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AI(人工知能)×ICTで変わる医療現場のメリットとは

医療のイメージ

病院に行ってみると、AI(人工知能)が患者を診察し、治療、さらには手術まで行なっている。そんなことは、途方も無い未来の話ですよね。ですが、実はもう医療現場では、AI(人工知能)とICTを活用する取り組みが始まっているんです。

でも、人の命に関わることなので、AI(人工知能)に任せるというのは、やっぱり不安に感じます。「人の方が正確なんじゃないか」「AI(人工知能)を導入する必要なんてないんじゃないか」そんな疑問も湧いてきます。

しかし、AI(人工知能)の実力や日本の医療現場の現状を考えると、AI(人工知能)を活用し、ICTと連携させることのメリットが見えてくるのです。そこで今日は、AI(人工知能)とICTが医療現場をどう変え、どのようなメリットを生み出していくのかをお伝えします。

人間よりも早くて正確!? AI(人工知能)によるがん診断

遺伝子のイメージ

日本人の死因第一位のがん。なんと年間37万人もの人ががんで命を落としています。そんながんの診断をAI(人工知能)に任せようという研究が、今、世界中で行われています。でも、どうやって、AI(人工知能)は、がんを発見するのでしょうか。

AI(人工知能)も人間と同じように教育しなくてはなりません。人間であれば、「これこれこういう特徴があるのが、がんだ」と言えば伝わるかもしれませんが、AI(人工知能)では、そうはいきません。

 

まず、大量の「教師データ」と言われるものを準備する必要があります。この「教師データ」とは、「これはがんだ」というタグ付けがされた実際のガンの画像と、「がんではない」というタグ付けされた正常な画像のこと。それらを大量にAI(人工知能)に学習させます。

すると、AI(人工知能)は、ディープラーニングと呼ばれる技術によって、がんの特徴を自ら見つけ出します。そうすることで、与えられた画像に対し、自ら見つけ出したがんの特徴を照らし合わせて、「これはがん」「これはがんではない」と診断することができるようになるのです。

しかし、経験豊富な医師にAI(人工知能)がスピードや正確さで勝つことなんてできるのでしょうか。

2016年にアメリカで、乳がんの転移を調査するAI(人工知能)のコンテストが行われました。優勝したAI(人工知能)の正確性を示す指数は、なんと0.994。医師11名が通常業務のスピードで調査したときの平均の指数0.810よりはるかに高く、しかも秒単位で課題の129枚の画像診断を終わらせたというから驚きです。

こうした診断技術が確立されれば、がんの見落としも減りますし、診断速度も格段に上がりますから早期発見、早期治療につながります。これは、治療する医師にとっても、そして患者にとっても大きなメリットになります。

AI(人工知能)とICTが医師の診断を助ける

医師のイメージ

がん診断について見てきましたが、それ以外の分野でも、医療現場を助けるAI(人工知能)の研究が始まっています。

自治医科大学では、JMU総合診療支援システムの一環として「ホワイト・ジャック」と呼ばれる双方向対話型のAI(人工知能)を開発しているのです。

「ホワイト・ジャック」は、患者の情報や様々なデータをもとに、疑われる病気をリストアップして、医師が病気を診断するのを手助けしてくれます。また、このAI(人工知能)の「ホワイト・ジャック」ですが、ICTとの連携も計画されています。IoT技術を活用してウェアラブル端末で患者の健康状態などをチェックしたり、地域医療データバンクに蓄積したビッグデータを利用したりして、「ホワイト・ジャック」による診断支援に活用しようというビジョンです。

このようにAI(人工知能)とIoTやビッグデータなどのICTを連携させ、活用することで、医師の負担の軽減、また誤診の抑制につなげることができるでしょう。

AI(人工知能)×ICTが深刻すぎる医師不足解消の切り札に

自動手術のイメージ

高齢化が進んでいる日本社会では、これからますます医療の充実が重要になってきます。しかし一方で、日本は、深刻な医師不足にも直面しています。医療の需要は増えるのに、その担い手がいないという危機的状況に陥っているのです。

ですが、もしAI(人工知能)とIoT技術やビッグデータといったICTをうまく組み合わせることで、医師の仕事を助けることができるようになれば、この深刻な状況に太刀打ちできるのでは。そんな希望が持てますよね。

将来的には、過疎地域でAI(人工知能)医師による診療所が開設されたり、医療用ロボットとAI(人工知能)、そして、ICTの融合によって完全自動手術なんてこともできるようになるかもしれません。

 

医療とAI・ICTのイメージ

いかがでしたか。がん診断をするAI(人工知能)の正確性とスピードにはびっくりですよね。がんは日本人の死因第一位ですから、広く普及すれば、より多くの命が救えるかもしれません。双方向対話型のAI(人工知能)「ホワイト・ジャック」も、IoTやビッグデータなどのICTと連携することで医師にアドバイスを出す医療現場の救世主として、将来、活躍していくことでしょう。

このように医療現場でAI(人工知能)を活用し、ICTと連携させることが、深刻な医師不足に悩む日本にとって、大きな望みとなりそうです。

今回は、AI(人工知能)とICTが医療現場をどのように変え、どのようなメリットを生み出していくのかについて、お伝えしました。病院でAI(人工知能)先生に診てもらう日もそう遠くはないかもしれません。

参照元 「最新がん統計」国立ガン研究センター ガン情報サービス
「AIが医師に「圧勝」の衝撃 医療は変わる?医師の見解は」ハフポスト
「News Letter 人工知能(AI)をコアとした総合診療支援システムの開発」自治医大

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