1956年、夏。アメリカのダートマス大学で行われた研究発表会で、ジョン・マッカーシーという研究者が「人工知能(AI)」という言葉を初めて使いました。その研究発表会では、初の人工知能(AI)を活用した数学的応用の検証例が紹介され、そこに参加した研究者たちは人工知能(AI)がもたらす未来を想像し、胸を躍らせていたのです。
「人工知能(AI)」という言葉が生まれた当時と比べると、私たちにとってそれはずーっと身近な存在になりました。皆さんもテレビやネットで一度くらいは聞いたことがありますよね。例によっては読者の方の中には、もうすでに仕事で活用していたり、遊びで使っていたりする人もいるかも知れません。
そんな人工知能(AI)が、近年数多くの産業分野で導入され活躍しています。ある研究機関によると、将来、日本の労働人口の約49%が、人工知能(AI)に代替可能という研究結果を出しているので驚きです。そこで今回は、今現在、こんなところにも人工知能(AI)が使われていた!という使用例を2つご紹介して、その仕組みや利点、その未来について考察します。では早速その例を見ていきましょう。
例1. 人工知能(AI)が面接官!?人間の資質を判断する人工知能(AI)
皆さんも一度は受けたことがある企業の採用面接。あるいは、逆に人を選ぶ立場を経験している人もいるかも知れませんね。「人を採用する」これは本来、人と人が実際に会って判断するものとして考えられてきました。しかし近年、それらの採用業務を人工知能(AI)に任せる使用例が、企業や行政の人事業務で広がっています。つまり、あの人はどんな人なんだろう?何が得意で、何が苦手なんだろう?といったことを質問から得られたデータに基づいて人工知能(AI)が判断するのです。
例えば、ソフトバンクは、2017年から新卒採用のエントリーシート(ES)の選定を米IBMの人工知能(AI)「ワトソン」に任せました。過去に収集したES選考のデータを学習したワトソンがESを自動選定するようになったことで、人事が毎日途方もない量のESに目を通す必要が無くなったのです。これにより、今までES選定に掛けていた時間の75%を短縮することができました。
自動音声による面接を積極的に導入する例も広がっています。例えば、事前に用意してある質問でこんな風にやり取りを行います。
といった具合に質問を掘り下げながら受験者のデータを集めていきます。こうして集められたデータを人工知能(AI)は、自社で活躍している社員との共通点はあるのか、どの部署なら活躍できるのか、などを分析していくのです。
「一緒に働くのは人工知能(AI)じゃない!人に選んでほしい!」「採用を人工知能(AI)に任せられるか!オレが人を選ぶ時はフィーリングだ!愛だよ!」なんて考える方もいるでしょう。これらの考えは決して間違えではありませんが、ちょっと考えてみてください。それは本当に「100%活躍できる人材を採用できるのか?」、逆に受験者は「面接官のその日の気分やコンディションで評価されていないか?」ということを。人材採用は、気の合う友達や恋人を見つけるのではありません。人工知能(AI)の面接官は、人間ならではのバイアスを無くすことで客観的に人を評価し、本当に必要な人材を見分けられるのです。
採用業務における人工知能(AI)の導入はこれからも進むでしょう。今はESや履歴書などの書類のスクリーニング、一部の企業での面接で活用されていますが、今後は、正社員採用だけではなく、アルバイトや教育機関での入学面接にまで広がっていくでしょう。逆に人工知能(AI)が「あなたはあそこの企業なら100%採用されます!」とか「この会社よりあっちの会社のほうが相性がいいので、今すぐ転職しましょう!」なんてことも教えてくれるかもしれませんね。
例2. 老舗ホテルのおもてなしを人工知能 (AI)で!
続いて、アナログな世界で起きた人工知能(AI)の使用例をご紹介しましょう。
箱根にある老舗ホテル「おかだホテル」が、自社ホームページにAIを導入したことで注目されています。老舗ホテルと人工知能(AI)…?なんとなく想像しにくい世界ですが、同館のチャレンジが人工知能(AI)による新しいおもてなしを作り出しました。
人工知能(AI)が活用されたのは、自社ホームページのFAQシステム、つまり、お客さんの疑問に答えるところ。同館は、サイト訪問者に対して「なにか知りたいことはございませんか?」とFAQを自動的に表示できるように人工知能(AI)を活用しました。また、各ページに関する質問を予測し、表示する工夫したことで細かな疑問にも対応できるようになりました。これによって、サイト訪問者の疑問や不安を即座に解決できるように導く”おもてなし”溢れるホームページを作り上げたのです。
結果として、導入後5ヶ月で自社サイトの予約が以前よりも10~15%増加し、入電件数が減少しました。業務の効率化と売上の増加を同時に実現することができたのです。
”おもてなし”をデジタルな方法で実現することができた良い使用例でしょう。様々業種の中でも、旅館業は変化していく難易度が高いところです。おかだホテルの積極的な人工知能(AI)導入は、他の旅館業、サービス業の先進的な例として素晴らしい取り組みなのでこれからも注目していきましょう。
いかがでしたか。今回はこんなところにも人工知能(AI)が使われていた!驚きの使用例ということで、「AIの面接官」「人工知能(AI)によるおもてなし」という2つの事例をご紹介しました。
2つの例を挙げた通り、人工知能(AI)は、あらゆる業務で役に立つ素晴らしいツールということが分かっていただけたことでしょう。本来、人間が手足を使ってするべきと考えられていた仕事は、人工知能(AI)によってより効率的に、確実に、業務をこなすことが可能になります。今後、人工知能(AI)の代替の流れはさらに加速し、ほとんどの仕事が自動化されるようになっていきます。人工知能(AI)が活用されることによって、私たちがより自由でワクワクできる世界になると良いですね。
参照元
面接、採用… 人事部の仕事は「人工知能」でこんなに変わってしまう
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