DX(デジタルトランスフォーメーション)

今すぐ知っておきたい工場自動化で得られるメリットや取り組み事例

製造業の現場では人手不足が深刻化していますよね。人手不足を解消するには労働環境の見直しが必須。対策の1つとして「工場の自動化」があります。

工場を自動化すれば、ベテラン社員が定年退職してもダメージは最小限に。また会社のイメージアップにうまくつなげれば、待っていても良い人材が集まるようになります。

社員は気兼ねなく有休休暇を取得できるようになり、疲れ切った表情がイキイキとしてくるはず。

でも、問題は初期費用ですよね。「コストがペイできるのは何年後になるのか」「もし失敗したら」などと考えるとつい及び腰になりがち。

でも長期的に考えれば、工場の自動化はいつか取り組まなければいけない課題です。まずはどんなものなのか、サラッと確認しておきましょう。

今回は工場自動化の基本的な説明に始まり、メリットデメリットもご紹介。事例は最新のものを2つ取り上げました。

最新のテクノロジーは思っている以上に進化しているので、眺めているだけでも楽しくなります。早速みていきましょう。

工場を自動化とは具体的にどういうことか

工場の自動化とは「工場で、人間がしていることをシステムに置きかえること」をいいます。ここでいう「システム」はロボット・センサ・制御機器など。一連を構成する要素全体を指します。

たなべ

工場の自動化って、単純にロボットのことだと思っていたら・・・システム全体のことをいうんですね

具体的には産業用ロボットを例に、その種類をご紹介しましょう。

【垂直多関節ロボット】
垂直多関節ロボットは人間の腕のような複雑な動きが可能。一番よく使われているロボットで、汎用性の高さが特徴。(後ほど「事例」のところで登場します)
【水平多関節ロボット(スカラロボット)】
水平多関節ロボットは一方向からの単純作業が得意。アームを使って部品の移動やねじ締めなどによく使われています。
【パラレルリンクロボット】
パラレルリンクロボットはつまみ上げて下ろす作業で活躍。高速で確実なUFOキャッチャーのイメージです。
【直交ロボット】
直交ロボットは直線的な移動のみ。多関節ロボットと併用する場合が多いロボット。

工場の自動化はこれらのようなロボットを中心にしたシステムが、人間にかわって作業します。

では、工場を自動化するメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。

工場を自動化するメリット

工場を自動化するメリットは主に次のとおり。

  • 人件費の削減
  • 品質レベルの均一化
  • 単純ミスやケガの削減

工場の自動化をするメリットとして、一番大きいのは人件費の削減。自動化するために初期投資は必要ですが、長期的にみれば人件費の削減で採算がとれる場合が多いでしょう。

また「長年の勘」に頼っていた部分が自動化されることにより、製品の品質を一定に保つことができます。

たなべ

人間は疲れるとミスするけど、ロボットは何時間でも働けますよね

危険な作業を機械に置き換えることで、従業員のケガを防げるのも工場自動化の大きなメリット。

それに、工場全体が自動化すると「所要時間」や「在庫状況」などが可視化できるようになり、受注計画が立てやすくなります。

次に工場を自動化するデメリットについてみてみましょう。

工場を自動化するデメリット

工場を自動化するデメリットは主に次の4つ。

  • 導入にかかるコスト
  • 誤作動を起こした時の対応
  • 作業内容により人間の方が向いている場合もある

導入にかかるコストはやはり、かなり大きなものになります。また誤作動を起こした場合、被害が大きくなる場合も。復旧に時間がかかると、その間生産が止まるのも問題ですよね。

また、作業内容によっては人間の方が早くできる場合もあります。ロボットが苦手とするのは、例えばホースをつかんでつなぐような作業。対象のモノがフニャフニャして動きが読めない場合は人間の方が向いています。

たなべ

まだかろうじて、人間の方が向いている作業もあるんですね。

そして、大々的に自動化する場合は、技術者も必要に。このように工場の自動化はメリットばかりではないので、導入前は慎重に検討することが大切です。

次に、工場を自動化した事例を2つご紹介しましょう。

工場の自動化をおこなった事例2つ

では工場を自動化した事例を大規模なものと小規模でも可能なもの、2つご紹介します。

ヤマザキマザック株式会社(MAZAK)の事例

最初にご紹介するのは、愛知県に本社がある工作機械の会社、ヤマザキマザック株式会社。まずは上記の動画をご覧ください。

まるで未来の世界のような光景ですよね。これは生産現場だけでなく、受注から出荷まですべてをデジタルデータ化している事例です。

データはネットワークで一元管理して、最も効率の良い方法を分析。そして工場運営全体の最適化を実現しています。

ヤマザキマザックの事例は将来めざしたい姿ではありますが、今すぐ参考にできるものではないかもしれません。次は身近な事例をご紹介しましょう。

株式会社マツシマメジャテックの事例

次にご紹介するのは、計測器・各種制御機器を製造販売しているマツシマメジャテック。導入したのは安川電機の人協働ロボットです。

人協働ロボットとは?
人協働ロボットとは、人との共同作業を前提として開発されたロボット。数年前まではロボットを配置するため、広いスペースや安全柵が必要でした。しかしその後ロボットの小型化、安全性の向上、法規制の緩和により「人と一緒に作業できるロボット」が実現。省スペースで利用できるのがメリットです。

動画はマツシマメジャテックが導入したロボットと同系統の機種。最初にご説明した産業用ロボットの1つ、「垂直多関節ロボット」です。

マツシマメジャテックは、このロボットを人がいない夜間も稼働させることで、生産性を2倍に向上させました。この人協働ロボットは、人手不足に悩む多くの工場で導入が進んでいます。

次は工場自動化の今後について。

工場自動化の今後

工場の自動化は、今後ますます盛んになっていくでしょう。いずれは上記でご紹介したヤマザキマザック株式会社のように、工場全体が自動化する方向に進んでいくと思われます。

ここでは今後の工場自動化のために、考えておきたいことを2つお話しします。

工場自動化の前にまず効率化

現在の状況をみると、自動化の技術は日々進化しているのに、思ったほど導入が進んでいないのが実情。

それは、多くの工場が自動化を受け入れる準備が整っていないことが主な原因です。今後工場の自動化を進めるには、導入の前段階で業務工程が効率化されていることが必要

また社内の部門間でスムーズに連携がとれていることも重要です。厳しい品質管理部門に生産部門が不満を持っていたり、厳しい条件の注文を受けてしまった営業部門に生産部門が腹を立てていたり。

たなべ

どうしても現場にしわ寄せがいくんですよね

まず受注から納品まで、最も効率の良い仕組みを作ってから工場自動化に進むと、費用対効果の良い導入が実現できるでしょう。

ロボットに仕事をとられる?!

会社員

工場が自動化したら、僕の仕事がなくなるかも・・・

今は人手不足に苦しんでいる工場が多いので、こんな心配をされる方は少ないかもしれません。でももし工場が大々的に自動化に踏み切ると、「居場所がなくなるかも」と不安になる方も出てくるでしょう。

ただそれも考えようで、いわゆる「3K」と呼ばれる「きつい・きたない・危険」な仕事は、機械がした方が圧倒的に「早くて正確」にこなせます。

キツイ仕事は機械に任せて、人間は「人間にしかできないこと」に仕事をシフトしていけばよいのです。その方がやりがいのある仕事ができて楽しいですよね。

 

今回は工場の自動化について、メリットデメリット、最新の取り組み事例などをご紹介しました。

2020年4月から働き方改革で中小企業も残業時間が制限されるようになり、人手不足が深刻化しています。

仕事量をそのままに勤務時間だけ減らしたら、社員が疲れ果ててしまうのは当然。やはり工場の自動化は「避けては通れない道」なのかもしれません。

それにしても、最新の工場自動化は見ているだけでも楽しいですよね。

ここ数年、ロボットはよりコンパクトに、動作はスピードアップしてきました。「見た目」は大きく進化してよりスマートに。

これからのロボットは「知能化」が進んでいくことでしょう。人工知能(AI)によってより賢くなって、人間に快適さをもたらしてくれるはず。

工場の中で人間が大勢ウロウロしている今の姿は、間違いなくもうすぐ過去のものになります。だからたぶん、今が一番大変な時。工場自動化の実現に向けて、明日も笑顔でがんばりましょう。

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