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AIと弁護士が共存したとき、私たち一般の人たちが感じるメリット3つ

AIと弁護士が共存したとき、私たち一般の人たちが感じるメリット3つ

少し前に、オックスフォード大学が、「AI(人工知能)が発展することで、消える職業・なくなる仕事」を発表して話題になりましたが、その中に「弁護士」という項目があり、驚いた方もいますよね。

それを聞いて私がまず想像してしまうのは、「AI(人工知能)弁護士」と名付けられたロボットが法廷でピカピカ光りながら、無機質に起訴内容を読み上げる滑稽な状況です。
法廷ロボットのイメージ
しかし実はAI(人工知能)と弁護士の仕事は親和性が高く、実際にアメリカでは「ROSS」というAI(人工知能)弁護士が、大手弁護士事務所に”就職”しています。どうも、私が想像しているものとはずいぶんと違いそうです。

そこで今回は、AI(人工知能)弁護士がどのようなものであるかということと、AI(人工知能)が実際に弁護士の仕事を担うようになったとき、私たち一般の人にはどのようなメリットがあるのかをご紹介します。まずは、知っているようで知らない、弁護士の仕事内容を見ていきながら、AI(人工知能)に置き換え可能かどうかを考えていきましょう。

弁護士の仕事内容と、AI(人工知能)に置き換え可能な業務とは

弁護士の仕事のイメージ

テレビドラマに出てくる弁護士は、法廷で分厚い書類を片手に熱弁をふるい、罪逃れをしようとする卑劣な犯罪者の化けの皮を剥ぐカッコいいイメージがありますよね。

「リーガルハイ」というドラマでは、主人公の弁護士が、時にコミカルに、時に颯爽と事件を解決していました。

ただ、私たちの日常とはかけ離れていて、弁護士にお世話になることはないのかもしれないと思う方もいるでしょう。

しかし実際の弁護士の仕事は、「法律相談」が多く、離婚や相続の争いや近隣トラブル、交通事故の処理など、私たちにとって身近な存在と言えます。では、ここからはより身近である、いわゆる「民事訴訟」について、どういう業務内容があるのかを見ていきましょう。

①依頼者からの相談内容をヒアリングする

まずは依頼者から、困りごとや悩み、トラブルの内容を聞きださなくてはなりませんよね。ときに寄り添い、共感し、たしなめながら、トラブルの背景までを丁寧にヒアリングします。そうしながら、そのトラブルに法律の入る余地があるのかの目星を付けます。

依頼者によっては、ここで不満や悩みを打ち明けることで澱(おり)が落ち、聞いてくれてありがとうと帰っていく人もいるでしょう。

例:「歩いていたら、何も悪いことをしていないのに、自転車にぶつかられたのよ。前から、どーんと。転んでひざをすりむいちゃったから病院へ行ったの。自転車の人、とっても目つきが悪くて、あまりいい印象はなかったわ。せっかくスマホで面白いネットニュースを見ていたのに、ひどいと思わない?私かわいそうだから、通院代だけじゃなく、精神的苦痛の分も請求するわ!」

②ヒアリング内容から事実を抜き出す

依頼者からの相談は主観や感情が大いに入り込み、そのままでは法律と照らし合わすことができませんよね。そこで法律と突き合わす準備をするために、ヒアリングした内容から客観的事実を抜き出し、整理します。

例:依頼者がスマホを見ながら歩いていた所、前から自転車が来て接触。依頼者は転んで軽いけがをし、通院した。

③抜き出した事実を法に照らし合わせ、賠償額などを決定する

事実を組み合わせて、法律や過去の判例を確認し、裁判にかけうる戦略が立てられるかどうかを考えます。

基本的に訴訟は、依頼者の被った損害(金銭的なものはもちろんのこと、精神的苦痛や名誉の棄損など)を金銭に換算し、相手に払わせることで解決、という道筋をたどります。

賠償額はある程度の相場観があり、さらに依頼者側の非があればマイナスされますが、この判定において気持ちが入るのも事実です。

例:依頼者は前方不注意だったため、依頼者にも非はあり、精神的苦痛の請求は難しい。通院代のみを相手に請求する。

最終的には相手の言い分も聞いた裁判官が賠償額を決定し、訴訟は終了となります。

一つの訴訟が発生し終了するまでのプロセスをざっくり3つに分けましたが、この中でAI(人工知能)が得意そうなものは③です。

①は、AI(人工知能)の得意分野から最も遠く、おそらく私たちが生きている間には置き換えは難しいでしょう。②も、AI(人工知能)にとっては理解が難しい①を整理する、という工程ですから、やはりAI(人工知能)は苦手としています。

AI(人工知能)は、分厚い六法全書を丸暗記することも、日々増え続ける膨大な判例をすべて読み込むのも、苦としません。③の工程は、「事実」を、法律と過去の判例に突き合わせ、賠償額を決定する作業です。特にある程度パターン化されている交通事故関連や、過払い金請求などは、AI(人工知能)に任せたほうが早いかもしれませんよね。

さて、弁護士の仕事内容を確認し、どんなことが置き換え可能かを見てきました。次に、実際にAI(人工知能)と弁護士が共存した時に、私たち一般の人が感じるメリット3つをご紹介します。

AI(人工知能)と弁護士がタッグを組んだ時に得られるメリット3つ

AI弁護士のメリットのイメージ

AI(人工知能)が弁護士の業務をおこなうと聞くと、私たちが思い浮かべてしまうのは、パソコンの画面に向かって法律トラブルを言うと、即座にモニターに「勝訴率5%」なんて出てきてがっくりする上に、なんだか無機質で心のもやもやはまったく晴れない…というイメージですよね。

しかし前章で見た通り、AI(人工知能)が弁護士の業務を担うと言っても、私たちの悩みを聞いてくれるのは、今までさまざまな案件を担当した法律のプロである人間ですので安心です。

私たちにとってはAI(人工知能)弁護士がいることのデメリットはなく、メリットのみ受けられるということになります。

メリット1:弁護士費用が安くなる

一つ目のメリットとして考えられるのは、弁護士費用が安くなることです。AI(人工知能)に煩雑な作業を任せることで、弁護士はヒアリングと事実整理に集中でき、一度にたくさんの案件を引き受けられるようになります。

価格というのは需要と供給のバランスで決定されるものなので、弁護士一人ひとりの担当可能案件が増えれば、弁護費用が安くなる可能性があります。

三輪奈美子
三輪奈美子

そういえば私が学生の頃、アルバイト代を払ってもらえなかったことがありました。常に金欠の学生だったため金銭的にも困りましたが、なにより働いたという事実があるにも関わらず、払ってもらえず本当に悔しかったです・・・!

三輪奈美子
三輪奈美子

このときはもちろん弁護士に相談なんて大それたことはできず泣き寝入りでした。その頃にAI(人工知能)弁護士があって値段が安かったら、もっと気楽に法律相談ができて、私のアルバイト代やくやしい気持ちが供養されたかも…。

このように、弁護士を立てるとなると、たくさんお金がかかるというイメージが払しょくされる日が来るかもしれませんよね。

メリット2:解決が早くなる

二つ目のメリットは、早期に問題が解決できるようになるということです。弁護士が今までおこなっていた、法や過去の判例を確認する作業が、AI(人工知能)によって迅速におこなわれるため、解決までにかかる時間が短縮されます。

訴訟というのは、つらかった事実や、大嫌いな相手と向き合わなくてはなりません。訴訟が終わらない限り、セクハラ上司やお金を返さない悪友など、顔も見たくない相手のことを考えなくてはならず、その精神的な苦痛は相当なものです。トラブルは早期解決、嫌な過去は心の奥底に押し込んで、新しい人生を颯爽と歩みたいですよね。

三輪奈美子
三輪奈美子

友人がDV旦那と離婚する際、離婚調停となり、相手とはもう怖くて会いたくないからと弁護士さんを立てたんですが、解決に時間がかかってしまい、その間相手のことを考え続けるのがしんどいと言っていました。

三輪奈美子
三輪奈美子

解決が早くなるのは嬉しいですよね!

メリット3:そもそも弁護士に依頼する必要がなくなるかも?

こちらのメリットは、今すぐには実現が難しいですが、将来もっとAI(人工知能)が発達した場合、弁護士に依頼する必要がなくなるかもしれません。

私たちは法律のことがあまりよく分かりませんから、法律が絡んで裁判ともなれば、どうしても法律のプロが必要となります。しかしAI(人工知能)弁護士が一家に一台という日が来たら、弁護士に相談するまでもなく、法律や類似事例の判決を確認することができますよね。

今自分が抱えているトラブルが不当かどうか、違法かどうかがすぐにわかり、賠償額の相場まで確認。さらに法的手続きをとるための必要書類が、プリンターから吐き出されるという未来がくるかもしれません。

三輪奈美子
三輪奈美子

これなら「とりあえず相談」のハードルがかなり下がって、気軽に法律と照らし合わせられそう!

三輪奈美子
三輪奈美子

バイト代を払ってくれなかった会社にも、必要書類をバーンと送り付けられたかも…!

法律のイメージ

さて、AI(人工知能)と弁護士が共存した時に、私たちが得られるメリット3つをご紹介しました。

弁護士が主にしている業務は、依頼内容のヒアリング、そこから事実をくみ上げ法律に照らし合わせるということでしたよね。この中で、AI(人工知能)が得意なのは、法律に照らし合わせるという作業でした。

AI(人工知能)弁護士が台頭することで私たち一般人が受けられるメリットは、

  1. 一人の弁護士が抱えられる案件が増え、弁護士費用が安くなる
  2. 法律や過去の判例の確認作業をAI(人工知能)に任せることで、解決が早くなる
  3. そもそも弁護士に依頼する必要がなくなるかも?

の3つをご紹介、どれも嬉しいメリットばかりでした。

AI(人工知能)が発達することで、弁護士や法律が身近な存在になり、さまざまなトラブルの早期解決ができる日が来るといいですよね。

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