ここ最近、コンピュータの機能やソフトウェア、データなどをインターネットのような通信ネットワークでつないでサービスを利用するクラウドコンピューティングサービスが多く見られますよね。なぜならクラウドコンピューティングサービスを導入することで時代の潮流に乗り、次世代への扉を開くことになるためです。もしクラウドコンピューティングサービスに興味があるなら、数ある中でも導入の検討対象とするべきなのが「Microsoft Azure」。
とはいえ、Microsoft Azureっていまいちよくわからない、聞いたことはあるけれど何ができるんだろうか、などさまざまな疑問を持つ人もいますよね。そこで今回は、Microsoft Azureがどんなもので何ができるのか徹底的に解説しましょう。
まずはMicrosoft Azureがどんなサービスであるのかについてです。
Microsoft Azureってどんなサービス?
Microsoft AzureはMicrosoft社が提供するクラウドコンピューティングサービスで、「アジュール」と読みます。基本的に初期費用はかかりませんが、使った分だけ費用が発生する従量課金制のシステムを取っています。例えばAzure DevOpsというサービスのBasicプランでは最初の5ユーザーは無料、その後1ユーザー当たり月672円かかるとのこと(2020年5月時点)。Microsoft Azureはクラウドコンピューティングサービスであるため、サーバ用のハードウェアを新しく購入する必要がなく、またサーバのスペックを上げたり削除したりすることも容易です。
Microsoft Azureで提供されているサービス形態は大きくわけてIaaS(イアース/アイアース)とPaaS(パース)になります。それぞれの解説は以下の通りです。
IaaS
IaaSは「Infrastructure as a Service」の略語で、仮想サーバや通信回線などのインフラをインターネット上で遠隔でも利用できるようにしたものです。データセンター(サーバコンピュータなどを設置、運用する施設)に設置・運用しているコンピュータやネットワーク環境を借りて、遠隔で必要なソフトウェアを組み込むことで稼働できます。
PaaS
PaaSは「Platform as a Service」の略語で、ソフトウェアを動かすためのデータベースや実行環境をインターネット上で遠隔でも利用できるようにしたものです。通常は業務用システムなどの運用にはコンピュータにOSやプログラミング言語の処理をするソフトウェアなどを導入し、実行環境を整える必要がありますが、PaaSではデータセンターのサーバにすでにソフトウェア環境が構築されており、契約を結ぶことですぐに利用可能となります。
Microsoft Azureのサービスがわかったところで気になるのが、何ができるかですよね。続いて、Microsoft Azureで何ができるのか解説します。
Microsoft Azureでできること
Microsoft Azureでは例えば次のようなことができます。
AI(人工知能)開発
Microsoft AzureではAI(人工知能)作成を支援するサービスが提供されており、機械学習の開発を支援するサービスや、Cognitive Servicesという視覚、音声、言語、決定(問題の発見)の認識をおこなうサービスを用いてAIモデルをカスタマイズするサービスを展開しています。AI(人工知能)を用いて画像認識や音声認識、言語処理をしたい人にとって、ぜひとも使ってみたいところですよね。
クラウドコンピューティング
サーバやソフトウェアなどのコンピューティングサービスをインターネット(クラウド)を通して配信、提供できます。特定の場所で仕事をせず、自宅で仕事をする人や移動が多い人にとくにおすすめのサービスです。
データベース
Microsoft Azureのデータベースは世界中に多重分散管理されており、いつでもどこでも必要なデータを好きなように引き出すことが可能です。フルマネージドな(サーバの管理をまとめて行ってくれる)データベースサービスなので、データベースの管理の労力がぐっと削減できます。
ところで、Microsoft Azure以外のクラウドコンピューティングサービスで有名なものとしてAWS(Amazon Web Services)があるのを知っている人もいますよね。次に、Microsoft AzureとAWSの違いについて比較します。
AzureとAWSの違いとは?
AWSはAmazon社が提供するクラウドコンピューティングサービスで、10年以上の歴史を誇る先駆け的存在といえるでしょう。これまでAWSが圧倒的に市場を独占しており、実際に2018年度第2四半期時点でのシェアが全体でトップの約31%を取っています。しかしながら、Microsoft Azureも第2位の約18%を占め、更に売り上げ増加率は89%とAWSの48%を圧倒的に超えており、AWSを猛追している状態です。
AWSと比較したときのMicrosoft Azureの特徴は、製造、エネルギー、金融、政府系、航空などの特定の分野に強く、専門性やセキュリティの高い情報管理を必要とする場合、とくにMicrosoft製品と連携させる場合に活躍します。またAI(人工知能)とデータを活用することによるアプリ開発も可能で、AI(人工知能)分野の促進へとつながると予想されています。
では、実際にMicrosoft Azureはどのように使えばいいのか気になりますよね。続いて、Microsoft Azureの使い方を解説します。
Microsoft Azure使ってみよう
Microsoft Azureを使うステップは非常に簡単で、Microsoftアカウントを作る、Azureアカウントを作る、Azureの管理画面へサインインする、という3ステップです。本人確認のために電話番号とクレジットカードが必要なので準備しておきましょう。
さて、Microsoft Azureを使う上で欠かせないのがAzure Portalと呼ばれるコンソールです。では、Azure Portalで何ができるのか解説しましょう。
Azure Portalは何ができるの?
Azure PortalはMicrosoft Azureで開発したWebアプリケーションやシステム、データベースなどを一元管理できる統合型コンソールです。ネットワークにどれほど負荷がかかっているのか、データベースはどれほど動いているのかを一元で管理できます。また、デプロイ(プログラムを使える状態にすること)の管理機能も統合されていることが大きな特徴です。
他にも、セキュリティ面の強化のため、外部に漏れ出てはいけないような情報に対して、アクセス権限や管理権限を設定できます。コスト管理の面でも特徴があり、Azure Portalでは自動的に現在の使用料が計算され、月末までにどれほどのコストがかかるのか見積もられるため、現在のコストと予想されるコストの管理が簡単になっています。
ところで、アプリケーションやシステムの開発は多人数でおこなうことがほとんどであり、共同作業のためのサービス群であるAzure DevOpsが用意されています。次にAzure DevOpsではどのような風に共同作業が進められていくのか解説します。
Azure DevOpsでの共同作業
DevOpsは開発(Dev)と運用(Ops)を組み合わせた造語で、アプリケーションやシステムの開発側と運用側が手を取り合ってソリューションを提供するというものです。Azure DevOpsは複数のサービスから成り、次のようなものがあります。
- Azure Boards:オンライン上でチームの枠組みを超えて作業の計画や追跡、相談などが可能となる。アジャイル開発(開発サイクルを数回にわけるソフトウェア開発手法)を補助するツールである
- Azure Pipelines:さまざまな言語のテストやデプロイを複数のOSで並列実行が可能である。デプロイのような基本的な作業の時間を減少できるため、クリエイティブな作業のための時間を確保したい場合におすすめ
- Azure Repos:無制限で無料のプライベートGitリポジトリ。リモートリポジトリとローカルリポジトリの2つのリポジトリを使うことでコード変更が柔軟、かつソースコードの整合が取れるため、高い水準でコードを保持するために役立つ製品
- Azure Test Plans:アプリケーションなどの手動でのテストのサポートするサービス。例えば人間によるテストに必要な手順書の作成や共有ができるため、手動でテストをおこないたいときに役に立つ
- Azure Artifacts:パッケージ(便利なプログラムをまとめたライブラリを公開するための形式)の管理サービス。独自のパッケージ管理ができ、限定した範囲以外に公開されない、プライベートなパッケージ管理をしたい場合におすすめ
最後に、これほど便利なクラウドコンピューティングサービスが今後どのようになっていくのかについて解説します。
クラウドコンピューティングサービスのこれから
これまでネットワークとサーバは単体で存在していましたがクラウドコンピューティングサービスの進展によって融合し、ネットワークからデバイスまで包含したICTアーキテクチャとなっていくでしょう。結果として、変化の激しいICTへの迅速な対応、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)の更なる普及へとつながると考えられます。
さらに、それぞれのクラウドがつながり、連携すると予想されているとか。そのため、これまで独立していたデバイスやソフトウェアが互いにつなぎあい、高度で高速な動作や処理が可能となるでしょう。
一方で、データのやり取りの速さが求められるようになってきましたが、クラウドではそれに対応できないだろうといわれています。そこで登場するのがエッジコンピューティングで、データをデータセンターやクラウドのような遠方に送らず、デバイス付近で処理をおこなうものです。例えば、日本電気株式会社(NEC)では「NeoFace」という歩きながら顔認証するソリューション製品を提供しています。このようにして、今後はエッジコンピューティングが台頭する可能性が高いでしょうだろうという意見も見られます。
さて、今回はMicrosoft Azureがどんなもので何ができるのか徹底的に解説しました。Microsoft AzureはMicrosoft社が提供するクラウドコンピューティングサービスで、使った分だけ費用が発生する従量課金制のシステムを取っており、サーバのスペックを上げたり削除したりすることも容易という特徴を持っています。サービス形態は大きくわけてIaaSとPaaSでした。
- IaaS:仮想サーバや通信回線などのインフラをインターネット上で遠隔でも利用できるようにしたもの
- PaaS:ソフトウェアを動かすためのデータベースや実行環境をインターネット上で遠隔でも利用できるようにしたもの
Microsoft Azureでは次のようなことができます。
- AI(人工知能)開発:AI(人工知能)作成を支援するサービスが提供されている
- クラウドコンピューティング:コンピューティングサービスを、クラウドを通して配信、提供できる
- データベース:管理いらずで、いつでもどこでも必要なデータを好きなように引き出すことが可能
有名なクラウドコンピューティングサービスであるAWSと比べると、専門性が高く、とくにMicrosoftの製品との組み合わせの相性が良いという特徴がMicrosoft Azureにはあります。また、AI(人工知能)関連の開発も可能で、AI(人工知能)分野の促進へとつながるでしょう。
Microsoft AzureはMicrosoftアカウントを作る、Azureアカウントを作る、Azureの管理画面へサインインする、という3ステップで簡単に始めることができます。さらにチュートリアルやトレーニング、ガイド、デモビデオなど手厚い対応が取られているのは非常にうれしいですよね。
Microsoft Azureで開発したWebアプリケーションやシステム、データベースはAzure Portalというコンソールで一元管理できます。ネットワークの負荷やデータベースの稼働状況、デプロイの管理、アクセス権限や管理権限の設定、コスト管理が統合されているため、とても便利ですよね。
アプリケーションやシステムの共同開発に役立つAzure DevOpsは、次のようなサービス群です。
- Azure Boards:オンライン上でチームの枠組みを超えて作業の計画や追跡、相談などが可能となる
- Azure Pipelines:さまざまな言語のテストやデプロイを複数のOSで並列実行が可能である
- Azure Repos:無制限で無料のプライベートGitリポジトリ。各々で書かれたコードを高い水準に保つために役立つ製品
- ・Azure Test Plans:アプリケーションなどの手動でのテストをおこなうサービス
- Azure Artifacts:パッケージの管理サービス
よりスピーディーなエッジコンピューティングという考え方があり、クラウドコンピューティングサービスの代わりに普及するかもしれません。しかし、今後クラウドコンピューティングサービスはネットワークからデバイスまで包み込んだ大きな単位で活用され、またそれぞれのクラウドがつながり、巨大に連携を取ることになるともいわれています。クラウドコンピューティングサービスはまだまだ発展し、使い勝手の良い便利なものになるに違いありません。
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