「ヘルステック」と聞いて連想するのは「フィンテック」。また〇〇テックか・・・なんてため息をつきつつも「ヘルステックとはどういう意味なんだろう?」とちょっと気になりますよね。
フィンテックは金融系のテクノロジーだから・・・そう、字面から見てお察しのとおりヘルステックとは健康関連のテクノロジーのこと。
金融系は「私は関係ございません」という人も、健康となると話は別。体調はもちろん、体重だったり睡眠だったり何かしら気になることがあるものです。
そんな老若男女みんな関心のある「健康」と「テクノロジー」が融合したら、いったいどんなことができるのでしょう。最近はAI(人工知能)とかIoTとかいろいろ技術も進んでいる様子だから、これは面白そうな予感しかありません。
今回は「ヘルステックとは」に始まり、「実際どんなふうに活用されているのか」「現状の問題点」まで3分くらいで読めるようにサクッと解説しました。
ではさっそくみていきましょう。
ヘルステックを言葉の意味から解説
ヘルスケア領域の内容は上の図にあるとおり、予防から診療、アフターケアまで幅広くカバーしています。これらの領域において、AI(人工知能)、IoT、ウェアラブル端末、モバイル、クラウドといったテクノロジーの技術を活かして変革していくことを「ヘルステック」といいます。思ったより広範囲ですよね。
ヘルステックが今話題になっている理由に「2025年問題」があります。「2025年問題」とはどういう意味なのか、次でご説明しましょう。
ヘルステックが注目される理由である「2025年問題」とは
ヘルステックが注目されている理由「2025年問題」とは。
団塊の世代が後期高齢者の75歳になる2025年以降、私たちの生活に次のような不安が押し寄せてきます。
- 超高齢化社会がますます進み医療費や介護費が増大
- 少子高齢化で、現役の労働人口は減少
- 介護を受けられない介護難民の増加
2025年以降、国民の4人に1人が後期高齢者になり、膨らんだ社会保障費は現役世代の肩に重くのしかかることに。これは若い方もたまりませんよね。このような問題を解決すべく、今ヘルステックが注目されています。
2025年はもう目前。急がなきゃ!
では次で、ヘルステックを活用する利点とは何かをみてみましょう。
ヘルステックを活用する利点
だから「健康寿命」と「平均寿命」の差は、病気などで自立した生活ができない期間、ということになります。
いくら長生きしたって、寝たきりでは本人も家族も辛いですよね。「健康でいられる期間」を少しでも長くするために、最新のテクノロジーを駆使して新しい医療サービスを作ろう、というのがヘルステック。
元気な高齢者を増やすには、治療だけではなく「予防医療」が大切になってきます。若いうちから健康的な生活を心がけていれば医療費や介護費は縮小し、介護施設不足の心配だって少なくなるでしょう。2025年問題の解決の糸口にもなります。
健康リテラシーが高い人は、健康診断も受けるし病気になりにくいですよね。
こんな明るい未来を予想させてくれるヘルステックにも課題点が。さてその課題とは?
ヘルステックの課題点
すでに超高齢化社会となりつつある日本にとって、ヘルステックは希望の光。でも実は切実な課題もあるのです。その課題とは。
- 医療に関連するため、規制が多い。
- 規制緩和が徐々に進みつつあるが、そうすると外国の大企業が参入してくる恐れがある。
- 日本は国民皆保険なので大きく儲けられる分野ではない
- 国によって状況が違うので他国の成功例をそのまま取り入れることはできない
- 「健康無関心層」へのアプローチ
規制に関して例をあげると、大塚製薬が開発したセンサー内蔵の錠剤があります。抗精神病薬に極小センサーを組み込むことで、胃内から発した服薬データを記録することができる、というもの。アメリカでは2017年に承認されたのに、日本ではまだ認可されていません。
胃の中と通信するんだ!
テクノロジーの進化には驚きますよね。日本の医療業界は規制が厳しく、海外で認可されているのに日本では使用不可になっているものは他にもたくさんあります。
また、医療費を削減するために最も効率的なのは、病院に来ない「健康無関心層」に働きかけること。生活習慣病があるのに治療をしていない人の数はかなりの数にのぼります。これをどう解決するかが、ヘルステックの重要課題になっています。
病院嫌いの人に診察を受けてもらうのは本当に難しい・・・
何か言いましたか?私は元気ですよ。
では次に、ヘルステックが活用されている事例にはどんなものがあるのかご紹介しましょう。
ヘルステックが活用されているサービス・商品
ヘルステックが活用されているサービスや商品とはどんなものがあるのでしょうか。代表的なものをご紹介。
スマホやタブレット、パソコンなどを使って、ビデオ通話でドクターの診察を受けます。予約から支払い、薬の手配まですべてオンライン上で完結。薬は自宅に届きます。
大量のデータをAI(人工知能)に学習させることによって、人間より正確に診断できるようになっています。
職場で年に1回行われるストレスチェックは、AI(人工知能)でデータ分析。
アップルウォッチなど腕時計タイプの端末で、歩数、消費カロリー、心拍、睡眠状況を計測。
介護分野で活躍するロボット。高齢者の動きを助けたり介護者の負担を減らしたりしてくれます。
以上、ヘルステックが活躍している代表的な例をあげてみました。この他にも新しいサービスや商品が次々と開発されています。
私たちの健康を支えてくれるヘルステックの最新技術、どんなものが出てくるのか楽しみですよね。
では最後に、ヘルステック業界の今後について考えてみましょう。
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ヘルステックの今後について
ヘルステックの今後について、「個人のデータ活用」と「病院の利益優先主義」、この2つの方向から考えてみます。
個人のデータ活用
マイナンバーカードの普及もままならない日本。個人の医療データを国が管理しようとすると反対運動が起こるのは目に見えています。
でも、全国の医療機関があなたの情報を共有していたら・・・例えば旅行先で交通事故にあった時、震災で遠い病院に運ばれた時、最新の治療方法が日本のどこかで見つかった時。あなたは最速で最適の治療を受けることができます。
また、全国民個人の特徴と病歴をデータ化してAI(人工知能)が分析すれば、思いもしない知見がたくさん見つかるでしょう。例えば「〇〇をよく食べて△△の薬を飲んでいる50歳の男性は□□の病気になりやすい」とか「〇〇病で足の悪い70歳女性に△△薬を投与したら□%の効果があったか」など。
確かに自分の健康情報を人に知られるのは嫌なもの。でも比べ物にならないくらいメリットの方が多いのです。
すぐに個人医療データの共有が無理なら、「カルテ言語の統一」と「健康診断データフォーマットの統一」、これだけでもデータ化は可能。できるところから取り組んで欲しいですよね。
病院の利益優先主義
日本の病院はほとんどが、儲け度外視で患者のために尽くしてくれています。でも近年経営が厳しい病院が増えており、やむなく点数の高い治療優先にならざるを得ない場合もあるようです。
そうは言っても、やはり病院には患者主義で動いて欲しいですよね。オンライン診療やAI(人工知能)による画像診断など、ヘルステック技術を積極的に取り入れて、患者最優先の治療でお願いしたいものです。
病院が潰れてしまわないように、まずは政府が動いてくれないと
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今回は「ヘルステックとは」から始まって、その全容をまるっと解説しました。ヘルステックは想像以上にさまざまな場面で活躍していましたよね。
「2025年問題」は、すでに始まりつつある超高齢化社会に対応するためにも早急に取り組まないといけない問題。ヘルステック技術の活用が期待されます。
政府の規制、病院の事情、個人データの活用など、ヘルステックを活用していくには問題もまだ山積み。「なんとかなればいいなあ・・・」なんて傍観していても始まらないので、私たちはできることから初めてみましょう。
それにはまず意識改革から。人生100年時代も間近ですから、若いうちから健康に注意しておかないと楽しい老後はありません。日ごろから食事・運動・睡眠に気を付けて「健康寿命」を伸ばすようにしましょう。
最近はウェアラブル端末も安く手に入るようになりました。自分の健康をデジタル化するのもヘルステックのひとつです。
今からデータを集めておけば、将来個人の医療データをAI(人工知能)が分析するようになった時、思わぬことに役立つかも。
すでに唾液から遺伝子情報までわかる時代。いろんなデータを掛け合わせたらきっと健康で長生きできるはず。めざせ、健康寿命100歳!!