住宅を新しく建てたり購入する際には、間取り・お風呂・キッチンなどこだわりたい箇所はたくさんありますよね。そんな中、最近では省エネやエコにこだわった「スマートハウス」の人気が高まっています。
そんなスマートハウスとは、エネルギーの自給自足を目指す次世代型住宅のこと。わかりやすく言うと、スマートハウスには家庭でエネルギーを「つくる」「ためる」「節約する」という3つの機能があります。そのため電気代を削減でき、万が一停電になった時には、貯めていた電気を一時的に使えます。なので、災害時でも安心して住めます。
とはいえ、実際のところスマートハウスとは具体的にどんな家なのか、建てるのに何が必要なのか、よくわからないという方も多いでしょう。
そこで今回は、「スマートハウス」とは何なのか、さらに、最近よく聞く「スマートホーム」や「IoT住宅」とは何が違うのかも合わせてお伝えします。
スマートハウスとは
まず、「スマートハウス」とは「ITなど最新のテクノロジーを活用してエネルギーを賢く使う家」のことです。
私たちの家には、冷蔵庫やエアコンなど様々な家電がありますが、人がスイッチを操作とつい切り忘れて出かけたり、冷房をつけすぎて部屋が寒くなったり、電気を無駄にすることがありますよね。でも、スマートハウスなら、家全体をシステムがチェックして、冷暖房や給湯器などを最適にコントロールするので、エネルギーを無駄にせず快適な生活が送れます。
そしてスマートハウスは、この「創エネ」「蓄エネ」「省エネ」の3つをコントロールしながら、エネルギー運用の最適化を目指しています。
そんなスマートハウスができることは、次のようなものがあります。
- 日中に太陽光で発電し、蓄電したものを太陽の出ない夜間に使うことができる
- 月額、日額の電気料金や各部屋の消費電力などを数字やグラフで確認できる
- リビングにいながら各居室の電気使用状況がわかる
- 外出先から家の設備や家電を遠隔操作できる
- 停電時でも貯めていた電力で当面の電気がまかなえる
こうしてみると、スマートハウスは、自分で作りだしたエネルギーを、効率よく使うことを目的にした環境にも優しい住まいだと言えますよね。
※さらに詳しい説明は、以下の記事へ
では次に、スマートハウスはどのようにして生まれたのか解説します。
なぜ、スマートハウスが誕生したのか
「スマートハウス」という言葉は1980年代にアメリカで提唱されたましたが、その頃は、人が入ると自動的にライトが点いたり、火災や侵入者を警告してくれるような「便利で安全な家」という概念でした。
そして、2000年代に入るとインターネット技術が進化し、携帯電話とWebカメラを活用した留守宅や高齢者の見守りシステムなども登場しました。
しかし、スマートハウスに転機が訪れたのは2011年3月の東日本大震災です。この時、首都圏では計画停電が実施されるなど電力不足が大きな問題になりましたよね。これをきっかけに、省エネや節電に対する意識が急速に高まり、スマートハウスにも便利さだけでなく、エネルギー消費の最適化という役割が求められるようになりました。
このように、日本では大きな災害をきっかけに「スマートハウス」という言葉や考え方が広がりました。そして、「電気が足らない」という危機感を味わった日本では、今後も住宅のスマートハウス化は着実に広がるに違いありません。
では、ここからは、「スマートハウス」と響きがよく似た「スマートホーム」、そして「IoT住宅」についても、それぞれ何が違うのかを解説しましょう。
スマートハウスとスマートホーム・IoT住宅の違い
「スマートハウス」や「スマートホーム」、「IoT住宅」は、どれも私たちの生活を便利にしてくれますが、その手段や目的が少しずつ異なります。
まず、スマートハウスは家電や電気、ガス、水道などのメーターを「HEMS(ヘムス)」と呼ばれるシステムで一括管理して、エネルギーの「見える化」と「制御」を行います。たとえば、電力やガスなどの消費量が目で見える形で表示されたり、外出時にはHEMSに繋がっている家電の遠隔操作ができるので、無駄使いが減り節約への意識が高まります。
一方、「スマートホーム」はモノとインターネットをつなぐIoTを活用して、外出先からの遠隔操作や、声やスマホでテレビやエアコンなどの家電操作を可能にします。なので、「スマートホーム」は「スマートハウス」のように、家全体を管理するのではなく、IoTによって照明やエアコンなどの家電を一括管理しながら、便利で快適な生活を実現します。
また、「IoT住宅」はIoT技術やIoT機器を取り入れた住宅のことで、「スマートハウス」登場後に生まれたので、「スマートハウス」の進化系のようなものと考えて良いでしょう。さらに、「IoT住宅」の大きな特徴は、AI(人工知能)を活用して、そこに住む人の好みや生活パターンを学習し、テレビやエアコンなどを自動制御して快適な環境をつくりだす点です。
こうしてみると、省エネ・節電を目指す「スマートハウス」と、快適な居住環境をつくる「IoT住宅」とは目的は少し違いますが、「家全体」を最適に管理するという面では共通点があります。
では次に、スマートハウスのメリット・デメリットについて見ていきましょう。
スマートハウスのメリット・デメリット
まず、メリットをお伝えします。
メリット1:自家発電で電気を作るので光熱費が削減できる
建設時に太陽光発電システムを設置すれば、住居内で電気が作れるので、電力会社から電力を買う必要がなくなり光熱費を抑えることができます。さらに、余った電力は電力会社に売れるので臨時収入になりますよね。
メリット2:蓄電池があるので停電時にも使用できる
作り出した電力は蓄電池に貯められるので、停電時や災害時などは非常用電力として利用できます。なので、災害の多い日本では安心かもしれません。
メリット3:電気の使用状況がわかるので節電できる
HEMSがあれば、家庭内で使うエネルギー消費量が「見える化」されるので、無駄使いの出所がわかり、エネルギーの使い方を見直すことができます。たとえば、消費電力を見ながらエアコンの強さをコントロールしたり、スイッチをこまめにオンオフすれば節電の習慣も身に付きます。
メリット4:住宅の建設や設備の導入に補助金が使える
自治体によってはスマートハウス推進のために、HEMSや「太陽光発電システム」などの機器を導入の際、補助金を交付しています。補助金の金額や予算は自治体によって異なりますが、積極的に活用するとよいでしょう。
メリット5:高断熱・高気密なので省エネにつながる
「スマートハウス」は、断熱性や気密性の高い素材を使用して建てられているので、冷暖房の熱が屋外に逃げにくく省エネにつながります。さらに窓の位置などを調整して、自然の風や光の取り入れなどを工夫すれば、夏涼しく冬暖かい快適な生活を送れます。
次にデメリットについても見ていきましょう。
デメリット1:通常の住宅よりも初期費用が高くなる
「スマートハウス」には自家発電や蓄電池、HEMSシステムなどが必要で、これらの機器の費用だけで数百万円ほどかかります。さらに、断熱性能を高めるための建設費用や、設備が古くなるとメンテナンス費用も必要です。ですから、購入時には補助金を上手に使ったり、信頼できるハウスメーカーを探すなどしっかとしたプランを立てましょう。
デメリット2:HEMS対応の家電が少ない
「スマートハウス」にする場合は、HEMS対応の家電を購入しなくてなりません。しかし、HEMSの普及率がまだまだ低いので、対応する電化製品の種類が少なく希望の家電を見つけるのに手間がかかるかもしれません。
このように「スマートハウス」は省エネでお財布に優しい住まいですが、同時にデメリットもあるので事前に知っておきましょう。
それではここからは、「スマートハウス」ならではの設備について解説します。
スマートハウスに必要なもの
スマートハウスを実現させるには、主に以下のような3つの機器が必要になります。
- 太陽光発電システム
- 家庭用蓄電池
- HEMS(ホーム・エネルギー・マネージメント・システム)
それぞれについて説明しましょう。
太陽光発電システム
スマートハウスでは、住宅の屋根に太陽光発電ソーラーパネルを設置して太陽のエネルギーを取り込み、家庭で使用できる電気に変換します。そして、つくった電気は自宅で使うのはもちろん、余った電気は電力会社に売ることもできます。
また、ソーラーパネルを屋根に設置すれば、屋根への直射日光を遮ることができ、屋内の空調効果が上がるので使用電力の削減につながります。こうした太陽光発電は、発電時にCO2を排出しないので、環境に優しい発電方法ともいえます。
家庭用蓄電池
電気というものは通常は貯められないので、ソーラーパネルで発電した電気は「使う」か「売る」かしかありません。しかし、家庭用蓄電池があれば、電気代が安い夜間に電気を貯めたり、停電時など非常用バッテリーとして使うことができます。ですから、「スマートハウス」ではソーラーパネルとセットで導入するとよいでしょう。
HEMS(ホーム・エネルギー・マネージメント・システム)
スマートハウスで、設備や家電を連携させるための装置が「HEMS」です。「HEMS」によって、家庭内で使われている電気・ガス・水道の利用状況がパソコンやタブレット端末の画面上で確認できます。さらに過去のデータとも比較できるので、節電へのモチベーションが上がりますよね。
また、家の設備や家電を遠隔操作できるので、外出先から電気をつけたり、家のシャッターを締めたりする防犯対策もできます。それに、電気代の安い夜間に充電した電力を、電気代の高い昼間に優先的に利用できるようHEMSが自動調整してくれるものもあります。
このように、スマートハウスは太陽光発電システムや蓄電池、HEMSによって、エネルギーを効果的に使い家庭内のエネルギー消費を抑制しています。それでは、スマートハウスはこの先どうなるのか、今後についても考えてみましょう。
スマートハウスの今後
スマートハウスは、エコな住宅であることはもちろん、停電時でも電気が使えて災害にも強い住宅として魅力があります。しかし、まだまだ普及率は低く住宅全体の1%ほどです。とはいえ、今後も大きな災害が起こるかもしれない日本では、電力の管理・省エネが可能なスマートハウスの需要は伸びる可能性があります。
そうなると、スマートハウスが広く普及し、息子や祖母の家など他の家ともHEMSでつながる時代がくるかもしれません。たとえば「おばあちゃんが朝6時に起きて、テレビをつけた」というデータからHEMSが「おばあちゃんはいつも通りで元気」と検知して、息子の家のHEMSに伝われば、電話をしなくてもおばあちゃんの様子がわかり自然な形で見守りができますよね。
さて今回は、「スマートハウス」とはどんな家なのか、そして、「スマートホーム」や「IoT住宅」とは何が違うのかをお伝えしました。
ここまでの内容をまとめると、以下のような内容になります。
- 「スマートハウス」とは、「ITなど最新のテクノロジーを活用してエネルギーを賢く使う家」のことで、「創エネ」「蓄エネ」「省エネ」の3つをコントロールしながら、エネルギー運用の最適化を目指している
- スマートハウスは2011年3月の東日本大震災時の電力不足によって、省エネ・節電に対する意識が高まったことで、注目を浴びるようになった
- スマートハウスは「HEMS(ヘムス)」によって家全体を一括管理し、省エネ・節約を重要視した住まい、「スマートホーム」は、IoTによって家電を一括管理して便利な生活を実現する家、「IoT住宅」はAI(人工知能)によって住む人の生活パターンを学習して住みやすい環境をつくる住まいである
- 「スマートホーム」は「家電」を管理するのに対して、「スマートハウス」や「IoT住宅」は「家全体」を管理する違いがある
- スマートハウスのメリットとして、自家発電で電気を作るので光熱費が削減できる、蓄電池があるので停電時にも使用できる、「HEMS」によって電気の使用状況がわかるので節電できる、住宅の建設や設備の導入に補助金が使える、高断熱・高気密なので省エネにつながる
- スマートハウスのデメリットとして、通常の住宅よりも初期費用が高くなる、HEMS対応の家電が少ないがある
- スマートハウスに必要なものとして、太陽光発電システム、家庭用蓄電池、HEMS(ホーム・エネルギー・マネージメント・システム)がある
- スマートハウスは、この3つの機器で、家庭内のエネルギー消費を最適にコントロールしている
今後はHEMSシステムをはじめ、IT技術の進化で「スマートハウス」はどんどん便利で快適になるに違いありません。それに、「スマートハウス」に住めば、無理して頑張らなくても省エネ・節電の習慣がつきますよね。なので、マイホームを考えている方は、「スマートハウス」を選択肢の一つとして検討するのもよいでしょう。
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