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思ったほど使えない?!頭の悪いAIと誤解する前にAIを理解する

思ったほど使えない?!頭の悪いAIと誤解する前にAIを理解する

ここ数年で、AI(人工知能)をテーマにした話題に触れる機会が増えてきましたよね。実際にAIをタイトルにした書籍の販売も好調で、多くの人が関心を持っているのがわかります。が、「頭の悪いAI(人工知能)っているのかな・・・?」と感じる人もいるかもしれません。

テレビやWebメディアでも、様々な角度でAIを取り上げ、もはやAI(人工知能)という言葉が、時代の先をいくトレンド用語のように飛び交っています。そんな中最近、NHK放送の番組がきっかけで、人々のAI(人工知能)に対する認識について話題になりましたAI(人工知能)に対して過度な期待を持ち過ぎているのでは?と、懸念の声も聞こえるようになったのです。

AI(人工知能)が普及し始めた今こそ、正しく理解する知識や情報が必要です。そこで今回は、AI(人工知能)について番組を通じて見えてきた AI(人工知能)を受け入れる側の認識について、お伝えします。

NHKの「AI(人工知能)ひろし」は「頭の悪いAI(人工知能)」 という誤解

AIのイメージ

AI(人工知能)について、話題になったのはNHK放送の「AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン」です。この番組は、人間が答えを導き出すことが難しい現代社会の課題を、AI(人工知能)を活用して解決しようという目的のもと放送が始まりました

初回放送は、NHKが開発した社会問題解決型と呼ばれる独自AI(人工知能)にはついて、紹介されました。しかし、そこでAI(人工知能)が高齢化が進む日本の課題に対して、健康のために病院数を減らすという答えを導き出しています

根本的な解決方法として、誰しも納得できる解析結果ではなかったため、テーマごとに集めた個人データの集計結果の他に、膨大な数の学術論文やニュース原稿を学習させて望んだのが、第2回の「働き方改革」です。しかし、放送後の反響は、スタジオの予想をはるかに超えるものでした。

なぜなら、AI(人工知能)が導き出した解析結果は、現実の労働環境から、あまりにもかけ離れたものだったからです。あまりに短絡的で解決まで至らない答えに、ネット上からも指摘がありました。

そこでAI(人工知能)っていろんなデータを分析して賢いのでは?という認識自体に疑問がもたれるようになったのです。例えば番組内で働き方改革をテーマにし、仕事の効率を上げる為にAI(人工知能)が導き出した答えはなんと、「11時間54分以上働く」こと

現状の政府主導の働き方改革では、長時間労働について見直しがされ、企業も労働時間管理に対応する動きがみられるほどです。仕事の効率を上げるために、AI(人工知能)が出した答えを鵜呑みにするわけにはいきません。

この「社会問題解決型AI」は、番組出演者によって、「AIひろし」と名付けられました。未だ人間の感覚とかけ離れすぎて、思ったほど使えない頭の悪いAI(人工知能)だと誤解する視聴者もいるでしょう。

こういった経緯があり、ついには、NHKのAIひろしは「頭の悪いAI(人工知能)だ! 」という誤った認識を生んだようです。とはいえ、番組の中で私達がAI(人工知能)に対して誤った認識があるのは、映画やアニメのキャラクターのイメージが強いのかもしれません。

それは、AI(人工知能)は全て自律型で、常に正しい答えを出す完璧なものという強いイメージのことです。

AI(人工知能)の解析結果から気がついた働き方改革

ひらめきのイメージ

開発が進められているAI(人工知能)でさえ、人間の手が全く必要ないというわけではありません。番組の趣旨であるAI(人工知能)を活用して、各テーマに沿った問題を解決へ導くためには、私達人間の解釈が必要なことを知っておくべきでしょう。

そのため、「11時間54分以上働く」という解析結果に、没頭度という指標がデータに使用されたことに注目せねばなりません。没頭度とは、完全に集中している状態、あるいは時間を忘れて没頭する状態を示す指標で、最近では心理学などの分野でも実証され始めたものです。

つまり、没頭度は仕事の効率に深く関係し、その成果に紐付いているので、検証データから没頭度に関わる要因を見つけて解析すれば、解決の道を探れるというわけですよね。番組では、この没頭している状態を測るために、ロボット開発をしているオフィス内の50人から、様々な視点から2ヶ月間にわたるデータ収集を行いました。

そのデータから没頭度を左右する要因を分析したところ、「労働時間」を含む、「オフィス内での午前中の会話」と「午後の会議時間」の3つが深く関係していたことが判明しました。

この3つの要因をグラフ化すると、没頭度の高い人の勤務時間は、11時間54分以上働いているという条件で一致し、平均すると長く働くほど没頭度が上昇していることがわかったのです。

つまり、AI(人工知能)ひろしは没頭度が高い人が集まるデータのエリアから、共通していることを抽出して解析した結果が、労働時間であるということを示しているにすぎないのです。

そのため今回は、労働基準法や個々の健康状態をデータに入れていないため、このような解析結果になりましたが、AIひろしは、視点を変えて物事を捉えるヒントを私達人間に与えたのです。

11時間54分以上働くことは、事実無理だとしても、働き方改革に関する規則を守った上で、最適な働き方を選択できる柔軟性も必要ではないかという意見がみられました。

私達人間は、現在の労働環境下において、残業や長時間労働はタブーという認識が定着していますよね。AIひろしがなかったら、働き方改革について、果たしてこのままで本当にいいのかという疑問も生まれなかったはずです。

しかし、労働基準を超えるほどの働く時間を提言したAIひろしが、私達人間の感覚とかけ離れてしまう原因も気になりますよね。では、解析前にデータをAI(人工知能)に与える情報量や質によって、精度が変わってしまう可能性について、次は、AI(人工知能)を比較する基準のようなものがあるのかみていきましょう。

頭の悪いAIと頭の良いAIを比較する基準はデータ次第

データのイメージ

AI(人工知能)とは何かという解説があったとしても、これがAI(人工知能)であると定義は曖昧で、認定できる組織や専門家はいません。AI(人工知能)を最先端技術で開発する研究者達でも、未だに意見が分かれているほどです。

わかりやすい例で、よく投資用の自動売買ツールにAI(人工知能)という言葉が利用されています。実際には事前にプログラムされたアルゴリズムによって、株を売ったり買ったりしているのですが、その自動化をAIと表現されていることがあります。

しかしAI(人工知能)の定義はないため、その自動売買ツールが詐欺だとしても訴えることはできません。それは現段階では、AI(人工知能)という表現は広い定義で利用されているケースが多いからです。このようなことから、頭の悪いAIと頭の良いAIを比較する基準も賛否両論あるでしょう。

頭の悪いAIもしくは頭の良いという表現に、AI(人工知能)の解析精度をあててみると理解しやすいかもしれません。一般的に、AI(人工知能)の解析精度が高いもしくは低いというのは、扱うデータに起因します

データの扱い次第で手法も変わり、その時点ではAI(人工知能)の精度は、開発者の手に委ねられているといえるでしょう。つまり、AI(人工知能)の能力を理解するには、利用されたデータの信憑性や分析方法にこそ着目することで、「頭の悪いAIがまた変な結果を出している・・・」と誤解しなくて済むかもしれません

AI(人工知能)は質の良いデータを与え続ければうまく使える!

質のよいデータを与えるイメージ

データ次第または学習方法によって、解析精度が変わってしまうAI(人工知能)は、思ったより使えないと感じる方もいるのかもしれません。

しかしAI(人工知能)は人間より計算が速いので、高い精度で結果を導き出す能力があります。そのかわり精度の高い解析結果を出すための過程で、試行錯誤の回数も膨大な数になり、大量のデータを必要とするのです。

さらに新しいデータベースを与えて、Deep Learning(ディープラーニング)を用いて、AI(人工知能)は情報の重要度を段階的に判断するアルゴリズムも同時に更新します。そのため、同じ情報を与え続けたとしても、解析結果が変わる場合があります。

ではその都度、結果が変わるAI(人工知能)に私達人間は、右往左往しなくてはならないのか?いえ、そうではありません。何度もこの過程を繰り返し、質の高いデータをまんべんなく、大量に与え続けることでAI(人工知能)の解析精度の高さを維持できるのです。

つまりAI(人工知能)そのものは、まだまだ人間の手に委ねられている状況で、解析結果の誤差をどうするのかという課題も多いのです。したがって、AI(人工知能)の精度について頭が悪いAIとか良いと決めつける段階には時期早々でしょう。

まとめ

モニターのイメージ

さて、今回はAI (人工知能)について番組を通じて見えてきた AI(人工知能)を受け入れる側の認識をお伝えしました。

  1. 「AIひろし」が働き方改革として「11時間54分以上働く」を上げた
  2. AIひろしが頭の悪いAIだと誤解されたのは、「没頭度」というデータのみを使ったから
  3. AI(人工知能)の解析精度を決める基準は、扱うデータの質と量が重要
  4. したがって、頭の悪いAIと判断するのはまだ早い

これらは、私達人間のAI(人工知能)に対する意識が変わるきっかけになったのではないでしょうか?

最近では、あのGoogleのAI(人工知能)クラウド部門のCEOが、「今のAIはとても頭が悪い」と発言し、話題になりました。この発言もそのまま解釈するのではなく、AI(人工知能)に対する過度な期待やAI(人工知能)の限界について指摘しているのです。

これよりAI(人工知能)を必要とする場面はどんな時なのか、またAIの導き出した結果を私達がどう解釈し行動に移すのかという課題もみつかりました。正しくAIを理解していくために、今後もAIに関する情報を追っていきましょう

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