テクノロジー

ライター消滅!?最強のAI(人工知能)ライターによる神ライティング

AIが書いた小説のイメージ

AI(人工知能)が従来のソフトウェアと最も違うところといえば、人とのインターフェイスとしての役割ですよね。視覚情報としての画像や映像を認識し、人の言葉をそのまま取り入れて理解する「コグニティブ・インテリジェンス」はAI(人工知能)の重要な技術要素といえます。

人の言語を理解するAI(人工知能)は、この能力を使って文章を作成することもできます。人が読むニュースやネットのコンテンツも、その一部はすでにAI(人工知能)が書いているのです。このようなAI(人工知能)ライターは、今後その役割を広め、さまざまな形で人々と文章を使ったコミュニケーションに参加していくことでしょう。

2016年にアメリカのGartner社はその技術動向の進歩についてのレポートの中で、2018年までにビジネス文書の20%は機械が作成するようになると予測しました。実際に、経済紙や経営報告に使われる数値資料は、AI(人工知能)により作成されるものが多くなっています。

未来の技術進歩の可能性として、文章を自動的に作成する機械、というテーマはこれまでに何人かの作家が描いています。このアイデアはたいていの場合、文を単語の組み合わせと理解し、有限の単語を組み合わせることで無数に存在する全ての文章を書き出すことができる、ということに着目したもの。

AI(人工知能)は単語の組み合わせ方をモデルケースをベースにして学習し、人にとって意味を持つ文章を作り出します。AI(人工知能)ライターの登場です。では、AI(人工知能)による文章作成の現状について見てみましょう。

AI(人工知能)ライターの紡ぎ出す自然言語

記事のイメージ

会話型AI(人工知能)や、カストマーサービスの窓口で受け答えをするAI(人工知能)の使う言語は、かつてのコンピューターとは異なり、ずっと人の会話に近い言葉になりました。単純なやりとりであれば、相手が人間なのかAI(人工知能)なのかを見分けることは難しいこともあります。これを可能にしたのはAI(人工知能)が文章を処理することを可能にした二つの技術です。

自然言語処理(Natural Language Processing: NLP)と自然言語生成(Natural Language Generation: NLG)技術

NLPは人が話し、書く言葉をAI(人工知能)が理解するためのプログラム。
NLGはAI(人工知能)に入力されたデータを人にとって受け入れやすい記述に書き直すものです。
機械的な情報をメモや製品紹介のような文章、数値であれば財務報告のような形に表現します。

この二つの技術を組み合わせて使うことで、AI(人工知能)は人が読んで理解できる文章を「書く」のです。

AI(人工知能)ライターが最も活躍しているのが新聞記事の作成

すでに日本経済新聞の決算サマリーはAI(人工知能)によって作成されている記事です。また、アメリカWashington PostのAI(人工知能)、Heliografは年間で850の記事を作成し、ネット上に掲載しています。

さらに、もっと自由度の高いライターとして、AI(人工知能)によるデジタルマーケティングツールが実用化されました。

中国のEコマースで知られるAlibabaは、オンラインセールスの宣伝広告を自動生成するアプリをリリース。宣伝したい商品の写真や価格を使ってネット広告を作るだけではありません。広告のコピーやセールスポイントの選び方まで、広告の読者に合わせてカスタマイズ。

価格重視のお客様には値段を抑えたことを前面に出し、別のお客様には他の製品との品質の違いを強調。「スマートセールスポイント」とよばれるこのマーケティングツールは、読者がサイトにアクセスするごとにAI(人工知能)がリアルタイムで広告を作成します。

このアプリを採用した広告は、従来のものに比べてクリック数が6%~14%増加したと報告されています。

Automated Insights社のAI(人工知能)ライター、Wordsmithはキーワードを与えれば、ネット上からキーワードを検索しWebコンテンツを作成します。

数分のうちに関連する記事をベースにした新しい記事を自然言語で執筆。この記事はキーワードを与えるたびに生成されるので、同じキーワードを与えても二度目は違う記事を書いてくれます。
まるで自分専用のコンテンツライターをかかえているようですよね。

AI(人工知能)ライターの創作する世界

小説のイメージ

2016年、AI(人工知能)が作成した小説作品が文学賞に応募し、一次審査を通過。

星新一賞の選考過程に残ったこのショートショートは、星新一氏の作品を読ませたAI(人工知能)ライターが書いた「文学」です。人間が書いた作品の一部を元にAI(人工知能)が全体を書いて作品として仕上がりました。

ニューヨークを拠点とする雑誌、New Yorkerが立ち上げた機械創作プロジェクト、Botnik

このプラットフォーム上の予測型テキスト作成技術を用いて、グリム童話を元に書かれた新しい物語、「お姫様ときつね The Princess and the Fox」は200年ぶりのグリムの新作童話として発表されました。

ここで挙げた日英二つの作品を読んでみると、どちらもとても短い作品で、極めて単純な構成になっています。

ショートショート『コンピュータが小説を書く日』はゲームのシナリオを元にして作ったもの。同じ構成の文が繰り返されるリフレインの創作技術が使われていますが、全編を通じての大きな筋立てというものはありません。

グリム童話の方は直前の文との関連性をキーにして文を繋げたテキスト。前後の文はつながっていますが、こちらも全体を流れる文意が見えません。そして、どちらの作品も現実の世界の存在としての「人」が主人公ではないので状況や心理、感情の描写はなく、その意味では小説とは言えるものではないでしょう。

 

本のイメージ

AI(人工知能)はNLPとNLGというプロセスを用いて人の言語を認識し、自然言語という形でアウトプットを表現することができるようになりました。AI(人工知能)ライターの書く文章はスポーツの試合結果や企業の財務情報など、形式の決まった文であれば人の作るものをほぼ代替できます。

ところが文を繋げてひとつながりの「文章」にすることに関しては、現時点では極めて未熟といわざるを得ません。一つ一つの文章の中では自然な語句のつながりになっていても、いくつかの文が意味の上で繋がるということが理解できないのです。キーワードが重なっている、関連性のある用語が隣り合っている、というような条件をもって「文がつながっている」と認識しているのでしょう。

今後、AI(人工知能)ライターが例えばWebコンテンツを作成していくようになるでしょうか。そうであれば、単純に関連する語や文節を組み合わせることを作文と呼ぶライターが無数に存在するようになります。現在のキーワードやヒット数をベースにした情報検索システムは全く役に立たなくなるでしょう。SEOも用無しです。

低学年の子供が書く文章は稚拙で意味が通っていないことがありますが、何かを伝えたいという思いに溢れています。一方AI(人工知能)ライターの書く文は綺麗に活字が並んでいますが、伝えるものがありません。文を書くという作業は与えられたキーワードを使って意味の通るテキストを作る、ということではないのです。

何を書きたいのかという思いが先にあって、それを表現するために言語という手段を使う。創作される文章の価値は読者の中で作られるものです。執筆という作業によって、人の感情や心象を共感させる能力はAI(人工知能)では代替できません。AI(人工知能)ライティングの登場につれて、世界のありようを描くことのできる「人」としてのライターは、今後ますます重要な存在になっていくことでしょう。

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