昨今の将棋界では、若きスターの活躍が目立ちますが、同時にAI(人工知能)を組み込んだ「将棋ソフト」の進化も目を見張るものがありますよね。
1974年にコンピューター将棋の研究が始まったと言われていますが、初期の「AI(人工知能)将棋」はめちゃくちゃ弱かったんです。でもディープラーニングの技術で進化し、プロ棋士も真っ青!?になるほどの実力をつけていきました。
つまり、AI(人工知能)自らが学習する能力をつけたことで、人間が思いもよらないような指し手で挑んでくることも可能になりました。
こうなると「AI(人工知能)将棋ソフト」と「人間」との対戦ではなく、逆に人間がより強くなるためにAI(人工知能)から学んでいこう、という流れになります。たとえば、AI(人工知能)が導き出した最善の手を分析していくことで、「こんな発想もあるのか!」と刺激を受けるでしょう。
今までは将棋といえば、将棋会館や教室に通って、先輩と対戦しながらいろんな手を試し、実践の中で学んでいくのが常識でしたよね。しかし、劇的に強くなった「AI(人工知能)将棋ソフト」を相手に対戦することで、だれでも将棋の腕がぐんぐん上達するようになりました。
そこで今回は、あなたも将棋ができるようになるかもしれないような、AI(人工知能)が将棋界に与えた影響をわかりやすくまとめていきましょう。
AI(人工知能)が将棋に与えた影響:将棋ソフト「AI(人工知能)将棋」が登場
まず最初に、将棋ソフトが開発された背景をみていきます。
そんな中、新星のごとく登場したのが「Bonanza」という「AI(人工知能)将棋ソフト」。このソフトは2006年、第16回世界コンピューター将棋選手権大会で優勝し脚光を浴びました。
この「Bonanza」は「機械学習」の仕組みを取り入れて腕を上げていきました。つまり、プロ棋士同士の対局結果から、勝敗という教師データを元に統計データを取り出し、どうしたら勝てるのかの分析に「機械学習」を使いました。
こうして登場したAI(人工知能)将棋は、人間と互角に戦えるまで腕をあげていきました。さあ、いよいよプロ棋士との対決!気になりますよね。結果をご紹介しましょう。
AI(人工知能)が将棋に与えた影響:AI(人工知能)とプロ棋士が将棋で対決
次に、忘れてはいけないのが山本一成氏が開発した将棋ソフト「Ponanza」です。この「Ponanza」は2013年の第二回電王戦で、佐藤真一四段を141手で破り話題になりました。
それだけではありません。世界コンピューター将棋選手権で2015年と2016年と連続で優勝し、「将棋の世界ではシンギュラリティが起こった」とも言われました。
そこで取り入れたのが「強化学習」です。この方法はなんと「Ponanza」同士で対決させて、AI(人工知能)自身に学習させる方法だとか。すると、今まで人間が見たこともないような指し回しや打ち回しなど、新戦法がどんどん現れて、人間を上回るパフォーマンスができるようになりました。
また、平岡拓也氏開発の将棋ソフト「Apery」は、師匠としていた「Bonanza」よりも強くなり、2014年第24回世界コンピューター将棋で優勝しました。でも2015年の電王戦FINALにおいては、斎藤慎太郎五段に115手で敗れてしまいました。
他にも、電王戦FINALで稲葉陽七段と対局し、116手で勝利した将棋ソフト「やねうら王」は、2019年に世界コンピューター将棋選手権でも初優勝しています。
このように、AI(人工知能)将棋ソフトも飛躍的に進化していますが、人も負けてはいません。実は、プロ棋士も将棋ソフトで学んでいこうという動きが出ています。詳しくお話していきましょう。
AI(人工知能)が将棋に与えた影響:ソフトAI(人工知能)将棋を使って、腕前を上げることができるようになる!
ここまでお伝えしてきたように、昔はコンピューター将棋の評価は低かったのですが、電王戦でAI(人工知能)将棋がプロ棋士に勝利したあたりから、人間を超えるのかも?とささやかれるようになりました。
その上、前にご紹介した「Bonanza」、「Ponanza」、「Apery」などのソフトがフリーで公開され始めて、広く浸透したことも将棋界に大きな影響を与えました。では「ちょっとAI(人工知能)の指し手を参考にしてみようか」という流れに変わってきたんです。
では、プロ棋士は「AI(人工知能)将棋ソフト」をどのように活用しているのかを見ていきましょう。
2013年頃のAI(人工知能)将棋は「序盤」が苦手だったため、人間が最善だと考える手にならってプログラミングされていました。しかし、「Ponanza」開発の立役者である「強化学習」の手法が取り入れられると、人間とは異なる手を指す例が増えてきました。そこで、AI(人工知能)が考える新しい指し手を、多くのプロ棋士が採用し始めました。
もちろん、お馴染みの羽生善治九段も、将棋ソフトがはじき出す評価を参考にしています。
このように、「AI(人工知能)将棋ソフト」を使って腕前を上げることが、プロ棋士にとっても常識になってきました。では最後に、AI(人工知能)が浸透した将棋界のこれからについて考えていきましょう。
今後、AI(人工知能)を活用しながら将棋の形はどう変わるのか?
ここまで、AI(人工知能)が将棋界に及ぼした影響などについてお話してきました。なので、AI(人工知能)のすごさはよくわかりましたよね!
でも、将棋の醍醐味はやっぱり人間同士の感情のぶつかり合いでしょう。それに、戦法は個人の個性も出ますし、劣勢になると表情も変化してきます。また、「この人相手に、この手は失礼かもしれない」など、暗黙の礼儀なども見られおもしろいですよね。
もしプロ棋士たちが、みんな同じようにAI(人工知能)将棋を手本にしていくと、戦法も画一的になり、パターンも似て個性がなくなるのでは…と懸念されています。しかしAI(人工知能)が提案する手が100%最善だとは限りません。あくまでも、勝つ確率が高いだけです。
また、プロ棋士だけではありません。今回ご紹介したように、フリーの「AI(人工知能)将棋ソフト」を利用すれば、だれでも、どこにいても、プロ並みに強いAI(人工知能)棋士との対決が可能になります。
なので、昔のように、近所の将棋自慢のおじいちゃん!?から学ばなくても、新しい戦法が身につき、ゲーム感覚でいつの間にか腕も磨かれていくでしょう。
今回は、あなたも将棋ができるようになるなるかもしれないような、AI(人工知能)が将棋界に与えた影響をまとめてみました。
20年ほど前までは、コンピューター将棋なんて…と期待もされていませんでした。でも「Bonanza」という「AI(人工知能)将棋ソフト」が、世界コンピューター将棋選手権大会で優勝したのが発端で、AI(人工知能)が注目を浴びるようになりました。
その後、「Ponanza」や「Apery」などフリーの「AI(人工知能)将棋ソフト」が誕生し、プロ棋士を破ってしまったことで、AI(人工知能)将棋はプロ棋士にも認められ始めました。
そして「棋力を高めるためのツール」として、プロ棋士もAI(人工知能)の知能を対局に取り入れ始めたました。もちろん、人間では考えられないような独創的な指し手は魅力的ですが、すべてが最善とは限りません。人間独自の「直感力」「発想力」も見せてもらえると嬉しいですよね。
また、将棋ソフトがフリーでどんどん公開されることで、私たちだれもが「AI(人工知能)プロ棋士」と対戦して、腕を上げることができるようになりました。プロ棋士と対決だなんて、夢のようなことが実現したんです!
これから将棋ソフトはますます進化して強くなるでしょう。でも、対局で見られる人間同士の感情のぶつかり合いや、緊張感も楽しみにしたいですよね。