AI(人工知能)に関する情報を調べていると、強いAI(人工知能)、弱いAI(人工知能)という言葉に出くわすことがありますよね。この2つは違いや実現可能性についてこれまで多くの議論が積み重ねられ、またこれからのAI(人工知能)情勢にも深く関与してくる概念です。まさにAI(人工知能)について学ぶうえで欠かすことのできない概念ともいえるでしょう。
しかしながら、強いAI(人工知能)と弱いAI(人工知能)について聞いたことはあるけどよくわからない、なんとなくしか知らないので違いがあまりわかっていない、一応は知っていて今後どうなるのか気になる、という人は多いですよね。そこで今回は、強いAI(人工知能)と弱いAI(人工知能)はどのようなもので、どう違うのか、これからどうなるのかについて解説します。
強いAI(人工知能)と弱いAI(人工知能)の解説に入る前に、まずはAI(人工知能)とは何物なのかについて確認しておきましょう。
AI(人工知能)とは
AI(人工知能)とはArtificial Intelligenceの略で、その定義は専門家の間でも統一された厳密なものがなく、若干の曖昧さを持っています。ただ、ここでは専門的で厳密な話をするわけではないので、「人間のような活動や振る舞い、知的活動を人工的に再現したもの」というおおまかな認識で問題ありません。
AI(人工知能)について簡単に解説しましたが、AI(人工知能)はさらに強いAI(人工知能)と弱いAI(人工知能)の2つの概念に分類する方法があります。続いて強いAI(人工知能)について解説しましょう。
強いAIの意味
強いAI(人工知能)とは、人間のような認知機能や知性、心を再現し、自律的に(ときには人間を超えた)汎用的な行動するAI(人工知能)のことを指します。語弊を恐れず、よりわかりやすくいえば、人間のようにさまざまなことができるAI(人工知能)が強いAI(人工知能)です。強いAI(人工知能)はアニメや漫画、SFの世界に登場し、鉄腕アトムやドラえもん、ターミネーターが好例です。強いAI(人工知能)まさに、私たちがイメージするようなAI(人工知能)の姿でしょう。
もしかしたら、読者のなかには「そんなAI(人工知能)は現実に存在するの?」「強いAI(人工知能)なんて本当に可能なの?」と疑問に思う人もいますよね。実際、先ほど説明したような強いAI(人工知能)は今現在、現実世界には存在しませんん。強いAI(人工知能)はAI(人工知能)の専門家の大きな野望であったり、SF作家の想像のなかだったりと、頭の中の存在に留まり、強いAI(人工知能)を作ることはまだまだ困難でしょう。
このような強いAI(人工知能)と対となるように、弱いAI(人工知能)という考えが存在します。次に弱いAI(人工知能)について解説します。
弱いAIの意味
弱いAI(人工知能)は与えられたプログラムをもとに、決められた機能に特化した行動ができるAI(人工知能)のことを指します。強いAI(人工知能)がまだまだ仮想的な存在なのに対し、弱いAI(人工知能)は現実で実現され、この世に存在するAI(人工知能)はすべて弱いAI(人工知能)だといっても過言ではありません。
一概にはいえませんが、多くの場合弱いAI(人工知能)は人間の認知機能や知性、心を部分的に再現したものであり、特定のタスクだけを処理できるようにしたものです。いわば人間の活動や仕事を部分的に助けてくれる存在で、社会活動を一部サポートしてくれるロボット、あるいはシステムとなります。弱いAI(人工知能)の登場により、社会生活が豊かになったり、効率的に業務を遂行できたり、人間にしかできない活動に多くの他人が従事できたりと、さまざまな恩恵を受けているでしょう。
ここまで強いAI(人工知能)と弱いAI(人工知能)について解説しましたが、「なんとなくわかったけど違いが曖昧だ」「違いを明確にしてほしい」と感じますよね。そこで、続いて強いAI(人工知能)と弱いAI(人工知能)の違いについて整理します。
強いAIと弱いAIはどう違うのか
強いAI(人工知能)と弱いAI(人工知能)のもっとも大きな違いは、汎用的なAI(人工知能)であるかどうかです。鉄腕アトムは人間のように歩いたり、コミュニケーションを取ったり、さらには空を飛べるように、強いAI(人工知能)は、まったく人間と同じことができるとまではいえないものの、ときには人間を超えるほどのさまざまな行動が可能です。
また、自分で考えて自律的に行動ができるかどうかも2つのAI(人工知能)の相違点です。強いAI(人工知能)は人間の認知機能や知性、心の再現を目指して作られるAI(人工知能)であり、弱いAI(人工知能)は設定されたプログラムをもとに行動させることを目的として作られるAI(人工知能)というのが背景にあります。
認知機能や知性、心というのは人間が自律的に行動を起こす、すなわち自分で考えて対処する原動力となっているため、強いAI(人工知能)は想定外のことにも対応できるように設定されています。
ところで、強いAI(人工知能)の解説の際に述べたように、現在強いAI(人工知能)はまだ登場していません。それはなぜなのかについて、次に解説します。
強いAIがまだ登場しない理由
強いAI(人工知能)がまだ登場しない理由として、社会的理由と技術的理由の2つがあります。それぞれ解説しましょう。
社会的理由として、主に産業界において強いAI(人工知能)の必要性がないことがもっとも大きな理由です。確かに、人間のようなロボットやシステムがあったら面白そうですし、生活が豊かになるかもしれません。しかし、特定の目的や課題を達成するために強いAI(人工知能)が必要かといわれると疑問が残ります。
一方、技術的理由として、強いAI(人工知能)を実現できるほど技術が進歩していないということがあります。ソフトウェアの側面では、人間のように空気を読んだり機転を利かせたりするのが難しいことや、外部からの刺激の処理を人間の脳ほど効率的におこなえないこと、人間がAI(人工知能)の推論を理解できないほど高度になる可能性があることなどです。ハードウェアの側面では、単純に高機能なPCやロボットを作ることが難しいことがあるでしょう。
このように、現時点で強いAI(人工知能)の登場が難しい理由はさまざまあります。では、今後強いAI(人工知能)や弱いAI(人工知能)はどうなるのでしょうか。最後に2つのAI(人工知能)の未来について考察します。
今後、強いAIと弱いAIの未来はどうなるのか
強いAI(人工知能)は現時点で社会的に必要とされていないと述べましたが、夢やロマンはありますよね。そのため、研究者や企業が実現に向けて強いAI(人工知能)の開発に取り組むのは予想できます。技術的な課題により、なかなか実現しないでしょうが、新たな知見が積み重なり、派生的にさまざまな技術へと転用されるでしょう。
そして、強いAI(人工知能)で得られた知見は、弱いAI(人工知能)の発展に寄与する可能性は十分考えられます。弱いAI(人工知能)は目的が明確であり、具体的に私たちの抱えている問題の解決に向かうでしょう。そのため、当分の間は弱いAI(人工知能)がどれほど進化するのかがホットな話題となると予想されます。
さて、今回は強いAI(人工知能)と弱いAI(人工知能)はどのようなもので、どう違うのか、これからどうなるのかについて解説しました。人間のように自律的に汎用的な行動するのが強いAI(人工知能)、決められた機能に特化した行動ができるのが弱いAI(人工知能)でしたよね。強いAI(人工知能)と弱いAI(人工知能)の大きな違いは、前者が汎用的で臨機応変に、自分で考えて行動できるのに対し、後者は決められたことしかできないという点になります。
強いAI(人工知能)がまだ登場しないのは、機能を持て余すため需要が高くないことや、ソフトウェア面でもハードウェア面でも技術が未熟なためです。とはいえ、将来的に強いAI(人工知能)が登場する可能性は少なくありません。弱いAI(人工知能)のような実利的な豊かさに加え、精神的な豊かさを強いAI(人工知能)はもたらすでしょう。今後のAI(人工知能)の進化に期待しましょう。