性、知恵」といった意味があります。つまり、本来「AI」は「人間のように、あらゆる分野で自ら考える知恵を持ったコンピューター」のことを指します。ドラえもんをイメージしていただければわかりやすいでしょう。

ドラえもんのように自分で考えられるコンピューターを作ろう!と思った研究者たちが、ドラえもん開発の途中で出来上がった、「見たものを理解する」「聞いたことを理解する」「状況を判断する」「喋る」などの個別の力を「AI技術」と呼び、「AI」と「AI技術」はそれぞれ、「強いAI」「弱いAI」と区別されることもあります。

そして「AI技術」を取り入れて実用化されたもの、例えばSiriや自動運転車などが「AIによる◯◯」として世の中に広く認知されることで、「AI」と「AI技術」が混同されるようになったのです。

まとめると、人間と同じように自ら考えることを目指しているのが「AI(人工知能)」「強いAI」で、限られた分野で人間をサポートすることを目指しているのが「AI技術」「弱いAI」なのですが、実際にはこれらのすべてをまとめて「AI(人工知能)」と呼ばれています。

しかし、ご存知のとおり、現在の技術ではまだドラえもん(AI)は生み出されていません。

watsonは課長からマネージャーに昇進した

watsonは課長からマネージャーへ昇進

AI(人工知能)と世間で呼ばれているものには「AI」と「AI技術」が混在していることをお伝えしましたが、世の中でAI(人工知能)と呼ばれるものには、できる処理のレベルによってこんな分類もできます。

  1. 言われたことだけをこなすアルバイト
  2. ルールを理解して複雑な判断ができる一般社員
  3. 決められたチェック項目に従ってルールを改善していける課長
  4. チェック項目まで自分で発見するマネージャー

レベル1:アルバイト

マーケティング的に「人工知能」「AI」と名乗っているものの、実は極単純な制御プログラムを搭載しているだけのもので、身近なものだとエアコンや冷蔵庫などが該当します。こういった技術は「機械工学」などとも呼ばれ、すでに長い歴史があります。

レベル2:一般社員

レベル1よりもさらに複雑な判断ができ、出てくる答えのパターンが極めて多いのが特徴です。将棋のプログラムや掃除ロボットなどが当てはまります。

レベル3:課長

機械学習と呼ばれる技術を取り入れることで膨大なデータからルールや知識を自分で学習していきます。検索エンジンなどがあり、watsonは課長のキャリア採用として華々しくデビューを飾りましたが、後にマネージャー(レベル4)へと昇進しています。

レベル4:マネージャー

ディープラーニングと呼ばれる技術を取り入れ、レベル3よりさらに人間の思考回路に近いものになっています。この技術が登場したことにより、AI(人工知能)の可能性が飛躍的に高まり、現在のAIブームに至りました。身近なところでは、Googleの画像検索や音声検索、翻訳など幅広く利用されているので、きっとあなたも日常的に触れていることでしょう。watsonも、現在はこの役職(レベル)で活躍しています

AIとwatsonは目指しているところが違う

AIとwatsonは目指しているところが違う

watsonはレベル4のAIとお伝えしましたが、watsonを作り出したIBMでは「AI」という言葉を使わずにwatsonのことを新しい概念「コグニティブ・コンピューティング・システム」と表現しています。「コグニティブ」とは直訳すると「認知」ですが、IBMの中山氏はコグニティブ・コンピューティング・システムについて、こんな風に表現されています。

従来のコンピューティングの世界では、数値や一部のテキストしか理解することができませんでした。

コグニティブの世界では、数値やテキストはもちろん、自然言語、画像、音声、表情、はたまた空気感などもコンピューターが理解することが可能となります。

また、これらの情報を理解するだけでなく、これらの情報をベースに仮説を立てて推論し、この結果を自ら学習していきます。言い換えると、従来のコンピューティングでは、同じインプットを与えると必ず同じ回答が算出されましたが、コグニティブの世界では同じインプットを与えても、その状況に応じて違うアウトプットが導き出されることもあり得るのです。

参照元 コグニティブで変わるもの、変わらないもの。IBM中山裕之インタビュー

ざっくりまとめると、「様々な情報や状況を理解し、自ら学習して成長していくことで、人間の活動を支えるコンピューター」がwatsonなのです。

「ん?それってAIとどう違うの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。AIとwatsonは技術的には同じと言えますが、明確に違うのは、「人間と同じように思考する」立場を目指しているAI(人工知能)に対し、watsonは「人間をサポートする」という立場を目指していることです。

言い換えるとwatsonは人間の代わりではなく、あくまで人間が何かする際のサポート役に徹しているため、AIとは区別して「コグニティブ・コンピューティング・システム」とIBMは定義しているようです。

さて、AI(人工知能)とwatson(ワトソン)の違いについて、掘り下げてお伝えしました。watsonを、利用者視点で見分けるのは難しいのですが、日常の様々なシーンでwatsonと同じようなAI(人工知能)が活用されています。あなたの身の回りでもぜひ探してみてください☆

参照元 (社) 人工知能学会
watson活用例
人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)松尾 豊

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