企業において、新規ビジネスや新しい技術を導入する機会はありますよね。そんな時に、PoCなくして成功はあり得ないと言われるほどPoCの注目が集まっています。
例えば、多くの企業が抱える人材の確保、業務の改善、売上や利益の向上と言った課題は、AI(人工知能)やIoT技術と言った新しいデジタル技術を取り入れることで解決できます。そんなデジタル技術を取り入れる為には大きなイニシャルコストが発生する為、失敗するわけにはいきません。PoCを利用することで、導入の失敗のリスクを減らせるでしょう。
とはいえ、PoCってどうやってやるのかを知らない人は多いはず。それでは今回は、PoCについて初めて行う方も安心して取り組めるように解説します。
PoCとは
PoCとはProof of Conceptの略で、新しい技術やシステムなどを導入する時の検証工程のことを指します。新しい技術を導入する時に、そもそも本当に導入できるのか、導入の目的の成果を得ることができるのか?など懸念点が多いですよね。それらの懸念点を確認するために、実験的に行うのがPoCです。今、PoCは新規ビジネスの立ち上げ、新しいシステムの導入の際には必要不可欠だと言われるぐらい重要視されています。
PoCの特徴として、実際にシステムの簡易版を再現して使う点があります。その技術やシステムが効果的なのか判断するために、理論や計算などによる検証は使いません。また簡易版でも実際に使用することで、より精度の高い情報を得られるでしょう。
PoCで検証する内容として大きくポイントが3つ挙げられます。
実用性を検証
企業に新しいシステム導入する場合は、失敗しないために必ず検証が必要です。特に注意しないといけないのが、企業内のインフラや環境によっては導入できない可能性があること。またシステムが安定的に動作できるかどうか、システムダウンはないか、様々なリスクを検証する必要があるでしょう。
業務改善できるかを検証
企業内に新しくシステム導入を行い、そのシステムが社内でスムーズに受け入れられるか、また使用することで業務の改善ができるかの検証を実施します。
コスト検証
企業内に新しくシステムを導入することで、どれくらい生産性が上がるかの費用対効果が検証できます。実際に製品やサービスを利用した際、どの様な有効性があるのか、費用も含めて 経営判断が可能なレベルで検証します。
PoCが必要になる理由
PoCを利用することで、新しく導入するシステムが効果的なのかなど事前に検証できるメリットがあります。それではPoCがなぜ必要となるのか、その理由を解説しましょう。
PoCが必要だと言われる一番の理由が、導入失敗のリスクを抑えられること。新しいシステムの導入となれば企業は大きなコストを覚悟しなければなりませんよね。さらにシステムを導入したけれども、全く効果がないとなれば改善どころか大きな損害となります。
PoCはシステム導入時を想定できる小規模な試験を行えます。また、その試験が小規模とは言えほぼ実物のシステムなので、動作の安定性や使い勝手を検証できます。それにより現実的に実現可能かを確認できるし、ユーザーや現場の人間に使用してもらうことで、より精度の高いフィードバックを得られるに違いありません。
PoCが必要になる業界
PoCには特に必要としている業界があります。その業界及び、なぜ必要としているのか解説します。
医療業界
医療業界は古くからPoCを活用し、「医療業界ではPoCを切っても切り離せない関係」と言うレベルで重要視されているとのこと。なぜなら医療業界では、主に新薬の研究や開発にはPoCは必ず活用しているからです。またバイオテクノロジー・医薬品開発においても・新薬開発段階などでPoCは実施されるでしょう。
映画業界
私たちが日常生活で楽しんでいるエンターテイメントの一つ映画は、その製作費には多くのコストが掛かります。そんな映画業界にもPoCを活用しています。
具体的にどうするのかというと、まずは短編映画を作成してPoCを行うことで、どのような反響があるのかなど検証します。そうすることで、長編映像を制作して失敗した際のリスクを避けられるでしょう。
IT業界
IT業界は新システムの導入が多いので、PoCが不可欠な業界業界と言えるでしょう。
IT業界では実際の現場でPoCを実施し、仮説を検証することでシステムの有効性を調査、検証を行います。特にコンピュータウィルス対策などトラブル対策に向けて実施されることが多いでしょう。
PoCを行う4つのステップ
PoCを失敗せず行うには段取りがあります。その段取りは4つのステップに分かれているので順に解説します。
目的と終着点を明確にする
例えば大きなコストがかかるAI(人工知能)やロボットを導入するとして、最終的に何の作業が削減できて、どれぐらいの効果が見込めるか明確でないと安易に導入はできませんよね。何事にも言えることですが、PoCを行う上で、どんな効果が期待できるのか、終着点を明らかにしなければなりません。
検証方法と実施内容を決める
終着点を決めれば、次に行うことは実施内容の選定です。より現場に近い環境で実施されることが望ましく、何を検証するか明確にしなければなりません。
例えば、大きなコストがかかるAI(人工知能)やロボットを導入するとして、現状の作業内容、そして作業時間のデータとAI(人工知能)ロボットを導入した際のデータとの比較が必要となるでしょう。
小規模環境での実証
全ての準備が整えば、まずは小規模環境での実証です。いきなり本番の規模感ではなく、できる限り小さい環境にて実証を進めましょう。そして検証に当たっては、できる限り多くの実務に携わる方のデータが必要でしょう。
偏った人員、少人数だと獲得できるデータの精度が悪く、客観的かつ説得力あるデータを回収し、実証することが大切です。
結果の評価
最後は、PoCで得たデータを元に結果を評価します。ここでの評価のポイントは第一ステップに定めた終着点と比較してどうなのかと言うことがポイントとなります。
仮に良かった、もしくは想定通りであれば新しいシステムの導入を前向きに検討して良いと判断できるでしょう。また悪かった場合は、データに基づき何が悪いのか検証することができます。もしかすると違うシステムであれば大きな効果が期待できる、もしくはそもそもが組織の体制が悪いなど現状と課題が見えるかもしれません。
PoCを失敗せずに行うポイント
新しいシステムの導入に失敗しないためのPoCですが、そもそも、そのPoC自体を失敗しないために大事なポイントがあります。それを解説しましょう。
必ず小規模でスタートを切る
PoCを実施する際は、必ず規模感に注意すること。いきなり規模感を大きく実施してしまうと、その損害も大きくなる可能性があります。このため、PoCは必ず小規模でスタートを切ることを心掛けましょう。
同じ環境下で検証する
PoCは実際に導入を目指す環境と同じ条件で検証をするのもポイントです。せっかく検証するのに環境が違えば、そのデータの信ぴょう性は薄れます。このため、検証する環境にも注意しましょう。
実際にシステムを導入する環境下でのデータは正確なデータとなり、PoCの判断がより正確なものとなるに違いありません。
PDCAを意識する
PoCを実施し、全てがうまく行くわけではありません。PoCの中で失敗も発生するし課題も発見することとなります。それらに対して一つずつ解決すればすることで、従来の環境から必ず改善できるに違いありません。
PoCの実施の中でPDCAサイクルと回すことも意識して行きましょう。
さて今回は、PoCを始めて利用する方も安心して取り組めるように詳しく解説しました。
それでは内容を振り返りましょう。
- PoCとは、新しい技術やシステムなどを導入するにあたり、本当に導入が可能なのか、また導入することで目的の成果や効果を得ることができるのかなどを確認するために実験的に行う検証工程を指す
- PoCを利用することで、新しく導入するシステムが効果的なのかなど事前に検証できると言うメリットを見出せる
- PoCが必要な業界は、医療業界、映画業界、IT業界がある
- PoCを行うためには、目的と終着点を明確にする、検証方法と実施内容を決める、小規模環境での実証、結果の評価を行う
- PoCを失敗しないためのポイントとして、必ず小規模でスタートを切る、同じ環境下で検証する、PDCAを意識するがある
現代社会ではAI(人工知能)、IoT技術など便利な技術やシステムが生み出され、企業がそれらをうまく導入し、会社をより発展させようと思考錯誤しています。
その技術を間違いなく期待通りの効果が出るのか確認できるのがPoCです。それゆえにPoCが必要だという企業はここ数年でみても増えるはず。
もしかすると、皆さんの会社もPoCを利用して新しいシステムを導入する日も近いかもしれません。当メディア(AIZINE)の運営会社でも、PoCを行っていますのでもし機会があればお気軽にご相談ください。