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倉庫制御システム(WCS)とは?WESとWCSの違いを中心に解説

WCSのイメージ

「倉庫制御システム(WCS)」は、倉庫を管理するシステムの1つ。他に「倉庫管理システム(WMS)」と「倉庫運用管理システム(WES)」があります。

この3つのシステム、名前が似ていて紛らわしいんですよね。

WCSとWMS、WESって何がどう違うの?

倉庫の作業を自動化したいんだけど、どれを導入すればいいのかな

このような疑問をお持ちのあなたのために、今回はこの3つの倉庫システムについて解説。「倉庫制御システム(WCS)」の解説を中心に、「倉庫管理システム(WMS)」や「倉庫運用管理システム(WES)」との違いについてわかりやすくまとめました。

「倉庫制御システム(WCS)」がどんなふうに役立つのか、また導入時に比較するポイントにもふれていますので、倉庫作業の効率化をお考えのあなたは、ぜひ参考にしてみてください。

倉庫制御システム(WCS)とは

自動倉庫のイメージ

倉庫制御システム(WCS)とは、倉庫内の設備を制御することに特化したITシステムのことをいいます。

WCSは「Warehouse Control System」の略語です。

倉庫制御システム(WCS)は、複数のロボットや設備を総合的に遠隔制御して、効率の良い運用を可能にします。連携するシステムの具体例は次のとおり。

  • 自動搬送システム
  • 仕分け機システム
  • 自動倉庫システム

倉庫制御システム(WCS)を活用するとこれらのシステムを一括で管理でき、稼働状況がひと目でわかるようになります。ちなみに倉庫制御システム(WCS)の場合、あくまで機械の制御が目的なので、従業員の作業は対象外になります。

たなべ吹き出し
たなべ

倉庫のシステムで、WMSとかWESもよく聞くけど、WCSとどう違うのでしょうか?

次でこの3つの違いをご説明しましょう。

倉庫制御システム(WCS)と倉庫管理システム(WMS)・倉庫運用管理システム(WES)の違い

自動倉庫のイメージ

倉庫制御システム(WCS)と倉庫管理システム(WMS)、倉庫運用管理システム(WES)、この3つの大きな違いは「管理する対象」です。それぞれの管理対象は次のとおり。

従業員の作業

物の管理

設備の制御

倉庫制御システム(WCS)

×

×

倉庫管理システム(WMS)

×

倉庫運用管理システム(WES)

すべてのシステムが上記のように明確に区分されているわけではありませんが、概ねこのようになっています。一番下の倉庫制御システム(WCS)については先ほどご説明しましたので、残りの2種類について解説していきましょう。

倉庫管理システム(WMS)

倉庫管理システム(WMS)は、倉庫内での「物の管理」を主な目的とし、「物」の数や出入りを確認することができます。

WMSは「Warehouse Management System」の略語です。

たなべ吹き出し
たなべ

このシステムの大きな特徴は「従業員の作業」も含んでいる点です。

作業の進捗状況や、物の状況をリアルタイムで可視化できるのが、倉庫管理システム(WMS)の大きなメリット。

倉庫管理システム(WMS)は、具体的には次のような管理をおこないます。

  • 在庫管理
  • 入荷の管理
  • 出荷の管理
  • 棚卸管理
  • 帳票・ラベル発行

「在庫管理」は個数の他にも、賞味期限のような細かい管理や、保管場所の管理も含まれます。人がおこなうとミスしがちな作業も、機械なら早くて正確にできますよね。

「入荷の管理」「出荷の管理」はスケジュールの管理をしたり、入出庫時にハンディタイプの読み取り機器で記録をしたり。また、リストや伝票の作成もできます。

そして、これら従業員がおこなう作業の進捗状況は、リアルタイムで把握することができるため、状況に応じて適切な指示を出すことが可能。

このように「在庫は今いくつあるか」「いくつ入荷したか」「いつまでに何個出荷するか」などを管理するのが、倉庫管理システム(WMS)の役割です。

倉庫運用管理システム(WES)

倉庫運用管理システム(WES)は、倉庫内において「人の管理」「物の管理」「設備の管理」を総合的におこなうシステム。

WESは「Warehouse Execution System」の略語です。

たなべ吹き出し
たなべ

倉庫運用管理システム(WES)は他のシステムと、できることが重複しているため、その違いがわかりにくいんです。

倉庫運用管理システム(WES)はあとの2つ(倉庫管理システムと倉庫制御システム)の両方の機能を持っており、できることもこの2種類に大別されます。

倉庫管理システム(WMS)の範疇である「人の管理」では、スタッフの作業をリアルタイムで把握することが可能。スタッフに対して端末を使って指示を出すこともできます。また「物の管理」では、在庫状況や入出荷の状況がリアルタイムで反映されます。

倉庫制御システム(WCS)の範疇である「設備の管理」では、倉庫内のロボットや設備をコントロールするのがその役割になります。

 

このように、倉庫内で活躍するシステムは「何を管理するのか」によって3つに分けられます。倉庫管理システム(WMS)と倉庫制御システム(WCS)の2つはできることが特化していて、倉庫運用管理システム(WES)は双方のハイブリッドなシステムになります。

たなべ吹き出し
たなべ

自社の課題を洗い出して、今必要なシステムはどれか検討してみましょう。

倉庫制御システム(WCS)が活躍する場面

F-LINE株式会社様 福岡第一物流センター

倉庫制御システム(WCS)がどのような場面で活躍するのかは、上の動画をご覧ください。倉庫制御システム(WCS)は、自動化されている作業を制御し、省力化を実現しています。

では、倉庫制御システム(WCS)が活躍する、代表的な場面を3つ取り上げて解説していきましょう。

荷物を運ぶ場面

倉庫制御システム(WCS)は、無人搬送車や自動フォークリフト、ロボットアームなど、自動で荷物を運ぶ機器を制御・監視します。動画でロボットが大活躍している場面は、見ていて楽しいですよね。

荷物を仕分けする場面

荷物を仕分けするのは「ソーター」と呼ばれるシステムで、コンベアから流れてくる搬送物を自動で仕分けします。このソーターを制御・監視するのが倉庫制御システム(WCS)です。

自動倉庫設備の制御

自動倉庫とは、荷物の入庫から出庫までをシステムで一元管理し、自動化されている倉庫のこと。「パレット型」や「バケット型」「縦型式回転棚」など、さまざまなタイプがあります。

自動倉庫のメリットは次のとおり。

  • 空間を有効活用できる
  • 冷凍倉庫や危険物を扱う倉庫など、厳しい作業環境での省力化
  • 入庫・出庫にかかる作業の効率化
  • 先入れ・先出しの管理が徹底できる

初期投資が大きいというデメリットはありますが、自動倉庫は倉庫内での作業をトータルに管理し、大きく効率化を図ることが可能。自動倉庫は倉庫制御システム(WCS)が本領を発揮し、大活躍できる場所です。

以上、倉庫制御システム(WCS)が活躍する場面を3つ挙げてご説明しました。次はおすすめの倉庫制御システム(WCS)のご紹介です。

おすすめの倉庫制御システム(WCS)

ロボットアームのイメージ

ここでおすすめする倉庫制御システム(WCS)は、株式会社日立製作所の「統合WCS」です。日立は異なるメーカーの機器を統合管理できるシステムを開発しました。

従来、各自動機器の動作プログラムの作り込みは、メーカー間で連携する必要がありました。複数メーカーの自動設備がいくつもあると、連携先が増えて全体のコントロールが難しくなります。

そこで日立は各社の倉庫制御システム(WCS)を統合管理し、全体を最適化する仕組みを実現。工具の通販大手「モノタロウ」は、小型無人搬送ロボット400台とともに倉庫制御システム(WCS)を日立に発注しています。

次に、倉庫制御システム(WCS)を導入する時、何に注意して比較すれば良いのかをご説明しましょう。

倉庫制御システム(WCS)を比較するポイント

ポイント

倉庫制御システム(WCS)を比較する際、ポイントとなるのは次の5つ。

  • コスト
  • 既存システムとの連携
  • 導入予定の自動機器との連携
  • どのように運用していくのか、目的を明確にする
  • サポート体制

倉庫制御システム(WCS)を導入する際は、これらを念頭に置いて比較検討しましょう。

倉庫管理システム(WMS)についてはこちらの記事をご覧ください。

 

まとめ

今回は倉庫を管理する、次の3つのシステムについて解説しました。

  • 倉庫制御システム(WCS)
  • 倉庫管理システム(WMS)
  • 倉庫運用管理システム(WES)

この中で一番下の倉庫運用管理システム(WES)は、上の2つのハイブリッド型。一般的に広く利用されているのは、この倉庫運用管理システム(WES)と、倉庫管理システム(WMS)です。

倉庫管理では、「作業の工程が複雑」「実際の数とデータにズレが生じる」などといった問題点が常につきまといます。そしてその分、人件費や時間のムダが多く生じているのが現状でしょう。

またこの先、自動化への流れも避けては通れない道です。倉庫管理のシステムはかかるコストが大きいため、実現までの道のりは遠いかもしれませんが、他社に1歩リードするためにも、今が検討を始めるベストタイミングです。

いつも倉庫内を汗だくになって走り回っているあなた。数年後は空調の効いた快適な部屋で、モニターを監視するのが主な仕事になっているかもしれません。

そんな夢をかなえるためにも、今は倉庫管理のシステム導入に向け、いち早くアクションプランを立てて事業の変革を推し進めましょう。

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