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汎用人工知能(強いAI)と特化型人工知能(弱いAI)について3分で解説

汎用人工知能(強いAI)と特化型人工知能(弱いAI)について3分で解説

現在急成長を見せるAI(人工知能)ですが、自動運転車やスマートスピーカー(手を使わず音声で家電などの操作を可能にするスピーカー)、お掃除ロボットなどさまざまな場面で使われていますよね。そんなAI(人工知能)ですが、実は機能面で汎用人工知能(強いAI)と特化型人工知能(弱いAI)の2種類に大別することができます。はじめて聞く人もいたり、どこかで聞いたことあるけどよくわからない人がほとんどのはず。

汎用人工知能も特化型人工知能も、字面だけ見ると漢字ばかりで難しそう、取っ付きにくそう・・・と身構えてしまうでしょう。しかし、汎用人工知能も特化型人工知能も例やイメージを出すと、「あっ、こういうことなのか」と理解できるに違いありません。そこで今回は、汎用人工知能と特化型人工知能についてわかりやすく解説します。

まずは汎用人工知能についての解説です。

汎用人工知能(AGI)とは

ドラえもんなど万能なAIのイメージ

汎用人工知能はAGI(Artificial General Intelligence)とも呼ばれ、文脈によっては「強いAI」と表現される場合もあります。汎用人工知能について一言でまとめると、人間と同等(あるいはそれ以上)の知能を持ったAI(人工知能)のこと、といえるでしょう。私たちがAI(人工知能)といわれて直感的に思い浮かべるのは、この汎用人工知能かもしれません。

汎用人工知能はマンガや映画など、まだフィクションの世界での存在で、例えばドラえもんや鉄腕アトム、ターミネーター、C3PO(スターウォーズシリーズ)などが汎用人工知能です。例に出したどのAI(人工知能)も、与えられた情報を元に人間のように自分で考え、行動するようにプログラムされており、できることも人間並みかそれ以上に幅が広いのが特徴。また、「汎用」と名前に付くのは、このようにさまざまな課題や問題に対応可能なAI(人工知能)であるということを意味しています。

そもそもAI(人工知能)研究は人間と同等な汎用的な知的処理を機械で実現したい、という野望から始まっています。しかし人間の脳は複雑であり、研究が進むにつれ汎用的な知的活動を機械で実現することは困難を極めることがわかりました。

このように汎用的な知的活動を機械で実現する動きは一時的な停滞が見られましたが、近年AI(人工知能)の技術進展により再度注目が集まっており、人間と同等な汎用的な知的処理をするAI(人工知能)を汎用人工知能と定義し、研究が活性化しています。例えば日本国内では人工知能学会が汎用人工知能研究会を発足し、汎用人工知能に対する研究を行っているとのこと。

さて、AI(人工知能)には汎用人工知能の他にも特化型人工知能があります。次に特化型人工知能について解説しましょう。

特化型人工知能とは

作業をやるロボットのイメージ
特化型人工知能はNarrow AIとも呼ばれ、文脈によっては「弱いAI」と表現されることがあります。特化型人工知能を一言でまとめると、特定の領域で力を発揮するようなAI(人工知能)のこと、といえるでしょう。

汎用人工知能がまだ実用化されていないのに対し、特化型人工知能は私たちの身近に存在になりました。たとえば自動運転自動車やスマートスピーカー、お掃除ロボットがまさに特化型人工知能で、自動運転や運転のアシストに特化したAI(人工知能)や、音声を認識、解析することに特化したAI(人工知能)、効率よく掃除をすることに特化したAI(人工知能)などがありますよね。このように、何かの機能に特化しているため名前に「特化」という言葉が付いているといえるでしょう。

なぜ一般的に特化型人工知能が身近になっているかというと、汎用的な知的処理を実現する機械の開発が一時停滞し、特化型人工知能開発へとシフトした、という経緯があります。実際に、汎用人工知能の開発に比べて、今のところは特化型人工知能の開発は進んでいるといえるでしょう。

そんな汎用人工知能と特化型人工知能ですが、その違いについて詳しく知りたいところですよね。次に、汎用人工知能と特化型人工知能の違いについて解説します。

汎用型人工知能と特化型人工知能の違い

違いのイメージ
汎用人工知能と特化型人工知能の大きな違いとして、課題に対する対応力があげられます。先ほども例にあげた通り、特化型人工知能は特定の課題解決に特化して開発されており、例えば自動運転自動車に組み込まれたAI(人工知能)はスマートスピーカーに要求される音声の認識と解析にはそのままでは対応できません。

一方で汎用人工知能は人間のように汎用的な知的処理を実現するように開発されているので、ハードウェアが許す限り安全に移動することも、音声を聞き取って解釈することも可能となり、さまざまな課題を汎用人工知能は単体で解決できます。

このように各AI(人工知能)ごとに対応力の違いがあることから、実現の困難さも汎用人工知能と特化型人工知能の違いとして現れます。汎用人工知能開発は人間と同等な汎用的な知的処理を持ったAI(人工知能)を開発することを目指しているため、人間の脳あるいはそれに近いものを作ろうという試みです。

しかし、人間の脳は複雑怪奇で、なかなか全貌が解明されず、ブラックボックスなままであり、純粋な汎用人工知能の開発はまだできていません難航を極めています。

一方で、特化型人工知能はすでに実現しており、中には私たちの生活の一部となっているものも。これは、最初から汎用性を目指さず、特定の課題に着目することで、必要最小限の機能だけ実現すればすむため、複雑さが軽減されることで開発が進みやすくなるからです。そんな背景もあり、今私たちの身近な機械に搭載されているAI(人工知能)は特化型人工知能でしょうは特化型人工知能になります。

※こちらにも違いが解説されています

ここまで汎用人工知能と特化型人工知能の違いについて解説しました。さて、特化型人工知能は実現しており、汎用人工知能はまだ登場していないですが、では汎用人工知能は今後誕生するのか気になりまるところですよね。最後に汎用人工知能の実現可能性についてお伝えします。

汎用型人工知能は今後誕生するのか

人間みたいなロボットのイメージ
結論から言うと、現時点では汎用人工知能はまだ登場していません。しかし、汎用人工知能開発に関する研究がなされていないわけでなく、科学技術の発展によってむしろ現在注目を集めています。

研究者によって意見は異なりますが、2045年にはノーベル賞級の研究が汎用人工知能で可能となるといわれていたり、2029年には汎用人工知能は人間の知識を超えるともいわれていたりします。2045年を遠いと受け取るか、近いと受け取るかは人によって異なりますなるでしょうが、あと25年後には高度な汎用人工知能が誕生するというのはわくわくしますよね。

とはいえ、汎用人工知能の誕生には人間の脳をより理解したり、知識をロボットに伝える技術を開発したり、といったさまざまな課題が残されています。これらの研究が進展しないことに汎用人工知能は始まらないので、長い目で待ちましょうたなければなりません。

しかし、もし汎用人工知能が誕生した場合は蒸気機関や電気モーターのような産業革命となり得ると見られており、私たちの生活をガラッと変える可能性があります。汎用人工知能は人間の代わりに労働するに留まらず、科学研究や医薬品開発に携わり、例えば難病の特効薬を作る可能性も。汎用人工知能の登場にはもう少し時間がかかりますが、明るい未来がやってくるのかもしれません。

まとめ
さて、今回は汎用人工知能と特化型人工知能について解説しました。汎用人工知能と特化型人工知能の特徴や違いについて、次のようにまとめられます。

  • 汎用人工知能:人間と同等(あるいはそれ以上)の知能を持った、あるいは人間と同等な汎用的な知的処理を持ったAI(人工知能)のこと。ドラえもんや鉄腕アトムなど。まだ誕生はしていないが、汎用人工知能の誕生は産業革命を起こす。
  • 特化型人工知能:特定の課題に対応できるように開発されたAI(人工知能)。自動運転自動車やスマートスピーカー、お掃除ロボットなど。実際に私たちの身近に存在するAI(人工知能)で、現在もさまざまな特化型人工知能が開発されている。

特化型人工知能はすでに存在しており、私たちの生活に豊かにしてくれているので、新たな特化型人工知能がこれからも開発されるでしょう。汎用人工知能の誕生はまだまだかかりそうですが、私たちの生活をまったく新しいものにする可能性を秘めており、楽しみでもありますよね。ぜひ世の中を変えるような汎用人工知能の誕生を待ち望みましょう!

参考元
市瀬龍太郎. (2016). 人工知能学会共同企画-人工知能とは何か?:[エッセイ集] 2.2 汎用人工知能の現状と展望. 情報処理, 57(10), 960-961.
汎用人工知能 – 汎用人工知能研究会
現在のAIを超える「汎用型AI」はいつ誕生するのか
汎用人工知能(AGI)とは
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