AIとは何か

ビッグデータとAIって違うの?実は知らない人工知能のイロハを解説

AIとビッグデータのイメージ

「ビッグデータ」や「AI(人工知能)」、最近あちこちでよく耳にしますよね。でも、言葉は知っていても、その意味や関係性をすんなり説明できる方は、意外と少ないでしょう。

「ビッグデータ」や「AI(人工知能)」は意味をしっかり理解する前に、言葉が先に氾濫して、流行語にまでなってしまってます。ですから「今さら解らないなんて恥ずかしくて言えない。」という方や「検索してみたけれど難しい言葉のオンパレードで・・・」という方はいらしゃるでしょう。

そこで、そんな方の為にやさしく解りやすく「ビッグデータ」や「AI(人工知能)」を解説します。イメージしやすいように実例をたくさん取り上げたので、ビッグデータやAI(人工知能)を身近に感じることができるはずです。また、「これもAI(人工知能)だったの?」「こんなこともできるんだ」という発見もあるかもしれません。

これから世界がどんなふうに変わっていくのか、想像するのって楽しいですよね。それにはまず、AI(人工知能)、ビッグデータというようなワードの意味と「今、何ができるのか」を知る必要があるでしょう。その辺りを基本のイロハから、解りやすくお伝えしていきます。

ビッグデータとAI(人工知能)って違うの?

ビッグデータとAIのイメージ

「ビッグデータとAI(人工知能)って違うの?」と聞かれたら「もちろん違うよ」と答えますよね。でも「どう違うの?」「どういうしくみ?」とそれ以上突っ込まれると、ちょっと困ってしまうかもしれません。

「知ってはいるけれど、説明するのはちょっと・・・」なこれらのワードについて、最初にごく簡単にご説明しておきます。

  • ビッグデータ:普通のパソコンなどでは処理できないくらい、大きくて複雑なデータ
  • AI(人工知能):人間のように考える機械やシステム

これらが、これからの私たちの未来を大きく変えていってくれるのです。ここを押さえた上で、それぞれについて、詳しく解説していきます。

まずはビッグデータについてご説明しましょう。

ビッグデータって、大きいデータってことでしょ?

ビッグデータのイメージ

ビッグデータは直訳で「大きいデータ」。これはこれで間違いではないのですが、その大きさは私たちの想像をはるかに超えるものです。

ビッグデータの大きさってどのくらい?

では、ビッグデータの大きさはどのくらいなのでしょう。

デジタルデータの量は、2010年から2020年の10年間で約40倍にも膨れ上がっています。そのあたりはスマホの普及で実感できますよね。

ですからもっとその大きさを体感してもらえるよう、身近な例をあげると

【1分間ごとに生み出されるデータ】

  • Twitter:36万ツイート
  • インスタグラム:21.6万投稿
  • YouTube:72時間分のビデオ投稿
  • Facebook:246万投稿 1822万いいね!
  • メール:2.5億件の投稿

この5種類のデータだけでも、毎分ごとにどんどん増え続けていくのですから気が遠くなる量です。

そのデータ、使えなければただのゴミ

ところで資源ゴミはちゃんと分別していますか? 資源ごみは分別・加工しなければただのゴミです。

それは情報も同じで、使いやすいように処理しなければただのゴミ。ですから、この情報を使いやすく処理することを「データ化」と言います。

この「ただのゴミ」だった使えない情報が「データ化」できるようになったのは、コンピュータやセンサが小さく、安くなったからです。スマホの普及もそのひとつと言えるでしょう。また、インターネットも10年前と比べると随分速度が早くなり、そして世界中にネットワークが広がりました。

これが「IoT」(アイオーティー)、モノのインターネット化へとつながるのです。

IoT(アイオーティー)とは

そしてIoTとは、モノがインターネットにつながってデータのやり取りを可能にした「モノのネットワーク」。このIoTは、身の回りのあらゆるモノに搭載され、モノ同士がインターネットで情報交換するようになってきています。

これによってより多くのデータが集まるようになりそれをビッグデータと呼ぶようになりました。そしてそのビッグデータを活用するために、AI(人工知能)の出番、となるのです。

AI(人工知能)のイロハを優しく解説

人工知能のイメージ

AI(人工知能)というと、ドラえもんやターミネーターのような、実態のある「ロボット」をイメージする方も多いでしょう。でも、どちらかと言うとロボットの「頭脳」の部分を指すのです。AI(人工知能)は、実態がある場合もない場合もあり、さまざまなカタチで私たちの生活のために、せっせと活躍しているのです。

最初の方で、AI(人工知能)は「人間のように考える機械やシステム」と定義しました。もう少し詳しく説明していきましょう。まずはその歴史から解説します。

AI(人工知能)の歴史

  • 【第一次AI(人工知能)ブーム】1950年代後半~1960年代
AI(人工知能)という言葉が誕生したのは1950年代です。ちょうど洗濯機やテレビ、掃除機、冷蔵庫といった家電製品が普及し始めた頃ですよね。まだまだAI(人工知能)は研究者間での言葉でした。
  • 【第二次AI(人工知能)ブーム】1980年代
その後、コンピュータプログラムは年々どんどん賢くなっていくのですが、まだ人間が与えたルール通りのことしかできませんでした。「人間のように」働いてもらうには莫大な量のルールを教える必要があります。すべての状況を見据えたルール作りには無理がありますよね。ここで行きづまったのが1995年頃です。
  • 【第三次AI(人工知能)ブーム】2000年代~現在
そしていよいよ現在、第三次AI(人工知能)ブームです。コンピュータプログラムはルールに当てはまらなくても、状況に応じて臨機応変に判断できるようになりました。AI(人工知能)の学習が、成功するか失敗するかの大きなカギは、大量の良質なデータが集められるかにかかっています。

ビッグデータを活用できるようになったからこそ、AI(人工知能)はここまで進化したのでしょう。

最近は、

  • スマートスピーカー
  • ロボット掃除機
  • 顔認証

このようなところでAI(人工知能)は利用されています。

ただ、この例を見てわかるように、現在AI(人工知能)は特定のこと(特化したこと)しかまだできません。それではそのことについて詳しく説明しましょう。

AI(人工知能)を2つに大別:特化型と汎用型

AI(人工知能)は「特化型」と「汎用型」の2種類に大きく分けることができます。

  • 特化型人工知能(AI):特定のこと(掃除や顔認証など)しかできない
  • 汎用型人工知能(AI):人間のように様々な状況で知的にふるまえる(例…ドラえもんの頭脳)

もちろん今はまだ、特化型のみで、汎用型は実現していません。でも、特化型人工知能(AI)でも実にいろいろなことができるのです。

現在のAI(人工知能)にできること

各分野でAI(人工知能)が、どんなところで活躍しているのか、具体例をあげてみました。

【画像処理】

  • パン屋で、顧客がトレイにのせたパンを認識して自動会計
  • 自動運転

最近では、本物の写真のような画像を人工的に作り出す「画像生成」技術も実現しています。これは悪用されると怖い技術ですよね。

【言語処理】

  • SNSに投稿された文章で、ルールに違反しているものを見つける
  • 自動翻訳
  • チャットボット

自動翻訳の精度が上がって対応言語も増えたら、世界中を旅行する人が増えるでしょう。

【音声処理】

  • 会議の議事録の作成
  • 駅での自動アナウンス
  • 文章の読み上げアプリ

オーディオブックを利用している方が急増しているそうです。でも紙の本の良さも捨てがたいですよね。今後は耳で聞いて気に入った本だけ購入する、というように変わっていくかもしれません。

【ロボット】

  • ロボット掃除機
  • 自動運転

センサを使って障害物を検知して動く技術を利用しています。人間の側で使うロボットは、万が一の事故に備えて多くのテストを重ねる必要があるため、実現までにかなり時間がかかるでしょう。

ここではAI(人工知能)の歴史・分類・分野別にできること、をみてきました。

この「できること」の具体例のほとんどはAI(人工知能)の「機械学習」によって実現されています。

機械学習とは

機械学習とは、現在AI(人工知能)の中心となっている技術で、コンピュータプログラムに「データからルールを学習させる」技術です。

学習させるためには大量のデータが必要になり、ここでビッグデータの出番、となるわけです。

次にこの、機械学習の例をご紹介しましょう。

ビッグデータを使ったAI(人工知能)の活用例

AIとビッグデータを使うイメージ

今、AI(人工知能)は、その主な技術となる「機械学習」によって、さまざまな情報を生み出しています。その「もと」になっているのがビッグデータ。いったいどんな情報が手に入るようになったのか気になりますよね。それでは具体的に事例をみていきましょう。

【渋滞情報】

渋滞情報は、スマホなどの位置情報のデータを利用しています。一定以上の速度で移動していれば渋滞なし、速度が遅いか停止していれば渋滞と判定されるそう。こんなところでスマホが利用されていたとは驚きですよね。グーグルマップなどで、道路の渋滞情報がリアルタイムに確認できるのは、スマホの位置情報データが集められ(ビッグデータ)、それをAI(人工知能)が分析してくれていたからです。

【監視カメラ】

そして今や街中に監視カメラがありますよね。普段は気づかないけれど、犯罪が起こった時などに大活躍します。実はこれらのデータもビッグデータとして利用されていて、身近なところでは、スーパーなどで以下のように利用しているのです。
  • 顧客の動線
  • レジの待ち時間分析
  • 陳列商品のチェック
  • 従業員の管理
  • 防犯

このようなことに監視カメラのデータが使われているのです。

AI(人工知能)が分析すると、顧客が手に取って買わずに陳列棚に戻した商品までわかってしまうとか。ここまで解ればマーケティング戦略に大きく役立つことでしょう。

【WEBページ商品推薦】

WEBページの閲覧履歴がデータ化されているのはみなさんご存じですよね。ネットサーフィンをしていると、興味をひく広告が目の端にチラチラ。「つられないぞ」と意を固くしても、あまりの巧みさについポチっとしてしまいます。

あと、商品サイトなどで「この商品を買った人は・・・」のところに、全く「この商品」と関係のない物が出てきて、びっくりすることがあります。

あれは「消費行動が似ているユーザは趣味嗜好も似ている」と推察されて自動で出てくるのです。莫大なデータ量があれば精度も高くなり、売り上げ増につながるというわけ。

AI(人工知能)のおかげで買い忘れていた商品も、そろそろ買う時期がきている商品も、欲しかったけどがまんしていた商品まで教えてもらえて、嬉しい限り?ですよね。

【スポーツ】

また、スポーツ分野でもAI(人工知能)は活躍しています。

チームや選手のパフォーマンスをデータ化・分析して、作戦を立てたり、どの選手を起用するかの判断や、トレーニング内容までデータが教えてくれるのです。

【文学】

文学とAI(人工知能)って一見関係がないような気がしますよね。ところが、単語の出現頻度のデータを分析すると、作者の作風がわかり、真贋判定までできるのです。

【芸術】

絵画・彫刻などの芸術作品でも、形状・色彩などを詳細にデータ化・分析すると、作者の作風がわかり、真贋判定もできます。

なるべく身近に感じられる例をあげてみましたが、興味のある分野はありましたか?文学作品や芸術作品のニセモノかホンモノかの判定までしてくれるのには驚きでしたよね。

最後にひとつ、AI(人工知能)の進化を実感していただけるおススメのアプリがあるのでご紹介しましょう。

【iOSアプリ・視覚障碍者向けトーキングカメラ「Seeing AI」】

「Seeing AI」は、出来ることがたくさんあるのに無料、という嬉しいアプリです。カメラに写った(または撮影した)画像から推定して、テキスト化・読み上げまでしてくれます。
  • テキストの文字読み上げ
  • カメラで撮った書類をテキスト化して読み上げ
  • 商品バーコードから、商品名のテキスト化と読み上げ
  • 撮影した人物の人数、近くにいるか、どんな表情か、推定年齢など(人物の名前を学習させることもできる)
  • 通貨の金額読み上げ
  • 撮影した風景・物の名前を読み上げ
  • 色の読み上げ
  • 明るさを音程で表現

こんなにたくさんのことができるなんて、驚きですよね。

視覚障碍者向けなので、カメラの向きが目的からずれている場合も音声で知らせてくれます。試してみたのですが、かなりの精度で驚きました。面白いの一度試してみてください。

Seeing AI

 

ビッグデータとAIのイメージ

ここでは、ビッグデータやAI(人工知能)の基礎知識と、イメージしやすいよう具体例をたくさんあげてご紹介してきました。ビッグデータは私たちの生活を豊かにしてくれるありがたい存在ですが、実は課題もまた山積みなのです。

  • 特定の企業や組織による利益の独占
  • 分析に必要なコストの巨大化
  • ビッグデータを活用できる人材の不足
  • セキュリティ・プライバシー問題

これらを解決していくことによって、より便利で安全な生活が保障されるのでしょう。

ですからこれからのデータ管理や運用については私たち個人も十分に注意が必要です。クレジットカードの不正使用も頻繁に起こっているとも言われています。

ですから、ビッグデータやAI(人工知能)に振り回されないよう、上手に利用していきましょう。

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