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次世代住宅「スマートハウス」とは?気になる疑問に答えました

次世代住宅「スマートハウス」とは?気になる疑問に答えました

家を建てる、ないしは買うとなると、一大決心が必要ですよね。そんな時に「場所はどこにするのか?」「一戸建てなのか、平屋にするのか」など、あれこれ考える必要があるはず。まさに家は一生に1回の買い物、しかもとても高い金額なので迷う方も多いはず。

そんな中でも、家に住むとなると特に電気代は気になるでしょう。暖房や冷房、お風呂を沸かすなどで電気代が高くなりがちな家も結構多いのだとか。

まえだまえだ
まえだまえだ

自分の家もガスがないオール電化の家ですが、電気代が高くつくのが悩み・・・。

そんな中、最近「スマートハウス」が登場しました。スマートハウスは電気の消費量を最適にコントロールして省エネを取り入れています。しかも太陽光発電装置を設置すれば、自分たちでも電気を使えたり、電力会社にエネルギーを売ることもできるのだとか。これなら、高い電気料金から解放されるかもしれません。

とはいえ、スマートハウスってどんな家なのか、もし建てるとしたら何が必要かなど、気になりますよね。そこで今回は、「スマートハウス」とは何か、どんなメリット・デメリットがあるのかなどについて解説します。

スマートハウスの定義とは

省エネのイメージ

まずはスマートハウスとは何か、について解説しましょう。

スマートハウスの定義とは、IoTやAI(人工知能)などの技術を使ってエネルギーが最適に消費されるように管理されている家のことです。もともと「スマートハウス」の言葉は1980年代にアメリカで誕生していましたが、この時は家電をITで管理する最先端の家という意味でした。それが現代の技術の進化により、ITで管理するだけでなく環境問題に配慮した家という意味に変化しました。実際に現代のスマートハウスでも、スマホで家の施錠ができて安全に過ごせます。

家では、エアコンやテレビなど様々な電力が必要となります。そうなると、環境への負担がかかるだけでなく私たちの電気代がかさんでしまいますよね。そこでスマートハウスでは、照明や冷暖房、給湯などの機器を効率の良いものにしつつ、電力を管理するシステムを導入します。

また、スマートハウスでは太陽光発電で電力を自分の家で使うだけでなく、燃料電池で電気を保存できます。これによって、例えば昼に太陽光をたくさん取り込んで発電して、太陽がない時間帯である夜に電気を使ったり、余った電力を発電所に売ったりすることもできるとのこと。

まえだまえだ
まえだまえだ

電気を自分の家で使うだけでなく、そこからの副収入もあるのか・・・!ちょっとだけ稼ぐことができるのは嬉しいかもしれません。

また、スマートハウスの住宅の本体も以下のような工夫をして、自然の力を使うことを推奨しています。

  • 壁、床、屋根などを断熱素材を使い、すきま風を防ぐ
  • 太陽光を取り込む

つまりスマートハウス が目指すところは、省エネだけでなく環境に優しい住まいです。

スマートハウスとスマートホームとIoT住宅のそれぞれの違い

スマートホームのイメージ

最近ではスマートスピーカーの登場により、「スマートホーム」や「IoT住宅」という言葉を耳にすることが多くなりましたよね。なんだか似ている言葉なので、スマートハウスとどう違うのか気になるはず。

そこで、スマートハウスとスマートホーム、IoT住宅との違いについて解説しましょう。

スマートホームとスマートハウスの違いとは

スマートホームとスマートハウスは似たような言葉に感じますよね。スマートホームとスマートハウスの違いとは、「管理するシステムの違い」があります。

スマートホームが管理に使う機械は、「スマートホームハブ」で、管理する対象は「IoTでつながった家電」。例えばエアコンや照明、などのスマート家電などです。スマートホームが管理する目的とは、私たちの生活がより快適になるようにするためです。

まえだまえだ
まえだまえだ

確かに帰宅したら電気をつけて、カーテンを閉めてなど実はやる事がたくさんありますよね。

これに対してスマートハウスが管理するのに使う機械は、「HEMS」と呼ばれる管理システムです。また、管理するものも家電だけではなく、主に電気全体です。スマートハウスが管理する目的としては、省エネ。電気エネルギーをどうすれば効率よく使えるのか、を基準にしてシステムで管理しています。

つまりスマートホームは「私たちの生活を快適にする」、スマートハウス は「省エネ」と目的が少し異なります。そのため、管理するシステムも変わってくるという違いがあります。

スマートハウスとIoT住宅の違いとは

一方、スマートハウスとIoT住宅は少し似ています。厳密に言えば、「IoT住宅」という言葉が登場したのが2017年ごろで、スマートハウスが登場したのはもっと以前です。そのため、IoTはスマートハウスの発展形だという意見もあります。

実際に、スマートハウスとIoT住宅は共通点があります。それは、スマートハウスそれはどちらも家をIoTで管理すること。スマートハウスもIoT住宅も、家電ないし電気をを一元管理するシステムがあります。

さらにスマートハウスもIoT住宅も、導入する際に主体となるのが「ハウスメーカー」である点も共通しています。スマートホームは導入するのが電子機器なので、導入の主体は「家電」となります。これに対してスマートハウス 、IoT住宅はどちらも「家」全体に導入します。最近では、スマートハウスもIoT住宅も力をいれるメーカーが増えているのだとか。

ただ、その中でもスマートハウスの目的は「エネルギーの消費を抑える」点をメインにしているのに対して、IoT住宅の目的は「住みやすい環境を作る」点がメインです。その点では、スマートホームとIoT住宅はは共通しているでしょう。

スマートハウスに必要なもの・実際にできること

ソーラーパネルのイメージ

では、実際にスマートハウスに必要なもの、およびできることについて解説しましょう。

家の電気を管理するシステム「HEMS」

まず最初に必要になるのが、電力管理するシステムである「HEMS」。「HEMS」とは、Home Energy Management Systemの略称で、住宅用エネルギー管理システムとも言われています。

HEMSには、以下の4種類の機器で構成されています。

  • 太陽光発電や蓄電池に繋ぎ、エネルギーの全体量を管理する「中核機器」
  • エアコンやスマート家電のエネルギー使用量をチェックする「エネルギー計測ユニット」
  • 情報を飛ばす「ホームネットワーク(HAN)」
  • 集めた情報を見える化する「コントローラー」

また、HEMSを使ってできることは以下のような事があります。

  • エネルギー消費量の表示・他の家との比較
  • 二酸化炭素排出量の表示
  • 電気の制御
  • エアコンの温度設定、電子機器の操作

電気や二酸化炭素の排出量が見えたり、他の人との比較ができるようになると「もしかして自分の家は電気使いすぎなのかも?」と気を付ける事ができますよね。このため、省エネへのモチベーションが高まるに違いありません。

そしてこの他にも、家のネットワークであるHANを使って家のセキュリティシステムやスマホと連携できます。なので外出先で家の施錠がされているかどうか、などもHEMSを使えば確認できるでしょう。

太陽光をはじめとした、発電システム

スマートハウスでは、自家発電として太陽光発電ソーラーパネルを設置するのが多くなっています。その理由としては、発電する際に燃料がいらないので簡単であること、ソーラーパネルを支える屋根や壁があれば設置ができるためです。

太陽光発電パネルの場合、一般的なスマートハウス に設置されるパネルの出力は3〜5kw程度とのこと。発電パネル1kwの発電量が1000kwであり、普通の家庭での年間消費電力は大体5500kw程度となっています。この状態で計算すると、太陽光発電パネルを設置すると、概ねの電気をカバーできますよね。

また、太陽光パネルは一般的に寿命が20~30年程度となっているので、一度導入すれば長持ちするでしょう。

蓄電池

住宅には、住宅用の蓄電池が必要です。この蓄電池は非常用の電源になったり、電力に余裕のある時間帯に電気を貯めたりする役割を持っています。ちなみに、蓄電池は数十万〜200万円程度しますが、電気自動車に搭載されている車載バッテリーも蓄電池として利用できるのだとか。

太陽光発電をする場合は、昼間に太陽光で発電をした電気を貯める必要があるので、蓄電池もセットで導入するのがおすすめです。また、蓄電池は種類が豊富なので、もし蓄電池を購入する場合は、本体の重さや蓄電できる容量をしっかりチェックしてから購入しましょう。

雨水による貯蓄システム

これはスマートハウスには必須ではないのですが、太陽光だけでなく雨水も使い道はあります。この雨水をうまく活用するには、雨水タンクが必要。

まえだまえだ
まえだまえだ

え、雨水飲むの・・・!?と思った方、大丈夫です。飲み水ではありません。

雨水の使い道は、主に庭や屋根に撒く水やクーラーとして使われます。つまり、水の「冷たい」力を利用して、家を冷やす役割があります。特に夏場では、暑い日が多くなっていますよね。そのような場合だと、活躍する機会が多くなるかもしれません。

スマートハウスに住むメリット・デメリット

快適な家のイメージ

では、スマートハウスに住むメリット・デメリットについて解説しましょう。

メリット1:災害に強い

スマートハウスのメリットは、災害に強いことです。というのもスマートハウスで蓄電池を備えておけば、発電所からの電気が止まった時でも電気を使えるためです。

実際に、スマートハウスの建設件数がグッと増えたのは2011年です。2011年は東日本大震災が発生し、改めて災害時の電力危機への対応が求められました。そこで、ハウスメーカーや電機メーカーが続々とスマートハウス 関連商品を販売したので、一気に市場が拡大したのだとか。

日本に住んでいる場合だと、台風や地震などに気をつけなければいけませんよね。そんな中でスマートハウスは有効な手段になっていくに違いありません。

メリット2:電気代を通常の住宅よりも抑えられる

私たちが通常使っている電気は、電力会社の発電所から送られてきますよね。そしてその使用料金に対して、お金を払っています。最近では電気代が値上がりした電力会社もあるので、少しでも電気代を減らしたい!という方もいるかもしれません。

これに対してスマートハウスでは、主に自分の発電した電気を使います。そのため電気の使用料金を通常の家よりも抑えられるでしょう。

ちなみに、余った電力に関しては電力会社に売って収入にできます。太陽光発電の場合は固定価格買取制度が適用されていて、設置10年未満の間では10kw未満の電気は21円で買取されます。ただしこの条件を使うには、発電した電気を家庭で30%以上消費する必要があるとのこと。

とはいえ、売って得た電気代もちりも積もれば山となるように、電気代の節約とスマートハウスの建築にかかった費用を少しカバーできるようになるかもしれません。

メリット3:夏は涼しい、冬は暖かい家で過ごせる

スマートハウスでは、家を電気・インターネットでつなぐだけではありません。風通しをよくしたり、熱が逃げないようにしたりする構造にするのも、スマートハウスの一つです。この目的もやはり、エネルギーを効率的に使うため。

そのため、夏は風通しが良く冷房が効率よく行き届きやすくなるでしょう。冬も熱が逃げないようにするので、暖かい家で快適なのだとか。

まえだまえだ
まえだまえだ

最近の日本の夏は35℃になったり、冬は0℃近くになったりすることもありますよね。このような寒暖差が激しい日本にはぴったりの住まいの形なのかもしれません。

デメリット1:初期費用が高くなりがち

「スマートハウスを建てるとなるとお金がかかるのでは?」と心配になる方もいますよね。実際に住宅用のソーラーパネルは1~2枚で7~20万円程度かかります。また、蓄電池やHEMSのシステムを導入するとなると、通常の建築よりどうしても費用が高くなってしまいます。

そうなると、安く家を建てたい!という方にはおすすめはできません。

ただしソーラーパネルを設置する場合は、国から補助金が出ます。補助金の金額は出力1kwあたり15,000円、または20,000円となるとのこと。また、この金額は実際に申請をして判断される部分もあるので、ソーラーパネルの設置を考える場合はこちらの補助金の設置も考えましょう。
また自治体によっては、スマートハウスの導入すると補助金が出るところもあります。例えば神奈川県厚木市では、太陽パネルや管理システムなどを家に導入したあとに申請すると補助金がでます。例えば燃料電池システムを導入した場合は50,000円、太陽光発電は発生している電力(キロワット単位)×10,000円(上限30,000円)の金額が支払われます。これなら、少しでも負担が軽くなりますよね。

デメリット2:後から建てた家だと、スマートハウスが導入しにくい部分もある

スマートハウスを導入するのは、現在は注文住宅の建築段階での導入が基本となっています。そうなると、「家を建ててしまったけれども、スマートハウスのようなソーラーパネルを設置したい」「蓄電池を設置したい」となる場合だと、今の家だと導入できない可能性もあります。

ただし、設置の条件をしっかりそろえて建築可能であれば、今ある建物をリフォームしてスマートハウスにすることも可能です。そのためスマートハウスを導入をするときは、今の建物でもできるのかどうかを含めてしっかり検討しましょう。

さらに、スマートハウスを導入する場合は、購入したHEMSの規格に対応した家電を買う必要があります。例えば東芝が発売したITアクセスポイントでは「ECONET Lite」という企画があります。これが規格が違ったり、またはない場合はHEMSで管理できません。そのため、電気の使いすぎなどの判断ができなくなってしまいます。

そのため、今ある家電が使えない場合が出てくることもあるので注意しましょう。

デメリット3:機械のメンテナンス・事故への対策をしっかり行う必要がある

スマートハウスに使う機器は高価なものなので、日々点検が必要になります。特に太陽光発電システムは、屋外に設置するので定期的なメンテナンスが不可欠。

太陽光発電システムは日々の発電量に異常がないか自分でチェックするだけでなく、メーカーにお願いして故障している箇所がないかどうかもチェックしてもらう必要があります。また、砂ぼこりが多い場所だとソーラーパネルでの発電の効率も下がるので、専門会社に掃除をする必要があるでしょう。

ただ、それでも施工不良があった場合に雨漏りが起きたり、発電パネルから出火したり、感電事故や落雪事故などの事例もあります。そのため、建築時にもしっかり強度をチェックしたり、対策を日々行いましょう。

今後、スマートハウスはどうなるのか

マンションのイメージ

スマートハウスは現在、どんどん進化しています。そんなスマートハウスの未来について、お伝えしましょう。

一戸建てだけじゃない!マンション版スマートハウスが登場する

現在のスマートハウスは一戸建てが基本となっています。しかし、それだと「一戸建てじゃなくて、マンションではスマートハウスはできないのか」となりますよね。最近ではなんと、スマートハウスのマンション版「スマートマンション」が登場しています。実際に、2017年地点では、全国で700棟ものスマートマンションを建設したのだとか。

スマートマンションとは、マンションの各戸にエコキュート(空気の熱でお湯を沸かす給湯器)、断熱性の高いガラス、LED照明を設置してエネルギーの消費量を見える化したマンションのことを指します。一方で共有部分で太陽光発電パネルや大型の蓄電池などを設置し、エネルギーを効率よく使えるようにするとのこと。

まえだまえだ
まえだまえだ

確かに一つの家が省エネするよりも、マンションでまとめて省エネを行った方が効率的ですよね。

また、マンションの住民でも防犯のサービスを使えたり、高齢の方の見守りサービスを使ったりすることができます。これなら、住民も安心できるでしょう。

家だけでなく、街全体で省エネ!

今後、スマートハウスはそれぞれの家で省エネだけではなく、街全体でエネルギーの消費を0にする目標があるとのこと。これがスマートハウスが集まった住宅地である「スマートタウン」です。

実際に、神奈川県藤沢市にある「Fujisawa SST(サステナブル・スマートタウン)」では、企業と藤沢市が連携してスマートタウンを開発しました。ここでは約600世帯の戸建て住宅がありますが、全ての家に太陽光発電のシステムと蓄電池を設置しています。

また家だけでなく、街自体も湘南の海から吹いてくる風の通り道に合わせて街路樹や通り道を設計しました。これによって太陽エネルギーだけでなく、風通しも最大限に生かせるようになるでしょう。もちろんエネルギー面でも、電気の使用状況に関するアドバイスがもらえるサービスを行っているだけでなく、10〜20世帯ごとにグループを作り、イベントに参加することで非常時に助け合えるような意識を作っています。

まえだまえだ
まえだまえだ

近所づきあいってめんどくさそうなイメージがあるけど、「いざというときに助け合う」って観点だと重要なんですね。私も近所の人と助け合えるように、普段から挨拶はきちんとしよう・・・!

まとめ

さて今回は、「スマートハウス」とは何か、について解説しました。未来の住まいの形になるかもしれないスマートハウスについて知れば、もしかしたら「将来建てようかな」と考える方もいるかもしれません。

それでは、今回の内容について振り返りましょう。

  • スマートハウスとは、最先端の技術を使った環境に優しい家のこと
  • スマートハウスの目的は「省エネ」であること、管理するシステムが違うことがスマートホームやIoT住宅との違う点である
  • スマートハウスに必要な物は、太陽光発電システム、蓄電池、HEMS
  • スマートハウスのメリットは「災害に強い」「電気代を抑えられる」「夏は涼しい、冬は暖かい」デメリットは「初期費用が高い」「家を建設する時でないと導入できないものもある」「メンテナンスが必要」などがある
  • 今後はスマートハウスだけでなく、マンション版のスマートマンションや街全体のスマートタウンが登場するだろう

国や自治体も補助金を出したり、ハウスメーカーが次々に売り出したりして力を入れているスマートハウス。あなたがもしスマートハウスに住まなくても、これからはソーラーパネルがついた家を見るたびに「自家発電だ!」と発見できるかもしれません。

また今後家を建てても、スマートハウスでない場合はありますよね。そんな時でも私たちは、「電気代が安くなるように」「エネルギーの無駄遣いをしないように」を心がけましょう。きっとそれが、電気代を減らすだけでなく、将来の私たちのためになるに違いありません。

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