AIとは何か

ドラえもんはAIなの?漫画やアニメから考える「人工知能とは」

ドラえもんのイメージ

誰もが知っている日本で一番有名なロボットといえば、やっぱり「ドラえもん」ですよね。皆さんも一度は目にしたことがあるでしょう。

ほかにも「Dr.スランプアラレちゃん」や「鉄腕アトムなど」、ロボットが登場する漫画やアニメというのは無数に存在しています。まるで人間のようにふるまうロボットたち、きっと人工知能が搭載されているに違いありません。

ですから「人工知能とは何か?」ということを考えたとき、このようなキャラクター達のことを思い浮かべてみると理解しやすくなるかもしれないのです。

彼らは作品をとおして私たちに何を訴えかけようとしているのでしょうか。人工知能とは、私たち人間に何をもたらしてくれるものなのでしょうか。

そこで今回は、これらの作品の中から「ドラえもん」を題材にして、「人工知能とは何か?」について考察した結果をお伝えしましょう。

ドラえもんは何のためにのび太のもとにやってきたのか

未来のイメージ

それではさっそく「ドラえもん」のストーリーを振り返りながら、人工知能とは何か?について考えてみることにしましょう。

そもそも、ドラえもんは何のために22世紀の未来から現代ののび太のもとにやってきたのでしょうか。実は、のび太の子孫にあたる「セワシ君」が、自分たちの生活レベルを改善するために送り込んだのがドラえもんなのです。

というのも、のび太のその後の人生はそれは悲惨なもので、大学卒業後就職に失敗し起業、しかしせっかく興した会社も花火による火災が原因で倒産。莫大な借金を、次の世代まで残してしまったのです。おかげで「セワシ君」もお年玉が50円しかもらえないなど極貧生活を送っています。

この状況を脱却するためには、過去を書き換えるしかない。のび太が立派な人間になり、ジャイアンの妹である「ジャイ子」ではなく、「しずかちゃん」と結婚することですべてがうまくいくというのです。つまりドラえもんは、「のび太をしずかちゃんの結婚相手にふさわしい立派な人間にする」というミッションを受けて、22世紀から送り込まれたのです。

ドラえもんは人工知能?

ドラえもんのイメージ

このドラえもんは、22世紀の世界では子守り用ロボットとして大量生産されている製品の中の1台。(出来損ない、欠陥品という設定もあるようですが)子守り用ロボットであるということは、現代にも存在する「Pepper」のような人間とコミュニケーションをとったり、人間に癒しを与えるといった目的を持ったロボットの延長線上にあるものと考えられますよね。

ドラえもんが造られたのは2112年。人工知能が人間の知性を超えるとされているシンギュラリティ(2045年)から67年後の世界です。

当然このころであれば、ドラえもんのような技術水準のロボットが存在していたとしても何の不思議もないと思われるのではないでしょうか。(これを1970年代に描いた藤子・F・不二雄先生の先見の明にはただただ驚かされますが)

しかしながら、ドラえもんには現在のコミュニケーションロボットの延長線上とはかけ離れた3つの特性をもっているのです。

そしてそれこそが、現代のロボットとドラえもんの決定的な違いであり、シンギュラリティを経てロボットが行き着く先の姿を示しているといっても過言ではないのです。

大好物のどら焼きをほおばるドラえもん

どら焼きのイメージ

ドラえもんを一度でも見たことがある人なら必ず思い浮かべるであろうシーンがありますよね。ドラえもんが、大好物のどら焼きを大きな口をあけてほおばっているシーンです。何の変哲もないアニメの中の1シーンに見えますが、このどら焼きにこそドラえもんが、現代のコミュニケーションロボットとは一線を画した存在であることが見て取れます。

そもそもドラえもんは、なぜどら焼きを食べるのでしょう。食べないと生きていけないからでしょうか。

それともどら焼きを食べるとのび太の成績がアップして、当初の目的であった「のび太をしずかちゃんの結婚相手にふさわしい立派な人間にする」を果たすことにつながるのでしょうか。答えはいずれも「いいえ」です。

ドラえもんは、どら焼きが食べたいから食べていますよね。

もし仮に、22世紀のロボットが何かしらのエネルギー源を補給しなければならないとしてもそれはどら焼きである必要はありません。つまりドラえもんは、自分の「好み」を持っており、それによって行動しているのです。

当然そこには「自我」が存在します。これは、現代のコミュニケーションロボットとは大きくかけ離れた点であるでしょう。そもそも人工知能とは「自分自身」のためだけに何かを実行することはない、つまり「自我」をもたないものだとされているからです。

またドラえもんは、たびたび屋根の上で近所のメスのネコとデートをしており、自律的に他の個体に対して愛情を感じるというところにも「自我」の存在を感じることができます。

「人工知能は恋をするのか?」という問いかけに、今の段階では明確な回答を出すことはできませんが、少なくとも22世紀からやってきたドラえもんは、好きなどら焼きを食べ、好きな異性とデートを重ねているのです。

ドラえもんの「おっちょこちょい」という個性

もうひとつ、ドラえもんではお約束のシーンがありますよね。

ドラえもんは慌てるとパニックになって、必要なひみつ道具を四次元ポケットからすぐに出すことができず、ガラクタや関係のない道具を出してしまいます。

もしドラえもんが人工知能を搭載したロボットだとすると、これも一般的に考えられる人工知能とは一線を画した特性と言えるのではないでしょうか。

本来人工知能とは、与えられたタスクを遂行するための動作しか行いません。

そこには一切の無駄が存在せず、ですがドラえもんは、焦ってパニックを起こしてしまいます。約束を忘れることもありますし、疲れるとミスをすることもあります。

しかし人工知能であればスケジュールは絶対に忘れることはありませんし、動力源がある限り疲れることなく働き続けることができるはずです。

みんなを楽しませてくれるエンターテイナーとしてのドラえもん

驚きのイメージ

また、ドラえもんがのび太にひみつ道具を出してあげるのは、「テストでいい成績が取れるよう勉強をさせるため」、「ジャイアンにいじめられても立ち向かう勇気を出すため」といった、彼をまっとうな人間にするためのものであることが基本です。

これは、ドラえもんに与えられたミッションに基づいた行動であり、極めてロボット的であるといえるのではないでしょうか。

現代に私たちが接しているロボットにも共通する性質で、このように、現代において考えられている人工知能とは、与えられたタスクに対して答えを導き出すものです。

例えば、人間のチャンピオンに勝利した囲碁ロボット「Alpha Go(アルファゴー)」は、ただひたすら「囲碁の対局に勝利する」というミッションのためだけに行動します。人間的な言い方をすると「囲碁以外のことには全く興味関心がない」ですよね。これが人間であれば何ともストイックですが、悪く言えばつまらない人だと感じることでしょう。

一方ドラえもんはというと、作品を少し覗いてみれば、道具を使って学校の裏山に大きなひみつ基地を造って遊んだり、のび太の自宅を高層ビルにして景色を楽しんだり…いろいろな道具でみんなを楽しませてくれます。これらはいってみればドラえもんの本来のミッションには必要のないことかもしれません。

それでも道具を使って楽しみを創造して新たな価値を見出し、のび太や彼を取り巻く人々にとってプラスになる経験を提供してくれます。この行動は人工知能にはなかなかなせる業でありませんよね。

 

ドラえもんのイメージ

今回は、ドラえもんの世界に飛び込んで、人工知能とは何か?について考えてみました。

こんなドラえもんを見て、みなさんならどんな印象を受けるでしょうか。「愛嬌がある」「人間味がある」「親近感がわく」表現は人によってさまざまかもしれませんが、おおむね似たような印象を抱いていますよね。

人工知能とは人間の知能を模したものですが、決して人間ではありません。ここで、人工知能という存在が、本当の意味で人間に近づくために必要な要素として、次の3つを上げることにします。

  1. 自我を持つ。自分自身のためだけに行動することがある。
  2. おっちょこちょい。理論的に説明できない行動をすることがある。
  3. 創造する。意味のないことに意味を見出すことができる。

すべて、ドラえもんの行動から読み取れる特性です。

2045年に訪れるとされているシンギュラリティ。その67年後の未来からやってきたドラえもんのこういった立ち振る舞いが、シンギュラリティ以降の人工知能とはどうあるべきか?について、その可能性を提示してくれているのではないでしょうか。

さて、このような視点で漫画やアニメを読むのも面白いですよね。今回お伝えしたドラえもんから人工知能とは何か興味をもち、新しい技術と上手く付き合っていきましょう。

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