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導入するなら知っておきたい、在庫管理システムについての基本まとめ

導入するなら知っておきたい、在庫管理システムについての基本まとめ

出したいときにすぐ商品を提供でき、余りすぎず不足しない数を揃える、という準備は実は難しいですよね。そのためには商品をストックする在庫に、適正な数を揃える必要があります。このような管理のことを、在庫管理と言います。

卸売業・製造業において、今や在庫管理は必須となりました。しかしこの在庫管理を、手作業で行う企業さんも多いのだとか。

まえだまえだ
まえだまえだ

一つ一つしっかり記録をするかた、本当にえらい・・・!

とはいえ、多くの企業さんではこのような在庫管理の手間を減らしたいでしょう。そんな地味な在庫管理をシステム化したのが、在庫管理システムです。

在庫管理システムを使えるようになると、効率よく在庫管理ができるだけではありません。在庫の過剰や不足を減らす、コストの削減など、経営の状況を変えられる可能性を見つけられます。この記事を読んで、ぜひ導入を検討しましょう。

そんなわけで今回は、在庫管理システムについて導入する前に知っておくべきことを解説します。

在庫管理システムとは

スーパーのイメージ

在庫管理システムとは、その名の通り「在庫管理を行うシステム」のことです。と言っても何のことだかさっぱりわからない、と感じるかもしれません。そのため、まずは「在庫管理とは何か」について見ていきましょう。

そもそも、在庫管理とは「良い状態の商品(=そのまま出せる商品)」を「過不足なく管理する」取り組みです。例えば、野菜をスーパーの売り場に出すケースを考えてみましょう。キャベツや白菜などの野菜の場合、あまりに葉っぱがボロボロな場合は商品として出せませんよね。このような不良品は、そのままお店に出せないので在庫の数にはカウントできません。

また、せっかく商品をたくさん売りたくても「商品がもうない!」「市場から取り寄せる日数分まで商品が足りなくなる可能性がある」など在庫の不足や、「在庫が多すぎて赤字になってしまう」などの余剰は避ける必要があります。

この2つの課題を限りなく少なくするのが、在庫管理。この在庫管理を適正に行うことで、利益を最大化させるのにつながるでしょう。
なお、厳密にいうと在庫には3種類あります。トマトジュースで例えをあげると、原材料のトマトの在庫である「原材料在庫」、トマトを越した状態やトマトジュースそのものの状態である「中間在庫」、紙パックに入れられた状態である「商品在庫」とわかれます。今回は皆さんのイメージを持たせるために、「商品在庫」をメインでお伝えします。

先程は一つの野菜を例に取りましたが、倉庫ではこのような莫大な数・種類の在庫を管理しなければなりません。

まえだまえだ
まえだまえだ

そう考えると、なんだか気が遠くなりますよね・・・。

そこで、この管理を効率的に行うシステムが在庫管理システムです。

ちなみに在庫管理システムにはクラウドで管理する「クラウド型」と、システムやサーバーの開発が必要になる「オンプレミス型」があります。クラウド型は初期費用が抑えられる傾向にありますが、オンプレミス型は費用がかかる分機能のカスタマイズが可能なメリットもあります。どちらが良いかは、企業の求めているものによって変わるでしょう。

在庫管理システムでできること

倉庫のイメージ

では、在庫管理システムの基本的な機能について解説しましょう。なお、ここからは少しわかりやすいように、今までのExcelや手作業での比較をしながらお伝えします。

入出庫管理

入出庫管理とは、在庫から商品をいつ・いくつ出した、また在庫に商品がいつ・いくつ入ってきたかを記録することです。これにより在庫の不足・余剰を防ぎます。

検品

今までは、一つ一つの商品や段ボールを手作業や表に記入していました。しかし、それだと記入漏れ・ミスが発生しやすいですよね。在庫管理システムは、商品や段ボールについているバーコードを読み取って検品します。これなら少しでもミスが減らせるでしょう。

返品管理

特にアパレル商品の場合、お客様から返品されるケースも多いかもしれません。そんな時に「いつ返品があった」「在庫の数が変動した」を記録しつつ、通常の在庫と別で管理する必要があります。でも、帳簿がバラバラになっていると記録するのにも一手間かかりますよね。

そんな時に、在庫管理システムは返品の記録をすぐ記入できます。これなら複数に渡った帳簿でも楽で、管理がしやすくなるでしょう。

在庫分析

在庫の数がどのように減ったのか、また一番多かった時期と少なかった時期はいつなのかなどはただ記録するだけでは役に立ちません。そのため、入力したデータを使って在庫の時期と個数を分析します。とはいえ、Excelで入力したデータをもとに入力してもExcel外のデータはリアルタイムに反映されず、なかなか分析ができない場合もあります。

在庫管理なら、リアルタイムで在庫の数をグラフ化します。その記録を分析すれば、在庫の数がいつも適正になるように数を工夫できるでしょう。

在庫管理システムを導入するメリット・デメリット

在庫の数のイメージ

では、実際に在庫管理システムを導入するメリット・デメリットについてそれぞれ解説しましょう。

メリット1:管理の手間がグッと減る

検品の作業を例にとってみましょう。システムがない状態で検品をする、となると一つ一つの商品や段ボールを目視でチェックして、表やパソコンで記入していましたよね。しかし記入ミスや漏れ、数え間違いがあったり、記録している数と実際の数が違ったりする場合は、「どこで間違えたのか?」を見返す必要があります。その度に在庫の数を一つ一つチェックする・・・という事態があってかなり時間がかかっていました。

在庫管理システムなら、バーコードをスキャンするだけで検品ができます。このため検品にミスがあっても、すぐ修正ができるでしょう。また、コンピューターが個数を記録するのでミスそのものも減らせます。同時にリアルタイムで在庫の数を把握できるので、チェックしている間に「この商品の在庫はあるのか?」と問い合わせがきても対応ができます。

これによって、在庫管理の手間を減らすことができます。今まで細々とした在庫管理に当てていた時間を、他の作業に回せるようになるでしょう。

メリット2:欠品や過剰在庫が減って、適切な在庫を揃えられる

在庫管理において、欠品が起きると商品をすぐに作ることができない、あるいは商品をすぐに発送できない事態になってしまいます。これでは、お客様の満足度にも影響が出てしまいますよね。

かといって欠品を恐れて在庫を多めに用意すると、売れなかった在庫は負債となってしまいます。そうなると、「在庫を少しでも減らそう」として原価ギリギリや原価割れとなるセールを行うこともあります。もちろん、消費者としては「ちょっとでも安くなっている」とラッキーな気持ちになるかもしれません。しかし、倉庫側としては利益が少なくなってしまい、赤字になることも。

そんな時、在庫管理システムで適切な管理ができるようになればこのような事態が少なくなります。欠品が減るので商品をすぐ発送したり、原材料をすぐに生産へ回したりすることができるようになるでしょう。このように適切な在庫が揃えられれば、商品をすぐ届けられる、商品をすぐ生み出せるという消費者も企業も両方がハッピーな状態になれるに違いありません。

メリット3:分析が容易になり、経営状態の改善につながる

在庫管理の表をExcelで作った場合、在庫の数の変動やコスト、実際の出荷数なども含めるとかなり膨大な表・データ入力やグラフ作成が必要になりますよね。しかし、データ入力だけでなくグラフを作ったり、それを踏まえて分析するとなるとかなり大変です。

在庫管理システムは、データ入力するだけでさまざまなグラフをリアルタイムで作成できます。これによってグラフを作る手間がなくなる、在庫の数や出荷した数、それに伴う利益などの推移を簡単に見ることができ、改善点が見つかりやすくなるでしょう。

そして、在庫の数が適正になると余剰なコストの削減にもつながります。それだけでなく、在庫管理の業務が効率化すれば残業時間が減るだけでなく、人件費も減りますよね。つまり、在庫の数を適正にするだけでなく、人件費の削減も含めて固定費の削減になります。そのような意味で、企業としての利益を出していきたいなら在庫管理システムの導入は必須に違いありません。

デメリット1:費用がかかる

システムを導入する、となると当然かかってくるのが「コスト」。在庫管理システムを導入する際には、初期費用・月額費用の両方がかかってきます。システムによっては初期費用がかからないものをありますが、初期費用や月額費用はしっかりチェックすることが大切です。

また、在庫の数はあまり多くないけど効率化したいという場合、初期費用で100万円もかけるのはもったいないですよね。そのため、導入に当たってはシステムを使う工数(人件費)や在庫の数をひっくるめて、全てのコストを計算しながら検討しましょう。

デメリット2:システムに慣れるまでに時間がかかる

これは在庫管理システムに限った話ではないのですが、仕事において新しいルールが加わった場合は慣れるまでに時間がかかりますよね。それと同じで、在庫管理システムの使い方に慣れるまでに少し時間がかかる可能性があるかもしれません。

このような場合は、現場でのわからないことをサポートできる体制が万全なシステムを選ぶのがおすすめです。その疑問や不安な点を解消すれば、システムの力をしっかり発揮できるに違いありません。

おすすめの在庫管理システム

チェックするイメージ

では、実際に在庫管理システムがどのようなものが見ていきましょう。

ZAICO

「ZAICO」はクラウド型の在庫管理システムです。インストールする必要がないので、パソコンやスマホから使えます。これなら現場の方でも、抵抗なく使えるに違いありません。

また、ZAICOは複数拠点の在庫管理も可能です。例えば倉庫が複数に分かれている場合、自分の倉庫で在庫が足りなくなった時に他拠点から在庫を取り寄せる、逆に他拠点に自分の倉庫の在庫を提供するなどをしたほうが良いですよね。とはいえ、場合によっては本社に問い合わせて何日か後に結果がわかる、など時間と手間がかかることもあるかもしれません。

そんな時に、ZAICOで情報共有すれば「あ、ここの倉庫から取り寄せができるので、後で問い合わせしよう」と問い合わせがスムーズになるでしょう。

アラジンオフィス

「アラジンオフィス」は、導入実績が5000社を超えた人気の在庫管理システムです。バーコードでのスキャンは一次元、二次元のどちらでも対応しているので、ファッション・食品・医療・製造業とさまざまな業種で活躍できます。さらに、珍しいねじ業界の在庫管理にも対応できるとのこと。

アラジンオフィスでは在庫単体だけでなく、「セット品管理」という商品を作るために必要な部品(原材料在庫)の在庫の管理もできます。これは商品とそれに必要な部品のデータを登録することで、いまある部品の在庫で商品が何個できるか、部品が不足する場合は部品がいくらか、いくつ足りないかなどのデータを出します。これなら、在庫の商品が足りなくなっても対応ができますよね。

ロジクラ

「ロジクラ」は、無料から使える在庫管理システムです。これは商品は100件、月間出荷数300件までが使える無料プランがあるので、小規模な在庫管理ならロジクラが有利になるでしょう。

また、ロジクラは入荷履歴・入荷予定の作成の検索ができます。例えば事前に入荷予定で入力していた数と、実際に入荷した数が違うというケースはよくありますよね。このような場合は、原因を突き止める必要があります。そこで検索機能を使えば、データの入力がいつ行われたかを探すことができます。この原因を探す時間も、短縮できるでしょう。

在庫管理システムを使って効率化に成功した事例

運ぶイメージ

在庫管理システムは、うまく活用するとしっかり効果が出ます。そこで、次では在庫管理システムで管理作業を効率化した企業について見ていきましょう。

ネット通販+実店舗の対応が効率的に可能になった「タグチスポーツ」

最近では、実際のお店とインターネットの通販と両軸で販売することが多くなりました。そうなると、在庫の数の増減や在庫の場所がどこだかわからなくなりがちですよね。ましてや、在庫がお店だけでなく外部の倉庫実際にある場合、さらに混乱するかもしれません。実際に兵庫県にあるスポーツ用品店「タグチスポーツ」も、ネットからの注文が1日50件もあったのにもかかわらずほとんど1人で対応する体制だったのだとか。

そこで、今までの受注管理システムと連携できる在庫管理システム「在庫スイートクラウド」を導入しました。これによって、お店の在庫と外部の倉庫の2箇所の在庫を管理できるようになりました。

また、注文の内容によってお店と倉庫のどちらから発送されるのかわかるようになったり、これまで1人しか知らなかった在庫の場所がスタッフにわかるようにったりして、注文〜発送までの流れがスムーズになりました。

これなら、在庫管理に時間を取られていたのを他の業務に回せるようになりますよね。

在庫管理システムによって、ミスなく効率よくできるようになった「株式会社ソネッティワーク」

商品の在庫を整理する場合、その商品の知識を持つ必要がありますよね。しかし倉庫に配属になったばかりの新人さんにとっては、まだまだ知識を持っていない方も結構多いです。そんな時に在庫管理をお願いされても、なかなか苦労するかもしれません。他にも在庫管理に関しては、時間がかかる、作業の負担も大きいなどさまざまな課題を抱えがちです。関東の物流会社である株式会社ソネッティークも、まさにそんな状況が当てはまっていました。

そこで、クラウド型在庫管理システムである「@wms」を導入しました。これにより、在庫管理において劇的な効率化に成功します。

具体的な効果は、ピッキングの時間が減ったことにあります。これまで在庫の数を数え、チェックし記入するまで120分かかっていたのが、システム導入で90分で完了できるようになりました。また、ハンディターミナルでの検品によってミスが減ったこと、操作がわかりやすいので新人の方でも在庫管理ができるようになりました。

在庫管理ができる人が増えれば、いざという時でも安心できますよね。

※このほかにも、当メディア(AIZINE)の運営会社お多福ラボでも在庫管理システムを開発した実績があります。それがこちら

お多福ラボの実績「属人化した在庫管理/発注判断作業を自動化」 | お多福ラボ
多くの在庫を取り扱うお客様の会社では、未だエクセルによる商品管理に依存しているなど多くの問題を抱えていました。それを受けて在庫管理業務を行う各担当者様とヒアリングと議論を重ね「あったらいいな」をシステムに落とし込みながら、在庫管理システムを開発。社内ルールの整理や見直しにより多くの業務改善が実現した事例について解説しま…

在庫管理システムの導入時の注意点

整理するイメージ

在庫管理システムは導入すると、とても便利です。しかし導入する前には、しっかりと準備を行う必要があります。そこで、在庫管理システムを導入する前の注意点と準備すべきことについて解説しましょう。

導入する前に、倉庫を整理したりマニュアルを作成するなど準備をする

在庫管理システムを使う前に、「在庫の場所がどこだかわからない」などの状況が起きている場合もありますよね。この場合は、まず倉庫を整理しましょう。この時に、この入庫があった場合はこの場所に置くといったマニュアルを作成できるとさらにベストです。

在庫管理システムはあくまでもシステムです。例えば在庫を保管場所に運んだりするのは、私たちなので場所を間違ってしまったら、さまざまなトラブルが想定されますよね。そのトラブルを減らすためにも、在庫の保管場所やルールをしっかり決めることが大切です。

自社に必要な機能を基準にソフトを選ぶ

在庫管理システムの導入もっとも重要なのは、「このシステムによってどんな課題が解決するのか?」と「自社が抱えている課題」が一致することです。そのため、まずは自社で在庫管理においてどんな課題があるのかをしっかり検討しましょう。

例えば、複数倉庫を持っている企業さんで倉庫間の情報を共有したい場合は、クラウド型のようにデータを共有できるシステムの方がふさわしいかもしれません。また、在庫管理でのミスをなくしたい、時間がかかっているので短縮したいはもちろん、原材料と商品の在庫をどっちも管理したい、などもあります。

このような要望を基準にして、在庫管理システムを探します。システムによってはカスタマイズができるものもあるので、しっかり情報を比較した上で選ぶことがおすすめです。

とはいえ、「自社で何が課題なのか、どう選べばわからない」という企業さんもいますよね。お多福ラボではこのような在庫管理システムの導入のサポートを行っているので、興味をもった場合はまずご相談ください。

AI(人工知能)/DX(デジタルトランスフォーメーション)開発のお多福ラボ

さて、今回は在庫管理システムについて導入する前に知っておくべきことを解説しました。それでは、今回のポイントについて改めてお伝えしましょう。

  • 在庫管理システムとは、在庫の数を適正に管理して、利益を最大化させるシステムのこと
  • 在庫管理システムでできることとは、入出庫管理、検品、返品管理、在庫分析などがある
  • 在庫管理システムを導入するメリットは「管理の手間がグッと減る」「欠品や過剰在庫が減って、適切な在庫を揃えられる」「分析が容易になり、経営状態の改善につながる」があり、デメリットは「費用がかかる」「システムに慣れるまでに時間がかかる」がある
  • 代表的な在庫管理システムとして、「ZAICO」「アラジンオフィス」「ロジクラ」がある
  • 在庫管理システムを導入して、複数の拠点での管理ができるようになったり、新人でも在庫管理ができるようになった事例がある
  • 在庫管理システムを導入する時の注意点として、「導入する前に、倉庫を整理したりマニュアルを作成するなど準備をする」「自社に必要な機能を基準にソフトを選ぶ」がある

システム導入はまだ大丈夫と考えている場合でも、この記事の内容にそって今の在庫管理の方法を変えるのも一つの手段かもしれません。管理を効率化すれば、別の業務に手を回すこともできるためです。

とはいえ、在庫管理システムは導入すると倉庫業務の効率化に一役買います。これからデジタル化する社会に対応するなら、ぜひ導入を検討しましょう。

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