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公務員の仕事をAI(人工知能)がサポート!サービスの質の向上に貢献なるか

公務員の仕事をAI(人工知能)がサポート!サービスの質の向上に貢献なるか

収入や立場も安定していて将来は安泰!と人気のある「公務員」。人の手によるコツコツとした仕事というイメージがありますが、近年、この公務員の仕事もAI(人工知能)化が進み職員をサポートしているんです。

たとえば、公務員の仕事といっても市・区役所などの窓口業務から、道路や公園、公共施設などの整備や福祉、教育、警察、消防などほんとに幅広いですよね。中でも身近なのは役所の窓口業務でしょう。何だかいつも待たされているイメージがありますし、最近では保育園の入所や、年金・介護などの問い合わせも多く、なかなか電話もつながらないと聞いたことがあります。

でも公務員の仕事は、直接私たちの暮らしに関わる大切な仕事。このままでは、市民へ十分なサービスができない!という問題を解決するために、公務員の仕事もAI(人工知能)が肩代わりしてくれるようになりました。

こんな幅広い公務員の仕事のどんなことを、AI(人工知能)がサポートしているのか、興味ある方も多いでしょう。そこで、今回は住民へのサービスの質の向上に、貢献しているAI(人工知能)をご紹介していきましょう。

保育所入所選考作業に、AI(人工知能)導入で超効率アップ!

保育園入居率アップのイメージ

最近よく話題になっている保育所の入所問題。共働き夫婦が増えたため申し込み者が殺到し、選考作業に時間がかかりすぎる!という状況になっています。この問題を救ってくれるのがAI(人工知能)なんです。

たとえば東京都港区は2019年秋から、認可保育施設の入所選考にAI(人工知能)を導入していきます。今までは、職員が入所希望の保護者の勤務や、家庭状況などを指数化して優先度を決めたり、きょうだいで同じ保育所に入れたい…などの希望を考慮して割り振ったりしていましたが、作業がはん雑で選考に多くの時間がかかっていました。

ところが、富士通が開発したAI(人工知能)保育所システムを導入すると、職員約15人が3日間、延べ500時間かけて児童を80施設へ振り分けていた作業が、なんと約5分で可能になったんです。驚くほど早いですよね。このAI(人工知能)保育所システムは、誰がどこの保育所に入れば一番いいのか最適パターンを瞬時に見つけ出すシステムで、滋賀県草津市でも導入を決めているほか、各地の自治体で導入する動きも広まっています。

ですが、そんなはん雑な仕事をすべてAI(人工知能)に任せてしまって大丈夫?という不安もありますよね。でもAI(人工知能)の選考結果は職員がしっかりと最終確認してくれるので安心できます。

こうして、AI(人工知能)導入により、保育所入所の内定や待機通知を早く出すことができれば、保護者もすぐ別の施設に問い合わせができ、効率アップにつながるでしょう。しかも、保育所に入れるかどうかは、今後の人生設計にも大いにかかわる大切なこと!1日でも早く結果がわかるとありがたいですよね。それに職員の負担も軽くなるので、個別の保育相談にのったり別の保育サービスの向上も期待されています。

このように、保育所の入所選考は、公務員の仕事の中でも時間と手間のかかる大変な仕事ですが、AI(人工知能)が肩代わりしてくれることで、職員だけでなく市民にとっても大きなメリットになるでしょう。

次にご紹介するのは、チャットボットを利用したサービスです。

各種届出も、AI(人工知能)チャットボットで不安解消!

役所のイメージ

引っ越しや結婚などで必要となる役所への届出は、わずらわしいですよね。「住所変更はいつまでにすればいいの?」「婚姻届や出生届はどこでもらえるの?」。電話してもお役所がもう閉まっていてつながらない…など、困った経験のある方は多いでしょう。

そんな複雑な市民課の手続きを、知りたいときに知りたいことをわかりやすく説明するサービスの実証実験が滋賀県長浜市で行われました(~2019年6月)。

これは市民からのインターネットの問い合わせに対して、チャットボット(AI(人工知能)を活用した「自動対話プログラム」)が24時間、いつでも最適な回答をしてくれるというサービスです。

これまでの長浜市のホームページは、「サイト内検索」を使ってもヒットする情報が多すぎて、わかりにくいという問題がありました。でもこのチャットボットサービスを使うと、ピンポイントで誰にでもわかりやすい回答が返ってくるんです。

たとえば「手続きしたいけど、市役所に行けない」と質問すると「○○届は郵便でできます。○△届は支所の窓口で。本人が来れないときは委任状でも大丈夫…」などくわしく教えてくれるんです。急に思い出して、夜中に問い合わせてもちゃんと教えてくれるのは助かりますよね。

しかも案内をしてくれるのは、長浜観光キャラクターの「ひでよしくん(長浜は豊臣秀吉が初めて城持ちの大名となったゆかりの地)」。口元にたくわえたヒゲが愛らしく、なんだかいやされちゃいます。まじめで堅いというイメージのお役所ですが、親近感もわいてきます。

国保の未納者へもAI(人工知能)活用で、電話催告がスムーズに!

納税のイメージ

医療費負担軽減のためになくてはならない国民健康保険(自営業者や年金受給者が加入)ですが、神奈川県川崎市では収納率アップのために取り組んでいます。

今までは、コールセンターが保険料の滞納者に月3万8000件もの電話をかけていましたが、なかなかつながらず効率の悪さが問題になっていました。そこでAI(人工知能)の導入(2018年~)を本格的に始めたことで、電話の応答率が5.98%ほど向上したんです。

ここで活用されたのは、「異種混合学習」というNECが開発したホワイトボックス型AI(人工知能)。まず、家族の人数や年齢、性別で世帯を階層分けし、これまで蓄積してきた過去のデータをAI(人工知能)に読み込ませます。このデータには、過去に電話してつながりやすい時間帯などの情報も入っています。これらの情報からAI(人工知能)が規則性を自動で選択し、一番電話のつながりやすい時間帯を見つけ出してくれるというものです。

たとえば、小学校に通うお子さんがいる家庭は、子どもが帰ってくる午後3時以降の時間帯にお母さんの在宅率が高い、75歳以上の高齢者がいる世帯では、午前中は病院に通院する人が多いので、午後2時~3時に電話をすればつながりやすいなどがわかっています。

しかも、このホワイトボックス型AI(人工知能)は、どうしてこういう結果になったのか裏付けとなる根拠も示してくれるので、納得して業務を進めることができるんです。

こうして電話がつながりやすくなると、納付できないケースの細かい相談や、指導など市民としっかり話ができるようになりました。一人暮らしの高齢者にとっては、「最近調子はどうですか?」と話しかけられると嬉しいですよね。その上、効率アップによりコールセンターの人員削減も実現されています。税金が有意義に使われるといいですよね。

このように、電話催告という難しい公務員の仕事も、AI(人工知能)が手助けしてくれることで、市民へのサービス向上につながっているんです。

ここまで公務員の仕事ということで、主に市民課サービスについてお話してきましたが、次はインフラ、すなわち道路補修にAI(人工知能)が活用されている事例をご紹介しましょう。

AI(人工知能)が見抜く!老朽化した危険な道路

道路舗装のイメージ

日本の道路をすべてつなぐと、どのくらいの長さになるのかご存知でしょうか。なんと120万㎞!これは、地球と月との間を1.5往復もできるくらい長いんです。ちょうど1950年~1970年の高度経済成長期に集中して作られたため、一気に老朽化が進んでいます。しかし補修も、財政と人手不足でなかなか進まないのが現状です。

この道路補修という大きな課題も、公務員の大切な仕事ですが、実はAI(人工知能)を活用することで効率アップを図っています。

千葉県は東京大学や県内外の自治体と共同で、AI(人工知能)を活用した道路管理システム「マイシティレポート」の実証実験を始めました。これは、自治体の公用車に取り付けたスマートフォンで道路の損傷を「マイシティレポート」のアプリで自動撮影し、AI(人工知能)が修理の必要性を判断してくれるというものです。

たとえば、アプリは道路の損傷を見つけると自動で写真を撮って、共用サーバーに画像を送るわけですが、その時道路の状態を①損傷なし②損傷あるが修繕不要③修繕必要の3つに分類します。それを各自治体の職員が目視で確認し、修繕の必要があるかどうかを確認しながらデータを蓄積していくことで、アプリの精度もだんだんと高めていきます。

このように、必ず人間の目が入ることで安心感もありますよね。しかも2019年以降には、全国の自治体でも使えるシステムになる予定で、より広い範囲の道路状況がわかり効率的ですよね。道路は、県や市をまたがって続いているものなので、このシステムは全国に広がってもらいたいものです。

また、それだけではないんです。この「マイシティレポート」には、市民が街のインフラの不具合を見つけて投稿できるシステムもあります。これは、市民が歩道の損傷などをスマホで撮影して市に報告するしくみになっています。なかなか気づいてもらえない脇道などの損傷も「カシャ!」と撮影して報告することで修繕につながり、市民にとってはほんとにありがたいですよね。

まとめ

さて今回は、公務員の仕事をAI(人工知能)がサポートして、サービスの向上につながっている事例をご紹介しました。ここで今回の内容をもう一度振り返ってみましょう。

  • 保育所入所選考作業に導入されたAI(人工知能)保育システムは、入所希望者をどのように振り分ければいいのか、最適パターンを瞬時に見つけてくれ、職員の手間を大幅に省くことに成功しました。
  • 役所への各種届出の問い合わせを、24時間いつでも可能したのはAI(人工知能)チャットボット。今までサイト内検索に時間がかかっていましたが、ピンポイントでわかりやすく説明してくれ、かゆい所に手が届くとはこのことかもしれません。
  • ホワイトボックス型AI(人工知能)は、電話の繋がりやすい時間帯を見つけてくれ、これにより国保未納者への電話応答率が上がり、しっかり対応できるようになりました。
  • AI(人工知能)を活用した道路管理システム「マイシティレポート」は、公用車にとりつけたスマートフォンが自動撮影した画像から、修繕の必要性を判断してくれるというもの。しかも市民が不具合を見つけて投稿できるシステムもあり、市民にとってはありがたいサービスですよね。

今までAI(人工知能)の導入といえば、民間企業のイメージがありましたが、このように、公務員の仕事をサポートするAI(人工知能)の活躍も目立ってきました。これからどんどん簡単な申請や問い合わせなどはAI(人工知能)に肩代わりしてもらいたいですよね。その分職員の負担が減り、人間にしかできない細かな対応や、深刻な相談・アドバイスなど「人と人」とが関わるサービスの向上が期待できるでしょう。

参考サイト

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