DX(デジタルトランスフォーメーション)

システムのIT化で終わらせない!企業で進める前にDXとは何かを理解しよう

システムのIT化で終わらせない!企業で進める前にDXとは何かを理解しよう

ここ数年のうちに、様々な企業がデジタル技術を活かし、新たなビジネスモデルを開発していますよね。例えば注文したらすぐに発送し手元に届くようになったAmazonや、映像コンテンツを定額で見放題のサービスを行っているNetFlixは、まさにデジタルによって生まれたビジネスです。

このように企業がDX化を推進すれば、従来のビジネスモデルを根本から変革するだけでなく、新たな働き方を生み出すことができます。DXとは、デジタル技術を駆使しビジネスや私たちの生活様式を根本から変えて新たなシステムを生み出すことだと言えるでしょう。そんなDXとは何かをこの記事ではまとめているので、ぜひこれからの時代に生きる上で参考にしましょう。

そこで今回は、DXとは具体的に何なのか、DXを推進することでどのような変化があるのか、詳しくご説明します!

DXとは何か

デジタルのイメージ
DXとは、Digital transformation(デジタルトランスフォーメーション)を略した用語で「デジタルによるビジネスや生活様式の変容」などと日本語では訳されます。デジタル技術を活用し、従来のビジネスのやり方を変革・改善して新しいビジネスモデルを作り出すことです。

「DX」という言葉は、スウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した概念です。もともとは、「進化し続けるITテクノロジーが、人々の生活をより良い方向へ向かわせる」という内容のもので、当初は学問的な用語として使用されていましたが、現在で主にビジネス業界でよく聞かれる用語となっています。

日本では2010年代に入って、DXという言葉がよく使用されるようになりました。経済産業省のガイドラインでは、DXとは何かを以下のように定義しています。

『企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること』(デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン2018年12月より引用

要するに、IT技術を駆使してより良いビジネス活動をおこない、国内・国外での競争力を高めるという意味になります。現在では、このような意味が一般的になっています。

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今注目されている「DX(デジタルトランスフォーメーション)」とは?わかりやすく解説 | お多福ラボ
近年では、あらゆる業種でDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが始まっています。実際に、経済産業省が2018年12月にまとめた「DX推進ガイドライン」を発表しており、今後ますます注目されていくでしょう。そこで今回はそんなDX(デジタルトランスフォーメーション)とは何か?についてお伝えします。

DXを進めた方が良い理由

ビジネスのイメージ
では、DXを推進するとどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットを2つ挙げて解説しましょう。

業務効率化と生産性の向上

IT・デジタル技術を活用して、企業内の全てのビジネス工程やスケジュールを一元管理できます。そのおかげで、企業の業務体制を洗い出し、業務上のムダや非効率的な業務の「見える化」ができます。

見える化のおかげで、企業内で重複しておこなわれていた無駄な業務やそれに付随するコストを削減するなど、業務の最適化が期待できます。例えば、IoT(モノのインターネット)を活用することで、人の手を介さずに業務を進められるので、人件費や工程の削減を検討するのも良いでしょう。このようにDXを活用することで、より優先度の高い業務に時間とコストを注ぐ余裕が生まれ、企業の生産性を総合的に向上させられるに違いありません。

新たなビジネス手法につながる

ITやインターネットを活用して、次なるヒット商品の開発やプロモーションに重きを置くこともできます。例えば、ウーバー・テクノロジーズは、インターネットを利用して顧客と販売者を繋ぐコーディネート事業者として成功しています。ウーバー・テクノロジーズは、外食産業企業の商品を消費者がインターネットを通じて注文すると、その商品を温かいうちに消費者の元へ届ける配達システムを構築しました。2019年の売上げ伸び率は、前年比68%も拡大しており、今後も発展が見込めるでしょう。

企業でDXを進める場合よくある間違いとは

コミュニケーションのイメージ

社内でDXを進めていく中で、よく陥りがちなミスがあります。以下に、主なものを2点ご紹介しましょう。

現場の声を聞きすぎてしまう

DXとは、そもそもIT・デジタルを通じてビジネスモデルや仕事の進め方を、根本的に変革していこうとする取り組みです。社内でモノ作ったり、営業活動をしている現場の声を集約し、彼らのニーズに応えることも大切ですが、それでは単なるデジタルツールの導入だけで終わってしまうかもしれません。

経営陣や現場監督者などが業務全体を把握した上で、DX推進の方向性を決めましょう。その方向性を決めた後に、現場の各部門の問題点を改善するために様々なシステム(CRMやPDMなど)導入に着手しましょう。企業でDX推進をはかるためには、まず上層部が従来からの意識を変え、今後の企業方針を定めた後で取り組むのがベストです。

企業内の連携不足が発生しやすい

企業戦略を練る経営陣と現場の部署間との連携がうまくいかないと、DX化がスムーズに機能しません。社内のDX化を進めていくと、多くの部署から疑問や不満が上がるでしょう。また、経営陣が理想するDX化と現場が歓迎するDX化にズレがある可能性もあります。

例えば、経営陣が理想とする高度なシステムを、現場で本当に必要なモノなのか検証を十分にせずに導入してしまった場合、現場では大混乱が起きてしまいます。現場の社員がシステムを使いこなせなかった場合は、システム修正が必要となるので最悪の場合業務がストップしてしまうかもしれません。

このように、経営陣と現場の間でDX化に対する認識のずれがあると、事業に停滞をまねく原因となるでしょう。DX導入担当者は彼らと密に連携をとって「その企業にとってのDXとは何か」という認識のギャップを少なくする努力が必要です。

DXを推進する場合に出てくる問題とは

システムのイメージ
DXを推進する際に、発生しがちな問題があります。その問題を具体的に見ていきましょう。

既存システムの老朽化

日本国内では、企業内の営業所や事業部ごとに独自で、レガシーシステム(2000年代までの過去の技術や仕組みで構築されているシステムのこと)を使っていることが多いです。企業ごとに独自システムを開発・運用しているので、いわば企業ごとにITシステムのガラパゴス化が進んでおり、日本企業ではDX化がなかなか進んでいないのが現状です。

それらの企業内の部門ごとに過剰な独自カスタマイズをおこなっているので、複雑化しすぎて完全に扱える人材が少なくなっています。DX化を進めて企業内の情報データ管理を統合し、さらに活用していく基盤を作らなければ、レガシーシステムを運用・保守するためのコストが年々肥大化し、戦略的なIT投資が出来ない可能性も出てくるでしょう。レガシーシステムから新しいシステムを構築するために、早急にDX化を進めていくことが必要です。

IT人材の不足

IT人材不足は、2015年時点で約17万人とされていましたが、ベテランのIT人材が大量に退職し、少子化により若い人材が確保できない状況の中、2025年には43万人まで増加すると見積もられています。DX化を進めるには、最新のIT事情に加えレガシーシステムにも精通した人材が必要です。

しかし、ITエンジニアの退職や高齢化に伴いレガシーシステムを改善できる能力の人材が減っているのが現状です。ITに関するノウハウが社内になければ、新たな人材を育成することも、自社で新たなシステムを構築することも困難になるでしょう。それらを踏まえて、早い段階から社内にDX化の準備を進めていかなくてはなりません。

企業のDX推進事例

買い物のイメージ
DX推進を成功させた2つの企業の事例を、具体的な取り組みも交えてご紹介します。

ZOZO

ZOZOは千葉県千葉市に本社を置く、アパレルの大手通販サイト「ZOZOTOWN」やファッションコーディネートアプリ「WEAR」などを運営する企業です。

もともと、アパレル業界はIT化が遅れている業界でした。衣服は実店舗に足を運び、顧客自身が試着をしてから購入するという前提があったからです。しかし、ZOZOはネットやデジタルに苦手意識があまりない若年層にターゲットを絞り、彼らに人気のあるブランドを「ZOZOTOWN」に多く揃えることを徹底しました。

また、コーディネートアプリ「WEAR」と連携し、実際に着用した一般人の写真を活用して試着イメージも提供しました。このおかげで、試着をしてから服を買うという顧客の行動を一変させ、売り上げを大きく伸ばしたのです。ZOZOはDX化を徹底し、顧客の行動を根本から変革したとも言えるでしょう。

Amazon.com, Inc.

Amazonは、アメリカ合衆国ワシントン州シアトルに本拠地を置くテクノロジー企業です。言わずと知れた世界最大の通販サイトAmazon.comを運営しています。実店舗に行かずとも、世界のどこにいてもいつでも好きなモノを購入できるというスタイルをメジャーにしたのは、AmazonのDX推進のたまものだと言えます。

例えば顧客の購入履歴や閲覧履歴をデータ化し、ビックデータを用いておすすめ商品を表示するレコメンド機能は、実店舗の店員や販売員などの手法や経験をデジタル化させて活用したともいえるでしょう。また動画配信サービスも展開しており、従来ならばディスクとディスクプレイヤーを購入して観ていたものを、PCやスマホなどの端末でそのまますぐに観られるようになりました。これも顧客が機器を買って映画などを観ていた従来の「行動」自体を、デジタル化させることによって実現されたと言えるでしょう。

DX推進を進めた後とは

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企業がDX化を進めていく中で、進捗状況や自己評価するための指標があります。DX推進の結果を正しく判断するためにKIP(Key Performance Indicator)「DX推進指標」をしっかり定めなければなりません。KIPは企業で推進したDX化が成功と言えるのか、それとも修正が必要なのか判断する重要な指標となります。

事前に企業ごとにKPIを設定し、自社の指標を基にDX化を進めていくのが理想的ですが、ITに詳しい人材が乏しくそこまでに至らない企業も多いのが現状です。これを踏まえ、経済産業省が2019年7月に「DX推進指標とそのガイダンス」を公表しました。

まず、全国の中で自社がどの程度のDX成熟度であるかを確認し、他社との比較や分析ができる仕組みとなっています。例えば、DX推進において社内で目的と取り組みのビジョンをどの程度共有できているのか、DX推進がミッションとなっている部署や人員の確保ができているのか、そして彼らの役割が明確であるか等、細かく指標が設定されています。その後、自社のレベルに合わせてどのようにDXを導入・推進していけば良いのかまでまとめられています。

企業がDX化を進めることは、一朝一夕にはいかないことが多く長期的な戦略が必要です。KPIをベースに企業内のさまざまな部門が議論しながら自己診断を進め、企業の適正なDX化に取り組みましょう。

まとめ
さて、今回はDXとはいったい何なのか、DXを推進することでどのような変化があるのか、詳しくご説明しました。

  • DXとは、デジタル技術を駆使し、ビジネスを含め、私たちの生活様式を根本から変えて新たなシステムを生み出すこと
  • DXを推進すると、業務効率と生産性の向上、新たなビジネス手法につながるメリットがある
  • DXを推進する際に現場の声を聞きすぎてしまう、企業内の連携不足というミスに陥ってしまうことがある
  • ・DXを推進していく中で出てくる問題は、既存システムの老朽化、IT人材の不足である
  • ZOZOとAmazonは企業内のDX推進によって大きく売り上げを伸ばし、顧客の購買行動を根本的に変革させた
  • DX化を進めた後はKPIによって、自社の進捗状況や自己評価をして継続的に戦略を進めていく必要がある

企業が取り組むDXとは、今後の日本社会が直面する少子化による労働者不足の問題や、レガシーシステムによる国際競争力の低下を解決する重要なプロジェクトです。従来のシステムや常識といったものを大きく覆す可能性のあるDXは、私たちの未来をどのように変えてくれるのかとても楽しみですよね。

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