アニメ・漫画って時に現実離れした設定が出てきますよね。もちろん、ファンタジーだから楽しめる部分はありますが、例えば未来からやってきた猫型ロボット「ドラえもん」が、森の精と言われている「トトロ」、顔がアンパンでできている「アンパンマン」など、そもそもの設定が「現実じゃありえないでしょ」ってついついツッコミ入れたくなってしまいます。
しかし、そもそも「タケコプターって現実的に可能なの?」という疑問が出てくきますよね。なんと、科学の力を使えばこんな疑問も解決できるのです!Youtubeの「チャンネル人工知能」では、Twitterアカウント「物理エンジンくん」のフォロワーからの質問をもとに、物理エンジンソフト「Unity」を使ってアニメ・漫画のシーンを「もし現実に起こるとこんな感じになる」とわかりやすくシミュレーションするんです!
科学の力ってすごい〜!
果たして、タケコプターをはじめとしたアニメ・漫画のあのシーンは科学的に再現できるのか、なんだか気になってきますよね!
ということで、今回は「チャンネル人工知能のおもしろい動画」を私の真剣なツッコミと共にお伝えしていきます。
アンパンマンの顔交換は予想以上にハードだった!
私も昔テレビでアンパンマンでバタコさんが「アンパンマン、新しい顔よ!」とアンパンマンの顔を投げているシーンはみたことありました。果たしてこれは現実にできるのか、気になりますよね。ところが、「チャンネル人工知能」でこれを検証すると、予想以上に難しいんです。
まず、検証するにあたってキャラクターの身長・体重等を確認しましょう。今回のケースは「空想科学読本」で有名な柳田理科雄さんがすでに計算しているので、「チャンネル人工知能」ではその設定を引用しつつ、アニメから推定して以下のように設定しています。
アンパンマンの身長:160cm
顔の直径:76cm
顔の重さ:112kg
・・・ん?バタコさんが112kg(成人男性2人分の重さ)を投げるって相当力持ちでないとできないですよね。バタコさんって女性だったはずなんだけど、そんなにマッチョだったのかな・・・。とはいえ、パン工場で働いていたら重いものを持ってある程度鍛えられている、と信じることにします。
そして、柳田理科雄さんはバタコさんがアンパンマンの顔を投げる速度まで計算していますが、なんとその速度は140kmという計算になりました。
バタコさんは野球選手かよ。しかも112kgの重いアンパン持って投げるとか人間ではできないんじゃ・・・。
さらに、アニメでは交換した新しい顔は高速で回転しています。このことから、「チャンネル人工知能」では、
- アンパンマンの顔は1本の軸によって固定
- アンパンの柔らかさはまちまち
という条件が考えられました。
そしていざ実験した結果、
- ジャムおじさんが直径76cmのアンパンを正確につくる
- バタコさんが顔の中心より6.1cm上に投げる
- バタコさんが投げるときに横回転をかける
という3つの条件がそろうと交換できると判明しました。さらに、新しい顔の交換方法として「後ろに壁を用意して、顔を2つ同時に投げる」方法も使えるようです。
2つ同時に投げたら1個無駄になっちゃうやん。
ちなみに「チャンネル人工知能」に上がったこの動画のコメントには、
というコメントが並んでいました。ごもっとも。
トトロのくしゃみは車を飛ばすレベルのすさまじい風だった!
次にご紹介するのは、ジブリ作品の中でも有名な「となりのトトロ」です。この映画ではメイちゃんが森に迷い込んで、初めてトトロと出会った有名なシーンで、初めて見たトトロの鼻をちょこちょこいじって、くしゃみでメイちゃんが吹き飛ぶという場面です。
そこでこのシーンにおいて、メイちゃんを飛ばすにはどれくらいの風速が必要なのか「チャンネル人工知能」が検証しました。
そういえばこの動画の最初にメイちゃんがトトロを押しているシーンがあるけど、5才の子供があの大きな体を動かす力あるのか・・・すごい力持ち・・・。
今回の実験では、くしゃみは
- ななめ45°の向きで息が出る
- 80cmの範囲で0.1秒だけ起きる
で行われると仮定した結果、なんと
- トトロは人の約875倍もの息を一気に吸い込んでいる
- 風速70mでくしゃみをしている(ちなみにこの風速は車が吹っ飛ぶレベルの超暴風レベル)
ということがわかりました!
トトロの瞬発的に息を吸い込めるのもすごいけど、逆にそれだけの勢いのある風をうけたメイちゃんが無傷なのもすごいな。
のび太くんはタケコプターでは空を飛べない!?
私たちの世代だと、ドラえもんのアニメのオープニングでは「そ〜ら〜を自由に、と〜びた〜いな〜♪」「はい!タケコプター」と歌に出てくるほど、タケコプターは有名ですよね。「あれがもし実際にあったらいいのに!」「アニメや漫画の中でのび太くんが空をすいすい自由に飛んでみたい!」と思ったそこの皆さん、「チャンネル人工知能」がばっちり検証しています。
今回の「チャンネル人工知能」では
- 一定の力で吸着盤に付いた部分を引っ張る
- 力の向きは常に回転軸と平行
という2つの条件で、重力と逆らった力が働いているという仮定のもとタケコプターを作っています。
そしていざ頭につけると、ドラえもんはまっすぐ空を飛べるのに対してのび太くんはすぐに体勢を崩してしまい、地べたで回転し続けるという痛々しい結果になりました。これは人間の体は左右対称ではなく、関節の動く範囲も広いので体勢が不安定になってしまうのが理由なんです。って、これ、タケコプターとして実用化できないのでは・・・。
で、最終的にタケコプターで空を飛ぶには「僕がコマになれば安定するのでは?」という驚くべき結果になりました。つまり、
- のび太くんの背中に鉄棒を突き刺して関節を固定
- その鉄棒の上にタケコプターをつける
- 足首にも回転用のタケコプターをつける
ことで、空を飛べるようになるのです。無理があるでしょ。
ちなみに、「チャンネル人工知能」はさらに追加の実験を行い「安定した飛び方はないか」を検証しました。
その結果として
- のび太くんを土管に詰めて、のび太が中で動かないようにコンクリートで固定する
- のび太くんを薄っぺらにして、大きいボールに貼り付ける
- のび太くんを紐で釣り上げて、安定したところでタケコプターに持ちかえる
- のび太くんを小さくする
- タケコプターの回転をより高速にする
の工夫をすると、安定して飛べるようになるそうです。
現実的に無理やろ。それにしても、のび太くん動画だと地面にぶつけられたり串刺しにされたり、もはや人間扱いされていなくてかわいそう・・・。
ということで、「チャンネル人工知能のおもしろ動画」を私の真剣なツッコミと共にお伝えしました。
- アンパンマンの顔交換→重いものを投げる力+野球選手以上の球コントロール力が必要
- トトロのくしゃみ→台風以上の風力が必要
- タケコプターで空を飛ばす→人間を固定したり縮ませたりする力が必要
など、どれも超人的な力がいりますよね。さすがファンタジーだけあって、これらを科学的に実証すると現実で再現するのは難しいんだなと改めて実感しました。
とはいうものの、「チャンネル人工知能」を運営する「物理エンジンくん」のシュミレーションは「本当に現実にありえそう・・・」って感じてすごくてびっくりしました。個人的には「物理エンジンくん」の、「絶対にありえないでしょ」と感じていることを真剣に検証する姿勢が好きです。
この他にも面白い動画がたくさんあるので興味のある方はぜひ他の動画も見てみましょう。また、これをきっかけに科学に興味を持ってくれる人が増えてくれたらいいですよね!
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