AIとは何か

【AI初心者向け】「機械学習」と「深層学習」の違いをまとめてみた

機械学習深層学習

AI(人工知能)について「基本的なことを知りたい」と思って調べ始めたら、どこを見ても「機械学習」と「深層学習」という言葉がたくさん出てきます。どちらも分解すれば簡単な言葉、とそんなに気負わず調べていたら・・・これが意外とわかりにくい。とにかく専門用語が多いんです。

アルゴリズム、パラメータ、特徴量・・・やたら出てくるこれらの言葉、知っている人にとっては常識なのかもしれません。でも知らない者にとってはそれが高いハードルに。日常使わない言葉って、調べてもなかなか頭に定着しないんですよね。

この世の中、IT用語と縁のない生活をしている人が大半のはず。これだけAI(人工知能)だのディープラーニングだのと騒がしくなってきたのだから、誰にでもわかる言葉で説明してくれたっていいのでは?

ということで、今回AI(人工知能)の初心者向けに「機械学習」と「深層学習」の違いを、誰にでも理解できる言葉で説明してみました。ここを読めば「思ってたより簡単だった」とホッとできるはず。

では早速みていきましょう。

機械学習とはなにか

AI(人工知能)のイメージ

機械学習とは、文字通り機械に学習をさせること。コンピュータに学習させて、ルールやパターンを作り出す技術です。

AI(人工知能)に比べてあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、現在AI(人工知能)と呼ばれているもののほとんどはこの機械学習です。

機械学習にはいくつかの手法があって、主なものが次の3つ。

  • 教師あり学習
  • 教師なし学習
  • 強化学習
たなべ吹き出し
たなべ

何だか学生時代を思い出させるような単語が

それぞれ具体例をあげてご説明しましょう。

教師あり学習

教師あり学習とは、「データ」と「答え」をセットで用意して学習させる方法。具体例は次のとおり。

  • お店の売り上げを気温、天気、曜日によって予測したい時
  • メールの振り分け機能(〇〇という単語を△個以上含んでいると迷惑メール、など)

上記の場合、お店の売り上げや迷惑メールが「答え」になります。このように教師あり学習は、あらかじめ結果(答え)を学習させておいて、その結果に向けて新しいデータの予測や分類をするイメージです。

たなべ吹き出し
たなべ

「教師あり学習」は何について知りたいかがわかっている場合に使います

教師なし学習

教師なし学習とは、正解データがない(教師がいない)学習。現在あるデータから規則性や傾向を導き出す時に使います。具体例をみてみましょう。

  • ワインを、酸味とアルコールの強さでグループ分けする。
  • アンケート回答の分類で、傾向をみる。
  • 顧客データから性別・年齢・職業で分類して売り上げの傾向をみる。

このように教師なし学習は「似たようなデータをグループ化」することが可能。どんなグループ分けをするか、指示をしたらそれは「教師あり学習」になります。

だから教師なし学習は予想しないような答えが返ってくる場合も大いにあるでしょう。

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たなべ

「教師なし学習」は規則性や傾向を知りたい時に使います

強化学習

強化学習は、試行錯誤しながら一定期間の間で「目的を達成するのに最適な方法」を探し出す学習。どういうものかは次の動画をご覧ください。

【物理エンジン】強化学習で二足歩行させてみた Reinforcement Learning for Biped Locomotion

「強化学習」ってその名前からスパルタっぽいイメージがありますが、そのイメージにぴったりですよね。

身近な例をあげると、ルンバなどのお掃除ロボット。最初は壁にぶつかりながら徐々に部屋の構造を理解していきます。

たなべ吹き出し
たなべ

「強化学習」は動画の人形の動きで覚えちゃいましょう

以上、機械学習についてご説明しました。次は「深層学習」についてです。

深層学習ってどんな学習?

AI(人工知能)のイメージ

深層学習とは機械学習の手法の一つで「ディープラーニング」とも言います。データ量が十分にあれば人間がひとつひとつ手を加えなくても、コンピュータが自動的にデータの特徴を見つけ出してくれる技術のこと。

深層学習のしくみをもう少し詳しくご説明しましょう。

深層学習をもう少し詳しく説明

深層学習

深層学習はニューラルネットワークがベースになっています。ニューラルネットワークとは、人間の脳のしくみを模倣したシステム。人間の神経細胞(ニューロン)のつながりを参考に作られています。

たなべ吹き出し
たなべ

ほら出た、専門用語!

このあたりはサラッと「人工の脳みそは複雑なしくみだな」という程度の理解で読み進めてください。

ニューラルネットワークのイメージは上の図をご覧ください。「入力層」からデータを入力すると、たくさんの人工ニューロンがそれぞれ特徴の情報を計算し、右側の「出力層」から結果が出てきます。

真ん中の2列を「中間層」と言い、この層が2層(2列)以上あるものを「深層学習」と言います。層がたくさんあるほど深く学習する(賢くなる)しくみ。

「難しいなぁ」と弱気になっているあなたは、上の図を深層学習(ディープラーニング)のイメージとして記憶しておきましょう。「深層学習=丸と線のゴチャゴチャした図」、とそれでOK。今後何かと理解しやすくなります。

次に機械学習の手法の1つである深層学習、この具体例をご紹介。

深層学習の具体例

深層学習の具体例は次のようなものがあります。

  • 自動運転技術
  • 顔認証
  • AlexaやSiri
  • 音声の文字起こし
  • Google翻訳

どれも最近はよく見かける技術。

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たなべ

機械学習に比べて深層学習は「最新のテクノロジー」って感じでワクワクします

これらの技術は一般的に深層学習とか機械学習とは言わずに「AI(人工知能)」と呼ばれていますよね。ではそもそも、AI(人工知能)とはどういう意味なのでしょうか。次で解説します。

ではそもそもAI(人工知能)とは

AI(人工知能)のイメージ

AI(人工知能)の定義は、現在これといったものが定まっていないのが実情です。その理由は、歴史的なものだったり、考え方の違いだったり。

あえてAI(人工知能)を表現するなら。

AI(人工知能)とは、人間のように考える機械やシステム

このように言えるでしょう。なんだかフンワリとしていますよね。実際、AI(人工知能)は研究分野を指すこともあり、意味するところはとても広範囲。

中にはドラえもんやターミネーターのように、人間のように何でもできるロボットこそがAI(人工知能)だと考える人も。そして、それも決して間違いではないのです。

このように「AI(人工知能)はとても広い範囲のことを意味する」ということを頭に入れた上で、次はAI(人工知能)と機械学習、深層学習、この3つの関係性について解説。

「AI(人工知能)」「機械学習」「深層学習」それぞれの関係

AI(人工知能)関係図

AI(人工知能)と機械学習、深層学習、この3つの関係は上の図をご覧ください。AI(人工知能)の手法の1つが機械学習、そして機械学習の手法の一つが深層学習、ということになります。

最近は深層学習(ディープラーニング)の進化が目覚ましく、大きくクローズアップされるようになったため、AI(人工知能)と同じような意味合いで使われることが増えました。でも、これらは決してイコールではありません。

ちなみに歴史的にみると、AI(人工知能)と機械学習、深層学習の3つとも1950年代から発想はありましたが、一気に研究が進んだのはここ10年ほどの話。この10年で機械学習と深層学習が大きく進化したのです。

最近急激に活躍の場が多くなった機械学習と深層学習、この2つの違いを次でご説明します。

「機械学習」「深層学習」って何が違うのか

重要

機械学習と深層学習はイコールではなく、機械学習の手法の1つとして深層学習があることを先ほどご説明しました。その違いをもう少し掘り下げてみてみましょう。

  • 機械学習:意味のあるデータを与えればルール自体を作ってくれる
  • 深層学習:意味のないデータを与えても意味を見出してルール化してくれる

なんとなくイメージできたでしょうか。機械学習は人間が「意味のあるデータ」(着目すべき特徴のあるデータ)を教える必要がありました。機械学習のところであげた具体例をもう一度みてみましょう。

  • お店の売り上げを気温、天気、曜日によって予測➡着目するのは【気温、天気、曜日】
  • メールの振り分け機能(〇〇という単語を△個以上含んでいると迷惑メール、など)➡着目するのは【〇〇という単語】
  • ワインを、酸味とアルコールの強さでグループ分けする➡着目するのは【酸味とアルコールの強さ】
  • アンケート回答の分類で、傾向をみる➡着目するのは【回答番号】
  • 顧客データから性別・年齢・職業で分類して売り上げの傾向をみる➡着目するのは【性別・年齢・職業】

このように、機械学習には「着目すべき特徴」を指示する必要がありました。

ところが深層学習は、大量のデータからこの「着目すべき特徴」を自分で見つけ出すことができるのです。つまり深層学習は、どんな特徴を使えばデータを見分けることができるのか、自動的に学習することができます。

ネコの画像認識で言えば、「耳の形」とか「目の色」、「毛の長さ」など、着目すべき特徴を自ら発見することができるのが深層学習。

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たなべ

ネコを見分ける「着目すべき特徴」なんてたくさんありすぎて・・・人間では到底無理です

人間では大変な作業を、深層学習は大量のデータを元に学習してやってのけてしまうのです。

そしてそれができるのは、深層学習がニューラルネットワーク(上で出てきた脳を模したゴチャゴチャした図)を使って強力に学習・分析するから。

では最後に、機械学習と深層学習の活用方法の違いについてご説明しましょう。

「機械学習」「深層学習」の活用方法の違い

メリットデメリット

まず最初に。「機械学習」の中に含まれている「深層学習」を対等に並べて比較するのはおかしいですよね。ここからは「機械学習」の意味を「深層学習を除いた機械学習」として考えます。

ではその上で、機械学習と深層学習の活用方法の違いってあるのでしょうか。

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たなべ

深層学習の方が賢いのだから、なんでも深層学習でいいのでは?

なんとなく単純にそう考えてしまいますよね。でもそれぞれ得意不得意があるのです。

活用方法の違いは、それぞれのメリットとデメリットがわかればおのずと答えが出てくるはず。まずは機械学習の方からみてみましょう。

機械学習のメリットとデメリット

機械学習のメリットとデメリットは次のとおり。

  • 深層学習に比べて早く学習できる
  • 特徴を指示するので方向性がブレない(コントロールできる)
  • 人間が「着目すべき特徴」を指示する必要がある
  • 複雑なことがしにくい

現実、今あるAI(人工知能)はほとんどが機械学習なのだから、メリットがあるのは当然ですよね。機械学習の難しい点は「着目すべき特徴」を何にするか。それによって価値のある結果になるかどうかが決まってきます。

では次に深層学習のメリットとデメリットをみてみましょう。

深層学習のメリットとデメリット

深層学習のメリットとデメリットは次のとおり。

  • 「着目すべき特徴」を指示する手間がいらない
  • 複雑な問題にも使える
  • 人間が想定できない「着目すべき特徴」を見つけることも可能
  • 学習済のモデルがあれば時間がかからない
  • 時間がかかる(多くのメモリと高い処理能力を持つハードウェアが必要)
  • 想定外の「着目すべき特徴」をとらえて、本来の目的を達成できないことも。
  • ブラックボックス化(どうしてその答えが出たのか理由がわからない)

深層学習はさすが最新の技術だけあって、メリットはたくさんありました。でも、デメリットもあるのだからやはり機械学習との使い分けが必要。

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たなべ

「デキル奴」にも欠点があるとホッとするのはなぜ?

ではこれらのメリットとデメリットを元に、機械学習と深層学習それぞれの使い分け方を次でご説明しましょう。

機械学習と深層学習、活用方法の違い

機械学習と深層学習の活用方法の違いを、上記のメリット・デメリットを元にまとめてみました。

◆機械学習が適している場合。

  • 比較的簡単な問題
  • 結果の方向性をコントロールしたい場合
  • 処理結果に意味付けが必要な場合(医療分野など)
  • 深層学習ができる能力のあるハードウェアがない場合

◆深層学習が適している場合。

  • 問題が複雑な場合
  • 処理結果に理由がなくても大丈夫な場合(マーケティングなど)
  • 時間がかかっても大丈夫な場合(かかる時間はハードウェアと問題の内容による)
  • 人間では気が付かない傾向を分析したい場合

このように機械学習と深層学習は、ハードウェアの能力であったり、元あるデータの量であったり、やりたいことによって使い分けることが大切。「賢いヤツに任せておけば大丈夫」ではダメなのです。

 

今回は、AI(人工知能)初心者向けに、「機械学習」と「深層学習」の違いについてお話しました。覚えておきたいことは、「機械学習」と「深層学習」は横に並べて比較できる対等なものではなく、「機械学習」の手法の1つとして「深層学習」がある、ということ。

そして、「機械学習」と「深層学習」それぞれにメリットデメリットがあるので、臨機応変に使い分けることが必要だということ。また「深層学習」(ディープラーニング)のしくみは「丸と線のゴチャゴチャした図」、今はこれで十分です。

専門的で難しそうなイメージの「機械学習」と「深層学習」、最初想像していたよりは簡単でしたよね。

今は小学校でプログラミングを教える時代。これからは日常がどんどんIT化していくので、基本的なことを知っていれば何かと心強いはず。

特にAI(人工知能)分野はこれからの花形。理解できると新しいテクノロジーに出会った時、面白さが倍増すること間違いなし。これを機に少しずつ「機械学習」や「深層学習」とも仲良くしていきましょう。

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