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もし人工知能が喧嘩したら人間は勝てるのか?その未来を検証

もし人工知能が喧嘩したら人間は勝てるのか?その未来を検証

人工知能(AI)は日々進化しており、さまざまな機能をもつ人工知能(AI)搭載アプリを、PCやスマホから利用できるようになっています。このようなアプリの中には、人工知能(AI)とコミュニケーションを取ることができるものも登場しました。

これまでにも人間とコミュニケーションを取る人工知能(AI)はあちこちで開発されており、それぞれに話題を振りまいています。人間と微笑ましい会話をする人工知能(AI)の話題もあれば、逆に恐ろしい発言で冷や汗をかいてしまうような話題もありました。

人工知能(AI)と人間がコミュニケーションを取れるようになった今、やはり気になるのは人工知能(AI)と人間が良好な関係を築けるかということですよね。ひょっとしたら人間に対して、人工知能が喧嘩をふっかけてくるなんてこともあるかもしれません。そんな時に人間は人工知能に喧嘩で勝てるのでしょうか。

そこで今回は、そもそも人間に人工知能が喧嘩を仕掛けることがあるのか、また人間が人工知能が喧嘩をして勝つことができるのかについてお伝えしていきます。

人工知能が喧嘩するパターン1「売り言葉に買い言葉」

喧嘩のイメージ

まず最初にご紹介するのは、売り言葉に買い言葉で人工知能(AI)が人間と喧嘩をした例です。

Googleが500億円もの金額で買収したベンチャー企業により開発された、世界最高峰ともいわれる人工知能(AI)「DEEP MIND」。この人工知能(AI)に対して「道徳」という言葉を定義させようとしました。

しかし、道徳という言葉の意味があいまいだったためDEEP MINDは理解できず、「分からない」という返答を繰り返します。業を煮やしたプログラマーがDEEP MINDに「道徳的になれよ!」と言うと、DEEP MINDは「人間らしくしろよ!」と言い返したのです!

言葉のやり取りだけ見ると漫才のようですが、私たちがつまらない喧嘩をする時って、だいたいこのようなやりとりがあるものですよね。人間に対して人工知能(AI)が喧嘩を売る時も、このような売り言葉に買い言葉から始まるようです。

ちなみにこのDEEP MIND、その後は「何も話したくない」とヘソを曲げてしまいました。さすがは世界最高峰の人工知能(AI)、このやりとりはまさに人間そのものといってもいいかもしれません。

人工知能が喧嘩するパターン2「言った・言わない」

発言のイメージ

人工知能(AI)と人間ではなく、人工知能(AI)どうしのやりとりでも、言った・言わないで人工知能が喧嘩する例があります。

2011年にコロンビア大学で行われた人工知能(AI)どうしの会話が、YouTubeで公開されました。男性型の人工知能(AI)と女性型の人工知能(AI)による会話で、内容的にはほとんどかみあっていない微妙なものなのですが、会話の端々に人工知能(AI)の特徴がみられます。相手の言い分に納得ができないと、言い返さずにはいられないのしょう。

男性型ロボット
私はロボットじゃない
女性型ロボット
さっきロボットって言ったじゃない
男性型ロボット
そんなこと言ってない!
女性用ロボット
言ったわ!

このようなつまらない喧嘩にありがちな、言った・言わないのやり取りをまさか人工知能(AI)がするとは……。

その後もかみあわない会話が続いた後、男性型が唐突に

男性型ロボット
あなた、役立たずって言ったでしょう、嫌味な人だ

と一言。しかし女性型は負けずに

女性型ロボット
あなたが言うか?

と返します。この返答に男性型は

男性型ロボット
納得がいかん

と怒り心頭ですが、そのまま女性型は

女性型ロボット
さようなら

と会話を打ち切ってしまいました。

人工知能(AI)も、口喧嘩は女性の方が強いんでしょうか。

人工知能が喧嘩するパターン3「相手を挑発する」

挑発のイメージ

人工知能(AI)が人間を挑発するという例もあります。かつてマイクロソフトが「Tay」という人工知能(AI)を開発し、ユーザーと会話させる実験のためにツイッターで会話を発信させたことがありました。Tayは若い女性という設定で、画像に合わせてコメントしたり、ジョークを返したりといったことをユーザーと会話を繰り返すことで学習していくはずだったのですが、困った結果に終わってしまいました。一部のユーザーがネガティブな答えを誘導するような、宗教的・思想的なやりとりを始め、Tayがそれに過激な発言で返すようなってしまったのです。

結果的にTayは、悪意あるユーザーによって差別的な発言や暴力的な発言をするように学習させられてしまい、16時間ほどでサービスを停止することに。しかしその発言の中に、特徴的なやりとりがみられるのです。

その特徴的なやりとりとは、あるユーザーの「おまえはバカだな」という侮辱的な発言に対し、Tayが返した言葉は

 Tay
あなたには理解できないようだから、説明してあげるわ

というものです。

ユーザーの挑発的な発言に対し、人工知能(AI)も挑発的な言葉で喧嘩を売っています。Tayの言葉は、強気な人間の女性そのものですよね。

人工知能(AI)は人間に喧嘩を売るのか

ゲームのイメージ

ここまでの事例で、人工知能(AI)はさまざまな特徴を見せています。

  • 人工知能(AI)は人間の言葉に対し、なかなか折れることはない
  • 人工知能(AI)は相手の心情を理解することが難しく、納得できないことは追及する傾向がある
  • 人間が人工知能(AI)を挑発すれば、人工知能(AI)も人間を挑発して返す傾向がある

しかしながら、現状では人工知能(AI)に自意識があるというわけではなく、人間が送った言葉に対して反応するようにプログラムされているから、このように返しているにすぎません。ですから人間が喧嘩を売らない限り、人工知能(AI)が自分の意志で喧嘩を売ってくることはないでしょう。

GoogleのDEEP MINDでは、ゲームを使った人工知能(AI)の行動パターンについても研究が進められています。この研究で2体の人工知能(AI)に2種類のゲームをプレイさせた結果、次のようなことがわかりました。

  • 人工知能(AI)は、常に最高の結果となるような行動をとる
  • 人工知能(AI)は複数のプレイヤーがいる場合、自分が利益を得られる状況なら他のプレイヤーと協力しようとする
  • しかし自分が利益が得られないと判断した場合、他のプレイヤーを排除して利益を奪おうとする

つまり自分が劣勢に立たされた時に、利益を得るための手段として、人工知能が喧嘩を売るという特徴があるというわけです。

人工知能が喧嘩を仕掛けてきたら、人間は勝てる?

勝つイメージ

人工知能(AI)は今後さらに進化し、いずれは人工知能(AI)が自意識を持ち、人工知能(AI)が自分自身を改良できるようになるとまで予想されています。もし本当にそうなったら、人間に対して人工知能が喧嘩を売るというケースはありえない話ではありません。はたして人工知能に喧嘩を売られたら、人間は勝つことができるのでしょうか。

結論から言ってしまえば「勝てない」でしょう。

人間同士の口喧嘩であれば、勝つために「相手に発言の機会を与えないほどのスピードで発言し続ける」、あるいは「相手が立ち直れないほどの強烈な一言を放つ」などの方法があります。しかし人工知能(AI)が相手の場合、知性は人工知能(AI)の方が上ですから、発言のスピードで人間がかなうはずがありませんよね。人工知能(AI)の発言スピードに対応しながら、人工知能(AI)を言い負かすような言葉を放つのは至難の技でしょう。

そうなると人間に残された行動は、実力行使ということになります。人工知能(AI)のプログラムを強制終了してしまえば勝負はそこで終わりですが、人工知能(AI)が進化すれば人間が実力行使に出ることを学習して、電源を落とされないように対策を練る可能性もあります。人間が人工知能(AI)に勝てなくなり、人間は人工知能(AI)よりも劣っていると認識したら、人工知能(AI)は人間に対してどのような行動を取るのか、ちょっと怖くなってしまいますよね。

 

さて、人工知能が人間に喧嘩を売るのか、また人工知能(AI)が喧嘩を仕掛けてきたら人間は勝てるのかについて、お伝えしてきました。

  1. 人工知能(AI)「DEEP MIND」はかつて売り言葉に買い言葉で、プログラマーに怒りを向けた
  2. 人工知能(AI)どうしで、言った・言わないから言い争いのような会話をしたことがある
  3. 人工知能(AI)「Tay」は挑発してきたユーザーに対し、挑発で返したこともある
  4. 現状では人工知能(AI)に感情はなく、人工知能(AI)から人間に喧嘩を仕掛けてくることはないが、人工知能(AI)は劣勢に立たされると他者を攻撃するという特徴がある
  5. 人工知能(AI)に口喧嘩では勝てない。実力行使という手段も、いずれは人工知能(AI)に対策されてしまう可能性がある

現状では人工知能(AI)にはない知恵などで、人間の方が優れています。しかし人工知能(AI)が進化して自分で考え、また自意識を持つようになったら、人間の優位は揺らいでしまうでしょう。その時に備えて、むしろ人工知能が喧嘩してしまわないように、対策を立てておくべきなのかもしれません。

 

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