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【2020年版】世界のヘルステック関連企業の実例と動向を徹底解説

ヘルステック のイメージ

近年ヘルステックが大きく注目され、新たに市場参入する企業も増えていますよね。

現在ヘルステック市場は世界規模で急速な成長を遂げています。そして成長のキーワードになっているのは「高齢化」です。

高齢化問題は日本だけでなく多くの国々で抱えている問題であり、高齢化によって医療や介護などではさまざまな課題が山積しています。そこでそれらの課題解決策として注目されているのがヘルステック。

ヘルステックはまだ新しい分野の産業ですが、これから未来に向け高齢化問題などで需要が増え続け成長していくと予測されています。

そのためヘルステックとは関係のない他の分野からも多くの企業が市場へ参入しており、次世代の産業としても期待されているようです。

そんな未来に向けて期待が高まるヘルステックは、これからどのような変貌を遂げていくのでしょうか。

そこで今回はヘルステックについて関連企業の実例を挙げながら、必要とされている理由や今後の動向、そしてヘルステックで未来がどう変わっていくのかをお伝えします。

ヘルステックとは

ヘルステックのイメージ

ヘルステックとは「ヘルス(Health)」と「テクノロジー(Technology)」を掛け合わせた造語。

これはフィンテック*1と同じで、もともとある産業にIT技術を取り入れたものです。

ヘルスは直訳すれば「健康」を意味する単語ですが、ヘルステックでは医療や介護などの健康に関わる産業を指しています。

ヘルステックはこれまでの医療や介護などにIT技術を加えて新しいサービスを提供していく産業です。

そして電子カルテもヘルステックの代表的なサービスの一つ。医療現場への電子カルテシステム導入で、医療機関同士で患者の医療情報を共有できるようになり、さまざまなメリットを得ることができました。

この他にもヘルステックにより生まれた新しいサービスはたくさんあり、それらの活用でこれまでなかった数々のメリットを得られるようになりました。

そしてヘルステック分野の発展はヘルステック企業への注目につながっています。

*1フィンテック…金融とIT技術を組み合わせたサービスで、仮想通貨はその一つになります。

今ヘルステック企業が注⽬されている理由

企業のイメージ

ヘルステック市場の拡大とともに、今ヘルステック企業への期待が高まり注目されています。

そして日本の場合その大きな理由になっているのが「2025年問題」

2025年問題とは団塊の世代(約700万人)が 2025年に後期高齢者(75歳)になり、日本が超高齢化社会を迎える問題です。*2

「なぜ問題なのか」それはかつてないほど後期高齢者人口が増加し、そのままにしておくと日本の医療や介護における社会保障財政のひっ迫などが引き起こされるから。

そのため政府は解決策として人口が集中している都市などで高齢者の地方移住などの方針を打ち出しています。そして中でも有効な解決策として注目されているのがヘルステックです。

高齢化問題は日本だけではなく世界の先進国を中心に多くの国々でも喫緊の課題になっていますよね。*3そのため現在は世界規模でヘルステック関連の企業に注目が集まっています。

ではヘルステック企業はどのようなサービスで世界が抱えている高齢化問題を解決へと導いてくれるのでしょうか。

次はさまざまなヘルステック企業が扱っているサービスについて紹介していきましょう。

*2…2025年問題とは何か:公衆衛生が直面する問題の諸相

*3・・・高齢化の状況

ヘルステック関連企業の実例

オンライン診療のイメージ

ヘルステック関連企業といえば、なんとなくでも医療機器や製薬を扱っている企業をイメージされる方が多いでしょう。しかし冒頭でも少し説明したように、現在は他の分野から新規参入する企業も増えています。

では現在活動しているヘルステック関連企業ではどのようなサービスを提供しているのでしょうか。

オンライン診療

オンライン診療はヘルステックでも代表格になるサービス。オンライン診療を利用すれば病院に出向かず、自宅など好きな場所からパソコンやスマートフォンなどの端末を通しての受診が可能です。

すでに多くの企業からオンライン診療のサービスが提供されており、利用されている方もいらっしゃいます。

そして日本のオンライン診療サービスでシェアナンバーワンを誇っているのが株式会社メドレーです。

メドレーは患者向けに「オンライン診察アプリCLINICS」医療機関向けに「クラウド診察支援システムCLINICS」をサービス提供しています。患者向けの「オンライン診察アプリCLINICS」は予約から問診、診察、決済までをスマートフォンで行えるシステムで、薬・処方せんは自宅まで郵送してくれるのです。また「クラウド診察支援システムCLINICS」は医療機関側の診察業務などを効率化させるサービスも。

このようなサービスは他の企業からも提供されています。

アメリカの企業Doctor On Demand社では緊急時でも対応してくれるオンライン診療アプリを開発

スマートフォンやタブレット端末からアプリを通して 24時間いつでも必要な時に医師や専門家に相談できるサービスになっているので、現在登録ユーザー数は 100万人以上超える大人気のサービスに成長しています。

AIドクター

ところでAI(人工知能)はこれから期待されている最先端テクノロジーですよね。現在も AI(人工知能)は多くの機関、企業で研究開発が進められ、すでにさまざまな分野で活用が進められています。

もちろんヘルステック分野でも今後はAI(人工知能)技術がどんどん取り入れられていくでしょう。

そしてヘルステックでAI(人工知能)技術を活用している代表格のサービスが AIドクター。AIドクターはAI(人工知能)が患者の症状から診断するシステムです。

そして、このAIドクターによる診察サービスで有名なのがイギリス企業であるBabylon Health社

Babylon Health社は利用者がAIドクターに症状を訴えると、そこから分析して適切な診断をしてくれるスマートフォン向けのアプリを開発しました。このアプリでは AI(人工知能)搭載型のチャットボットが医師の代わりに登場し対応してくれ、診断結果の内容によっては医師とのビデオ面談や医療機関での診察予約もしてくれます。

日本ではまだなじみの薄いAIドクターですが、高齢化と同じく深刻な医師不足問題も抱えている日本にとって、今後AIドクターは有効な解決策になってくれるのではないでしょうか。

この他にもヘルステック企業が展開しているサービスには、患者と専門医をマッチングさせるサービスや身体的なリスクを明確にしていく遺伝子検査、毎日の体調を計測していくウェアラブルデバイスの提供など、これまでになかったさまざまなサービスが登場しています。
これらのサービスはそれぞれ違った内容ですが、人間の体を健康に管理していく点では共通していますよね。

ヘルステックで人間の健康管理ができるようになれば超高齢化社会になっても、みんなが健康で長生きできる社会も実現できるので、社会保障財政がひっ迫するなどの課題も解消されるでしょう。

ところで、紹介してきたヘルステックを手掛けている企業には、私たちも知っている会社があります。

例えば携帯電話キャリア企業の Docomoは体調を計測していくウェアラブルデバイスの提供しており、モバイルゲームで有名なDeNAは遺伝子検査事業を手掛けています。

このようにほとんど関係ない分野からヘルステックへ参入する企業も増えているのです。ではさまざまな企業が参入してきているヘルステック市場はこれからどうなってくるでしょうか。

ヘルステックの動向について

医者のイメージ

これから未来に向かって世界のヘルステック市場は間違いなく大きく成長していくでしょう。そしてその裏付けになる調査結果が出ています。

米金融情報メディアMarketWatchによると、世界のヘルステック市場はこのまま拡大を続けて2026年までに5628億ドル(約62兆円)の規模にまで成長すると予測しています。

またこの予測で大きな理由になっているのも高齢化問題です。

すでにお伝えしたように高齢化問題は日本だけでなく世界の多くの国が直面している喫緊の課題。そのためヘルステックは有効な課題解決策として注目され、それとともに新たな成長産業としても期待されているので、ここ数年でヘルステック市場は急激に成長をしているのです。

そして2019年に入りGAFAも相次いでヘルステックへの投資を加速させ始めました。

GAFAとはGoogle、Amazon、facebook、Appleの巨大IT企業を指す言葉で、みなさんもこの4社についてはインターネットやさまざまなメディアで名前を目にする機会が多いと思うのでご存じの方が多いでしょう。

そのGAFAはそれぞれが新たなヘルステックでのサービスを開始しました。

例えばAppleはiPhoneやApple Watchの大きなシェアを基盤にヘルステック分野で事業拡大を目指しています。その他のGoogle、Amazon、facebookでもそれぞれ取り組む内容は違っていますが、AppleのようにIT分野で培った自社の強みを生かしてサービスをそれぞれで展開しています。

このように世界的なIT企業が取り組み始めるほど、将来に向けてヘルステック分野には魅力があるのです。ヘルステック市場は今後形を変えながら世界で主力産業になっていく可能性もあるでしょう。

ヘルステックでの未来

ヘルステック のイメージ

これからのヘルステックは最先端テクノロジーの進化とともに間違いなく発展していくでしょう。

ヘルステックを発展させていくキーポイントになるのがIoT、AI(人工知能)です。

今年から携帯キャリア各社が新しい通信方式5Gを開始しました。

5Gはこれまでの4Gよりも大容量のデータを超高速で送受信できる特徴があります。そして5Gの登場で活躍の場が広がるのがIoTです。
IoTとはInternet of Things(もののインターネット)の略で、モノ(家電など)がインターネットで通信すること。
IoTが普及していけば、これまで不可能だった家電などをインターネットでつなげて遠隔操作などができるようになるので、私たちは便利で快適な生活が送れるようになります。

またIoTでネットワークが広がればAI(人工知能)が活躍する場も広がっていきます。

AI(人工知能)とは膨大なデータの学習から解決が必要な課題に対して予測・判断をしていくシステム。
AI(人工知能)の予測・判断は人間よりも速くて正確に実行されるので、現在さまざまな分野での活用が進められているのです。

つまりこれらを活用していけば、これからヘルステックも発展していくでしょう。

では発展していくヘルステックで未来はどのような姿になるのでしょうか。すでに紹介したAIドクターのようにAI(人工知能)がヘルステックで重要な役割を占めるのは間違いないでしょう。

2015年にイギリスのオックスフォード大学と野村総合研究所の調査結果によると、そう遠くない将来で日本の人間が行なっている仕事の約 49パーセントが AI(人工知能)に代替されると予測されています。*4

この予測結果からも分かるように、これからの未来では私たちの生活でAI(人工知能)が重要な存在になってくると予測できます。
そしてヘルステック分野の医療や介護などについてはコミュニケーションが重要な職業なのでなくならないとされていますが、確実に AI(人工知能)が仕事の中に入ってくるのは間違いないでしょう。
例えば医師については今後AI(人工知能)が進化していくと診断結果の精度が人間を超える可能性は十分あります。そのため将来は問診や症状の診断などをAI(人工知能)が担当し、人間の医師は患者のケアなどを担当することになるでしょう。

また、ヘルステックで未来は次のようになると予想できます。

  • オンライン診療が当たり前の時代になり、必要でない限り病院に出向くことがなくなります。
  • ウェアラブルデバイスで体の健康管理を行い、異常があればかかりつけの病院へ通知するようなシステムが開発されて、未然に病気を防ぐことが可能になります。
  • ウェアラブルデバイスの監視カメラで介護の見守りや、映像解析による人の体の異常を検知できるようになりすぐに対応をとれるようになります。

これらはあくまでも予測の範囲で考えられること。

この他にもテクノロジーの進化の仕方によって、さまざまなサービスやライフスタイルが誕生することも予想できます。現在、異常気象による夏の酷暑で多くの方が熱中症になり命を落とすケースが出ていますが、今後はヘルステックでこのような事態を未然に防ぐことも可能になってくるでしょう。

*4…日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に ~ 601 種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算 ~

 

ヘルステック のイメージ

将来ヘルステックは私たちが健康な生活を送るために重要な役割を果たしてくれるようになるでしょう。

ヘルステックは医療や介護などのヘルス分野にIT技術を取り入れた新しい産業です。そして世界の国々が抱えている高齢化問題を解決するとして注目されているのがヘルステック。

まさに世界の高齢化問題はこれから本格化かしてくるので、将来に向けてヘルステックの需要が伸び、ヘルステック企業に注目が集まっているのが分かります。

そのため米金融情報メディアMarketWatchの調査でも、世界のヘルステック市場が2026年までに5628億ドル(約62兆円)にまで成長すると予測しています。ですから近年他の分野からヘルステック市場へ参入してくる企業が増えてきました。2019年に入り巨大IT企業群GAFAもそれぞれがヘルステックに参入し事業を始めていますよね。

このように多くの企業が参入してきているヘルステック市場は高齢化問題の本格化とともに、今後ますます成長していくでしょう。

またIoTやAIなど最先端テクノロジーの進化とともにヘルステックは間違いなく発展していき、未来では必要でない限り病院に行くことはなくなり、AIドクターによるオンライン診療で受診しウェアラブルデバイスで体調管理を行うようになっていくでしょう。

そんな健康を保つために理想的な未来を実現するためにも、ヘルスチェックには世界から大きな期待が寄せられています。

このように、これから発展し広がっていけば、そう遠くない未来でみんなが明るく健康で長生きできる生活が送れるようになっていると良いですよね。

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