最近、インターネットにつなげる家電である「スマート家電」、家電を声で操作できる「スマートスピーカー」、家をインターネットで丸ごと便利にする「スマートホーム」が徐々に人気になっていますよね。これらを支える技術が、IoTです。
そんなIoTを使った事例は身近なところからビジネス・産業など、幅広い分野で活躍しています。特に現在では5G回線ができたことで、今までよりも断然スピードが早く、大きなデータを扱えるようになりました。そうなると、IoTの技術が今よりもさらに進歩するに違いありません。
この記事では、そんなIoTがどんなことに使われているのかをまとめました。読んだ後は「えっ、こんなところにも使われていたの!」「IoTってすごい!」と感じるはず。
それでは今回は、「最新のIoTが使われている事例」を、身近なところからビジネスまで幅広く解説します。
そもそもIoTとは
まずはIoTとはなんぞや、を解説しましょう。
IoTとは「Internet Of Things」の略で、インターネットによって様々なものがつながっていることを指します。この「もの」とは「形あるもの全般」をさし、家電、時計、携帯電話、靴などその範囲はとても広いです。
そして、この「もの」がインターネットでつながると様々なデータを共有できると、今まで見えなった問題や傾向が見えて来ることがメリット。わかりやすい例として、健康管理において「血圧」「体重」「体脂肪率」「食事の量」「運動量」など多くのデータを集められれば、より早い段階で高血圧につながる要因が見つけられますよね。それをIoTによってデータを集めれれば、私たちの健康をしっかり管理できる機械が誕生する可能性もあります。
IoTが人気になった理由には、「ビッグデータ」「センサー」技術の発達がある
もともとIoTが多くの分野で使われているようになったのには、インターネットそのものの進化があります。インターネットの回線の技術が進化して、より多くのデータを送受信できるようになりました。さらに最近では「5G回線」も登場して、より大きなデータも扱えるようになっています。
しかし、IoTがなぜこれだけ使われているのかというと、データをやりとりする技術が発達したからだけではありません。それには、「ビッグデータ」や「センサー」などが関わっています。
最近ではビッグデータと呼ばれる膨大なデータを分析するようになりました。これが実現したのは、やはりAI(人工知能)が発達したこと。AI(人工知能)は多くのデータから特徴を割り出すのが得意であるため、分析の精度をあげるにはどうしてもデータが必要です。そこで今までよりも多くのデータを集めるため、IoTを使ってデータをやりとりして、AI(人工知能)が分析を行っています。
また、センサー技術の発達によって、より細かいデータを集められるようになりました。例えば昔健康かどうかを測るためには、「血圧計」「万歩計」などを個別で買う必要がありましたよね。これが、今発売しているスマートウォッチでは、センサーによって「脈拍」「血圧」「血の中の酸素濃度」「歩数」などのデータを取れるようになりました。
※実際にスマートウォッチ(ウェアラブル端末)にどんな機能があるのかは、こちらで解説しています
※その他、IoTのセンサーを使った例はこちら
そういえば最近ゲーム機のNintendo Switchと、運動できるソフト「リングフィットアドベンチャー」を買ったのですが、運動後に脈を測るかどうか聞かれました。どうやら、コントローラーの赤外線カメラで脈拍を測っているとのこと。すごい・・・。
つまり、IoTによるデータのやりとりとセンサーで細かいデータを集められるようになることで、AI(人工知能)で精度の高い分析ができるようになりました。ビッグデータによってより多くのデータを、センサーによってより細かいデータを集められるようになったので、それをIoTによってデータベースに共有したり、AI(人工知能)が分析しているとも言えるでしょう。
身近にあるIoTの事例
では、まずわかりやすい身近なIoTの事例について解説しましょう。
IoTセンサーを使った家電、「スマート家電」で家事が楽に!
IoTで連携したセンサーが入った家電が次々に登場しています。こちらの記事では、そんなIoTのセンサーを搭載した家電について紹介しています。
例えば洗濯機にIoTのセンサーを入れれば、服の量に合わせて洗剤を入れてくれたり、IoTのセンサーを掃除機に入れれば自動で壁を避けてくれたり、エアコンでIoTセンサーを入れれば人がいるかいないかで温度を調節したり・・・など、便利なことがたくさんあります。この記事を読めば、あなたもそんなIoTの家電が欲しくなる!かもしれません。
また、最近では「スマート家電」も登場しています。スマート家電は音声で操作できたり、センサーを使って電源をオンオフしたりできる家電のこと。代表的なものだと、スマホでロックを開けられる「Qrio」や、電球「Phillip Hue」などがあります。
こちらの記事でも、実際にスマート家電を導入した生活の様子を少し紹介しています。導入したのはベッドサイドのランプですが、音声やスマホで操作できるのも、なんだか新鮮な感じですよね。
この他にも、スマートリモコンを使えばスマート家電のように音声で操作できるようになります。それも含めて、以下の記事でIoTでつながった「スマートホーム」の状況についても解説しています。
なんとコインランドリーにIoT!?
以下の記事では、コインランドリーにAI(人工知能)とIoTを導入した事例を取り上げています。これは洗濯機と乾燥機のパネルをIoTでつなげることで、操作だけでなく料金の支払い、ポイントカードの発行だけでなく、外出先でも洗濯・感想が完了したことをお知らせしてくれるのだとか。
猫の健康管理にIoT
ペットを飼っているご家庭も多いですよね。実はもはや人間だけでなく、ペットとの生活においてもIoTを活用するようになりました。こちらでIoTを活用した事例は、なんと「猫」のトイレ。
こちらの記事で紹介されている「TOLETTA(トレッタ)」は、猫の病気である慢性腎疾患を日々の排泄の様子や体重から気づくことができます。こちらのIoTの事例は、猫を飼っている方はぜひチェックしましょう。
漁業・農業で使われているIoTの事例
ここまでは、私たちの生活で使われるようなIoTの事例について解説しました。次に、ビジネスで使われているIoTの事例についてお伝えしましょう。
マグロの養殖でIoT!?
最近では、いろんな種類の魚や海藻を養殖で育てるようになりました。でも、養殖と聞くと水の温度を管理したり、餌をあげたり、なんとなく人の仕事のイメージが強いですよね。
そんな中で、なんとマグロの養殖でもIoTが使われたのだとか。近畿大学では、卵から生まれて小さい魚になるまでの死亡率が高いことが課題でした。また、作業において目視の検査や手作業がおおく、作業員の体力負担が大きいこともありました。
それを、IoTによって作業を自動化しました。今後、もしかしたらあなたの食卓にIoTで養殖をしたマグロが登場する・・・かもしれません。
農業でIoTが使われた事例
農業でIoTが使われた事例は、こちらの記事で取り上げています。例えばIoTやセンサーを使って、田んぼの水やビニールハウスの温度、湿度などを計測できます。今までこの辺りの管理を手動で行ってきましたが、IoTによって農業に対する負担を少しでも減らせるようになるかもしれません。
最先端の農業はどんな感じなのか!?詳しく気になる方はこちらの記事をチェック!
医療・介護でのIoT事例
医療や介護の分野は、どんどん需要が伸びていますよね。そんな中で、医療や介護にIoTを使う事例が増えています。そこで、次から医療・介護におけるIoTの事例を解説しま尚。
心電図をIoTによって計測!
今はスマートウォッチで脈拍をはかれても、それを心電図に起こすことができないですよね。当メディアの運営会社であるお多福labでも、IoTを使って健康管理を行おうとする事例があります。健康を管理する「ECGo」では、デバイスとスマホのアプリを連携して心電図を取れます。心電図を家庭でも取れるようになれば、心臓の不整脈などに気が付きやすくなるでしょう。
こちらの記事では、ECGoの紹介をしながら、私たちの健康を守るために、できることは何か?という問題も含めた読み応えのあるインタビューも含んでいます。健康を気にする方は必見です!
IoTで健康管理した1日はどんな感じ?
IoTでは、健康にまつわる情報を交換しています。この記事では、あなたが日常で使っている製品がIoTになった場合、どんなことになるのかを(想像で)ご紹介しています。
例えば朝の尿で水分不足やお酒の飲み過ぎなどが分かったり、フォークで食べていたら「早食いだからよくないよ」と教えてくれたり、体重計で筋肉量や体脂肪などの健康状態をバッチリ管理してくれたり、結構メリットがあるとのこと。
あなたもIoTを使って、健康管理を始めましょう!
介護でIoTを使って、負担を減らそう!
介護は肉体的にも精神的にも負担がかかりますよね。そんな介護にも、今積極的にIoTを導入しようとする事例が増えています。
例えばご高齢の方に見守りセンサーをつけることで、徘徊や事故の防止につながっている事例もあります。他にも体の動きを検知するセンサーを付けて、体を動かすトレーニングを行っているのだとか。これなら、介護する私たちにとってありがたいですよね。
この記事では、そんなIoTを使った介護の事例を詳しく取り上げていますので、ぜひご覧ください。
AI×IoTの事例
最近ではIoT単体だけでなく、IoTとAI(人工知能)を組み合わせた事例も増えています。そこで、AI(人工知能)×IoTでの事例について紹介しましょう。
ホームセンターに導入して、売り上げがぐんとアップ!
AI(人工知能)×IoTを身近に導入しているのが、ホームセンターです。というのも、AI(人工知能)で販売予測を立てて、IoTでビッグデータを集めて店員の配置や顧客の行動データ、売り上げデータなどを含めて分析したのだとか。
その結果、なんと売り上げがアップしました。もしかしたら、今後の小売業界は同じようにAI(人工知能)×IoTを使った事例が増えるかもしれません。今後のためにも、ぜひこちらをご覧ください。
パン屋のレジに導入して、レジ待ちを解消
パン屋さんのレジだと、人の目で「これはクロワッサン」「これはチョココロネ」など判別してレジに入力しますよね。でも、これを初心者で判別するのは、パンの種類を覚えていない限り難しいもの。
そこで、パン専用のレジにAI(人工知能)とIoTを導入しました。これは一体どんなものなのか?どんなメリットがあるのか?に関してはこちらの記事で解説しています。実際にこのレジを導入するパン屋さんも増えているというとで、要チェックです!
IoTの今後はどうなるのか
このようにIoTは、様々な分野で活躍していますよね。それでは、IoTは今後どのように活躍するのか、予想しましょう。
IoTを使ったビジネスがどんどん誕生する!
先ほど農業や漁業などでIoTを使った事例を上げました。これらを元にしつつ、IoTが導入されるとどんなメリットがあるのかをみていきましょう。
- 仕入れから出荷までの流れを把握、生産効率をあげる(製造業の場合)
- 顧客の行動データを集め、ニーズを見える化する(店舗の場合)
- 在庫管理・発送作業を効率化(物流の場合)
- ヘルスケアや診療データが集まり、より適切な診療をオンラインでも受けられる可能性がある(医療の場合)
- キャッシュレス化が進む(金融の場合)
- 農地の環境を管理し、負担を減らせる(農業の場合)
- 現場の負担を軽くする(介護の場合)
となると、サービスを作る側にも、使う私たち側にもどちらにもメリットがありますよね。
これらの変化に合わせて新しいビジネスが登場したり、またIoTによって効率化させるサービスが今よりも増える可能性があります。
また、IoTはビジネスや家そのものだけでなく、街のインフラを管理するようになっています。これが、「スマートシティ」です。このスマートシティが、海外も日本でも今続々と誕生しています。
※スマートシティとはなんぞや、という記事はこちら
このため、IoTが活躍できる場がどんどん増えることは間違いありません。
スマートホームによって、連携できる家電が増える&新しい住宅の形が誕生する
一番最初の事例でも取り上げたように、IoTによって連携できる家電や家をまるっとIoTで管理するスマートホームなどを導入する家が増えています。つまりスマートスピーカーやスマートディスプレイの登場によって、今後このような家がさらに増えるかもしれません。それに伴って、今後スマート家電の種類も増えるでしょう。
また、最近ではスマートホームと少し違った、「IoT住宅」も登場しています。
※IoT住宅についてはこちらの記事をご覧ください
このIoT住宅では、スマートホーム のように家電をIoTで操作するだけでなく、災害時に蓄電池が動いて電気を自動で供給することもあるとのこと。今までよりも、さらに安心して暮らすことができるかもしれません。
さて今回は、「最新のIoTが使われている事例」について解説しました。それでは、今回の内容についてざっとおさらいします。
- IoTとは、インターネットによって様々なものがつながる技術のこと
- IoTを使って、スマートホームのように暮らしが便利になっている
- 漁業や農業でIoTを使うと、管理が楽になる
- 医療・介護でIoTを使うと、負担が楽になる。またデータが集まることで、適切な医療を受けられる可能性が上がる
- AI(人工知能)とIoTが組み合わせられると、IoTで集めたデータをAI(人工知能)が分析できる
- 今後、IoTは活躍する分野が広がるだろう
IoTを使った事例はどんどん登場して、それと同時にIoTの技術も絶え間なく進化しています。IoTの技術が進化することで、私たちの生活もさらにレベルがアップする可能性があるでしょう。まだ使ったことがない方は、ぜひIoTに触れてみましょう。
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