私たちは今、テクノロジーが猛烈なスピードで進化している時代を目の当たりにしています。近い過去を振り返っても、地上デジタル放送への切り替え、携帯電話からスマホへのブレークスルー、スマート家電など、数々のイノベーションが生まれてきました。次に来る大きな波はやはりAI(人工知能)なのでしょうか。確かにAIが搭載されたスマホアプリは身近になってきましたが、AIが活用される分野はアプリ以外でも多岐に広がりをみせています。
今回は、さまざまな産業で活用されている、AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)の組み合わせの事例を紹介していきます。
まずは、AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)について整理しておきましょう。
一例としては、従来の製造業では工場内に設定されている各種センサーで収集したデータをもとに、人間が課題分析を行ってきました。このセンサーをインターネットに繋げることで、これまで時間も手間もかかっていたデータの分析作業が大幅に効率よく行うことができるようになったのです。センサーをインターネットに繋げる手法は、製造業だけでなく一般オフィスや家庭においても活用され始めているんです。
それでは今回は、課題解決の新たな手法として注目を集めているAI(人工知能)とIoTについて、家庭、製造業、物流、セキュリティ、働き方、農業といったさまざまな分野における適用事例をお伝えします。
家庭:利用者の嗜好や習慣を追求
AIとIoTによって電子レンジが毎日のレシピを自動作成!
最初にお伝えするAI(人工知能)とIoTを組み合わせた事例は、どこの家庭にもある電子レンジです。でも今回はただの電子レンジではありません。
この電子レンジにAI(人工知能)が搭載されているということですが、いったいどんなことができるのでしょう。まさか、美味しい料理が自動的にでてくる、なんていうことはないでしょうけれど、電子レンジが料理アシスタントだとしたら便利かもしれませんよね。この電子レンジは、AI(人工知能)と会話できる機能があり、インターネットに繋がっていることで、レシピの提案などをしてくれるのです。
具体的な機能では、天気や季節や調理履歴などのデータを駆使しながら、まるで人と会話をしているかのように、楽しく料理の相談に乗ってくれます。電子レンジをたくさん利用して会話を重ねるごとにAIがどんどん学習するため、利用者の嗜好を配慮したおすすめレシピをインターネットの情報から見つけ出してくれるようなこともやってくれます。
AIとIoTによるスマートホームシステムで快適な居住空間を提案!
アメリカのベンチャー企業BOTによるAI(人工知能)とIoTの組合せ適用事例で、利用者の生活習慣を学習することにより快適な住居空間を提供するものです。
たとえば、利用者のカーテンの開け閉め、照明の点灯消灯などの時刻やタイミンなどは、AI(人工知能)が学習するための重要なデータとなります。そのデータを学習し解析すると、平日と休日での違いなども簡単にパターンで分析してくれるため、カーテンの開け閉めや、照明の操作を自動的に行なってくれます。
自動的にデータを集め、自動的に対応をしてくれる、それがAIとIoTの組み合わせの魅力ですよね。
製造:品質改善および在庫削減を追求
AIとIoTが製造現場における品質検査の自動化を実現!
NECが提供する品質検査ソリューションのなかで、製造現場の検査工程にある製品の撮影データを収集し、AI(人工知能)が画像を繰り返しチェックすることで製品のパターンや特徴を認識し、その情報から特徴量を抽出し分析することで、良品か不良品かの判別を行うというものです。
具体的な検査の方法は、AI(人工知能)が製品の傷や汚れなどの不良品の特徴量を、画像データを用いて自動検出するということです。これを繰り返し学習させることで、良品と不良品を判定するモデルを生成し、そのモデルに従い一個あたりの判定を数秒程度の速さで行うことができます。さらに、製品ごとでの大きさや形状などの個体差があるようなものであっても、AI(人工知能)で学習させて、良品判定を応用することができます。
工場における不良品の解析時間がAIとIoTにより1/3に短縮!
東芝の半導体製造の工場現場では、不良品がどの製造装置で処理されたものかに関するデータを集め、AI(人工知能)によって繰り返し学習して分析することで、不良品の発生傾向とそのときに処理した装置の特定を行います。半導体部品のどの位置にどのような欠陥が生じているか、不良品発生の原因となった工程や装置の関係についてのすべてをAI(人工知能)がパターンに分類するのです。
そうして繰り返し学習された結果にもとづき、1件の不良品解析に要する時間は、従来6時間かかっていたところが、2時間に短縮することができるようになりました。
AIとIoTを活用した需要予測により在庫45%削減を実現!
NECプラットフォームズ甲府事業所におけるコンピュータ製造の需要予測業務へのAI(人工知能)とIoTの活用により、45%の在庫削減を実現できた事例です。NECは今後、需要予測というソリューションの販売も検討しているようです。
どのような方法かというと、まずは製造部門のIoTから収集した各種データをAI(人工知能)によって繰り返し学習させて、複数のデータ間の規則性を抽出します。次に、分析されたデータ(過去の売上実績、マクロ経済指標、社会的イベント情報)の状況に応じて使用する規則のパターンを自動で切り替えることによって、従来の機械学習よりも高精度な予測ができるようになりました。
物流:作業内容の見える化を追求
物流倉庫内における作業内容をAIとIoTが見える化!
東芝では、倉庫内で作業する作業者の複雑な作業内容を見える化するソリューションを提供しています。
作業者が装着しているリストバンドのIoTは、腕の動きの加速度をデータとして収集します。収集されたデータをAI(人工知能)が作業内容として類推することにより、作業内容を見える化させることを実現しました。
見える化された作業データを分析することによって、標準工数と実績工数のギャップを把握し、改善施策につなげることができます。これによって、約15%の生産性改善ができたということですから、おどろきですよね。
AIとIoTが運転中の危険走行の見える化を実現!
NTTコミュニケーションズが提供するソリューションで、トラック等の貨物自動車に取り付けたドライブレコーダーが収集した映像および各種センサーが収集したデータ(車両のスピードや加速度等)を、AI(人工知能)が分析し事故につながりかねない危険な運転状況等を検出し報告するサービスです。
これには、AI(人工知能)の危険度判定能力向上のため、ヒヤリハットデータを事前に学習させる工夫を行ってます。
セキュリティ:顔判定による人物確認の追求
AIとIoTの組合せによる顔認証カメラシステム
大興電子がAI(人工知能)とIoTの組み合わせにより特定人物監視および本人確認を提供する事例で、防犯カメラや監視カメラで収集した顔映像を、AI(人工知能)が事前に登録された顔写真画像と照合分析することにより同一人物かどうかを判断します。
また、照合分析のシステムは世界最高峰の認証精度と認証速度を誇る日本電気製を使用しております。
働き方:従業員の活性化を追求
組織活性化をAIとIoTの組合せにより実現!
近年、働き方改革に取り組む企業が増えてます。本サービスは日立製作所が提供するサービスで、AI(人工知能)とIoTと融合により組織の活性化を測定するという事例です。従業員に名刺型ウェアラブルセンサー(加速度センサー、赤外線センサー)を携帯させて、行動にまつわるデータを収集します。このデータからは職場でコミュニケーションの時間の使い方などを調べることができます。こうしたデータをAI(人工知能)で分析することによって、行動を可視化して組織の活性度や幸福度を計測しようという試みです。
気分が良い時は人は無意識に細かい動きを長く続け、ストレスある場合には長く動き続けることができず単調な動きになるなどの、人間の行動特性に基づきAI(人工知能)が判断します。名札型ウエアラブルセンサーは50回/1秒の頻度で体の動きを計測し続け、タイピングや頷きなどの小さな動きも検出可能という極めて精度の高いデバイスというから驚きですよね。
農業:栽培の安定化および効率化の追求
農業IoTソリューション「e-kakashi」
日立製作所およびPSソリューションズ等が提供する、AI(人工知能)とIoTによる農業IoTソリューションです。
田畑より、温湿度、日射量、土壌内の温度や水分量、CO2などの環境情報や生育情報をIoTセンサーを通じて収集し、植物科学にもとづいたAI(人工知能)で分析しすることで、農作物の生育ステージごとに重要な生長要因、阻害要因を特定しリスクと対処法を提案します。また、栽培に関する知見を「ekレシピ」として記録のうえ複数の利用者間で共有することもできます。
さて、今回は最近注目を集めているAI(人工知能)とIoTの組み合わせの適用事例をお伝えしました。
やはりIoTはデータを集める役割としてセンサーを扱うものが多いため、製造業に関する事例が多いようですが、家庭や農業、さらには一般的なオフィスにまで展開されているとはおどろきですよね。その多くは直接的に業務の効率を上げるための装置ですが、オフィスにおける組織の幸福度活性支援サービスは、まさにAI(人工知能)とIoTとの組み合わせならではの事例で、人の行動のデータ分析を行うことで感覚的な部分に相関関係を見つけることができるのは、これまでにない新しいアプローチで非常に興味深い事でしょう。
過去にも、企業は社内で収集した大量のデータを分析することにより、課題発見と解決を進めてきました。人間の経験や勘に頼っていた領域でしたが、大量のデータの収集とそれの分析を得意にするAIにサポートしてもらうことで、AI(人工知能)の果たす役割は極めて大きく、今後は確実に各企業での活用が進んでゆくことでしょう。AIとIoTがもっと身近な存在になっていくことで、私たちの生活はより豊かなものへと変化していくことを期待せずにいられません。
そして、当サイト(AIZINE)を運営している「お多福ラボ(人工知能の開発会社)」では様々なIoTの開発に携わらせて頂いていますので、もし「こんなAI(人工知能)作れます?」といったお話しがあれば是非ご相談ください。
お多福ラボはこんな会社です。
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IoT:モノのインターネット。センサーなどがデータを収集しインターネットと通信する。