DX(デジタルトランスフォーメーション)

倉庫管理で今すぐ取り組んでおくべきDXについてまとめてみた

倉庫のイメージ

倉庫管理の現場もDX(デジタルトランスフォーメーション)は急がなければいけない課題ですが、いざ取り組むとなると難しい問題が山積みで頭が痛いですよね。

社長

倉庫管理のDXは予算をかけるだけの価値があるのだろうか?

役員

現状うまくいっているから、しばらく様子をみてもいいのでは?

このようにお感じの経営者の方も多いことでしょう。他社の様子も気になるところです。

そこで今回は富士電機の調査をもとに、倉庫管理におけるDX導入の現状や課題を解説。DX導入に成功するとどのような効果があるのか。また今すぐ取り組むべき点についてもわかりやすくご説明しました。

あなたの会社の新しい可能性を見つけるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

DXとは何か

デジタルのイメージ
DXとは、Digital Transformationの略語で、直訳すると「デジタルによる変容」。日本では次のような概念が一般的です。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
データとデジタル技術を活用し、企業や組織のあり方そのものを変革し続けて「新しい価値」を生み出すとともに、競争で優位な立場を確立すること。

ごく簡単に説明すると「DXとは、デジタルを活用してビジネスモデルを変革し続けること」となります。

社長

DXとデジタル化はどう違うんだろう?

たなべ吹き出し
たなべ

デジタル化はあくまでDXの途中過程です。

DXを実現するためにはデジタル化が必須ですが「DX=デジタル化」ではありません。DXは通常、次のようなプロセスで進めます。

  1. アナログ作業をデジタル化する。
  2. 業務プロセス自体をデジタル化に移行する。
  3. 新しい価値を創造する。

はFAXをメールにするなど、ペーパーレス化が主な例です。

の「業務プロセス自体をデジタル化」というのは、商品の入荷時にバーコードをスキャンしてクラウド上でデータ管理をする、などが一例として挙げられます。

の「新しい価値を創造」というのは・・・すぐには思いつかないですよね。でも、簡単に想像できないような斬新なアイデアこそに価値があるのです。例えば荷主と配送ドライバーをつなぐ、Uber Eatsの物流版マッチングアプリなどが良い例でしょう。

このようにDXは、デジタル技術を活用してビジネスモデルを変革し続けるのが目標となります。上記のようなプロセスを踏まえたうえで、次から倉庫管理でのDXについて解説していきます。

倉庫管理でほとんどDXが取り組まれていない理由

倉庫のイメージ

倉庫管理において、DXはまだほとんど導入されていないのが現状です。その理由を富士電機が行った「物流・倉庫部門のDX推進に関する意識調査」から読み解いてみました。

まずは倉庫管理におけるDXの取り組み状況からみていきましょう。

倉庫管理におけるDXの現状

富士電機の調査によると倉庫管理で「DXに取り組んでいる」企業はわずか4%。そして「DXに未着手で必要性も感じていない」企業が32%にものぼることがわかりました。

また「自社でDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉があまり使われていない」との回答は46%も。全体の半分近くが、DXについて議論もされていないとは、ちょっと驚きの結果ですよね。

2018年に政府が「DXレポート」を公表してから、各業界の経営層の間ではかなり話題になっているのに、倉庫管理の現場ではどうしてDXの取り組みが進んでいなのでしょうか。その理由を、引き続き同調査をもとに推察してみました。

倉庫管理でDXの取り組みが遅れている理由-その1-

倉庫管理でDXの推進が遅れている理由として、一番に挙げられるのは「経営層の取り組み方」です。

これは同調査の「DXが成功した要因」の質問を逆説的にとらえて、成功した要因のほとんどが「経営層の取り組み」によるものだったため、取り組みが遅れている原因もそこにあると考えられるからです。

「DXが成功した要因」で回答数が多かった4つは以下のとおり。

  • 経営層のリーダーシップ
  • 従来の仕組み・制度の見直し
  • 経営層の危機管理
  • 組織文化や意識の改革

この4つの中で突出して多かったのが「経営層のリーダーシップ」でした。残念ながら、倉庫にまでDXを取り入れる余裕がないのが現状なのでしょう。

DXを推進するにはトップが明確なビジョンを打ち出し、現場を牽引していく必要があります。変革には大きな予算や莫大な時間を要しますから、スタート時はトップダウンで推し進めないと抵抗勢力に押しつぶされてしまうからです。

では、倉庫管理のDXが他に比べて特に遅れているのはどうしてなのでしょうか。

倉庫管理でDXの取り組みが遅れている理由-その2-

倉庫管理のDXが遅れている理由として、他に考えられるのは次の3点です。

  • DXの人材不足
  • 予算の確保(制約)
  • 知識・ノウハウ不足

これは同調査「DXを推進するうえでの問題・課題」の回答上位3つで、取り組みが遅れている理由だと考えられます。

人材、予算、ノウハウ・・・どれも待っていては解決できない難しい問題ですよね。倉庫でのDX成功事例が少ないのも遅れている原因のひとつでしょう。しかしDXは政府が「2025年の崖」で提唱しているように、取り組まずに放置していると数年後「デジタル競争の敗者」となってしまいます。

社長

ウチは小さい会社だから難しいよ。

確かに、別の質問で「中規模から小規模の企業ほど取り組みが遅れている傾向がある」という結果が出ていました。企業規模が小さいとなおさら上記の問題が重くのしかかってくるのでしょう。

しかし数が少ないとはいえ、DXに取り組んで成果をあげている企業があるのも事実。やはり経営層は先を見据えて対策を練らないと、政府の「2025年の崖」放置シナリオにある「業務基盤そのものの維持・継承が困難」な事態に陥ってしまいます

中小企業にとって実現が難しい倉庫管理のDXですが、成功している企業はどのような効果が出ているのでしょうか。引き続き富士電機の「物流・倉庫部門のDX推進に関する意識調査」から、成果が出ている企業の回答を参考にみていきましょう。

倉庫管理でのDXってどんな効果があるの?

テクノロジーのイメージ

倉庫管理のDXで効果がでている企業の、具体的な内容は次のとおりです。

  • 生産性の向上
  • 働き方改革の推進
  • 在庫管理の精度向上

調査で回答数が特に多かったのはこの3つでした。DXに取り組むためには費用対効果が気になるところですが「生産性が向上している」という回答をみると、希望が感じられますよね。

また、「働き方改革を推進」できたということは、従業員の意欲向上につながるため、生産性アップも期待できます。

最後の「在庫管理の精度向上」は、顧客満足度に直接影響してきます。注文をした時、いつもスムーズに商品が届いたら「次もここで注文しよう」となりますよね。

たなべ吹き出し
たなべ

信頼関係が構築できると次の注文につながるため、売上アップも見込めます。

次に倉庫管理のDXとは、具体的にどんなことをすればいいのかをご説明しましょう。

倉庫管理での具体的なDXの取り組みとは

ロボットアームのイメージ

倉庫管理のDXについて、具体的な取り組みとしては次のようなことが挙げられます。

  • 倉庫管理システム(WMS)もしくは倉庫運用管理システム(WES)の導入
  • 協働ロボットやマテハン機器の導入

上記について順に解説していきます。

倉庫管理システム(WMS)

倉庫管理システム(WMS)とは、入出庫管理や、在庫管理ができるシステム。倉庫内の省人化や効率化に役立ちます。

倉庫運用管理システム(WES)

倉庫運用管理システム(WES)は、上記の倉庫管理システム(WMS)の機能に加えて、倉庫制御の機能も兼ね備えています。マテハン機器やロボット、IoT機器の制御が可能になります。

マテハン機器とは、荷物を移動するための機器のこと。フォークリフトが代表例ですが、ここでは自動で制御できるベルトコンベアやソーター、自動運搬機などのマテハン機器を指します。

協働ロボットやマテハン機器の導入

協働ロボットとは、安全柵なしで人とともに作業できるロボットのこと。この協働ロボットとマテハン機器を、倉庫運用管理システム(WES)によって制御します。

以上、倉庫管理での具体的なDXの取り組みをご紹介しました。注意すべき点は、ロボットやシステムを導入するだけで「DXを実現した」とは言えないこと。これらのプロセスを経たうえで、新しい価値を生み出すために模索し続けることが重要です。

たなべ吹き出し
たなべ

一足飛びに「ビジネスモデルの変革」はできません。1歩ずつ進めましょう。

それでは次に、倉庫管理のDXに取り組む場合、どのような問題点があるのか探ってみました。

倉庫管理でDXを取り組むうえでの問題と解決方法

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倉庫管理で前述のようなDXに取り組む際、よく問題になるのは異なるメーカーの機器やシステムが多数存在する場合の連携です。各機器の動作プログラムは異なるメーカー間で連携する必要があるため、多種類のメーカーが存在すると、それぞれの連携が難しくなるからです。

この問題を防ぐには、新しく機器やシステムを導入する際、既存の物との相性に気をつけることが大切。またそれだけではなく「将来の自動化」にも対応できるように、その環境を今から考慮して計画的に進めましょう。

これからDXを取り組む場合にまずやるべきこと

スタートのイメージ

これからDXに取り組む場合、最初にやるべきことは次の3つです。

  1. ビジョンを明確にして課題を洗い出す
  2. DX人材の確保
  3. 業務プロセスの標準化

これら3つについて、順に解説していきます。

ビジョンを明確にして課題を洗い出す

まずは自社のビジョンを明確にし、進むべき方向性や規模を明確にしましょう。そのうえで、現状の課題を洗い出し、解決すべき点を具体的に把握します。

たなべ吹き出し
たなべ

ゴールが見えないと、迷子になってしまいます。

DX人材の確保

これからの時代、DX人材は必ず必要になります。一刻も早く、自社で人材を育成するために動き出しましょう。

自社にノウハウがない場合はベンダーに頼るのも1つの方法です。ただし、ベンダーに丸投げしていては、いつまでたっても自社にノウハウが蓄積されません。

また、運用していくうちに外部の人間にはわからない点も多く出てくるはずです。アドバイスを受けながら、社員が主体となってDXを推進していくことが大切です。

ベンダーとはこの場合、IT関連のサービス・製品販売者を指します。

業務フローの可視化

業務を自動化する際には、あらかじめ手順を定型化しておく必要があります。見落としがちな点ですが、自動化は業務効率をアップさせるためには欠かせません。

そのための準備はDX推進のファーストステップとなるので、優先して取り組みましょう。

\倉庫のDXで具体的な取り組み例/

 

まとめ

今回は倉庫管理におけるDXの取り組みについて、富士電機の調査をもとに現状や課題、成功した場合の効果について解説しました。

これからDXに取り組む場合、優先して取り組むべきことは次の3つです。

  • ビジョンを明確にして課題を洗い出す
  • DX人材の確保
  • 業務フローの可視化

これらは倉庫管理に限らず、DXに取り組む際はいつでも必要になる工程なので、早めに取りかかるようにしましょう。

現時点で倉庫管理のDXに取り組んでいる企業がわずか4%ということは、「競合他社を出し抜く絶好のチャンス」でもあります。

問題が山積みなのはどこも同じこと。一刻も早く取り組んで「新しいビジネスモデル」を構築すれば「倉庫管理におけるDXの成功事例」として一躍有名になれるかもしれません。

当メディア(AIZINE)の運営会社「お多福ラボ」にそのお手伝いをさせていただければ光栄です。ぜひお気軽にご相談ください。

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